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柔らかい傷  1

先が読めないので、長くなるのか全く想像がつかない見切り発車!
私事ですが、この先ちょっと仕事で遅くなる予定ですので更新滞ると思います。 来月はもっと大変になる予定。 3ヶ月毎にやってくる提出書類に忙殺される予定です。 もう、いや~! ・・・でも仕方が無い! ああ、宝くじ当たらないかなぁ・・・。


では、どうぞ









「お願い、浩大。 もう貴方しかいないの」
「そんな・・・お妃ちゃん。 困るよ、オレ」

しっかと手を握られては、浩大も下手に逃げることが出来ない。 真剣な眼差しを浩大に剥けながら手に力を込めるのは、主である陛下の唯一の妃・・・、のバイトをしている臨時花嫁。 彼女の表情は真剣そのものだ。 

『マジに困った。 こんなところ陛下に見られたらオレの首が飛んじゃうよ』

しかし、夕鈴は絶対に退く様子を表さなかった。 手を離したと思ったら浩大の肩を掴み、更に近付くと 「お願いします!  陛下には内緒で!!」 と必死な形相で食い下がってくる。



夕鈴は浩大から借りた小刀を強く握り締め、目の前で無防備に立つ浩大を斬り付けようと振り上げた。
しかし浩大は、振り上げた夕鈴の手首を難なく掴むと、軽く捩じり上げる。 その痛みに声を漏らすも、すぐに片方の腕を振り上げて殴りかかろうとした。 下肢に痛みを感じた時には足を払われていて、驚く間もなく地面が目の前に迫る。 浩大は倒れそうになった夕鈴を支えると、元の体勢に戻して笑みを浮かべた。

「勢いで突っ込むのは誰にでも出来るけど、それじゃあ駄目だよん」
「うん・・・。 あっという間に倒されちゃった」

呼吸を整えながら、夕鈴は小刀を構えなおす。 今度は突くように構えて浩大と距離をとった。
じり・・・と相手を見ながら構えた小刀を引き、少しずつ相手に近付く。 浩大に立てた指をくいっと曲げて挑発された夕鈴は、落ち着くために肩から力を抜き、小さく息を吐いた。

『いいな~、焦らず落ち着いている。まだ動きはぎこちないけどね』

にっこりと笑った浩大は、腰を落とし防御から攻撃を開始する。 ぐんっと腰を落とすと左足が大きく弧を描いて夕鈴の脚を払おうとした。 その脚を避けて後方へ下がった夕鈴は小刀を浩大に投げつける。 投げられるとは思わなかった浩大が跳ねるように後方へ小刀を避けると夕鈴がダッシュして浩大に走り寄り、殴りつけようと腕を振り上げる。
後方へ下がった浩大が直ぐに踵を返して、向かって来た夕鈴に突進して振り上げた夕鈴の拳を正面から掴む。 正面から手を掴まれて、夕鈴は詰めていた息を吐く。

「惜しいなっ! でも反応いいよ!」
「は、はいっ!」

息を整えながら地面に刺さった小刀を抜いた。 足元に視線を注ぎながら、夕鈴は浩大に裾を持ち上げて尋ねてみる。 「ねえ、この衣装、着替えていい? 動きにくい」 しかし浩大は肩を竦めると、首を横に振った。

「駄目だね。 お妃ちゃんの時に狙われることが多いんだから、その衣装で立ち向かえるように頑張らなきゃね~。 まあ防御が出来るようになれば上等っすよ!」
「ああ、そうね。 じゃあ逃げるっていうのも大事よね。 足腰も鍛えなきゃ駄目か。 明日から朝、走ろうかな・・・。 山の方に誰にも見られず走れる場所ある?」
「一人じゃ駄目だよん。 ・・・全く、お妃ちゃんって本当に妃らしくないよな~。 自己防衛出来るようになりたいなんて、普通の妃は考えないだろうし~」

浩大がケラケラと笑う。
まあ、普通の妃なら自己防衛なんて、そもそも考えないのだろうな。
でも私は 『囮も兼ねた臨時花嫁』 で、狙われることが前提の存在だ。 狙われるたび、陛下や浩大に助けられ、心配を掛けるのは心苦しいと思っていた。 考えた末の答えが、護身術の指南を受けたいだった。 陛下に願い出ても止められると思い、内緒で行動を起こした。 文官である李順には頼めないし、そんな暇があるなら妃教育を真剣にやれと怒られるのは目に見えている。

後宮より離れた宮の裏側で浩大と秘密の特訓を開始して、五日目。
掃除のバイトを早めに切り上げて、ほんのひと時だが小刀の使い方や、逃げる際の目線等を教えて貰っていた。 女なので力がないのは致し方がないが、下町で走り回っていた分身軽な部分もあり、思っていたよりも動きがいいよと浩大に褒められていた。
小刀と言えど刃物に慣れていれば急襲にも落ち着いて対応出来るだろうし、なにより恐怖に身体が動かないという事は少なくなる利点がある。 浩大の足払いや攻撃に対応出来るように体術も覚えたい夕鈴は体力向上のため、走ることを選択した。

「早速、明日早朝から走りたいんだけど。 浩大、いい?」
「まあ。 乗りかかった船だし、いいよん」

「お礼は沢山の菓子とお酒!」 と言われて、夕鈴は 「了解です、師匠!」 と笑う。 
西の空が茜色に染まり出した為、裾の埃を払い夕鈴は自室へと足早に戻って行った。 浩大が屋根へと飛び移り、その姿を見届けた後 『内緒』 と言われた対象である陛下へと今日の報告をする為に移動して行った。



湯浴みを済ませ、浩大から教わった事を頭の中で反芻しながら手を動かしていると侍女から陛下到着の知らせが届いた。 急ぎ 頭の中を切り替えて、陛下へ出すお茶を何にしようかと選び出した。

茶葉の香りが夕鈴を包み、心の奥底にある昏い悩みを一時包み隠してくれた。
昏い悩みがゆっくりと心の奥へ沈んでいく・・・・。
はっとして、急ぎ止まった手を動かす。
頭を振り、無理やり笑顔を作る。 陛下が来ているのに、今はそんな事 考えちゃ駄目だ!

「夕鈴、何悩んでいるの? 面白い顔だけど・・・」

小犬陛下がほにゃっと笑い出し、その顔に夕鈴は慌てて周囲を見回す。
勿論 侍女は陛下が下がらせていると解かり、ほっと胸を撫で下ろした。

「お、驚かせないで下さい。 おまけに面白い顔って」
「だって夕鈴、茶葉を選ぶだけなのに眉間に皺を寄せてすごっく真剣で」

椅子に腰掛けた陛下を睨みながら茶を淹れ、いつものように政務室での事や書庫での事、掃除婦の時に老師が言ったいつもの戯言などを楽しそうに陛下に話していると、不意に紅い目の視線に囚われる。 その視線に気付いた夕鈴が不思議そうに陛下を見ると、狼陛下に見つめ返された。

「どうかなさいましたか、変なこと言いました? 私」
「ああ・・・・。 いつもながら我が妃は小鳥の囀りの如き可愛らしい声で啼くなと思って見つめてしまった。 さあ、続けて話して」

真赤な顔で、それでも 「どうして急に演技を?」 と呆れ返った顔を見せる夕鈴に苦笑してしまう。
いつも通りの夕鈴の様子に、陛下は浩大からの報告を如何しようかと思案した。
夕鈴が自ら護身術を覚えようと浩大に指南を願い出たとあったが、其れを陛下には内密にとのこと。 問い詰めて中止させることは容易いが、夕鈴が何故そういう行動に出たのか理由が解からない。 刺客に狙われる事は実際にあり、怪我をしたこともある。
寸でのところで助かっているが、夕鈴自身から 「恐かった、もう嫌だ」 とは言われたことが無い。 もしかしたら本当は刺客から狙われることに恐怖を感じ、抗おうと指南を願ったのかも知れないとも思えた。

目の前には いつも通りの夕鈴。
楽しそうに話をしながら碁を打ち、呆気なく僕に負けて悔しそうな顔をする。
暫らく様子をみるしかないか・・・・。
浩大に怪我だけはさせないように充分注意をしておこうと黎翔は思った。







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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 20:47:33 | トラックバック(1) | コメント(0)
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まとめtyaiました【柔らかい傷  1】
柔らかい傷   先が読めないので、長くなるのか全く想像がつかない見切り発車!バイト夕鈴のお話です。私事ですが、此の先ちょっと仕事で遅くなる予定ですので更新滞ると思います...
2012-05-12 Sat 10:08:09 | まとめwoネタ速neo

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