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眠り姫  1
眠った夕鈴が主人公です。今回、正妃の夕鈴が狙われちゃうパターンです!
妄想が過ぎると怒られそうですが、妄想ですから!! あくまで!

ディ〇ニーラ〇ド行きたい・・・。




では、どうぞ











「これは・・・・ 本当に素敵ですわね」
「はい、お妃様に良くお似合いで御座います。 そして、これなどは・・・」
「んんんっ!!」

侍女がおもむろに強く咳払いをする。 夕鈴の背後に控える侍女は眉間に皺を寄せて明らかに苛立っている表情を呈していて、驚いて振り向くともう一度強く咳払いをした。

「あっ! た、大変申し訳御座いません! 御后様っ!!」

侍女の様子に漸く気付いた商人は慌てて平伏した。 その様子に夕鈴の方が驚いてしまう。

「あの、宜しいですわよ、どちらでも・・・・・」
「お后様っ! 宜しくは御座いません。 今や御正妃なのですから下々の者からの物言いも正しく制して頂きませんと示しが付きませんわ。 それに商売人としても基本ですわよ。 貴方、良いですか。 今後はくれぐれも間違えの無いように!」

侍女の憤りは夕鈴にも向けられるが、怒りの為か侍女はそれに気付いていないようだ。
夕鈴は背を正して侍女に向き直ると、少し躊躇しながらもはっきりと告げた。

「え・・・っと、そうですか? でも下々という仰りようは止めましょう。 職業に貴賎はありませんし、ただ御間違えになっただけでしょう。 そこまで厳しい物言いはなさらなくても結構ですわ。 私は全く気にしておりませんので」

その言葉に、はっとした顔になった侍女は拱手し蒼白な顔色で頭を下げた。

「申し訳御座いません、お后様! わ、私こそ失礼なことを申し上げてしまい・・・・ 申し訳御座いません。 お許し下さいませ!」
「大丈夫ですよ。 それに正妃になったばかりで御存じない方も大勢いらっしゃいますし。 貴方様も御免なさいね。 悪気はありませんから御気に為さらないで下さいませ」

侍女と商人双方に声を掛け、夕鈴はにっこり笑うと目の前の品物を一つ取り出した。
光沢のある織物に目が奪われる。 これを一反売れば一体お米何表になるのだろう・・・・・。
青慎が使う教材費に塾費用、新しい温かい衣装を用意してもあげられる。 実家の屋根と扉の修理をして、新しい靴も買えるし・・・・・。 夕鈴がそんなことを考えながら余りにもじっくりと品物を見ていたら、商人が笑顔で勧め出した。

「御后様、御気に召した御様子有難う御座います。 この反物で衣装を御作りさせましょうか。 ご一緒にこちらの宝飾は如何で御座いましょうか? 大変お似合いと存じますが」
「あ、いえ・・・衣装は間に合っておりますので結構です。 髪飾りを一つ、二つ程見せて頂けたらと思います。 でも、本当に素敵な商品ばかりで溜め息が出ますわ」

夕鈴は団扇で顔を隠しながら后スマイルを見せる。 しかし、その心中では・・・・・。

『こんな馬鹿高い物、買える訳無いじゃない。 正妃になったからといって自由に何でも買える訳もないし、買う気も無いわよ。 李順さんに殺されちゃう! でも大臣が呼んだ商人と言っていたから 何か一つくらいは御付き合いで買った方がいいのかしら?』

正直品物自体より値段が気になるし、値段を聞くと買う気が失せる。 根っからの貧乏性なのよねと、笑うしかない。 余り高くないような簪を持ち上げ、じっくり見ていると扉を叩く音がした。
次の商人が来たようだ。
「御一緒で宜しければ どうぞ」 と声を掛け、中に入って貰う。
にこやかな笑顔で恭しく入室した商人は、頭を下げて品物を広げ出した。

「御后様に喜んで頂ける御品物が有ると自負しております。 どうぞ御手にとって御覧下さいませ。 こちらの商品は珍しい貝を使用したカラクリ仕立ての宝石箱でして、沢山の宝飾を御持ちの御后様には小さい物でしょうが・・・・・」

澱みなく、すらすらと語り出し商品を丁寧に説明し出した商人に一瞬気を取られそうになった。
若く明るく見目麗しい商人の語り調子に、侍女の方が夢中になって聞いている。
御后様とすんなり言った言葉にも要因がありそうだった。

若い商人が場を盛り上げ商品を広げ始めると、先に居た商人が肩を落として荷物を片付け始めるのが見える。 その商人に 「これを頂きます。 一つだけでごめんなさい」 と気になっていた簪を持ち上げると、ほっとした顔をされた。

「有り難いことで御座います。 御后様にお買い上げ頂いた事で私共も箔が付きます」 

恭しくお礼を言われ、たくさんの荷物を片付ける商人からひとつしか買わなかった夕鈴の方が恐縮してしまう。 おまけに幾らなのか聞くタイミングを逃してしまった為、李順さんに後で詳細を伝えなければと思った。 余り高い物でなければいいのだけどと、心の中で祈りながら夕鈴は手にした簪を見つめる。

蝶の模りの中に小さな花が3つ重なっている簪。
細かな彫金が控えめで、夕鈴はすっかり気に入った。
一つで悪いと御后に言われたが、 『正妃』 が買った簪はその年の流行になるだろう。
安堵の微笑みを残して商人は退室していった。


新たに入って来た商人は侍女にも商売している様子で、次から次へと商品の説明を行っている。 蝶貝や瑠璃を填め込んだ美しい簪や珍しい鳥羽根の髪飾り、大きな黒曜石の耳飾などを次から次へと出してくる。 夕鈴もつい珍しい綺麗な宝飾品に見惚れてしまうほどだ。

「御后様、どうぞ御手に取って御覧下さいませ。 このカラクリ箱はこちら側の蓋を開けると、こちら側がこのようになっておりまして・・・・・」
「へぇ~、本当に面白い箱ですわね。 ここを押して・・・・ 痛っ!」

侍女がその声に驚き夕鈴に注視した時、商人の目が変わり侍女の首に手刀を振り下ろした。
声を発することなく二人の侍女が場に倒れると、夕鈴の目が急に霞み出す。

「御后様、お命までは頂戴致しません。 主は其れを望んでおりませんので。 陛下にとって花は一つではないとお伝えしたいだけです。 貴女様を亡き者にしたら報復が恐ろしいと聞いておりますからね。 では、お暇致しましょう、失礼を致します」

さっさと荷物をまとめ出すと、商人は部屋より出て行った。
扉に手を伸ばしながら、夕鈴は侍女が横たわる床に崩れるように倒れ落ちる。









***







「・・・・捕らえた商人は口を割ったか?」
「はい陛下。 直ぐに高官2名を捕らえました。 内一人はその場で自害してます」
「全く馬鹿なことを! 薬師は毒の成分を調べ上げたのか? 急げ!」

近くで聞こえ出した声は・・・・ 狼陛下の声だ。 ここまで激昂した怒気は珍しいかも。 なんだか久し振りに聞くような気がする。 一体何があったの? 何だか頭が重い気がするし。 
・・・・あら、私いつの間に寝台に横になって?

夕鈴は掛け布から手を出して、おずおずと声を掛けた。

「・・・・陛下」

思ったよりも小さな声しか出なかったというのに、その声に部屋の空気が一瞬固まったかのような静寂が満ちた。 振り返った陛下の手が真っ直ぐ頬へと伸びてきて、その冷たい手の感触に驚いてしまう。

「夕鈴! 大丈夫か?」
「は・・・い。 頭がぼぅっとするけど・・・・ 大丈夫だと思います」

そう伝えると寝台から身体が持ち上がり、陛下に強く抱き締められた。 突然何が起きたのかと慌てることしか出来ない。 痛いほどの抱擁の中、霞が掛かった頭で倒れる前のことがぼんやり思い出され、商人の顔が浮かんだ時、夕鈴は一気に焦り出した。

「陛下っ! 侍女さんは無事ですか!? あ、あの商人は・・・・!」
「侍女は大丈夫だ。 それより、吐き気は無いか? 痛いところは? 目が回るとか? 何か変なところは無いか? 本当に大丈夫なのか、夕鈴!」

心配顔の陛下が顔を近づけて一気に問い詰める。
狼陛下の怒気は収まっていないようで、その強い口調に夕鈴は蒼褪めてしまう。

「・・・だ、大丈夫です。 何処も痛くありませんし、目も回っていません。 確か、ちくっと指に痛みがあったのは覚えていますが、その後眠くなって。 でも何処も何ともないですし、あの人は私に何をしたかったのでしょうか?」

眼鏡を上げて李順も小首を傾げる。

「命を狙う訳ではないし、てっきり此の侭衰弱するまで眠り続けるのかと思いました。 解毒剤を餌に陛下に妃を娶るように勧めているようでしたが、お后様が目覚めたので刺客の言うことを聞く必要はなくなりましたね。 ・・・・・聞く予定もありませんがね」
「眠り続け・・・・・?」

陛下が夕鈴に上着を掛け自分の膝に抱き直した。 そのまま夕鈴の指を持ち上げ、傷を確認しながら現状判っていることを説明してくれた。

「商人に扮した刺客は浩大が直ぐに捕縛した。 ちょっと締め上げたら依頼した高官の名前を正直に白状して、夕鈴に何をしたのか喋り出したんだ。 解毒剤が無いと永遠に眠り続ける薬品が塗布された鍼を刺したと言っていた。 直ぐに命には別状ないが、目を覚ますことなく 次第に体力が削られていき、やがて衰弱して・・・・・ と言っていた。 急ぎ毒の成分を調べていたんだが、・・・・良かった!」

もう一度夕鈴を抱き締める陛下の腕に細かな震えを感じ、夕鈴も陛下の背に腕を回して抱き締めた。 永遠に眠り続けるなんて・・・。 この温かさを感じることが出来なくなるなんて・・・。 刺客の行動は失敗したという事なの? 鍼が浅かったの? 不安要素は残っている事に心から安堵出来ず、陛下の背に回した夕鈴の手に力が入る。

夕鈴の頭に唇を落とし、陛下は傍に控える李順に伝える。

「今日のところは無事だったが、今後は商人の出入りを一層厳しく詳細を把握しろ。 警護の者を配し、立会い者を三人以上付けるようにしろ。 いいな」
「は、陛下。 承りました」

気が付いた時に陛下と李順さんの声が聞こえた。 ・・・・高官の一人が自害と。
袖を口元に当てて細かく震える夕鈴に気付いた陛下は、もう一度夕鈴の身体を抱き締める。

「今日は後遺症が心配だから、そのまま身体を休ませていて欲しい。 いいな。 それと、この簪は奴から? それとも他の商人から買ったのかな・・・・」

夕鈴が握りしめたままでいた簪を陛下が取り上げる。

「あ、他の方からです。 凄く綺麗で、それでいて可愛らしいなと思ったものですから。 お幾らなのか聞くのを忘れてしまったので、もしかしたら高いかも・・・・」

肩を竦めて上目遣いで李順を見ると、陛下から簪を受け取り、じっと見分し始めた。 以前に刺客の商人に贈られた簪が余りにも安いと訝しみ、救われたことがあるので李順のお眼鏡に適えば良いのだが。

「・・・これは問題なく良い品ですね。 御后が御付けになっていても遜色有りません。 この品を持って来た商人は良い物を扱っているようです。 今回は値段は気にしないで下さい。 珠には良いでしょう。 但し珠にはですよ! いつもでは有りませんからね」
「は、はい! 有難う御座います! 嬉しいですっ! 陛下、有難う御座います!」

余程嬉しかったのだろうか、簪を李順から受け取ると頬を染めて嬉しさを笑顔で現している。
普通の貴族の娘なら、値段を気にすることなく品物を買い占めることすらあるのに、簪一つでこんなに喜べる夕鈴の可愛いこと! 
思わず、夕鈴の頭に口付けていると、急に頭が傾いた。


カッシャーン・・・


夕鈴が手に持っていた筈の簪が床上に落ち、だらりと脱力した腕が揺れているのが見えた。




「夕鈴っ!?」




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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

もしもシリーズ | 00:48:47 | トラックバック(0) | コメント(0)
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