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眠り姫  3
眠り姫・・・ただ夕鈴が寝ているだけなんですが、周囲はまあ大変な事に。
ちょっと痛いシーンがありますが、御了承下さい。こちらの陛下はドSなんです。あ、李順もですね。

総会・・・日曜日なのに・・・休みなのにー! 私の休日を返せ!!
今度職場のスタッフで女子会をして鬱憤を晴らそうという話が出てます。
ちくしょー!呑んでやる!!
 


では、どうぞ















「・・・コ、コマクサを元に・・・・ アセビの葉を・・・・」

鞘で刺客の顎を持ち上げると、口元から紅い泡が流れた。 昏く紅い眼で見下ろしながら続きを促す。 刑吏が後ろに回した刺客の腕を持ち上げると息を吸い込むような呼吸音が聞こえる。 脂汗が顔中を覆い、今や土気色と成り果てた刺客から細い息が漏れる。

「其れはどの様に抽出したのか。 他に使われた野草の名前は?」

刺客の背中に回された腕と髪の毛を掴み顔を無理やりに上げさせると、筆記用具を持ち耳を澄ませて答えを待つ薬師たちの前で、医官が口元に何かを流し込む。 口に入りきらなかった液体が、血の色に染まりながら口角を伝い滴り落ちていく。

「かっ、かはっ・・・・ アオヤギソウの根と、コカを・・・・」
「コカとは太古の昔に生贄を神へ捧げる時に使われたという、あれか?」

ざわめき立つ薬師たちは眉根を下げ、陛下を見上げる。

「・・・曼荼羅華の種子・・・ ジギタリス・・・・」
「ジギタリスは猛毒ではないか! 御后様の容態をもう一度精査しろ!」

王宮侍医が医官たちへ怒鳴るように指示をする。 すぐに頷き、医官たちが後宮へ向かう。
李順が共に走り出し、後宮警護兵へ医官を通すように指示を出した。
陛下は表情を凍らせたまま刺客を見下ろす。 薬師が飲み込ませた自白剤により焦点が合わず、半開きの口から血の混ざる涎を垂れ流しながら身体を横たえた刺客。 もとは女性受けする整った顔立ちが、今や見る影も無い。

陛下は冷淡な表情で、横たわる刺客へ問い質す。

「解毒は出来るのか?」
「・・・で、出来るのか? ・・・わ、解からない、いや、解毒の・・・・」
「私に妃を娶るよう勧めていたのではないか? その為に解毒剤を餌にしていたのだろう。 解からないとは、如何言うことだ? ・・・・ん?」

鞘から出した刀はするりと刺客の腕に吸い込まれていく。

「ぐがっ! ・・・解毒剤・・・ ある・・・ はず・・・」
「何処に? 早く渡さぬと腕が使いものにならなくなるぞ」

刺した刀をぐりっと回す。 後ろ手に回されている腕から鮮血が流れ、刺客は痙攣のような震えを全身に走らせる。 刀をゆっくりと抜くと陛下は溜息を吐く。

「腕では答えぬか。 ・・・・私の問いに答えぬのなら此れは要らないな」

刀を振ると刺客の顔が瞬時に真赤に染まる。 飛ばされた刺客の耳が彼の目の前に落ちた。

「~~~っ! ひぎぃ・・・ ひぃ・・・ あ、雇い主の下へ渡した! 渡しぃ・・・・」
「その者の名は?」
「と、囚われたと聞きました。 く、く、黒い壜を渡しております・・・・」

鋭い痛みが自白剤で朦朧としていた頭を はっきりさせたようだ。 目の前の人物から醸し出される昏く冷酷な雰囲気に背が軋むほど反り返る。 陛下は血で染まる刀を目の前に据え、再度問い質した。

「もう一度問うぞ。 解毒は出来るのか?」
「・・ぁひぃ、出来る筈で、す。 多種多様の薬草を混ぜ合わせたので、相乗効果が有るやも知れません・・・・・。 いえ、解毒出来るはずで御座います!」

答えている最中、目の前の刀がじりっと近付いたのを捕らえて必死に大声で答える。
刺客の体中から再び脂汗が滲み出し、ガタガタと大きく震え出した。
傍らの密偵へ陛下が視線を投げ掛けると、黙って頷き直ぐに部屋から出て行った。
李順が戻り、すぐに部屋の中の惨状を知り陛下を見る。 怜悧な表情は何も語らず、ただ血に染まる刺客を見下ろしていた。 李順が息を吐き、 「陛下っ!」 と大きな声を掛ける。 ゆっくりと振り返り、紅い目で側近である李順を見る。

「・・・・・ああ、李順。 夕鈴は如何だ?」


李順が漸く陛下に近付き、拾った刀の鞘を差し出す。
刀を持つ陛下が無表情の時に容易に近付くと無意識に刃の餌食になることを熟知している李順は、陛下が鞘に刀を仕舞う様子にやっと安堵して妃の様子を話し出した。

「夕鈴殿、いえお后様は未だ御眠りになっております。 ただ薬師と医官が言うには普段より陛下がお后様に少しずつ解毒剤を飲ませていらっしゃったので、そのために毒の効きが遅かったのではないかという見解です。 その効きが今後どの様に現われるか不明ですが」

李順からのその言葉に陛下は細く息を吐き 呟いた。

「・・・・万が一に備えて飲ませていたのが功を相したか・・・・」
「はい。 ジギタリスなどの猛毒はかなり薄めて使用されていたと、鍼から調べがついております。 混合された毒草がどの様な効果を齎すか調べ始めております。 もう暫らくお時間を頂きますが、お后様のお命に別状は今のところありません」

刺客を見下ろしていた陛下が、李順を振り返る。

「・・・今のところは?」
「ええ。 どんなに早く毒素を調べたとしても、解毒剤を作るまでには最低5,6日は必要とのことです。 その間に目が覚めれば良いのですが、お后様の体力の低下が心配と」
「奴が解毒剤の在り処を吐いた。 捕らえた高官が持っているそうだ。 今調べに行かせている。 ・・・・あとは、夕鈴の体力次第か・・・・・」

李順が解毒剤の在り処がわかったと聞き、刺客を見下ろした。 上半身を自身の血で染めながら刺客は痙攣し、失血により寒気がしているのか紫色となった唇が細かく震え、浅い呼吸となりだした。

虫の息となった刺客を振り返りもせず、陛下は部屋から出て行った。 
夕鈴の元へ向かったのだろう。
李順は浅はかな行動をとった刺客を見下ろして足で小突いた。 その刺激に浅い息を吐く刺客が焦点の合わない視線を向けた。 刺客から視線を反らした李順が呟くように語る。

「お前が行なった行為は意味の無いものとなるでしょう。 雇い主もお前と共に、この王宮の片隅で誰に知られること無く骸と成り果てるだけです。 お后様は陛下と共に歩み続けますよ。 ・・・それが国王陛下の願いならば」

刺客から返事はなく、李順もその返答を望んではいなかった。 
刑吏に後の始末を頼むと、李順も部屋から離れて行った。








***







「・・・・んんっ」

温かい・・・・。  そして動けない。
体中が軋むように痛むのを感じながら、夕鈴が瞼を開くと目の前に陛下の顔がある。
整った顔を間近で見た夕鈴は柔らかく微笑んでから 瞼をゆっくり閉じた。

ああ、いい夢だわ・・・・・。

夕鈴がまどろみ出すと背と腰を強く抱き締められた。 息が詰まるほどの強さに驚いて目を瞠った夕鈴に、陛下が覆い被さり噛み付くような口付けをする。 急に口を塞がれ、驚きと共に息が止まりそうだと夕鈴は呻くが陛下には届かない。

「ん、んぐっ! ・・・んんんっ?!!」

口付けたまま夕鈴の背に回していた手が腰へ、腰を掴んでいた手が更に下へ降りて来て、慌てた兎は痛む身を捩って逃げようとした。 陛下の胸を叩きながら、必死に身を翻す。 その様子を感じた陛下がようやく手を解き放ち、夕鈴は喘ぎながら睨み付けた。

「はぁ、はぁ・・・。 い、息が出来ません! な、何を・・・!」
「夕鈴っ!!」

口元を拭いながら声を出すと、また強く抱き締められた。 
今度は足まで絡ませ、全身で全身を絡め取るように強く抱き締めて来る。 余りの強さに、夕鈴はこのまま死んじゃうかも・・・・と、本気で思うほどだった。

抱き締めた夕鈴の身体から急に力が抜けたのを感じ、慌てて力を抜くとそこには意識喪失寸前の后の姿。 陛下は慌てて腕を放し、寝台に腰掛けた。

「ご、ごめんね! 夕鈴が目覚めたのが本当に嬉しくて・・・ 痛かった?」
「・・・・痛かった・・・ですが、目覚めてって? ・・・・・・あ」

くらくらする頭を押さえながら、夕鈴は漸く思い出した。

「そうだ・・・・私。 あ、また眠っていたんですね。 もしかして長く・・・?」

蒼褪めた夕鈴の頭を撫でた陛下は、立ち上がると自らお茶を淹れ始めた。 
陛下から差し出された少し温めのお茶をゆっくりと飲み込むと、全身から軋むような痛みが軽くなった気がしたが、目覚めたばかりで気になることは沢山ある。 
困惑の瞳で傍らの陛下を見上げると、柔らかく微笑みながら説明してくれた。

「ちょっと解毒剤を作るのに時間が掛かってね。 刺客が持っていた解毒剤の成分を調べるのに手間取って、薬師が苦労していたよ。 新たに調べて作るよりは早く薬が出来たようだけど・・・・ 長かった」
「そうですか、すいません。 皆さんに迷惑を掛けて申し訳が無いです・・・」

そこまで言うと急に手を掴まれた。 掴まれた手がひどく痛み、顔が歪む。 そのまま陛下の胸に囚われると、耳元に熱い怒りと冷たい言葉が投げ掛けられた。
 
「何故君が謝るのか? 君が何をしたというのか? 迷惑を被ったのは夕鈴だ! 命を狙われたのだ! 迷惑を掛けたなんて、謝る必要など無い!」

目覚めた時よりも強く抱き締められ、その力にどれだけ陛下が怒っているのかが解かる。
余りの力強さに また息が止まりそうだと感じた。
そして不用意な自分の言葉が陛下を怒らせて、更に悲しませてしまったと知り、涙が出そうになる。 自分がどれだけ心配をさせたのかを知りもしないで、簡単に紡いだ言葉が陛下を苦しませていると。

胸に抱いた夕鈴が身体を縮み込ませて固まったのを知り、陛下は急ぎ腕から力を抜く。

「ご、ごめんっ、夕鈴! 痛かった? つい、力を入れちゃって・・・・」
「いいえ・・・。 陛下、ごめんなさい。 心配を掛けたのに謝ってしまって」

涙を堪えていると頭痛がしてきた。 眉を顰めて額を押さえると陛下が夕鈴を寝台に横になるよう促す。 少し蒼褪めて見える陛下の顔に、夕鈴はどれだけ心配掛け続けるのかと辛くなる。

「また眠い? 正直よく効用が解からない薬草があってその上掛け合わせているから、副作用もどんな風に出るのか不明なんだ。 吐き気とかしない? 痛みは無い? 熱は・・・・あるような・・・」

急に顔を近づけて額を合わせる陛下に、夕鈴は真っ赤になってしまう。
そんな事されたら熱だって出ちゃうわよ! と頭痛を我慢しながら陛下を押し退ける。

「痛いのは頭だけです。 熱はないですから! ・・・きっと寝過ぎたんですよ。 えっと、どの位寝ていたんですか、私。 解毒剤って・・・飲んだ記憶が無いんですが」
「寝ていたのは三日間位かな? 薬師と医官が僕が怖いと、頑張ってくれてね。 解毒剤は夫の僕が責任を持って飲ませたよ。 あ、再現しようか?」

そう言うと卓の茶を口に含み、横にさせた夕鈴の首を持ち上げて口付けた。

「んむっ!? ・・・・っくん」
「こんな風にね。 苦い薬だったけど、僕頑張って何度も飲ませたよ。 上手に飲ませられてすごいですねって、侍医も褒めてくれたんだ! あ、夕鈴の身体は僕が毎日丁寧に全身拭いたからね。 あと唇が乾くと痛いだろうから、毎日香油を付けたからね。 これは口付けてゆっくりと浸透するように。 どのくらい寝続けるか判らないから、四肢の関節も毎日動かしたよ。 兎に角、僕 毎日夕鈴の体のお世話をしたんだ。 侍女にも医官にも触らせなかったからね。 えらい?」

口移しでお茶を飲ませれた夕鈴は、薬もこんな風に飲ませれたと知った。
尚且つ 侍医や医官らが見守る中で・・・・ 何度も・・・? そして更に・・・・・・・。
頭が酷く痛む気がしてきた。 尻尾を盛大に振る陛下が満面の笑みで私を見ている。
こめかみを押さえると陛下が身を乗り出すように顔を覗きこむ。

「大丈夫? これも副作用かな? 顔が真赤だよ!」

ぱくぱく口を動かした後、夕鈴は何も言わずに閉口した。
眠り続ける私に解毒剤を服用させるには口移ししかないのだから。 それに夫婦なら口付けの一つや二つ、問題は無い。 他の人に見られていたとしても、その時の私は覚えていないのだから問題はない。 ・・・・そう、仕方ないことでしょう!

ただ、陛下の説明がすごっく、すごっく恥ずかしいのよ!!
な、なんで 『再現』 なんかするのよ!! 舌を絡めてまで・・・!
『全身のお世話』 って寝ている間に陛下はナニをしたの? 何処まで触れたの?

想像する夕鈴は寝台の上で身悶えしながら掛け布を全身に纏い潜り込んでいった。





君を正妃にしたのは私だ。 君を傷つける者を許すはずもない。
一時でも私から彼女を引き剥がそうと考えるだけでも万死に値するという事を知るといい。
狼陛下の報復は血と叫びを伴うことを理解出来る奴ばかりであると願うだけだ。
己が可愛いなら、身の丈にあった願いを持てと。

掛け布の中で恥ずかしさに悶える兎を眺めながら、昏い笑みを浮かべていた。







一度の口付けで起きないなら、起きるまで口付けを・・・・。





FIN



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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

もしもシリーズ | 18:18:35 | トラックバック(0) | コメント(0)
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