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見えない恋敵  1
基本もんもんしてる夕鈴です。 恋の悩み多き娘です。
久し振りに基本二人のらぶらぶ~が・・・書けたらいいな。
努力します。

では、どうぞ












『狼陛下』 の趣味ならお色気美人を雇うだろうと______




初めて会った時の浩大の台詞が、時折浮上して私の心を占める。
勝手に陛下に恋焦がれる私は、鏡の中の自分の姿を見て溜息しか出てこない。

彼は陛下が即位される前から付き従っている隠密で 「気楽だし、長い付き合いだし」 と言っていた。 と、いうことは浩大の言ったあの台詞は、陛下の本当の趣味なのだろう。

そうか、陛下は私とは真逆な女性が好みなのか・・・・。 
そう思うとがっかりと肩が下がる。
いや、勝手に恋焦がれているだけなのだから、陛下に気に入られようとか考えていない。
ましてや私は 『臨時花嫁』 のバイトで居るだけなのだから、陛下の好みでも夜の相手でもない立場。 一庶民が陛下の側に仕えるだけでも在り得ない事なのだし。

好きでいる・・・・ それだけで・・・・ 今は。



陛下の部屋に忘れ物の外衣を届けに足を運び、部屋付き女官の優雅な動きについ見惚れてしまった。 姿顔立ちも正当派美人ばかり。 優雅で優美な物腰に柔らかな言葉遣い。
基本貴族の子女が務めるのだから身元も躾も 庶民とは比べようがない。
陛下どころか、本来女官さんさえ普段は見る事も出来ない存在のはずなのだ。 それをバイト娘が顎でこき使っているなんて。

そう考えてみると夕鈴は蒼褪めてしまった。 鏡の前で立ち上がり自分の全身を映す。 スタイルも顔も、動作や言葉使いもこの王宮では一番駄目駄目だろう。 基本、殆どの官吏が貴族なのだ。 小さい頃から躾けられている基本が、一々庶民とは異なる。

・・・・判っているわよ。 ・・・・今更なんだって。











「ねえ、夕鈴。 最近溜息が多いね。 何悩んでいるの?」
「・・・・そうですか? 悩みはありませんが気を付けます」

そう言いながら溜息を吐く夕鈴を見て、陛下は 「???」 と思うしかない。
最近特に変わったこともなく、陛下自身は忙しく政務に負われているが 夕鈴は通常と変わらぬはず。 ついこの間まで 「掃除がしやすい時期になりました」 と喜んでいたのに、一体何があったのだろうか。 また老師が余計なことを言ったか。 其れが一番あり得ると夕鈴に問う。

「・・・夕鈴、老師は元気? 相変わらずかな」
「ええ老師はお元気ですよ! 今日も菓子屑を浩大と一緒になって零すのでいくら掃除をしても床が汚れるんです。 まったく、何度言ってもあの二人は零してばかりで! 掃除はいつものことですけど、綺麗になっていくと充実感があって清々しいです」

元気に喋り出した夕鈴は、いつも通りに見え、喋りながら茶葉を選び出した。
「今日は白茶にしましょうね」 と振り返りにっこりと笑みを見せる。

夕鈴の溜息。 何かに悩んでいるのだろうけど、その悩みは僕に頼らず解決しようとしているんだろうな。 実家のことではなく、老師に何か言われた様子もない。 
政務室で見る夕鈴はいつも通り。 李順がいくら厳しいことを言ったとしても、溜息を吐き続けるほど悩むなんてことないだろう。 
では、何に憂いているというのか。

茶を飲んでいると夕鈴が窓の外に目をやり、何処か遠くを見ているような悲しい表情。
暫らくするとまた溜息を吐いて、静かに茶を飲み始めた。





ある晩、陛下が執務室で筆を走らせていると 「お仕事中っすか!」 と酒壜片手に浩大が姿を見せた。 夕鈴が就寝した後、後宮内外を見回り報告を兼ねて酒盛りに来た浩大。 
その浩大に筆を止めて、陛下が問い質した。

「浩大・・・・。 最近、夕鈴って変じゃない?」
「そっすか? お妃ちゃんはいつも面白いですけどね~」

饅頭片手に陛下に答える浩大を睨み付けるも涼しい顔。 「まあ溜息が多いとは思うけどね」 と、やはり気付いていた様子で答えると、陛下が卓に肘を付き 「やっぱりか」 と呟いた。

僕に言えない悩みかな? 溜息の原因に心当たりが全く無いから困る。
バイトだからと何か我慢しているのだろうか。 理由を問うてもきっと答えはしないだろう。
が、溜息をああも繰り返し吐かれると気になって仕方がない。 互いの精神状態改善のためにも、このままにしておく訳にはいかない。 いい加減、はっきり夕鈴に問い質してみよう。 ・・・上手く聞きだす方法は無いだろうか。

「陛下、飲もうぜ~」
「お前に合わせると加減が・・・・・・。 酒か・・・・」

ふぅんと呟くと、陛下は浩大の持つ酒瓶に目を細めた。








   *****     *****    





夕鈴は夕鈴で、溜息ばかり付く自分に嫌気が差していた。 考えても仕方が無い事だし、今更綺麗になる訳も、綺麗になってどうなる訳もない。 充分承知している事。 自分の溜息で場の雰囲気を悪くしていると自覚し始めると反省して、解決策を模索し始めた。


「たまには着飾ってみるとか・・・? まあ、お色気は無理だけど・・・・」


鏡を見ながらの妃の失笑交じりの小さな呟きに、激しく動いたのは侍女達。
無言で簪や衣装を揃え始め、鏡越しに妃を見つめて嫣然と微笑み出した。 夕鈴がその輝く瞳に気付いた時には やる気充分な侍女らが夕鈴の夜着を勢いよく脱がせ、髪を纏め出していた。

「きゃあっ! え? あ、あのっ!?」
「お妃様のそのお気持ち、御待ちしておりましたわ! 私共に御任せ下さいませ!」
「今日は腕によりを掛けて着飾らせて頂きますわ!」
「な・・・なっ!?」
「貴女、その簪より衣装に合わせて真珠をお持ちになって!」
「簪は大振りなものを使われますか? いや鈴付きの物を用意しましょうか?」
「大帯はどれに致しましょうか!」
「被布は刺繍が目立つものより、色合いで決めましょう!」
「いつもと違う香油をお持ち下さいませ! 柑橘系が良いですわ」

鏡台の横に卓が置かれ、その上に簪や香油や様々な衣装が所狭しと広げられ出し 夕鈴は焦った。 何処からこんな大量の衣装や宝飾を持って来たんだと、蒼褪めるほどだった。

「あ、あの!意味もなく着飾るのは(勿体無いんですが!)」
「・・・・お妃様、私共に御任せ下さらないのですか?」
「いつも御世話足りないと心苦しく思っておりますのに・・・・」

夕鈴がその言葉にぎょっとして振り向くと、凹んだ仔犬の幻が大勢見えた。 何故こんな事になったのか、原因となった自分の呟きを消す事が出来ずに 「では、お、お願い致します・・・」 と依頼するしかない。 妃の『是』に侍女らの腕が舞うように動き出した。






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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

長編 | 10:10:23 | トラックバック(1) | コメント(0)
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まとめtyaiました【見えない恋敵  1】
基本もんもんしてる夕鈴です。 恋の悩み多き娘です。久し振りに基本二人のらぶらぶ~が・・・書けたらいいな。努力します。では、どうぞ
2012-05-31 Thu 11:31:07 | まとめwoネタ速neo

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