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バイト妃のバイト  1
いや~、会社の花見で呑みました!!このクソ寒い中、所長の横で盛り上げ係りとして呑みました!! 寒い中、ビールを呑んで冷たい乾き物を食べていると、同僚が近くの出店で暖かいモツ煮込みと焼きそばを買って来てくれました。美味しかった!! その後、イヅツワインを美味しく呑んでいたら、つい・・・・。

いや~、何度も打ち直してこれを書いてます。
気持ち良いというか、眠いというか・・・・。



では、どうぞ















「・・・・あっ!」

大きく体が傾いた。 
慌てて近くの手摺りに手を伸ばすも、バランスが悪く手が滑って・・・・・ 絶対、落ちる!

「お妃様っ!」

もう少しで落ちると思った寸前、夕鈴の身体を支える人物が居た。 が、その人物と共に雨上がりの階段で足が滑り、一緒に回廊下まで落ちてしまう。 支えに走った人物が夕鈴を抱え込むように庇いながら。


ダダダンッ!
ザザァッ!



落ちた後 夕鈴は急ぎ顔を上げて庇ってくれた人物に声を掛けた。

「だ、大丈夫ですか!? すいません!!」
「・・・・大丈夫では・・・ありません・・・・」

その人物の顔は!!

「り、李順さん!?」












・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・













「本当に・・・ 申し訳御座いません・・・・」

深々と頭を下げながら震える夕鈴。
侍医に手当てを施されながら、眉間に皺を寄せる人物は黙って痛みに耐えている。
夕鈴は解かっていた。 今は侍医や女官が居るから無言で居るだけだと。
その後の李順から何を言われるのか、想像するだけで恐怖に震えてしまう。

ワザとではない・・・・。 回廊から庭に出ようとした時、雨上がりの滑る床に驚いた侍女を助けようとして夕鈴がバランスを崩しただけ。 たまたま其処に李順が通り掛り、助けてくれた。 しかし、そのせいで李順は足首を捻挫。 右腕を骨折したのだ。
落ちた場所に庭石が配されており、強かに打ち付け、侍医が言うには「右手首骨折」 と。
橈骨部分に骨折があり腫れている為、暫らくは固定しなくてはいけないと。
添え木をあて、包帯で強く巻きつける。 声は漏らさないがその痛みが表情に現われている。 その顔を見つめる夕鈴は、蒼褪めてどうしていいのか解からない。

「李順、怪我をしたと聞いたが大丈夫か」

陛下が部屋に現われ、白い包帯に包まれた腕を三角巾で吊ろうとしている李順と、傍で蒼褪めて立ち竦む夕鈴を見た。 今にも泣きそうな顔の夕鈴が唇を震わせて告げる。

「も、申し訳ありません。 ・・・私が落ちそうになったのを李順殿が・・・・。 それで右手首に怪我を、骨折したって・・・・ 私・・・・」
「お妃様、もう宜しいですよ。 お妃様に怪我がなくて良かったです。 ただ、一月ほど右手が使用出来ない状態です。 政務に多少差支えが出ると思われますので、御了承下されば・・・・」

状況を理解した陛下は、ただの事故と分かり安堵の溜息を付き頷いた。


「仕方ない事だ、我が妃を護っての名誉の負傷だ。 李順は暫らく身体を厭え」
「ありがとう御座います。 しかし他は問題ありませんので政務には参加致します。 官吏らへの指導や指示、宰相との話し合いには問題がありませんから。 細かな指示書が書けないので執筆作業を代筆させたり等の手配をしなければなりませんが・・・・」

それが一番面倒なのだと、李順が眉間に皺を寄せる。 息を詰めて二人の会話を聞いていた夕鈴は侍医が部屋より下がったのを確認すると、ごくんっと唾を飲み込み言葉を吐いた。

「あの・・・・ 私に手伝える事はありませんか? も、もう何でもしますから。 いえ、させて下さい、李順さん! お願いします!」

涙を溜めた夕鈴は真っ赤な顔で両手をぎゅっと握り締めて、李順に詰め寄る。
顎を引き、困惑した顔の李順は眼鏡を持ち上げて考え、首を振った。

「いいえ、仮にも妃という立場の貴女に何かを手伝わせるというのは無理ですし、貴女が手伝える内容でもありません。 政務に関しては立ち入って欲しくないというのが本音ですがね。 ・・・ですから今回の件は気にしないで下さい」

いつもの飄々とした顔ではっきりと夕鈴に告げる。 ハッキリした否定に愕然とした顔でそれでも李順に詰め寄る夕鈴。

「でも、でも・・・。 じゃあ、お着替えとか洗面とかお風呂とか食事とか、邸で私が手伝える事はないですか? 私、一生懸命お世話させて頂きます、是非!」

深々と頭を下げる夕鈴に、李順が繰り返す。

「気持ちだけで結構です。 本当にワザと貴女が転んだ訳でもありませんし。 侍女が滑ったのを助けようとしたのも見ていましたから、貴女に否はありませんよ。 逆に気を遣わないで欲しいです。 大丈夫ですから・・・」
「でも・・・・ でも、李順さん・・・・」

今にも泣きそうな夕鈴を見て李順は陛下を見る。 陛下も困った顔で夕鈴を見ていたが、彼女を椅子に座らせると優しい小犬陛下で話し掛ける。

「ゆうりん、大丈夫だよ。 僕も李順も怪我には慣れているんだ。 手首の骨折だって時間が経てば治る怪我だから、安心して。 大丈夫だから・・・」
「でも・・・ わ、わたし・・・・」

とうとう泣き出した夕鈴は、それでも妥協案を提案した。 掃除婦を一時お休みして、下っ端侍官として執務室内でだけ李順をサポートすると。 書簡を運んだり、指示書を届けたり、内容には一切触れないから手助けをさせて欲しいと。 しつこい程に懇願する夕鈴に試用期間が設けられた。

余計なことは一切しないこと。
浩大と共に行動すること。
万が一ばれたら、そこで終了。

李順は早々にばれるか、余計なことに首を突っ込んで自滅するだろうと思った。 夕鈴からの妥協案に頭痛がして、深い溜息しか出てこない。 それでも必死に頼み込む彼女の目は 「やらせて下さい」 と繰り返し、妥協するしかなかった。 仕方無しに、花の宴で使用した下っ端侍官の衣装を渡すことになる。


しかし李順の思惑に反して、意外にも夕鈴は黙々と働いた。

執務室と書庫や政務室の間を書簡持ち移動したり、贈られた贈答品を目録と照らし合わせて運んだり、李順が普段歩く分を夕鈴が小走りに移動して書簡を移動させる。
効用としては、出入りする妃に気を良くした陛下が真面目に執務に取り組んだ事だ。 夕鈴が出たり入ったりするので、話し合う案件に気を付けねばならないが、あとは書簡に黙々と取り組み、署名捺印を施し、真面目な態度で筆が進んでいる。 「今は入らないで欲しい」 と言うと、黙って書庫の整理に入る夕鈴の働きぶりに李順も止める事が出来ないほどだった。

昼食時に 「あの・・・食べるのを手伝いましょうか?」 と箸を持った時は、流石に背後からの冷たい視線が痛かったが。 夕鈴が匙を用意していたので李順は問題なく一人で食べる事が出来た。

一生懸命という言葉が今の夕鈴に良く当て嵌まる。
李順の為に何が出来るかを、朝から晩まで考えている様は子供を育てる母親のようだ。
病気をした時、怪我をした時に看護する母の姿を髣髴とさせる。
政務に関しては自ら一歩引き、李順に何も言わせない態度で頑張りを見せることとなった。



試用期間は問題なく過ぎていき、夕鈴は 「このまま後3週間ほど、お仕事させて頂いて宜しいですか?」 と上目使いで李順に尋ねた。 問題が無いことが問題だと、李順は眉間を押さえる。 逆に陛下が卓に付き、真面目に仕事を進めるので、良い効用とさえいえる。 ただ、このまま政務室などに彼女が出入りすることで知られたくない政の裏側が知られてしまわないか、もし知られたら陛下がどうするのかが頭の痛いことだ。

「・・・・・今日一日考えさせて下さい」


李順からそう言われて、黙って頭を下げる夕鈴。
眼に映る白い包帯が胸に痛い。 いつもは厳しい言葉を夕鈴に投げ掛け、甘やかす事はしない李順だがバイトの上司としては文句が無い。 朝から晩まで政務に真摯に励むことも、逃げ出す陛下を難無く見つける事も、王宮全般のあらゆる事を網羅している事も、尊敬出来る上司。
困った事は李順に伝えると即時に返答されるし、以前持て余した時間の活用を申し出ると掃除を勧められたし、浩大が連れ出した宴に着た下っ端侍官の衣装用意もしてくれた。

危険な時には嫌そうな表情はするが危険手当を増額してくれるし、適正な判断の上 給料改正もしてくれる。 尚且つ、化粧や調髪の腕前は・・・・! これは何故という疑問が浮上するが取り敢えず置いておこう。

李順さんは良く倒れないなと思うほど朝から晩まで働いている。 あの陛下を働かせ、我が侭に振り回され、政務に関しては采配する。 側近として以上の働きをしていると正直思う。
お金に関してシビアな面も、質素倹約を心掛ける夕鈴にとっては尊敬してしまう一面だ。

そんな李順に自分の不注意で怪我させてしまい、夕鈴は心から手助けをしたいと必死に働いていた。 だから部屋に戻ると緊張が解け、寝台に倒れ込んでしまう日々が続いているが、今のところ大きな失敗も叱責も無く安堵していた。 これ以上李順に負担を掛けるわけには行かない。
いつも言われている 「何も知らず、何も語らず」 で、言われたことだけに集中して動くように努めている。  『今、自分は李順さんの手足!!』 と自身に念じて働いていた。



今日一日、続けてお手伝いが出来るかどうかを考えると言っていた。

陛下が 「夕鈴が頑張っているのは、李順が一番解かっているから大丈夫だよ」 と微笑んでくれた。 陛下も私が無理を言って侍官の姿でいることを黙認してくれているし、周囲に迷惑を掛けている分・・・・応えたい。





そんな時に限って、タイミング悪くことは起こる。




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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 00:04:57 | トラックバック(0) | コメント(0)
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