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新緑の闇  6
新緑の闇・・・続きです。
まずは通りすがり様、すいません。 勉強不足でした。すぐに献上品 → 下賜品と訂正させて頂きました。 有り難う御座います。 恥ずかしい限りで御座います!!!!!

そして、もう少し続きます。


では、どうぞ














「・・・・風が強く感じるね。 方淵殿、如何思う?」
「出口が近いのかもしれないが、安全かどうかは如何とも・・・」
「危ないでしょうか? 背後から刺客が追い付いた訳でもありませんし、出口に居るとも限りませんよね。 兎も角この地下水から出ないと風邪を召しますよ」

命よりも風邪の心配ですかと水月が苦笑するが、実際に見えない敵よりこの寒気を如何にかしないと凍えて動けないだろうと心配してしまう。 共に歩きながら強く吹き付け出した風に出口の近さが判った。
 
「お妃の言う事も一理だ。 水から出ないと上手く動けるかどうか心配だ。 まずは外に出て、身体を解さないとな・・・水月、調べろ」
「了解した。 先に出て、安全ならこの縄を曳くからね」

外も闇夜の為、出口が近くなっても闇の中だった。 おまけに水嵩は減ったものの、濡れた衣装に外からの風が纏わりつき、心底身体が冷える。 方淵も夕鈴も身体の震えを止める事は出来ずに居た。 先に足を進ませた水月の気配が洞窟から静かに消えて、夕鈴が思わず水が流れる音だけとなった洞窟内で、方淵の肩を強く握り締めた。

「・・・・・・・・」


方淵は背に掴まる妃に何か言おうとしたが、何を言えばこの妃は安堵するのか躊躇する。
すると、背にしがみ付く妃から場に合わない苦笑が聞こえてきた。


「こんな時に可笑しいのですが、大丈夫な気がして笑っちゃいます」
「・・・精神的に逼迫すると無理に安定を図ろうとして、異常な行動を取るらしいぞ。 まさにその笑いは典型的だな・・・」
「方淵殿らしい言葉ですね・・・心身悩乱ですか。 いえ、そうではなくて今にも外に陛下が居そうだなって思って。 他の方達が無事着いて、陛下がここに迎えに来て・・・」

方淵の肩に夕鈴の頭が傾き、首筋に熱い吐息が掛かる。
背に何かが這い登るような感触を方淵が感じた瞬間、妃の呟きが聞こえた。

「・・・・目が・・・・・ 廻る・・・・」
「なっ、お妃、大丈夫か? あと少しだから・・・・!」

________その時、縄が曳かれた。




縄を伝わって足を進めると、水の流れとは別の岩の裂け目に辿り着いた。 入り口同様、水の流れとは別の出口があり ほっとした。 しかし出口は狭く、待機していた水月に一度降ろした妃を渡す。 水月が縄を解き、ぐったりとした妃を驚いた顔で抱き締める。

「此処に来て眩暈がすると言い出した。 頭をぶつけている為か水の冷たさか、養護院で何か変な物を口にしているかの何れかだろう。 ・・・で?」
「周囲は今のところ問題はない。 それより濡れた衣装を変えたいが周囲に民家は見えないし、私の衣装も君の衣装も濡れている。 取り敢えず行ける所まで抱えるしか・・・」

方淵が岩の裂け目から身体を出し周囲を見回すと、そこへ暗器らしき物が飛んで来て近くの木に刺さる音が響いた。 その音に急ぎ身体を低くして、飛んで来た方向を見定める。
旧道で確認した刺客は二人だったはず。 二人ならばどんな相手でも腕には自信がある。 しかし、長く冷水に浸かっていた今の体力で立ち向かえるかが心配だった。 水月が何処まで役に立つのかも不安要素だ。

「方淵殿、私のことは捨て置いていいよ。 お妃様は何があっても護るから・・・・」

水月が身に纏っていた黒衣の外套を妃に覆い、周囲から見えないように枯葉で隠し始めた。
薄い水色の衣装は夜目に目立ち、自ら囮になるつもりだと方淵には見えた。 舌打ちすると 「余り腕に自信はないものでね」 と微笑んでいる。 それでも二人、帯刀していた刀を鞘から抜くとゆっくりと夕鈴から離れて構え出した。

「・・・・う、ん・・・」

水を吸った外套が重いのか、夕鈴が呻く声がした。 一度腰を屈めて水月が声を掛ける。

「お妃様・・・・ 申し訳ありませんが声を立てずに動かずに居て下さいませ。 暫らく騒がしくなるとは思いますが、ご安心を・・・・」

そう言うと直ぐに立ち上がり、方淵と共に場を離れていく空気が流れた。
外套の下でぼんやりと水月の声を聞いた夕鈴は何かあったのだろうと廻らない頭で考える。
少し動こうとしたら肩が酷く痛んだ。 言う通りにするしかないと声を潜めて動かずに居る事にしたが、『今、すごく迷惑を掛けているのかも・・・』 と頭に浮かんでくた。
地面からの冷えに耐えながら、震える身体を出来るだけ震わせないように気を付ける。 それ位しか出来ない自分が悔しくてならないが、眼が廻り如何にもならない身体にいつしか瞼が閉じていった。



闇雲に投げられたのか、暗器は一度だけだった。 しかし投げられた暗器に敵の存在は確実と判る。 静かに風の流れを読む。 相手の動きがわからないが、投げられた暗器には殺気が籠もっていたと思われた。 刀に添えた手に自然と力が入る。

遠くから馬の蹄が聞こえた気がする。
新たな刺客が来たのだろうと思い、肩から力を抜きゆっくりと刀を構えた。 水月が指を指し、それぞれが分かれて刺客に対峙するため離れて行った。 その時、茂みから黒衣の刺客が飛び出し、刀を振りかざした。 水月が  「行き成りですか?」 と刀で受ける。 方淵が水月に走り寄ろうとした時、風が鳴り暗器が飛んで来た。

「姿を見せろ! 養護院の輩か? 書簡はもう王宮に届いている! 諦めて縛につくか、姿を見せて堂々と戦え!」

怒声と共に茂みが揺れた。
方淵が刀を構えると、ゆらりと立ち上がった黒衣の刺客がくぐもった声を出し、そのまま場に倒れ込んだ。 何かの罠かと刀を構えたままで、にじり寄ると倒れた刺客の背に刀が刺さっているのが目に入った。

「柳方淵、夕鈴は何処だ!?」
「・・・っ! 陛下、よく此処が・・・・お妃はあちらに。 私は水月の加勢に行きます。 冷水で身体が冷えたのか怪我のせいか、意識が朦朧としています。 すぐに王宮へ!」

踵を返すと刀が打ち合う音がする方向へと方淵は走り去って行った。





闇の中、黒い外套に覆われ伏している夕鈴を見つけると衣装が濡れており、その身体は震えていた。 陛下は直ぐに濡れた衣装を脱がして、自分の外套を纏わせて抱き締めた。 全身が氷のように冷たい・・・。 怪我をしているとも言っていた。 一体旧道で何があったというのか。 夕鈴がこのような事態にあった原因に腹の底から熱い怒りが沸いてくる。 だが、今は震え続ける腕の中の夕鈴へ柔らかく声を掛ける。

「・・・夕鈴、聞こえる? 大丈夫かな、直ぐに王宮に戻るからね」
「ん、だい・・・じょう、ぶです。 私は・・・え・・・へい、か?」
「うん、僕だよ。 ・・・ごめんね、やはり行かせるべきではなかったね」

夕鈴の耳に響く声は掠れていて、とても悲しげだった。
夕鈴は抱き締められた熱に瞼を閉じながら陛下に囁くように呟いた。

「陛下の・・・敵を、すこしでも・・・」
「・・・・うん、解かっている。 大丈夫だよ、夕鈴・・・」

夕鈴の囁きを耳にした陛下は強く彼女を抱き締める。 こんな時にも僕の心配か・・・。 少しは怒ってもいいのに。 困った顔で夕鈴の額に唇を当てるが、冷たい感触に胸が痛む。



・・・・・陛下の耳に聞こえていた刀の音が消えた。 瞼を閉じて脱力している夕鈴を抱きかかえながら陛下が立ち上がると、息を荒くした二人が姿を現せて肩を大きく上下しながら陛下へと拱手した。

「刺客は倒しております。 養護院での横領は巧妙に隠されておりますが、もう少し調べ上げたら裏が取れる筈の数本の書簡を李順殿に預けてあります。 陛下、至急命令を!」
「・・・大丈夫だ。 李順が直ぐに動く手筈を整えているし、養護院にはもう手下を配している。 あとは逃げ惑う鼠を追い詰めるだけだ・・・」

闇の中でも紅い目がはっきりと敵を睨み付けているのが解かり、その雰囲気に背を震わせる。
陛下が夕鈴の唇が戦慄いているのに気付き、二人に指示を出す。

「すぐに私の手の者が来るから、奴らは木に縛り付けておけ。 ・・・ああ、縄がないか」
「! いえ、御座います。 縛り上げたら我らも王宮へと向かいますので陛下は先にお妃様を御連れ下さい。 目が廻ると仰っていたので至急診て貰って下さいませ。 我らは大丈夫です!」

水月が縄を持ち上げ早速縛り上げ出した。 表情を落とした陛下が刺客に近寄り、抱き上げた夕鈴の顔に外套を深く掛けると方淵の刀を取り、刺客の膝に怒気を孕み突き刺した。

「・・・ぐがぁっ!!」
「これで・・・動けまい。 もう片膝にも同じように。 ああ、もう一人居たな」
「陛下、後は此方で行ないましょう。 一刻も早く御戻りを・・・・」
「頼む・・・ お前達も濡れているから急ぎ邸へ戻るがいい。 今日の報告は明日で良いから」

夕鈴を抱き締めたまま騎乗した陛下はそのまま風を切るように駆け出した。 その姿を見送った二人はどちらともなく無言で腰を降ろした。 空が闇から薄闇へと変わりつつある。 明けが近いのだろう。

「・・・・疲れたよ。 方淵殿」
「軟弱な・・・・。 だが、そうだな・・・・確かに疲れた」

方淵はそう言うとその場に倒れるように寝転んだ。 夜露に濡れた草の匂いがする。
その草の匂いに妃の香油が消えていく気がした。



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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 19:53:29 | トラックバック(0) | コメント(12)
コメント
いろんな人がいますから、余り気にせず、自分の思うようにして良いと思いますよその為のブログなんだら
ちなみに私は方淵や水月達とのからみは好きですよ陛下×夕鈴の軸があるからこそ、楽しめます今後も楽しく読ませてもらいます
2012-05-04 金 23:09:53 | URL | ともぞう [編集]
初めまして、いつも楽しく読ませて頂いています。

読む方は、お話を作られた方の、タノシイ妄想?のおすそ分けをしてもらっているようなもの、

自分の好みのお話を見つけたら、それはウレシイことですが、そうでなければ読まなければいいのです

リクエストならまだしも、内容にケチをつけるなど、ルール違反ですよ

気にしないで、といっても無理なのでしょうが、ワタシを含め、楽しく読ませて頂いてる読者の方が、圧倒的に多いということを、心にとめておいてほしいのです❤
2012-05-04 金 23:45:48 | URL | kaede [編集]
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2012-05-05 土 00:19:52 | | [編集]
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2012-05-05 土 01:32:23 | | [編集]
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2012-05-05 土 01:51:49 | | [編集]
感涙!
そうそう、いろいろな人がいるからと思うことにしますわ。方淵好きなので絡みが多くなったことも事実ですので、仕方ないかなと。正直に報告された事をこの場に載せた私も大人げないなと深く反省です。
コメント本当に有難うございます。感涙です。
2012-05-05 土 13:33:55 | URL | あお [編集]
落涙!
初めまして!作品と違うことでのコメントをたくさん頂いてしまい恐縮しております。自己満足といえば聞こえはいいけど、気に入らない作品に当たった時の反面教師にさせて頂きます。としか、言いようがありません(笑)
拙い文章ばかりですが、今回コメントを頂いたことを嬉しく思います。本当に有難う御座います。
落涙です!
2012-05-05 土 13:37:39 | URL | あお [編集]
ですよね。
引きずるなとは無理な話で、やはり気に入られていないとのコメントは正直凹みます(とほほ・・・)でもそれを掲載してしまった自分にも凹んでしまって反省しています。楽しい場を自分で潰すなんてアホらしいと払拭することにします。皆様からのコメントに本当に感謝です。有難うございます。今はそれくらいしか繰り返し伝えることが出来ません。真白様、ありがとう!!
2012-05-05 土 13:44:13 | URL | あお [編集]
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2012-05-05 土 22:05:50 | | [編集]
ありがとうです
どうも有り難うとしか言葉がありません。本当に有り難う御座います。
逆に照れくさくなる程の褒め言葉に居た堪れなくなるほどです。のんびりと続きを書かせて頂きます。皆様のお気持ち、感謝です。sae様、ありがとう×100です。
2012-05-06 日 00:06:06 | URL | あお [編集]
嬉しいです!
却って皆様に多数のコメントを頂き、戸惑うほどです。お心遣いに感謝しております。彩様はじめ、多数の方々に暖かいコメントを頂き、果報者と正直「もじもじ」しております。嬉しすぎて、逆に悪いくらいです。そうです。小心者なんです。有り難う御座いますv-237
2012-05-06 日 00:11:37 | URL | あお [編集]
此方こそ!!
ゆめゆめ様、コメント有り難う御座います。気にしないでのんびり書くことにしました。お気を遣わせてしまい、大変申し訳御座いません。そして有り難う御座います。また遊びに来て下さい。
2012-05-06 日 00:13:44 | URL | あお [編集]
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