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綺麗な悪意  3
今日はなかなか行けなかった墓参りにやっと行けました。
風が強いわ、花粉は飛ぶわ。 犬が元気に墓場を走り回るわ。線香は火を噴くわ・・・・。
帰りは事故渋滞の中、やっと帰って来れました。疲れたびぃ~・・

今回も試行錯誤の妄想の中、やっとまとまる事が出来ました。
underの人気にちょっと驚いているあおです。 力入れているからな~(笑)


では、どうぞ


















「陛下、高官2名が係わっていたと調べが付きました。 後宮に出入りする庭師に手配して花に噴霧したようです。 夕鈴殿が好む花は見ていれば大凡の見当が付きますからね。 政務室に出入りする高官ならば」
「・・・ご苦労。 庭師を含め高官を締め上げろ。 述べている以上の裏が無いかを徹底的に調べよ。 まあ、 『唯一の妃を屠れば、次の妃を推挙出来る』 ということだろうな、どうせ。 自己の利益を得るためにな・・・・。 しかし全く減らないな」

冷たい表情で言い放った後、李順を下がらせる。 酷い顔をしているのだろう。 退室するとき、李順の私を見る目が怯えるようだった。 だが、それくらいで無いと国王は務まらない。 闇が跋扈するこの王宮という貴族の遊技場では・・・・。



「・・・陛下、宜しいでしょうか」

静かに頭を垂れながら部屋へ姿を出す官吏にその後の状況を聞く。
あっさりと裏が取れ高官が事を認めたと報告が挙がる。 

「・・・そうか」 

短くそう謂うと椅子より立ち上がる。 
刑吏だけに任せるには気持ちが納まらないと闇い表情で官吏を見る。 報告に来た官吏が全身を震わせながら蒼い顔で 「し、失礼致します」 と退室した。
私利私欲に絡んだ奴らが多いこの王宮。
夕鈴が 『国王陛下唯一の妃』 として囮のバイトをしているとはいえ、何度も危険な目に遭わせてしまうことは黎翔の思いとは別のこと。 そんな目に合わすなど望んでいないし、あってはならないのだ。
危険な目に合わす前に、敵だけを捕まえたいのに思うようにはいかない現状。

自然に足が彼女の部屋へ向かっていた。








***






「陛下っ! ご心配掛けました」

夕鈴が寝台で上体を起こしてお茶を飲んでいたが、黎翔が思わず駆け寄り顔を近づけると一気に頬が紅潮する。 そのまま両頬を掴むと驚いた夕鈴が奇声を発した。

「夕鈴、頭痛は・・・もう痛まない?」
「もう、もう大丈夫ですから、手を離して~~!」
「吐き気は? 手の痺れは? 苦しくない?」
「陛下っ!! 今、苦しいですっ! 手を離して下さいっ!」

渋々手を離すと夕鈴から睨まれた。 その元気な様子に椅子に腰掛けながら安堵の表情を浮かべる。 その表情に夕鈴も気付くと、もう一度深々と頭を下げる。

「本当にご心配をお掛けしました。 ・・・・まさか花に仕掛けられていたなんて知らずに、ずっと飾っていたんですね、私」
「いつも髪に飾っていた訳ではなく、掃除の時は外していたから、この程度で済んだが長い時間飾っていたら・・・。 酷い状態になっていたのは容易に想像出来る」

狼陛下の声色に夕鈴がさっと顔色を変えて小刻みに震え出した。
その震えに気付いた黎翔は、柔らかく夕鈴に微笑みながら話を続ける。

「で、もう大丈夫? 解毒剤飲んだって聞いたけど」
「はい、すごっく変な味のモノでしたよ。 あそこまで酷い味だと逆に拷問のようで辛かったです。 飲み込むのに時間が掛かって死ぬかと思った・・・」
「くっ、くっ。 ・・・ははは、あはははっはは、あははっ!!」

夕鈴のその台詞を聞いた陛下は、震えながら笑い出した。 お腹を押さえて肩を大きく震わせて涙まで流して笑い出す陛下のその様子に、夕鈴は面白くないと頬を膨らませる。

「だって、本当にそう思ったんですもの!」 と文句を言うが、涙を拭きながら陛下が夕鈴に 「笑い過ぎだね、ご免ね」 と謝られて何も謂えなくなってしまう。


「・・・陛下、どんな風に花に仕掛けたのでしょうか。 花は侍女が庭に咲いている中で、丁度良い大きさの花があった時だけ手折り持って来る筈ですが。 毒液を噴霧するなんて事など、一体いつ・・・」
「夕鈴が飾っていた花に蟲が付いていたんだ。 その蟲を後で調べてみると、毒液の甘い香りに集まる習性を持つことが解かったんだ。 侍女が良く行く庭は調べ上げられており、その庭の花、全てに毒液が噴霧されて例の蟲がどの花にもいたよ。 ・・・・侍女も頭痛と吐き気がすると、今安静にしている。 もちろん解毒剤は飲ませたから安心して。 ・・・急ぎ庭を封鎖し花の除去をする予定だ」
「・・・・!!」

言えば、きっとそんな顔をすると思った。
夕鈴の大きく見開いた瞳は今にも泣きそうな・・・。 しかし唇は震える程強く閉じて開くことは無かった。 その先は言ってはいけない、と思っているのだろう。

『花に罪は無いのに』

静かに頭を下げた夕鈴から、ぽたぽたと涙が零れ始めた。 
その頭を優しく撫でると夕鈴から呟くように言葉が零れてくる。

「そこまでして・・・妃を屠ろうとして迄・・・自分達が得るものに執着する気が知れません。 花が・・・綺麗に咲いていただけの花が可哀想です。 でも!」

きっと顔を上げて陛下を見る夕鈴は眉根を下げて、それでも言いたいことがあると詰め寄る。 その夕鈴の唇に手を当てて、先の台詞を制する陛下。

「夕鈴、この先の君の言いたいことは想像出来るが、それは・・・聞けない。 君には関わって貰いたくないし、関わらせたくない」
「でも、陛下っ!」
「・・・こんな僕を嫌いになる? ・・・夕鈴」
「・・・っ!!」

言葉が詰まって、それ以上は言うべき言葉が見つからない。 陛下が何をしようとしているのかが解かり、そして私を関わらせたくないと切に願っている。 唯一の妃を屠ろうとした者への助命など、夕鈴の願いでも聞けないと。 陛下の表情がそう語っているように見えて、もう何も言えなくなる。

それでも陛下の目を見ながら、首をふるふると左右に振る。 じっと目を見ていると陛下の表情が和らいだような気がした。 切なさを含みながら。


「まだ休んでいてね・・・もう泣かないで。 目が兎みたいだよ」

陛下の手が夕鈴の目を覆い、そのまま寝台に沈み込ませる。 抗いもせず夕鈴は素直に従い、温かい陛下の手はいつまでも離れることは無かった。


 







数日後、すっかり元気を取り戻した夕鈴は、後宮立入り禁止区域で掃除を再開する。
侍医からの許可も、もちろん陛下からの許可も得て、休んだ分の賃金を取り戻そうと頑張る夕鈴。 自分に出来る事を、一生懸命出来る事に嬉しさを感じて。

「あ・・・・ 浩大、居る・・・?」
「ん~、何? お妃ちゃん・・・」

姿は現われず、声だけの返事が聞こえてきた。

「あのぅ、部屋で倒れた時に浩大が助けてくれたって陛下から聞いたの。 で、お礼を言いたくて。 ありがとう、浩大!」
「うん・・・。 それが仕事だから気にするなよ。 お妃ちゃんが元気で何より」

覇気が無いような声に、夕鈴は戸惑う。

「・・・浩大? 元気が無いように聞こえるけど、如何したの? 姿は見せてくれないの? もしかして・・・浩大、怪我しちゃったの?」

慌て出した夕鈴の声に、頭上から苦笑した声が聞こえた。

「い~や、暫らく陛下の逆鱗に触れないように自粛中っすよ。 あ、ちゃんと警護はしてるから安心して頂戴ね、お妃ちゃん」
「・・・?? なんだか解からないけど、怪我とかはしてないのね、本当に?」
「大丈夫っすよ~、余り喋るのも・・・ どうだろう・・・」
「・・・??」

言っている内容がすれ違っている気がするが、怪我はしていないと知り 取り敢えず安堵した。あとから現われた老師が菓子袋を持参しながら、折角掃除した床上に煎餅屑をこぼし始めた。睨み付けるも悪びれた顔もせずに、夕鈴に哂いかける。

「おお、すっかり元気になった様子じゃのう! 良かったな~」
「・・・ありがとう御座います。 ・・・でも今は掃除中なんです。 毎回言ってますがお願いですから老師、菓子屑は零さないで下さい!!」

いつもの事だが、夕鈴の言葉は老師の耳の右から左へきれいに流されてしまう。

「全く陛下の御心労も減らぬのぅ。 妃排除の刺客が無くならない事には安心して跡継ぎも作れないだろうに。 そうじゃ、聞いたぞ~、部屋で真っ裸になって毒と戦ったとか・・・  其れは一体どういう事じゃ?」
「・・・・は?」

誰が真っ裸で何と戦ったって? 老師の言っている意味が全く理解出来ずに小首を傾げる。
頭の中の記憶を一生懸命探る内に、違和感を感じて衣装を脱いだ事をぼんやりと思い出した。 
その後は・・・・どうなったんだっけ? 何時の間にか寝台に寝ていたし、夜着を着ていた。
侍女が着替えさせてくれたんだと思っていたが。
まさか・・・。
瞬時に蒼い顔になった夕鈴に、浩大の声が否定する。

「お妃ちゃん、違うよ。 寝台にはオレが運んだし、着替えは侍女さんがしていたよ。 そこは安心してね~。 ただ・・・脱いだのは本当・・・」
「・・・脱いだのは・・・・ 覚えているわ」

紅い顔に変わった夕鈴は、声のする方向に顔を向けて焦った声を出す。 衣装を脱ぎ、頭痛の原因となるものを排除しようと出来る事をしたのは記憶している。 ただ裸同然となった後の記憶がない夕鈴はそれを誰に見られたのかなんて、今の今まで思い出しも、考えもしなかった。



「・・・浩大」

部屋の空気が底冷えするような冷たい声が聞こえたと思い、振り返ると陛下の姿。
入り口に身体を預けて立っている陛下に、近寄るとすぐに柔らかい顔になる。

「もう働いているのか。 働き者だな、我が妃は」
「頭痛もなくなりましたので、今まで休んでいた分一生懸命働かなきゃ! ところで陛下はお仕事中では? こちらに来ていて大丈夫なんですか?」

にっこり笑い、夕鈴の髪を一房取り上げる。 陛下のその仕草に夕鈴は真っ赤に染まる。
老師を一瞥すると、老師は蒼い顔で 「わしも忙しいのぅ」 と呟きながら退室した。
それを確認すると陛下は夕鈴の髪に唇を寄せる。

「仕事を始めたと聞き、妃の様子を見に来たんだよ。 ところで浩大」
「・・・はいよ、へーか」

窓から姿を現せた浩大は困った顔で夕鈴と陛下を見る。 冷たい視線に浩大も蒼い顔。
一体何があったのかと二人を見比べる夕鈴は、困惑していた。

「ど、どうしたの、陛下? 浩大も今日はなんかおかしいし・・・」
「う~ん、へーかの機嫌が悪いのはただの・・・・」
「浩大、それはいい。 解かっているから・・・。 他の用事があって来たんだ。 直ぐに執務室に来てくれ」

浩大に対して冷たい態度の陛下に夕鈴は戸惑いながら声を荒げる。

「ちょっ! 陛下、浩大が何をしたのか解かりませんが調子が悪いかも知れない浩大に余りにも冷たいんじゃないんですか? 一体何に怒っているんですか? 陛下っ!」
「大丈夫だよん、お妃ちゃん。 陛下は見損ねたから臍を曲げてるだけだから。 ・・・・あ」
「浩大・・・お前は・・・」

直ぐに窓から姿を消そうとする浩大がにっこり笑うと最後に爆弾を落とした。

「お妃ちゃんの下着姿を見損ねたって、オレに当たってるだけだから!」

浩大のいた窓に向けて小刀が投げられるも、当たらずそのまま逃げられる。
執務室に仕事で呼び出しているから逃げられないだろうに、あの発言。
陛下は溜息を付きながら振り返ると________。

真っ赤な顔の夕鈴が、大きく口を開けて陛下を見つめていた。
吃驚した陛下が夕鈴に一歩近付くと、夕鈴は部屋の隅まであっという間に逃げていく。

「み、み、見ても楽しいものではありませんから・・・・ あの・・・」

顔だけではなく、耳も、首も真っ赤に染めた夕鈴はもじもじしながら陛下を見る。
陛下が口を開こうとすると 「ひやぁ!」 と短く叫び脱兎の如く部屋を飛び出して行った。 後宮立入り禁止区域で一人残された陛下。


少し暖かい風が吹いた午後のこと。




夕鈴の羞恥心が納まるまで、政務室は嵐のような低気圧が吹き荒れた。






FIN



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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

長編 | 10:08:14 | トラックバック(0) | コメント(0)
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