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君に届かない恋文   1
仕事中、右手甲を思い切り挟みました。自分のミスでやっちゃったので
誰に文句も言いませんが、マジに痛い。腫れてきたのを見てがっかりしました。
今は湿布を貼ってますが、青タンになるのは間違いなし。
足に続いて、今度は手です。その内・・・??
今回はちょい長くって二つに分けています。宜しくお願いします。


では、どうぞ。
















 「実際に行かねばならないか・・・・」



溜息を吐きながら、側近と話し合いを詰めての結果に眉間の皺が寄る。
地方の管理地に赴き現地調査をして調査結果を官吏と地元貴族と話し合う。
それも緊急を要する事態で、早急に出発し暫らく調査と解決策の為の行動が続くだろう。
5日から長くて10日は王宮を離れなければならない。

「急ぎ書簡をまとめて、書類を作成しなければなりませんね」
「ああ、先触れはなしで話を持っていくための証拠もいるな」
「密偵を使わせて向こうの様子を知る必要もあります」
「・・・・思うように動くのは・・・・ 浩大くらいか・・・・・」

背凭れに寄りかかり、少し考える。
刺客が減ったとはいえ王が王宮を離れることで夕鈴に何か起きたりしないだろうかと思案する。 李順がすぐに陛下の考えに気付き、 「夕鈴殿なら如何にかなりますよ」 と溜息交じりで呟く。
睨んでみても涼しい顔だ。

確かに王宮は今陛下の敵になりそうな政敵が減り、安定していると言える。 後宮に居るか、後宮立ち入り禁止区域で掃除をするだろう夕鈴に危険はないとは思うが、絶対とは言い切れない不安が残る。

「仕方ないでしょう。 現地に行って現状を把握せねば解決出来ませんから」
「・・・・・判っている」

腐敗した貴族の遣る事といったら私腹を肥やすだけだ。 国の予算を何だと思っているのか、問い詰めたときの言い訳はどの様なものか。 聞きたくもないが笑い話にくらいはなるだろうか。
それも隠蔽工作をされない内に奇襲行動を起こせたらの場合だ。
悪知恵が働く老獪な奴らは逃げ足も速い。 どちらが早く動くか、鍵はそこだ。
だからこそ陛下が現地に急ぎ赴き、結果を出さねばならない。


判ってはいるのだが、心残りが彼女だ。
地方で結果を出す頃、夕鈴はいつものように掃除をしているだろう。 または侍女と花を摘み、後宮で愛でているだろう。 紅珠と共に茶や話しを楽しんでいるかも知れない。
危険など考えすぎだと思いたい。

「ええ、考えすぎですよ。 それよりも一刻も早い行動が必要です」

陛下の考えが判るのか、しれっとした顔で李順が用意を始める。
様々な書類をまとめ、密偵への指令を再確認していく。
馬や闇色の上着を用意しなくてはならない。
忙しいんですよ!! と眼鏡の奥から、偽妃の要らぬ心配をする陛下を急かす。

「・・・・夕鈴に伝えてくる」

李順の 「半刻もしたら出発しますよ!!」 の台詞を背に受けながら後宮へ向かう。












・・・・・・・・  ・・・・・・・・  ・・・・・・・  ・・・・・・・・・・・・












「・・・・・という訳で急に出掛けることになったんだ」

地方視察を急ぎ行なうと簡単に説明し、夕鈴の淹れたお茶を飲む。
(時間は大丈夫か?)
「そうですか~、大変ですね」 と、陛下の心労を労わる夕鈴にほっこりする陛下。
(時間は大丈夫か??)
暫らく留守にすると話すも、 「頑張って御仕事して下さい!」 と励まされるだけで寂しそうな感じはしない。 それにガッカリと肩を落とすが夕鈴には届かない。
(そんな事している場合なのか? 時間は?)

「掃除以外は後宮から出ないでね。 心配だから」

刺客も心配だが、官吏の視線も最近は心配なのだ。
政務室通いをする妃に慣れてきた官吏の中には、妃と親しく話す者がいる。 夕鈴の緊張緩和には良いが、他の男性と仲良く話をする妃を見るのは正直面白くないと陛下は思うのだが夕鈴には解かってもらえない。 陛下の為に官吏の者と親しくなるのに 何の支障があるのかという感じ。

「書庫での整理くらいは良いでしょうか。 たまに間違った棚に仕舞われた書簡を目にしますので、整理をしたいのです。 まあ、正直いいますと後宮ばかりに居ても・・・・ することがなくって」

本物の妃ではないので時間を持て余してしまうのですと困った顔で話す夕鈴に頭を悩ますが、長く離れる自分がしてあげられる事は・・・・ 「是」 と言うだけだ。

「出来たら張老師と書庫へ移動して。 万が一が起こらないようにね」
「はい! 気をつけます! 安心して行ってらして下さいませ! お帰りになったら、美味しいお茶を淹れて差し上げたいので教えて下さいね」

頬を染めた妻に (偽花嫁だが) お見送りして貰い、嬉しそうにその手を握ろうとした時。



「へ~い~か~!! もう充分でしょ!」

眼鏡を光らせた李順が暗黒雲を背景に夕鈴の部屋に飛び込んで来た。
舌打ちしながら立ち上がり、それでも夕鈴の髪を一房取り素早く口付けると、真っ赤になった妃に機嫌を直して、ようやく部屋を出る。











闇夜の中、数名の供を連れ彼の地へ急ぎ馬を駆らせる。 内政の安定、粛清に日々追われる毎日の中、夕鈴のお茶に癒されている陛下は、貴重な時間を奪った奴らにどの様に報復するかを鋭い眼光で昏く笑いながら考える。
余り時間を掛けずに、早期に決着を付けたい。
自分の精神安定の為にも!!

(国の為ではないのか?)

恐ろしい笑みで馬を駆る陛下に同行している李順は 「一刻も早く解決しないと相手も夕鈴殿も大変な事になるだろう」 と心の底から思った。









・・  ・・・・・  ・・・・・・・・・・  ・・・・・・・・  ・・・・・・・ ・・・














早くても一週間は掛かるだろうと李順が想像していたが、到着した陛下の苛立ちと恐ろしい笑みに現地で隠密活動をしていた浩大らが即効で裏を取り、悪事を暴く。
刀に手を宛がった陛下に逆らう気概もなく、地方貴族は私腹を肥やしていた事実を認め縛につく。 李順が財産差押えを、嬉々とした表情でテキパキと行なう。 現地で同罪の貴族らを廃し、同行させた高官に即刻修正するよう新たな指示を出す。 公共施設に必要な予算を算出し、急ぎ工事着工出来るように人を配する。 癒着や賄賂などのおこらぬよう厳しく沙汰を出す。 大方の流れを指示、指導すると、漸く見通しがつく。

李順が嫌そうな表情で溜息をつく。

「偽妃の為に、ここまで精力的になるなんて・・・・・」
「お妃ちゃん冥利に尽きるよね~。 本人は判ってないけどさ~」

付き添う浩大がけらけら笑う。
軽く睨み付け 「判られたら困ります!」 と陛下に聞こえぬようひそひそと話す。
それでなくても演技過多の陛下には困っています! とブツブツ言い続ける李順。
その演技に一喜一憂する彼女の心労はまるで無視して

「政務が捗るのも滞るのも、偽妃である夕鈴殿が原因というのが頭痛の種ですよ!!」

と続く。
その妃の元に早く逢いたくて陛下はテキパキと仕事を片付けてゆく。
往復に2日。 現地での対応に2日と、計4日で仕事を終わらせて王宮へ馬を駆らせる。
帰りは馬をそんなに駆らせずとも良いのではないかの文句も風の向こうで聞こえない。













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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

長編 | 21:00:44 | トラックバック(0) | コメント(0)
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