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君のために出来ること  2
君のために出来ること、後編です。 あああ、いちゃいちゃしてない! 駄目だ、上手く書けませんでした。 陛下が楽しんでいるから良いけど、いちゃいちゃってハードル高いです。 いつも以上に時間が掛かってしまった。 それなのに、この体たらく・・・。 まだまだ精進が必要です。(なんの??)
 

では、どうぞ










陛下は目を大きく見開き、正に 『きょとん』 と私を見つめている。
ソウデスヨネ。  その反応は正解。

『一体何を言っているんだ、このバイト娘は』 って顔ですね。
私もそう思います。  ええ・・・・・、でも、だけど!

「老師や浩大から 『恐いなら陛下と過ごしたらどうか』 と言われたんです。 まさか! と言ったんですよ! そうしたら 『夫婦なんだから陛下に頼むのが筋』 って返されて・・・。 確かに他の方に一晩一緒に居て欲しいと言うのは奇怪しいかも知れません。  で、でもっ偽者夫婦でしょ? そんなこと無理って言ったんですよ? だけど 『偽者夫婦とばれないためには一晩一緒に・・・・』 ああっ、すいません!」

一気に喋った後、陛下の膝の上から降りた夕鈴は 最後に謝って頭を下げた。

「もう、お気に為さらず、陛下は部屋へ戻って下さい!!」
「・・・でも、夕鈴 恐いんでしょ?」
「大丈夫です。 部屋の片付けをしながら一晩起きていますから! ただ灯りを沢山灯すことを許可して下さい。 今晩だけです。 一晩経ったら恐いのなんか・・・・」

涙目のまま震えて、唾を飲み込んだ夕鈴は強張った笑顔で続けた。

「こ、恐いのなんか忘れますから! では、陛下は風邪をひかないように、お早めにお戻り下さいませ。 雨が降りそうな天候ですしね」
「・・・そういう天候の時に、見ちゃうんだよね」
「・・・・っ!」

夕鈴は蒼白な表情で僕にしがみ付いてきた。 涙目で 「な、な、なんで今それを言うの?」 と見て解かる程に震えている。 僕は震える夕鈴の腰に手を回して、今にも泣きそうな君を更に追い詰める。

「僕の身体を心配してくれるのは嬉しいけど、徹夜するって言う君の体調の方が心配だよ。 それに・・・・そういうのは、起きている方が見ちゃう確率高いし・・・・」
「灯りを、灯りを沢山灯しますから~~~! だから大丈夫ですっ! 明日の政務に差し支えて、李順さんに怒られるほうが恐いですからっ!」

そう言いながら涙目の夕鈴は、長椅子に片方の膝を乗せて僕に擦り寄って来た。 夕鈴の身体の震えが僕の身体にも伝わるほどだ。 僕の袖を握る夕鈴の指先が白くなっていて、もの凄く力を入れているのが見て取れる。
よっぽど恐いんだろうな。 
それなのに 『一緒に居て欲しい』 と頼むことに躊躇するんだ。
ただのバイトが一晩陛下と共に過ごすことは有り得ないと。 涙が零れそうなほど怖いのに。
確かに李順に知れたら恐ろしい程の叱責が待っているとは思うけど、僕だってこの好機を逃す訳にはいかないよ、夕鈴。

「後宮で実際に過去、血腥い女同士の諍いがあったのは知っているよ。 公にはされないけど死んだ妃がいたのも確かな話と聞いている。 ・・・・それも大勢」
「・・・・・・」
「妄執っていうの? 女の人の方がそういうの残しそうだよね、夕鈴」
「・・・・・・」
「では夕鈴、もうすっかり夜が更けたので部屋に戻るよ・・・。 ちゃんと寝るんだよ」
「・・・へぇか・・・」

袖どころか襟まで掴んだ夕鈴は両膝を長椅子に乗せて、僕にぴったりと身体を寄せている。
君の口から聞きたい言葉が零れるのは あと少しかな?

「・・・・夕鈴、やっぱり一人じゃ恐いでしょ?」
「で、でも・・・・明日もお仕事、いっぱい・・・・」

夕鈴が紡ぐ言葉はまだ僕を帰したがっている。 でも歯が鳴り上手く喋れていない様子に、あともう少しかと確信した。 寄せられた身体に熱を感じつつ、夕鈴の耳元へ低い声で囁いた。

「本当に私が居なくなっても良いのか? この部屋で一人、過ごせるのか?」
「~~~~っ、で、でも・・・」
「・・・・本当に頑固だね、夕鈴。 じゃあ、窓は決して見てはいけないよ。 夜、明かりを付けると窓が鏡のように見えるから、もし君以外が映っていたら・・・・」

声なき悲鳴を上げながら夕鈴が僕に抱きついて来た。 いや、抱き付くというか殆ど攀じ登るようだけど、滅多に無い君からの抱擁(?)に思わずにやけてしまう。

「や、やぁ・・・そ、そんなことある訳・・・ある訳・・・ある・・・あああ」

あ、夕鈴が壊れそうだ。
僕の肩に膝を乗せ、いったい何処まで登ろうとするのか、何処へ行こうとするのか。 がくがくと膝を震わせるから僕まで震えてしまう。 なにか喋ろうとすると舌を噛みそうだ。 
ちょっと、やり過ぎたかな。
僕に攀じ登り続ける夕鈴を掴まえて、ぎゅっと抱き締める。 すぐに夕鈴が僕の首に両手をまわしてしがみ付いて来た。 以前、屋根から落ちた君を抱きとめた時のように強くしがみ付かれ、僕は嬉しくなる。 
だけどこのままパニックにさせていたら大変なので、落ち着かせることにした。

「夕鈴、さあ、私に願うことは?」
「~~~願う、願う・・・・ 陛下に願うこと・・・・」

このまま寝所で朝まで君を強く抱き締めて、どんな悪夢からも護ってあげる。 君が許すなら 震える頭や額、頬に優しく口付けを落とし、僕がずっと側に居ると何度も繰り返し耳元へ囁き続けよう・・・・。 


君が信じない僕の言葉。


君が信じる不確かな存在。


どちらを信じるのかと強く問い詰め、君に寄り添いながら朝を迎えることが出来るかも知れない絶好の機会。 君の熱を、君の吐息を感じながら、君と共に同じ褥で・・・・・・。


さあ、夕鈴・・・・。 傍に居て欲しいと願って。











しかし、愛しい妃から出た言葉は 僕の希望とは違い・・・・。











「陛下っ! ゆーれいをやっつけて来てぇ!!」
「・・・・・え?」
「もう、も、嫌です! お化けとか幽霊とか本当に無理なんです!! バイト出来なくなります! 夜だけ実家に帰りたいっ! もう、嫌っ!」

えと・・・、君のために出来ることにも限界があって、僕にも無理なことがあるのだけど。 幽霊退治ってどうやってやるのだろう。 その前に、そもそも幽霊の存在自体信じていないのに。
首に回していた腕はすでに離れ、夕鈴は僕をじっと見上げていた。 
互いの瞳に、互いが映るほど近い距離なのに、いつもと違って君は照れもせずに強く見つめて来る。 両手を組み、涙で潤んだ瞳で僕を見上げ、幽霊退治を希う。

・・・・どうしようか。
必死に僕を見つめ続ける夕鈴は 『最後の頼みの綱は僕しか居ない』 って訴えているようで。

「・・・李順に言って・・・・お祓いをして貰おう、か・・・」

夕鈴は驚いた顔で僕を見て 「・・・お祓い、ですか?」 と尋ねて来た。 どうしたらいいんだと悩みながら取り敢えず頷くと、夕鈴は俯いてしまう。 他に対策案があったら教えてくれ!と願いたくなる。

「お祓い・・・って効きますか?」
「お・・・・王宮御用達の者に頼むから安心して。 どんな頑固な地縛霊も一発で綺麗に取除くことが出来るんだよ。 え・・・と、だから夕鈴は安心して! ・・・ね?」
「どんな頑固な・・・・。 一発で綺麗に・・・・」

その言葉に少しずつ嬉しそうに綻び出す夕鈴の表情。 安堵の微笑みは咲き始めた花のようで、僕は嘘だとは言えなくなる。 李順にそれらしい者を用意するように伝えなくてはならないと、夕鈴の笑顔を見ながら胸を押さえる。 例え、李順の大仰な溜息の嵐に遭おうとも、君が居もしない幽霊に怯えて毎晩実家に帰られる方が僕にとっては恐ろしい。 実家には弟君がいるし、近所には幼馴染君がいる。
ライバルに会う機会は少ない方が良い。

「で、夕鈴・・・・ 今晩はどうする?」
「っ!! 出来ましたら・・・・こちらに、居て欲しいです・・・」

夕鈴は綻び出した笑顔を強張らせ、瞬時に蒼白になり僕の襟を握る。
震える君をぎゅっと抱き締めると、今度は真っ赤になった。 くるくる変わる君の顔色に苦笑しながら寝台へと足を向けると、夕鈴が 「あっ、あの!」 と困惑した顔で僕を押し止める。

「陛下は寝台で寝て下さい。 私は長椅子を寝台に寄せて寝ますから!」

きっと言うだろうと思った夕鈴の台詞。 だけどそれは聞き入れられない。

「一人で寝るの・・・恐いでしょ? 離宮で一緒に寝たことがあるから、僕のことは気にせず身体を休ませようよ。 朝になったら直ぐに部屋に戻るから」
「・・・・でも・・・」

一瞬、躊躇った夕鈴。
君の 「でも」 は何に続くのかな? 誰にも文句は言わせないから安心して。
寝台に横にさせて、其のまま滑るように君の頭の下に腕を入れ腰を掴む。 夕鈴は慌てて僕の胸を押すけど 『幽霊話し』 に脅され続けた腕には力が入らないようだ。 恥ずかしさに真赤に染まる君を見つめていたいけど、少し我慢して寝たふりをする。
「ごめんね、僕 もう眠くて・・・」  一言忘れずに。

「陛下・・・・!で、でも・・・・ あの・・・」
「幽霊が来ても僕が居るから大丈夫だよ。 安心して眠ってね・・・」
「いや、あの・・・、眠れ・・・ないわよ・・・これじゃ・・・

腰を掴まれ僕の胸に捕らわれた君は小さく文句を零した。 そのまましばらくの間ジタバタしてたけど、僕が目を閉じているから困った様子で溜息を吐く。 
恐い幽霊と小犬陛下の僕、どちらを取るか悩んでいた夕鈴は、小犬陛下を選んだようだ。

「おやすみ・・・・なさいませ・・・」

僕との間に手で距離をとり、恐る恐るといった態で夕鈴は目を閉じた。 君の呼吸に合わせて寝息を立てていると、やがて夕鈴から緊張が薄れていくのを感じる。 夕鈴の緊張が消えるまで、僕は微動だにせず寝息を立て続ける。 まだ目を開けているのかな、もう閉じたかなと気になるが、我慢して寝たふりを続けた。
しばらくすると日中の疲れが出たのだろう、夕鈴から緊張を感じることは無くなった。 深い眠りに移行したようだ。 普段なら、一緒に横になることなど想像すらさせてくれない。 
幽霊が恐いなんて違った一面が見られて嬉しい・・・って言ったら怒るだろうけど、最後には僕の願いを叶えてくれた。 (叶えさせたとも言うけど)
もっといろいろなことを頼って欲しいけど、頑張る君も君らしくて。
無理にでも頼らせたいと狼と小犬で迫ったけど、結局、最後まで渋っていた。
柔らかく君を包み込むと、小さな呟きが聞こえてきた。

「・・・んん? 何、夕鈴」

夕鈴の耳元へ低く囁くと、身を震わせて君がもう一度呟いた。

「・・・一発で、綺麗・・・」

う~ん・・・。 上手く李順に説明出来るように何か考えなきゃな。 
いっそのこと、全ての責任を老師に負わせようか。 
でも、恐がった夕鈴がその夜 どう過ごしたか、演技が下手な夕鈴では同衾したのが老師に直ぐばれてしまうだろうし、老師から李順にばれるのも時間の問題。 ここは夕鈴の頑張って、僕自身が上手く考えなきゃ駄目か。
君の身体を抱き締め、考えながら僕も深い眠りに落ちていく。









・・・・・・・・後日談・・・・・・・・・・・・・




「陛下・・・・? 一体何の余興なのでしょうね~、これは」
「可愛い妃の願いだ。 大した問題ではない」

眉間に皺を寄せた李順が神官の衣装を用意させられていた。涼しい顔で「実家に帰りたがる夕鈴のため」と急遽、後宮立入り禁止区域で『除霊』を執り行う事になったのだ。

「実家に夜だけ帰るなんて、臨時花嫁として許される訳がないじゃないですか」
「だから 『お祓い』 をするんだ。 いいから開始しろ。・・・・それらしくな」
「幽霊なぞ、居もしないモノのために供物や祭壇の用意など、馬鹿げていますよ!」

それには同感だが、そのままだと本当に夕鈴が日中限定の通い妻になりそうなので困る。

神官姿の密偵が戸惑った顔で、形だけの除霊を執り行う事になった。
むにゃむにゃと唱えながら背後で拝む妃を振り返りつつ、陛下に視線を送る。
浩大が必死に笑うのを堪えて、真赤な顔で苦悶の表情を呈している。 老師は陛下にきつく灸を据えられた為 肩を落として、それでも仲の良い陛下と夕鈴を交互に見ている。

臨時神官に陛下が頷くと、大きな声で 「きぃええええ~いぃ!」 と叫んで、床を勢い良く踏み鳴らした。その音に夕鈴が全身を震わせて、そっと顔を上げると神官が厳かに告げる。

「もう大丈夫、全て成仏した! 御安心召されぃ!」

その報告を聞き、涙目で 「良かった・・・」 と脱力して床に座り込む夕鈴を、ひょいっと抱き上げ、僕は満足そうな笑みを向けた。

「夕鈴、もう安心したでしょ? すっかり綺麗になったから、実家に帰らなくても大丈夫だよ。 夜はぐっすり後宮で眠れるよ。 ね?」
「はいっ・・・。 有り難う御座います、陛下!」

じと眼で睨む李翔にも気付かないほど安堵している夕鈴に、その後内緒で 「お祓い除霊代」 が借金に加算されたのは陛下も知らぬことであった。








FIN




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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 06:35:35 | トラックバック(0) | コメント(0)
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