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新緑の闇  1

早くも5月ですね。 桜もすっかり葉桜となり、濃い色合いに染まり出しております。
今はハナミズキが見頃ですね。 木蓮も好きなので、つい足を止めて魅入ってしまいます。

さあ、通常営業の再開です(笑) 今回はバイト妃夕鈴のお話しとなります。
正直まだ、とっかかりでして、此の先どの人物がどのように動いてくれるか、あお自身も思案中です。 本当に先が読めず、自分でもまだ思案中のため、のんびりとお楽しみ頂けたら幸いです。
・・・・と言いつつも、連日更新しちゃって眼精疲労でのた打ち回るかも・・・。
きっと、視力下がっているだろうな・・・・。 健康診断が恐いわ~~~~~!!


では、どうぞ













「私が、ですか?」
「・・・・仕方ないんです、夕鈴殿」

卓に肘を乗せ面白くないと明らかに不機嫌な表情で眉間に皺を寄せる陛下。。
李順が陛下にも、「仕方が無いんです」 をもう一度繰り返す。 溜息を付くと陛下は私を見て困った顔で 「仕方が無いそうだ、夕鈴」 と私を見る。 それも仕事なら仕方が無い。

「解かりました。 いいですよ、行きますよ」

二人は 私の返事にがっかりと肩を落とす。
むっとして思わず「 行かない方がいいなら・・・・」 と言うと困った顔の二人は互いの顔を見合わせて 「・・・・仕方が無いんだ」 と自分に言い聞かせるように繰り返す。











・・・・・・ ・・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・ ・・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・











「この養護施設へ周年行事の祝いを届けに行けば良いのですよね。 そしてお祝いの言葉を 『妃』 らしく述べて、あとは微笑んでいれば良いのですよね?」

単純には夕鈴の言う通りだ。

白陽国には幾つもの孤児の養護施設がある。 
今回、夕鈴が訪れる予定の養護施設はかなり昔の正妃が慈善事業の一環で建てた施設にて、周年行事の際は必ず正妃が訪れて祝いの言葉を述べていた。 
今年、その周年行事が行なわれると招待状が届いたが、現在国王に正妃はいない。
欠席の返事を送ると、王宮から妃が誰も出席しないのは不興を買ったのかと恐れ戦いている内容の文が届いた。 そんな事ではなく正妃がいないからとだと返答の文を出すと、施設側としては王宮から誰も出ないのは長い歴史の中で初めてであり有り得ない! と再度返答の文が返って来た。 その内養護施設管轄の大臣が担ぎ出され、恭しくも強固な態度で妃出席を推し進めて来たのだ。

「お一人といえど、妃がいらっしゃる以上は歴代王宮妃の慈善事業である、養護施設周年行事には出て頂きます!  現国王陛下の時代に誰一人も出席無しとは有り得ません!」

普段より真面目な性格が周知の大臣より、涙ぐまれながら説教のように勧められ・・・・。 
長時間に渡った老獪な大臣からの説教に仕方なく 『是』 と言うしかなったと、李順が溜息混じりに呟くように言った。

「何か裏があるようにも思うのですが、実際大臣の言うとおり周年行事には例年、妃が出席されておりましたし、言っている内容には問題ありません。 5年毎ということで私も失念しておりました。 今まで出席するつもりが無かった為、裏を調べる時間も、警備を配する時間も余りありません・・・・。 多少危険が伴いますが・・・・ 」

その言葉を聞き、夕鈴はごくんと唾を飲み込んだ。
ただ出席するだけでは済まない事態に緊張が走る。 妃が一人で式典に出席する事に良からぬことを画策する人物は多いだろう。 未だ妃推挙は後を絶たないし、妃を狙う者にとっては好機となるのだろう。

「えっと、それでも公式な催し物なのですよね。 妃の出席が必要なんですよね? それなら私を 『囮』 として利用して下さい。 そのまま無事に式典出席が出来れば、それで良いですし、もし狙われたら・・・・。 その時はちゃんと陛下の敵を減らして下さい。 前にも、そう言いましたよね! 大丈夫ですよ、陛下」

自分の仕事を理解していると、夕鈴は陛下に参加を申し出る。
 
「やっぱり駄目だ。 何かあってからでは危険だ。 欠席すると再度申し伝えよ!」

陛下が強い口調で李順に命ずるも、首を横に振られてしまう。

「・・・・もう遅いですよ、陛下。 明日の昼前には出立しないと間に合いませんから。 衣装などは此方で用意しますし、護衛もつけます。 極力何事も無いように少数精鋭で移動しますが、念のため浩大も付けておきましょう。 御付の者として其れなりの衣装で・・・・」
「あ、僕が一緒に付いて行こうか! それなら安心だよね、夕鈴!」

小犬陛下が夕鈴の手を掴むと、大きな咳払いが陛下を包み込む。 勿論、李順だ。

「貴方は隣国からの使者と、大事なお話し合いが御座いますよね。 放り出して付いて行くなんて仰いませんよね~、陛下。 大事な御仕事ですよ~」
「そうですよ、陛下、大丈夫です。 挨拶だけしたら急いで戻ってきますし。 陛下はこちらで御仕事頑張って下さいね!! 本当に大丈夫です」

夕鈴はにっこり笑いながら、陛下に 「お仕事が第一ですし」 と釘を刺すのを忘れない。
しかし彼女の頭上に 『危険手当』 の文字が浮いているのを、陛下は切ない視線で見つめていた。










・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・











駕籠に乗る夕鈴は、いつもより豪華で重い衣装に苦労しながら笑みを湛えつつ出立した。
付き従う兵は少なく下っ端妃としては致し方がない。 それでも駕籠の後ろで馬上に乗るは陛下より指示された柳方淵。 眉間に皺を寄せながら黙って駕籠の後を警護していた。 本来なら警護兵だけなのだが、気さくに話せる者が居た方がと配されたのだ。 その更に後から浩大が警護している。

『なんで、なんで方淵殿が付いてくるのよ!! 浩大だけでいいじゃない!』

そう思うが、他にも養護施設での現状把握や管理官との話し合いがあり、補佐官としての方淵が付き従うことになったので文句も言えない。 方淵としても同じだろう。 陛下管轄の施設であり国庫予算を支出している以上、監査を兼ねて妃に付き添うよう命じられていたのだから。

午後遅く、西の空が茜色に染まり出す頃、漸く養護院に到着すると恭しくも管理官他職員が総出で出迎えてくれた。 その顔は恭しくも戸惑いの表情だ。
夕鈴は最もだろうと思っていた。

周年行事には今まで正妃が訪れ、駕籠も数台に及んだと聞いている。 それが侍女を乗せた駕籠を入れても二台のみで、付き従う侍従は方淵の他、警護の者が数人のみ。 李順を入れても総勢10人ほどだ。 質素倹約にも程があるだろうと思われても仕方がない。

夕鈴は控えに用意された部屋で、さっそく着替えに入る。
侍女が用意された衣装を手早くも丁寧に着せてくれて、いつもより豪華な宝石で夕鈴を飾り付け始めた。 冬に訪れた温泉がある離宮での装い程ではないが、その総額を考えると夕鈴は緊張してしまう。 いつもより時間を掛けての化粧も施される。

「そ、そんなにしなくても・・・」 夕鈴が控えめに・・・・ と侍女へ伝えるも 「此れでもしたり無いくらいですわ!!」 と、結局はいつも以上に香油を塗られた。

扉が叩かれ、振り返ると拱手した李順が入って来た。 陛下側近の姿に侍女が拱手して部屋から静かに出て行くと、李順は夕鈴にそっと耳打ちをする。

「管轄外の大臣もいらっしゃいました。 ここでの騒動は無いと思われますが、気を引き締めて 『囮』 としても動けるように気を配って下さい。 もちろん、妃としての慎ましやかな態度を忘れずにですよ!」
「・・・はい。 頑張ります!」
「祝いの言葉はこちらです。 歴代の妃のものを参考にしておりますが、今回は子供達も場に出席するようです。 子供らの前で何かを仕出かすとは思いませんが、充分に気を引き締めて望むに越した事はありませんからね!」
「はい。 わかりました。 ただ、子供にも 『偽妃』 からの話を聞いて貰うのって、正直申し訳ないというか、騙しているようで・・・・。 いえ、騙しているのですが・・・・」

眉を寄せて李順を見るが、 「はっ」 と哂われてしまった。
そんな些細なことより仕事が優先ですと目で訴えられてしまい、借金が頭に浮かんだ。
それより式典でボロを出すなと、強く念を押されてしまう。

「お妃様、宜しいでしょうか・・・」

係りの者だろうか、その声に李順は更に小さな声で 「お勤めですよ」 と囁いた。
そうだ、これは私の仕事なのだ。 借金返済のための大事な仕事!
ゆっくりと椅子より立ち上がると、李順に伴われ会場である講堂へと足を進めて行った。








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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 01:25:34 | トラックバック(0) | コメント(0)
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