スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


スポンサー広告 | --:--:--
柔らかい傷 ・・・・・ おまけ
柔らかい傷のおまけ編です。楽しんで頂けたら幸いです。



では、どうぞ













「浩大。さあ、正直に何処まで見たのかを話すんだ」
「へーか、本当に見えなかったって。 結構暗くなっていたじゃんか。お妃ちゃんの手の動きに驚いただけっすよ。 マ・ジ・で!」

ギシッと椅子に深く腰掛けた陛下が昏い表情で隠密を見つめ続ける。 しかし見つめ続けられても其れ以上は繰り返し同じことを言うしかない。 己の命に関わることだから。

「お妃ちゃん外套着ていたから、マジに見えなかったって!」
「・・・・お前の目なら良く見えただろう」

浩大は唾を飲み込んで、『バレテル・・・・』 と苦笑いを堪えた。 全く、お妃ちゃんのことになると此処まで狭量となり、壊れるものかと昏い表情の陛下を見た。
まあ、見えてはいたけどね!!
もし 『見えていました。 そりゃ、ばっちりと!』 
そう言ったとしたら自分の首があっという間に胴体と離れて、床から自分の身体を見上げることになるかも知れない。 哂えない想像に静かに自分の首を擦る。

「へーか、本当だってば。 外套着ていたからさ、もぞもぞしてるのは解かったけど、最初は何をしてるのか判んなかったし! お妃ちゃんの真赤な顔で想像出来ただけで、キレラレちゃったんですよ!」
「お前なら難なく見られるだろう。 ・・・・私だって見たことないのに。 夕鈴の脹脛とか太腿とか、下着までもお前は見たんだな・・・・」
「見てないっすよ~~~~~! あー、もう! やって再現して見せるから外套貸して下さいよー。 そしたらワカルッスよ!」

再現してみせると浩大が陛下に手を出す。
むーっとした顔の陛下が外套を浩大に渡すと、部屋の明かりを幾つか消していった。
当時の外と同じくらいの明るさにしてから陛下の夜着を借りて羽織る。 
その上から陛下の外套を被り部屋の隅まで移動した。
「このくらい離れていましたよね?」 と陛下に確認して裾を持ち上げる。

椅子に腰掛けたまま、陛下は紅い目を細めた。
本当に浩大は見ていないのか、それとも本当は夕鈴の肌を眼にしたのか。 もし見ていたとしたら、例え夕鈴が許しても私は許せないだろう。 例えそれが浩大でも。
許せない場合はさて、如何したものか。 それを考えるのも面白そうだ・・・・。

「いいっすか? えっと、お妃ちゃんはパンツが下がっていたんだから、そのパンツを上げようとして、手をパンツに宛がい・・・・・」
「浩大、それはいいから。 ・・・・・黙ってやれ」
「確認っすよ。 え~っと」

裾から腰へと手を入れる際、身体が前のめりになり外套が自然に前に垂れる。 
浩大は上手く外套に下肢を隠しながら下着を上げる動作をして、裾をそっと合わせた。
一連の動作を終えると浩大は顔を上げて、陛下に 「どうだっ」 という顔を見せる。

その顔を見ながら陛下は難しい顔を見せた。 
外套に隠れて見えないといえば、見えない。 チラチラ見えると言えば見える。

「夕鈴の足は白いだろうから (絶対に) 、闇の中でもはっきりと見えるはずだ。 だからやっぱり見えたんだろう? 正直に言えばまだ傷は浅くて済むぞ」
「(やっぱり殺る気か?) だから、動きで判断しただけだって! じゃあ、足を出してもう一度検証しようか! (しつこい陛下だな~)」

素足を出して、浩大はもう一度一連の動作をしてみせる。
今度は先程より慎重に足が見えないように気を付けながら腰へと手を潜り込ませる。
すると直ぐに陛下が文句を言い出した。

「さっきより動きが小さいし、前のめり過ぎて外套で何にも見えないぞ」
「いや、お妃ちゃんもこんな感じで動いていたんだよん。 ま、へーかは見ていなかったから判らないでしょうけどね~」

だからこの動きで合っていると強く言い切る浩大。 陛下の本気が判るほどに紅い眼が昏く輝くため、必死になる。 自分の 『命』 が掛かっているのだから。

「・・・・もう一度」
「またかよ、へーか。 ・・・良く見てくれよ~・・・」

そう言いながら裾を乱して、もう一度腰を屈めて裾から手を入れる浩大。
身を乗り出して、それを真剣に見つける陛下。




そこへ・・・・・。






「な、な、な・・・・・・」


茶器を持った夕鈴が執務室に足を運ぶと、灯りが落とされ薄暗闇の中から声が聞こえた。
陛下と浩大と判り、声も掛けずに足を踏み入れてひょいっと顔を出すと二人は真剣に何かをしているようだ。 その動作を目にして夕鈴は目を大きくした。

「ゆ、夕鈴!?」
「お妃ちゃん!?」

普段は人の気配などに敏感な二人だが、『夕鈴の足が見えたかどうか』 の検証に集中していたためか、夕鈴だからか、近付くその気配に全く気付かなかった。
茶器を持つ夕鈴に陛下は直ぐ笑顔を見せたが、瞬時に違和感を感じた。
夕鈴の表情がいつに無く微妙だったのだ。

「夕鈴? 如何したの? まだ足が痛む?」
「・・・いや、へーか。 オレ判っちゃった・・・」

浩大が珍しく眉間に皺を寄せて背筋を正すと 外套の裾を寄せた。 
ワナワナと唇を戦慄かせる夕鈴は茶器を持ったまま入り口で固まっている。 二人を交互に見比べた後、陛下はそれでも判らないと首を傾げた。

衣装を整えた浩大は外套と夜着を椅子へ置くと、「お妃ちゃん、誤解してるよ」 と陛下に告げて笑顔で部屋を飛び出して行った。 意味が解からないまま、夕鈴に近付き陛下は今にも落ちそうな茶器を受け取ろうと手を伸ばす。 その動きに驚いた夕鈴だが、どうにか茶器を落とすこと無く卓へと降ろす事が出来た。

夕鈴の顔を覗くと蒼褪めた顔色で目は空ろに見える。 それでも夕鈴は強張った笑顔のまま震える手で 「あ、あのお茶を淹れますね・・・」 と茶壷の蓋を持ち上げた。

「ゆ、夕鈴? どうしたの? 浩大が言っていた誤解って何?」

夕鈴は茶葉を震える手で如何にか茶壷へと移す事に成功した。 何といっても最高級品の青茶だ。 どんなに動揺していても其処は 『勿体無い根性』 が正気に戻させてくれた。 しかし陛下の台詞に舞い戻る動揺は抑えることが出来ない。

恋愛に疎い自分だが、何をしていたのかは何となく判る・・・・ 気がする。
浩大は誤解と言っていたが、ソレは本当なのだろうか。
妃を娶ろうとしない、ましてや浮いた話も無い陛下。
陛下の本気がもし、彼だったのなら・・・・ 今、思いきり邪魔をしたのは 私?

今度は真赤な顔に染まり出した夕鈴は手早く茶を淹れると、杯を陛下へと渡して無言のまま直ぐに片付けを始めた。 驚いた陛下が夕鈴の手を掴み問い質す。

「夕鈴、一体どうしたのか言って? 」 
「っ! も、申し訳ありません! 邪魔をするつもりはなかったんです。 ちゃんと 『臨時花嫁』 のバイトはしますから、大丈夫ですから。 安心して下さい。 わ、私、・・・・私、ちゃんと応援、します、から・・・・」
「? ? ? ? ? ?」

思いきり動揺してしまい、溢れ出す涙を夕鈴は止める術を知らなかった。 陛下の手を振り解き 茶器をそのままに執務室から逃げ出そうと踵を返すが、直ぐに腕を掴まれ囚われてしまった。

夕鈴を振り向かせて包み込むと抗いはしないが、固まった身体を感じた。 部屋に入って来た時から強張った顔で固まっていたが、一体何があったというのか陛下には皆目見当が付かない。

「夕鈴、邪魔ってどうして? 話してくれるまで帰さないよ」
「そ、そんなこと私の口から・・・・・。 あのっ、本当に誰にも言いませんから!」
「・・・・? ・・・夕鈴、教えて欲しい・・・・」

腰と背に回した手に力を込めて夕鈴の耳元へ狼陛下の声色で名前を囁く。
その声色に背筋を震わせ夕鈴は真赤に染まり、慌てて胸を押しやった。 夕鈴の手の動きに更に腰に回した手に力を込めて寄せると、耳朶に唇を触れながら再度囁いた。

「誰にも言えないことなんか無いよ、君には・・・・。 どうしてそんな態度を取るの? やっぱり、この間の囮の件、怒っているのかな?」
「いえっ! 怒ってなんかいませんっ あ、あの耳に、あ、あの・・・・ 言いますからっ!」

涙目で強く陛下の胸を押しやり、耳朶や首筋まで深紅に染めた夕鈴が陛下に顔を向ける。
離れた熱に多少の不満を持ちながらも、首を傾げて夕鈴の言葉を待つ。

「こ、浩大と・・・の様な仲とは気付かず・・・ 邪魔をしてしまいましたが、私これからは ばっちり応援します。 臨時花嫁として二人の仲を隠せるよう頑張り・・・・ 頑張ります・・・ から・・・・」
「・・・・・ごめん、夕鈴。 何を言っているのか全く理解出来ないのだけど?」

瞑目しながら眉間の皺を指で伸ばす。
胸の中の夕鈴は頭を垂れて、ぽろぽろと泣きながら訳の判らないことを言い出すし、臨時花嫁を繰り返すし、僕の前から逃げ出そうとするし・・・・。
夕鈴の言った言葉を反芻すると、つまり、 『僕と浩大がそういう仲』 と言いたいのか?

一体何故?

えと、夕鈴が部屋に入って来た時、僕らを見て微妙な顔をして・・・・。

「・・・・・・あ」

陛下は思わず口に手を当て、理解をした。 陛下の手が夕鈴の腰から離れた瞬間、夕鈴は急ぎ立ち上がり、深くお辞儀をして 「お邪魔しました!」 と脱兎の如く部屋から退室してしまった。 逃げていく夕鈴の背を追うことも出来ずに陛下は呆然とするしかない。







「・・・陛下? 具合でも悪いのですか?」

暫らく茫然自失していた陛下だが、李順の訪室で我に返った。 
顔を上げると李順が眼鏡を持ち上げて卓上の茶器を見る。 

「夕鈴殿が来ていたと聞いたのですが、お帰りですか?」

李順の言葉に思わず立ち上がり其のまま執務室から走り出した。
「陛下!?」 と声を掛ける李順には振り返ることも無く。





夕鈴の部屋に入ると、侍女が驚いた顔でそれでも急ぎ拱手して頭を下げる。 眉間に皺を寄せて 「夕鈴は?」 と強く問うと、蒼褪めた侍女らが寝所にいると答えた。 一体何事が? と怯える侍女らに直ぐに下がるよう告げて、そのまま寝所へと入って行った。

「夕鈴っ!」
「・・・・っ!!」

寝台に腰掛けていた夕鈴は驚いて立ち上がる。 その夕鈴へと大股で近付き真剣な顔と声で 「夕鈴はすごい勘違いをしている!」 と告げると そのまま抱き上げた。
夕鈴が浮遊感に慌てて陛下の首に手を回すと、近くなった狼陛下の表情に蒼褪める。
長椅子へ陛下は膝上に夕鈴を乗せて座り、逃げられないよう腰をしっかりと掴み話し出した。

「夕鈴、誤解を先ず解くからね。 僕は男色家ではない!」
「・・・・・え?」
「そう思われるのは思い切り心外だ! 臨時花嫁を雇ったのがソレを隠すためだなんて、それはあんまりだよ、夕鈴・・・・!!」
「だっ、だって さっき・・・・」
「あれはちょっとした検証だ。 あの時、浩大が夕鈴の生足を見たかどうかの検証! 浩大は見ていないって言ったけど、本当かどうか再現していたんだよ。 そこへ君が来て酷い誤解を」
「・・・・・・・」
「浩大は見ていないって 言い張るから!」

ぽかんとした夕鈴は陛下の言葉をゆっくりと頭の中で繰り返した。

「えっと・・・・驚きました。 薄暗闇の中で浩大の足を真剣に覗いている陛下に。 絶対そっちの趣味があるんだと思って・・・・。 い、いえ、いいんですよ。 だ、だ、男色家でも何でも、個人の趣味はご自由ですから!」
「夕鈴、だから違うって! そこだけはちゃんと誤解と解かって!」
「・・・・本当、に・・・?」
「本当に!! ましてや浩大相手にそんな気になる訳が無い!! お願いだから夕鈴! 君の夫を信じて欲しい!」
「・・・・ええ、わかりました・・・・」

下から見上げる夕鈴の目は未だ100%信じてはいないようだ。
なんて事だ! 
いっその事、このまま夕鈴を襲って君だけが僕の恋愛対称だと証明したくなる。





改めて刺客に殺意を込み上げる陛下だった。






FIN




スポンサーサイト

テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 23:00:00 | トラックバック(0) | コメント(2)
コメント
初めまして。スチィッチと言います。
最近、おおかみの兎さんを読みはじめたんですが、underの新婚旅行編で、夕鈴は湖を見に行けたんでしょうか?それがすごく気になるんですが…
2012-05-21 月 21:28:30 | URL | スチィッチ [編集]
wao!!
初めまして、スイッチ様。「underでの夕鈴は湖に行けたのか!?」う~ん、正直そこまで考えていませんでした。(爆)でも見に行けたと思いますよ。だって陛下って夕鈴大好きだから!!可愛い妃の為に、帰りにでも寄り道して見に行ったと思います。コメントありがとう御座います。そろそろunderの更新もしたいところでありますが・・・・。もう暫らくお待ち下さいませ。e-330
2012-05-22 火 01:10:11 | URL | あお [編集]
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。