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溺れるものはナニを掴む  7
溺れるものは・・・下町編終了です。
幻想民族様からのリクエストで「青慎くん」のおまけが追記されています。
姉弟という事でBLACK青慎はあおの想像では無理でした。 またの機会に妄想してみます。
幻想民族様のご希望に添って長編となり「7」まで伸ばして見ました。
結構プレッシャーですね(笑) ドキドキですわ。


では、どうぞ














扉が閉まり、二人きりになった途端に夕鈴は陛下を見る。

「もう降ろして下さい。 今、此処では上司と掃除婦なんですよ! 抱き上げる必要はありませんし、それに、か、可愛いとか几鍔に言って如何するんですか! 恥ずかしいからやめて下さいって以前にも言いましたよね? 第一お迎えだって必要ないですから。 ちゃんと戻りますからっ! わたし・・・・」

陛下はゆっくりと夕鈴を降ろすと、もう一度首筋に手を伸ばす。 髪を掻き上げそのまま後頭部に手を添える。 紅い筋が数本、早くも瘡蓋になりかけていた。 
「い、痛くはないですよ」 と聞かれもしない内から牽制するように夕鈴が話し出したことに、陛下は困った顔で笑い出してしまう。 陛下のその柔らかい笑いに夕鈴が少し力を抜いた時、覆い被さるように陛下の熱が迫って来た。 

さらさらの黒髪が肩に舞ったと夕鈴が思った瞬間、首筋に・・・・。

「・・・・ぇ」

首筋に熱さを感じたと理解した瞬間、耳元に低い声が響く。

「僕以外に触られていたから消毒」
「な、なん、な・・・・」

真赤な顔で震え始めた夕鈴が急いで離れるも、陛下は顔を近づけて 「どうしたの?」 と聞いてきた。 その顔を見て更に自分の顔が赤くなっていると自覚しながら夕鈴は背を向けた。
された行為に腰が砕けそうなるがどうにか耐える。 
悔しいが、口の中で 「・・・・・女たらし」 と呟くしか出来ない。

気持ちを切り替えて、袖を捲くり台所を黙々と片付け始めるしかない。 その背を苦笑しながら見ていた陛下が、卓上の布袋に気付いた。 まあるい形状の布袋は昨日は無かったはずと記憶を辿ってみる。 (チェックしてたのね、陛下)

「夕鈴、この布袋は何?」
「え? ああ、几鍔が先程 『侘びだ』 と持って来たんです。 折角だからと受け取った宝珠なんです。 とっても綺麗なんですよ。 どうぞ、見て下さい」

陛下がその布袋の口を開けると、淡い輝きの宝珠が出て来た。 水晶のような輝きの中、虹のような不思議な輝きを放っている。 手に持つとずしっとした重さが伝わる。 
宝珠は古来より 「意のままに願いを叶える宝」 として重宝されているもので、この透明度と大きさを見るとかなり高価な品とみられた。 これを几鍔が夕鈴に・・・・?

「ふぅん・・・・」

その陛下の呟きは台所片付け中の夕鈴には届かなかったが、背後からの視線を感じて振り返ると昏い笑みの陛下が座っていた。 首を傾げながら夕鈴が 「どうかしましたか?」 と問うと、黙ったまま首を振られた。 片付けが終わり、手を拭いながら夕鈴は陛下にお願いした。

「あの、陛下。 青慎が戻って来たら王宮に戻りますので、陛下は先にお帰り下さい。 正直、李順さんが・・・恐ろしいので・・・」
「ああ・・・。 それはそうか。 君にまで被害があると大変だよね。 解かった。 では、妻である君の帰りを寂しく待つとしようか」

狼陛下の台詞に真っ赤になりながら 「・・・そうして下さい」 と俯いた。 陛下が立ち上がり夕鈴の顎を捉えると、困ったような小犬の顔を向けてくる。 切り替えが早いなとただ驚くばかりだ。


「夕鈴、几鍔君から貰った宝珠、実家に置いておけないかな?」
「へ? どうしてでしょうか? ・・・・見つかったら大変ですか? やっぱり凄く高価な品なんですね! 李順さんに知れたら借金返済の形にされちゃう??」

違う方向へ想像を働かせる夕鈴に 「いや君の私物に関しては李順には何も言わせないよ」 と落ち着かせるが、やっぱり解かって貰えないかなと笑うしかない。

「他の男に貰った品を君がいつも眺めているのだと思うと、夫である私が焼きもちを妬くとは想像出来ないのかな。 ・・・・ん?」
「妬くって、そんなの演技じゃないですか。 ・・・・解かりましたよ。 これは仰るとおりに実家に置いておきます。 青慎に預けて、万が一の時には売るように話して置きます。 ・・・・下手に家に置いておくと父が売っちゃうかも知れませんから後宮に持って行きたかったのですが。 それで宜しいですか?」

嬉しそうに尻尾を振る陛下は、それでも 「ごめんね、夕鈴」 と眉を下げて謝っている。
まあ、売っちゃったら几鍔君可哀想だろうな~と少し思いながら。
それでも自分の言う通りに夕鈴が素直に几鍔からの贈り物を置いて来るということに安堵している自分。 まだ全てを正直に伝える事は出来ないけれど、我が侭を許してくれる夕鈴にいつか全てを話したい。

全てを解かって貰いたい。

そして・・・・。















・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・










青慎が帰宅すると、追加の膳を用意するからねと早めだが夕餉の用意を始めた姉が上機嫌に動き回っていた。 支度を終えたら王宮に戻り、また掃除婦のバイトに勤しむと知り、青慎は感謝と申し訳なさでいっぱいになる。

「いつも姉さんばかりに世話を掛けてごめんね」
「青慎っ! あんたは心配しないで今は勉強を頑張ればいいのよ! 大丈夫よ。 姉さんの職場は親切な人ばかりだから、心配なんか全く要らないのよ」

・・・・実家にまで顔を出す上司は親切と言えるのか微妙だが・・・・・

姉の言葉に頷くしかない青慎は、寂しそうに卓上の水差しから茶碗に水を注ぎ飲み込んだ。
が、すぐに水じゃないと気付き吐き出すも 少しは飲み込んでしまったようだ。
夕鈴が驚いて 「青慎!」 と背を擦る。 膝から崩れる弟に慌てて支えるも、バランスを崩して共に倒れ込んでしまった。 床に座り込んだ青慎は苦しそうに咽込んでいる。

「ど、どうしたの? 青慎っ! 大丈夫? 顔が・・・・」
「ぐっ! げほっ、姉さん、み、水差しの・・・・ごほっ! 中身・・・」
「えっ?」

背を擦っていた夕鈴が急ぎ卓上の水差しの中身を確認すると、甘い酒の香りがした。

「こ、これお酒じゃない!」

何故と思うよりも早く父さんの仕業だと解かった。 あの馬鹿親父め!!
几鍔も碌なモノを持ってこないなと腹を立てるがそれどころじゃない。 度数の高い酒を飲んでしまった青慎の体調の方が心配になった。 真っ赤な顔になり動悸がするのか襟を掴む弟の様子に怯えるほどだ。 水を差し出し飲ませるが咽こんでしまい、更に赤い顔になる青慎をどうにか椅子に座らせるが、ぐったりと力が抜けてしまった様子に夕鈴は蒼白になる。
濡れた布を持ち額に乗せると、うっすらと青慎の瞳が開く。

「ねえさ・・・・ 眼が廻る・・・。 地震?」
「馬鹿父さんが水差しにお酒を入れていたみたいなの。 ねえ、大丈夫?」
「身体が、ほてって・・・ あちゅい・・・・」

如何すればいいのか軽いパニックになった夕鈴はただ青慎を抱き締めていた。 
飲んだ量は少しだろうが、初めて口にしたお酒にぐったりした弟をこの侭にはしておけない。 手で青慎の頬を仰ぎながら顔を見ていると、青慎の口元が歪み出した。

「ふふ・・・・・・ ふふふふ・・・・っ」
「青慎・・・?」

夕鈴に体を傾けながら青慎が笑い出した。 腕が上がり夕鈴の首に巻きつく。
そのまま夕鈴の肩に顔を摺り寄せて、身体を小刻みに震わせて笑い続ける弟。

「ねえさん、にゃんか、可笑しい・・・・。 ふふふっ、くふふふぅ・・・」
「・・・・・・・・・」

笑い出した弟を見て心配とは違う意味で蒼褪める。

もしかして私もこんな風に几鍔に絡んだの? 私、お酒飲んだらこうなるの?
イヤッ! 嘘よ! 絶対に違うと、誰か言って~~~~~!!

「あはははっ、はっ、はっ、く、苦しい・・・。 ふっふふふ・・・」

酩酊状態の弟は眠りに付くまで笑い続けていた。







FIN



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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 01:03:45 | トラックバック(0) | コメント(2)
コメント
下町編とても楽しく読ませて頂きました几鍔…報われませんねぇ~せめて宝珠が売られないことを祈るばかりです

下町編が今後シリーズになると嬉しいですね!シリーズばかりが増えると大変だと思いますがシリーズ化を希望します
2012-04-27 金 10:35:56 | URL | ともぞう [編集]
有難うございます!
宝珠売られないといいですね(笑)本当に。コメント、有難うございます。シリーズ化は時間がある時に頑張りますね。本誌での下町編で新しい情報を得てから、妄想を膨らませます。ははははは。
次の作品も楽しんで頂けるように頑張ります!
2012-04-27 金 13:44:48 | URL | あお [編集]
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