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双の華  5
思ったより長くなる? すいません。気に入った方のみお付き合い下さい。
今更ながら、オリジナルキャラが出ています。
すいません、最初に言っておかなくって。
これからはちゃんと先に述べるようにしますので、ご勘弁を!!

では、どうぞ
















「我が妃よ、遅くなった・・・・」
「いえ、私共も先程用意が出来たばかりで。 さあ、どうぞ陛下」

夕鈴は頬を染めながら四阿の椅子へ陛下を誘った。 すぐに侍女を下がらせた陛下は卓上の夕鈴の手作りおやつに目を奪われる。 用意が出来たばかりと言っていたのは本当で籠の蓋を上げると湯気が立ち上った。

「昼食はまだと聞き点心を作らせて頂きました。 ・・・・でも庶民の味ですよ? 期待はしないで下さいね。 暖かいというだけの庶民味ですからね!」

真赤な顔の夕鈴は箸と皿を陛下に手渡しながら、繰り返し味の保障は出来かねると説明した。
陛下はくすくすと笑いながら湯気の立つおやつを口へと運ぶ。 
肉汁が溢れる饅頭に嬉しそうな顔を向けると、夕鈴も安堵の表情でお茶を淹れ始めた。

「夕鈴っ、美味しい! 今日はお仕事頑張った甲斐があったよ。 午後の分まで仕事を終わらせることが出来たのも夕鈴のおやつがあると知っていたからなんだ! 本当に幸せだよ、夕鈴!」

盛大に褒められて耳まで真赤に染めながら嬉しそうな顔で礼を伝え、陛下を見上げた。 
風もない穏やかな午後。 
夕鈴は美味しそうに食べる陛下を見て、縁談も流れたらしいし、過度ないちゃいちゃもない平和な午後だと心穏やかに茶を飲んでいた。

「うんっ! 美味しかった! ご馳走様でした」
「どう致しまして。 沢山召し上がって頂けて嬉しいです。 ただ ちょっと食べ過ぎではないですか? まさか全部食べちゃうとは思いませんでしたよ」

蒸し器を片付けながら夕鈴は笑うと、陛下は 「夕鈴が作ったものだもの」 と笑顔で返してくれる。 頬を染めながら心から嬉しく思った夕鈴は次は何を作ってあげようかと考えていた。
陛下の隣に腰掛けてお茶を飲みながら、 「午後はまた杜南国との話し合いですか」 と聞くと陛下は夕鈴の頬を撫で上げながら妖艶に微笑み出した。

「ああ、だが後は確認作業で終了して宴を開き、明日使節団は帰国の途につくだろう。 残念だが今晩は寂しい思いをさせてしまう。 其方には行けそうも無いんだ、我が妃よ」
「なっ、なっ、なんで急に狼陛下・・・? え?」

急に狼陛下の顔が近付いたと焦った夕鈴は目を瞑った。 ふわりと体が浮き、あっという間に陛下の膝の上に乗せられている。 ・・・な、何故、急にこんなことを?

「・・・・・あそこに使節団長の凋がいる」

夕鈴が焦って逃げようとすると、耳に陛下の低い声が響いた。 
思わず肩を竦めながら夕鈴が言われた方向を見ると確かに白陽国の大臣や官吏とは異なる衣装の男性が居た。 ゆっくりと歩く凋の姿を見て夕鈴が 『え、じゃあ、いちゃいちゃするの??』 と知らず身体を固まらせると、陛下が頭上でくすくすと笑い出素のが聞こえてくる。 夕鈴が顔を上げると目が合い、そのまま黙って視線を凋の元へ送った。 その視線に夕鈴が顔を動かすと、凋の後ろを柳方淵が付き従って歩いていた。

夕鈴が首を傾げて不思議そうに見ていると気配を感じたのか、方淵が四阿の陛下と夕鈴に気付く。 方淵は眉間に皺を寄せて夕鈴を睨み付ける表情を呈したが、凋が何かを言ったようで直ぐに視線を戻して頷くと凋と共に移動して行った。

「・・・・・・杜南国の使節団長様と方淵殿が、何故一緒に?」
「いや、私も解からない。 凋はこちらに気付いていなかったようだし、午前は話し合いの場には居なかった。 午後に戻るとは聞いていたが・・・・」
「そうですか。 何かあったのでしょうかね・・・・ きゃっ!」

陛下は夕鈴を抱き上げると耳元へ 「夕鈴、声を出しちゃ駄目だよ」 と低く囁き、そのまま二人の後をつける事にした。 夕鈴は陛下の謂う通りに口を閉じ、落ちないように陛下の首に手を回して抱き付いた。 その視線は先の二人を見詰めていたが、立ち止まるたびに陛下が夕鈴の腰と膝裏に回した手に力を込め、胸に夕鈴をぎゅっと抱き締めるから思わず声が漏れそうになり、夕鈴はその都度 真赤な顔で唇を噛み締めることになる。









凋と方淵が向かった先には少し大きな四阿があり、そこには二人の女性が座って居た。
陛下がそれを見て夕鈴の耳元へ 「あれは杜南国の皇女らだ」 と囁く。 耳に低く囁かれて真っ赤になる夕鈴だが、内容を理解すると吃驚して四阿を見た。


妖艶・・・・ 優美・・・・ 優雅・・・・  その言葉がなんて似合う女性だろう。
すっと背筋を伸ばし、団扇で口元を隠す貴族の女性らしい姿。 長い睫は白い肌に濃い影を落とし、憂いを帯びた雰囲気を醸し出している。 纏め上げられた髪型のため、項から匂い立つような色気を感じる。

あの人たちが陛下の御見合い相手だと判ると夕鈴は知らず眉を寄せて見入ってしまう。 自分には一つも当て嵌まらない容姿を全て持っていると、胸が苦しくなった。 あんなに素敵な女性との縁談を断るなんて、陛下の理想の高さに息が止まりそうになる。 夕鈴は自分でも知らない内に陛下の首に回した手に力が入り身体を陛下へと寄せていた。



「皇女様、柳方淵殿に御足労頂きました。 まだ詳しい話はしておりませんが、先ずは御確認頂ければと・・・・」

凋が恭しく拱手して皇女の前に立つと、その後ろに立つ方淵も皇女へと拱手し頭を下げる。
驚いたのは皇女の方で、大きな声で 「違うわ! 凋、一体誰を御連れになったのじゃ?」 と叫んだ。 その声は近くの茂みに潜んでいた陛下と夕鈴にも聞こえる程だった。

「えっ? しかし、紗帽を被らず、長髪で、長身で・・・・ 官吏の中には柳方淵殿しかいらっしゃらないと伺ったのですが・・・・」

一体何のことを言っているのだろう。 黙って聞いていた陛下と夕鈴は互いに 「?」 としか浮かばない。 そして一番困惑しているのは方淵だろう。

一体何の話に呼ばれたのかと表情が段々険しくなって来ている。 しかし相手は杜南国の皇女と使節団長。 下手な言動が後々どの様な障害を齎すか承知しているのだろう、拱手したまま黙って立ち竦んでいる。 それを見ている夕鈴の方がハラハラしてきて陛下の首に回した手に自然に力が入っていた。


「違うわ、いえ、違わないけれど・・・・ 違うのよ、凋。 他にもいらっしゃった筈よ。 あ、柳方淵殿、昨日回廊を共に歩かれていた官吏の方の名を知りたいのですが、御教え願えませんか?」

欧翠が姉のがっかりした顔を見て慌てて方淵に問うと、方淵は片眉を上げて躊躇した。 
昨日・・・・回廊で共に歩いていたのは、氾水月。 
しかし、それが一体何だというのだろう。 
方淵も水月も外交交渉の場には居たが、杜南国の皇女に直に逢ったこともない筈だし、自分が此処に呼ばれたのが人違いとは・・・・。 それも水月と間違われて・・・・。

静かに方淵は溜息を吐いた。


拱手した袖口に隠れて吐いた溜息は背後にいる陛下と夕鈴にだけ判ったくらい静かなものだ。 しかし、その静かな溜息に方淵の怒りが解かる夕鈴が 「方淵殿、怒っていますね・・・」 と囁くと、陛下の頬が場に合わず、ぽっと染まった。

「夕鈴の声って可愛いね。 ドキドキしちゃった! もう一度囁いて欲しいな~」
「・・・なっ! 今はそれどころじゃっ!」
「方淵なら大丈夫だよ。 ねえ、それより、もう一度囁いてよ」
「~~~~~っ!・・・・陛下・・・・聞、い、て!!」
 
夕鈴が囁き声というより怒声に近い小声で陛下の耳へ告げると、陛下は肩を落とした。 
それでも前を見ながら 「大丈夫だよ」 と繰り返し、夕鈴が心配げに方淵を見ると、拱手していた袖を下ろして皇女を黙って見て・・・・。



「名を教える事は容易いことで御座いますが、それは杜南国との外交交渉に関して必要な事項で御座いますか? それ以外でしたら、直接本人を探し出し、伺ったら宜しいかと存じ上げます。 他に用事が無いようでしたら私は此れにて失礼をさせて頂きますが、宜しいでしょうか」


嗚呼、流石 柳方淵だ。
陛下に抱かれていた夕鈴は眩暈を覚えて脱力しそうになった。
他国の皇女に対しても いつもの態度。 貫く信念は凄く立派だけど相手は他国の皇女だ。
幾等なんでも、不敬罪にならないのか?? 
他人事とはいえ知った人物の暴挙に夕鈴は涙が滲んできてしまう。

言われた皇女も心底驚いた表情で、凋に至っては蒼褪めた顔から更に色が抜けたように見えた。 口元を隠していた団扇が手から落ちたのも気付かないのか、ぽかんと開いた口を見せる皇女は本当に信じられないという表情だ。

たぶん、他人からそんな強い言い方をされたのは初めてなのだろう。
それも方淵だ。 視線も鋭く冷たい。 
怒気が混じって聞こえたのは きっと水月さんと間違われたからだろうと夕鈴は思った。


返答はないと判ると方淵は再度 「では、失礼を致します」 と踵を返し歩き始めようとした。





そこへ、タイミング良く? 悪く?

「あ、此処でしたか。 ・・・・あれ、お邪魔でしたか」

氾水月が茂みの影から姿を見せた。












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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

長編 | 00:11:11 | トラックバック(1) | コメント(0)
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まとめtyaiました【双の華  5】
思ったより長くなる? すいません。気に入った方のみお付き合い下さい。今更ながら、オリジナルキャラが出ています。すいません、最初に言っておかなくって。これからはちゃんと先...
2012-06-21 Thu 04:09:41 | まとめwoネタ速neo

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