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双の華  7
あああ、やっぱり長くなっていく。つい、見切り発車すると碌なことが無い!
どの方向へ走っているのか自分でも不安になって来ました。
そんな不安な作品です!!!




では、どうぞ

















立ち上がった夕鈴は、凋からの声に水月の差し出した手を思わずぎゅっと握り締めた。
夕鈴は、茂みから立ち上がる自分が恥ずかしくて直ぐにでも逃げ出したくなった。
白陽国国王陛下唯一の妃が、庭園の四阿で杜南国皇女らを盗み見ていたなんて!

・・・違うとは謂えない。 
夕鈴を此処まで連れ出した陛下はすでに王宮へと戻ってしまい傍に居ないし、上手く説明することも出来ないだろうと袖で口元を隠すしか出来ない。 
涙が滲む真赤な顔で震えていると水月が夕鈴の手を握り返した。 
夕鈴が涙目で水月を見上げると、労わるような優しげな声を潜めて訊ねてくる。

「お妃様。 ・・・先程まで陛下とご一緒でしたよね?」
「え、ええ。 でも陛下は政務へとお戻りになりました。 あの・・・私。 成り行きが気になったのと、あとで陛下へ報告するために・・・・。 ~~~~すいませんっ、覗いていました!」
「・・・しぃ・・・」

夕鈴が水月へ頭を下げようとした時、やんわりと肩を押され、そのまま静かにするよう指示される。 優しい表情を見せる水月はしばらく夕鈴をじっと見ていたが、何か考えたようで背後に振り返ると、その場に佇む方淵を見て明るい笑みを浮かべた。 
方淵が片眉を上げて訝しげに見返すと、水月は夕鈴の肩から手を放して自身の唇に人差し指を立てて見せる。 黙っていろと指示をされたように思い、夕鈴は小さく頷いた。
水月がもう一度方淵をみると 「勝手にしろ」 と呟いたのが解かる。
方淵は水月が何をするのか解かっているようで、そこまで二人が親密になっていたのかと勝手に想像した夕鈴は嬉しくなった。

しかし水月さんから紡ぎ出された言葉に、夕鈴は愕然としてしまう。


「この方は私の愛しい女性です。 後宮で働いておりますが、私が心配で後を付けて来たのですね。 ですから皇女とのお時間はどの様に願われましても叶えることは出来ないのです」
「・・・・・はぇ?」

夕鈴が驚いて水月を見上げると、優雅に微笑む水月が夕鈴の手を握りながら頬へと寄せる。 
驚いて手を引こうとすると、背後に佇む方淵が 「・・・面倒だから合わせろ」 と声を掛けてきた。 少しは水月を憐れに思っているのか咎めることはせずに黙っている。 
方淵の言葉に水月の行動をやっと理解した夕鈴は水月に握られた手から力を抜き、ぎこちないながら笑顔を水月に見せた。

「も、申し訳ありません、水月様。 ・・・私、心配で・・・つい」
「心配を掛けてしまい申し訳ありませんでした。 ・・・・・皇女様方、私にはこのように決まった相手が居ります故、御容赦願えますね?」

皇女二人は突然現れた夕鈴を見て暫らく呆けていたが、水月が言った台詞がじんんわりと耳に届いたのだろう。 徐々に顔色が変わってくるのが見えた。 
凋は戸惑った顔で方淵と水月を見るが、方淵が鋭い視線を向けたので唇を噛んで押し黙ってしまった。 凋は王宮の庭を自由に歩ける女性などは普通居ないだろうと考えた。 そしてそれが出来る女性、それも官吏である氾水月、柳方淵が庇い立てするような人物となれば、珀黎翔陛下の唯一の妃しかいないだろう・・・・。 そう思ったのだ。
しかし、それを皇女らに知られると面倒が増えると判り、凋も黙っていることにした。
未だ杜南国国王陛下からの返事がない内は。 
それに氾水月には 『その気』 がないことは明らかだ。 
皇女に諦めさせるには彼らの演技を黙ってみている方が得策と思えた。

欧翠がゆっくりと立ち上がると、団扇を夕鈴へと差出しフルフルと震える腕を向けた。
何かを言いたげに戦慄く唇が薄く開くが、声にならないようで蒼褪めた顔色がこちらを見て居るのだけが解かる。 
夕鈴は水月を見上げて思案したが、既に陛下に言われた 『見守るだけ』 の約束が破られた今、水月の芝居に乗るしかない。 そう思い至った夕鈴は、余計な口出しをせず流れに身を任せることにした。

 
「そ、そんなこと・・・。 後宮で働いているとなると、その娘はただの女官。 杜南国の皇女である私達の誘いを断る理由にはならな・・・・」
「申し訳ありませんが私には充分な理由となるのですよ、皇女様方。 この方が、この方一人居れば私には充分なのですから・・・・・・」
「水月さ、様・・・・」

水月に握られた手に力が少し入った気がしたが、それよりも言われた台詞に驚いて水月を見上げた。 夕鈴を見下ろす瞳には真摯な表情の水月が見て取れ、夕鈴は呆けてしまう。

『この人、こんな顔でこんな台詞を・・・。下町に居たら気を失う女性が何人出るだろう』

下町に行く事なんかないだろう大貴族だが、もし下町を歩いたらお祭り騒ぎ以上になるだろうことは容易に想像出来た。 この容姿に この微笑み。 
優しく微笑まれたら、それだけでのぼせて倒れる女の子はたっくさん居るだろう。 
後宮の女官や侍女からも向けられる視線が、他の官吏とは明らかに違うのを知っている。
反面、男には嫌われるだろうな・・・・。

夕鈴が水月を見上げながら関係のない事を考えていると、背後から静かに溜息を吐く音が聞こえた。 ちらりと振り返ると方淵が眉間の皺を深く刻みながら睨むように見ているのが解かり、夕鈴は背を正してしまう。 
きっと呆けた顔になっていたのだろうと慌てて口を結んで、口角をあげる。 
強張った微笑みを皇女に向けると、皇女の真赤な顔が更に紅潮したのが見て取れた。 
その様子に少し申し訳ない気持ちと、皇女の気持ちが陛下に向けられていない安堵感に夕鈴の気持ちは揺れる。 
本当に水月を求めて、はしたないと咎められるかも知れないけれど、それでも勇気を持って逢えるよう凋に願い出たのかも知れない。 他国で出逢った男性に素直に動いているだけかも知れない。
陛下との 『縁談』 を反故にしても水月に会いたかったと素直に告げる皇女が羨ましくもあり、その大胆な行動に夕鈴の心は少しだけ羨む気持ちがあった。


『私はこんな風に素直に陛下に気持ちを告げられる立場でもないから・・・・。
 バイトの立場と自分の身分を考えると、そう思うだけでも駄目だろうし・・・』


そこへ杜南国使節団の一人が足早に場に現れるが、場の異様な雰囲気に戸惑っているように見えた。 凋が 「何事か?」 と短く問うと、戸惑いを押し隠し恭しく皇女へ拱手した後、凋へ鳥伝で届いたと紙片を差し出した。
凋が直ぐに確認すると皇女らに凋が何事かを伝え、皇女が真赤な顔で凋を睨みつけた。
姉皇女は団扇で口元を隠したまま打ち震え、妹皇女は凋を睨みつけながら溜息を吐いた。
そして妹皇女が視線を水月へと送った。

絡みつくような熱い視線を水月へと送ったがそれは直ぐに外され、もう一度深い溜息を吐かれている。 水月から外された視線は今度は夕鈴を見るがその瞳には力がなく、悲しげにも見て取れた。 夕鈴はそんな顔をさせたしまった自分に罪悪感を感じ、水月からさり気無く手を離して一歩退く。


「・・・・杜南国国王より外交交渉が終わり次第、国へ戻るようにと指示が来ております。 氾殿、柳殿、この場での事はどうか内密に・・・・」

凋が水月、方淵へと拱手し深く頭を下げる。
方淵がその言葉に黙って頷くと踵を返して政務室へと歩き出して行った。 関係のない厄介な面倒事がやっと終わったと謂うような表情を浮かべ 足早に戻っていく姿を夕鈴が唖然と見送っていると、水月が優雅に御辞儀をして皇女へと挨拶をした。

「私も仕事に戻らなければなりません。 早々にこの場を立ち去る無礼をお許し下さい。 では、杜南国の皇女様方、御機嫌よう」

水月は手を差し伸べると戸惑う夕鈴に笑みを見せる。夕鈴も皇女へと御辞儀をして水月の手に手を重ねて共に歩き出した。








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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

長編 | 01:05:05 | トラックバック(1) | コメント(0)
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まとめtyaiました【双の華  7】
あああ、やっぱり長くなっていく。つい、見切り発車すると碌なことが無い!どの方向へ走っているのか自分でも不安になって来ました。そんな不安な作品です!!!では、どうぞ
2012-06-22 Fri 11:46:13 | まとめwoネタ速neo

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