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双の華  8
最後、すごく長くなっちゃった。まとめたいのに、つい。
むちゃぶりなまとめ方ですが、ご勘弁を。
今日は飲み会があって、それでも本誌を買って読んで「激萌え」しております。
もう、もう、もー、最高です。 ビバ、陛下!!!!!!!!!


では、どうぞ













ほんの少しの演技で、自分は心臓がバクバクして膝がガクガクしているというのに、水月はなんと堂々としていることか。 隣を歩く水月の演技に、さすが氾家長子と尊敬の念を覚えていた。 暫らく並び歩き、皇女らが居る四阿から自分達の姿が見えなくなる程まで来た処で夕鈴は水月から手を離して急いで頭を下げる。

「水月さん、ど、どうも申し訳ありませんでしたっ!」
「・・・・・・・いえ」

夕鈴が顔を上げると、其処には真っ青な顔色の水月さんが震える口から魂を放出しているのが見える。 ぎょっとして夕鈴が 「だ、大丈夫ですか!?」 と尋ねると、水月は静かにゆっくりと首を左右に振った。 その蒼褪めた顔色に間近に死が迫っているのではないかと想像されるほどだ。

「・・・・も、もう邸へ戻りたいです・・・。 こんな所を陛下に目撃されたら、私の首は庭園の石と共に空を眺め続けることになるでしょう・・・・。 ・・・・ お妃様、お願いがあります」
「な、何ですか?」

蒼白な表情で夕鈴に向き直った水月は、空ろな瞳で囁くようにお願いを口にする。

「・・・・私は邸へと帰りますので、申し訳ありませんが後はお一人でお戻り下さい・・・」

そして夕鈴へ頭を下げた後、水月はふら付く足取りで王宮へと向かって行く。 夕鈴は余りにも憔悴した水月の様子に、声を掛けることも出来ずに見送るだけ。 
そこへ浩大が姿を見せ、にやにやと意地の悪そうな笑みを浮かべながら夕鈴を突付いた。

「氾の坊ちゃん、皇女からの熱い誘いを断るためとはいえお妃ちゃんを使ったことが陛下にばれたら、首斬られるどころか、四肢はばらばらにされて、自分の邸の大事な鯉の餌に決定だよね~。 か~わいそうにっ!」
「なっ、 陛下はそんなひどいことはしないわよ。 ちゃんと解かってくれます! 途中まで一緒に見ていたんだから。 ・・・あっ、陛下に報告しないと!」

夕鈴は思い出した報告をする為に執務室へと歩き出そうとしたが、浩大に止められてしまう。
何故止めるのだと夕鈴が眉間に皺を寄せると、浩大は人差し指を出して意味ありげに、目の前で左右に振り出した。

「もう少ししてから陛下に伝えに行きなよ。 そうだね、せめて氾家の坊ちゃんが馬車に乗るまでは。 もし陛下に追い掛けられたら可哀想じゃんか」
「~~~だから、陛下はそんなことしませんって。 ・・・・っ、解かったわよ。 近くの四阿で暫らく時間調整すればいいんでしょ? それか一旦部屋に戻るか・・・・」
「そうそう。 ああ、部屋に戻った方がいいかもね。 陛下へはオレから報告しておくよ。 上手く説明するから安心しろよ、な、お妃ちゃんっ!」

夕鈴もまあ、その方がいいだろうと思った。
皇女からの誘いを断るのに夕鈴を上手く使ったことを報告するのは構わないが、あの蒼褪めた表情の水月に余計な心配は痛く可哀想に思えたのだ。 また出仕拒否が出たら、今度は更に長くなりそうだと思えた。 浩大なら簡潔に報告するだろうと思ったが一抹の不安は拭えない。
からかう為に余計なことまで言い出すかも知れないと、浩大に釘を指す。

「浩大、お願いだから余計なことは言わないでね? それと、使節団長様は胃が痛んでいると思うから、侍医に薬湯を用意させてお出しするように、お願いしてもいいかな? あのままだと、今晩の宴で倒れるかも知れないし」

にっと哂った浩大に嫌な予感は残るが、夕鈴は自室へと足を向けるしかなかった。 杜南国の使節団が姿を見せる可能性があるため、政務室に行くことは禁止されているし、皇女が使節団と共にいるかも知れない。
もし居たといたら直ぐに水月の嘘がばれてしまうだろうから、水月が邸へ帰ったであろう時間までは大人しく部屋で過ごすしかない。








夕鈴が侍女に淹れて貰ったお茶を飲みながら心配げに何度も部屋の入り口を見ていると、やはり陛下が姿を見せる。 直ぐに侍女を下がらせると陛下は夕鈴の座る長椅子の隣に黙って腰掛けた。 その様子に夕鈴が戸惑いをみせる。
微笑んではいる。 確かに狼陛下のままだが、微笑んでいる。
なのに、夕鈴はその笑みがとても恐いと思った。

「あの・・・・ 陛下? 何かあったのでしょうか? 浩大から報告は受けましたか? 実はあのあと、皇女様が水月さんに・・・・」
「・・・ああ、聞いたよ。 皇女らが水月の時間を頂けないかと申し出たそうだな。 だが水月はそれを上手く断った。 ん~、彼らしいなと思ったよ。 方淵も嫌な思いはしただろうが仕事と割り切っていたしね。 問題はない」

そう言いながらも冷たい笑みで夕鈴の髪を一房持ち上げると、自身の唇へと近付ける。
頬を赤らめるどころか背に嫌なざわつきを感じて夕鈴は眉根を下げて陛下へと問い掛けた。

「・・・・・怒ってます?」
「君がそう思うならそうだろうね。 私は 『見守るだけだよ』 と言ったのに、如何して毎回巻き込まれるんだろうね。 ・・・それも水月の彼女役で・・・・」
「・・・・っ! 浩大・・・ですね!!」

夕鈴は長椅子から立ち上がると窓を開け放ち、浩大を呼ぼうとした。 
が、立ち上がったところで陛下に捕らわれ膝の上に乗せられてしまい、背後から伸びた両腕が夕鈴の腰に回され、じたばたするも夕鈴は動きが取れなくなる。

「はっ、離して下さい! 今は演技しなくってもいいじゃないですかっ!」
「・・・夕鈴、何故 水月の彼女役をしたのか説明をして欲しい。」

夕鈴は耳元に響く冷たい狼陛下の声色に、怯えよりも怒りの方が優先した。 浩大から一体どんな風に説明を受けたのか。 その経緯を知りたいっ! 
夕鈴がそんな役をした流れを説明しに浩大は陛下の元へ足を運んだのではないのか? 
全く腹が立つっ!
おまけに陛下は浩大の報告を鵜呑みにして何故か酷く怒っている様子。 
夕鈴は無性に腹が立って怒り出した。 


「だから、皇女様が水月さんに交際を申し込んだけど、水月さんは陛下の許しがなきゃ無理だって言って・・・・その時、茂みに隠れていた私が見つかってしまったんです。 私が陛下の妃だって使節団長さんが気付いたから、水月さんと方淵殿は私を庇うためと、水月さんを諦めさせる方便で 『彼女』 ということにして、場を上手く切り抜けることに成功したんですよ!」
「・・・・・・・・・・え?」

夕鈴が真赤な顔で涙を滲ませながら陛下を睨み付けると、唖然とした顔が見て取れた。 
直ぐに小犬陛下の雰囲気が漂い、夕鈴が身体から力を抜いて 「解かりましたか?」 と訊ねると陛下は黙って頷いた。 本当に一体浩大はどんな説明をしたんだろうか? 
逆に気になって陛下に尋ねると。

「あ、いや。 水月が皇女からの熱烈アタックに蒼褪めて倒れそうになった時、突然夕鈴が水月に駆け寄り 『この人の彼女は私ですわ』 と名乗り出て、皇女の目の前で手に手を取り、見つめ合いながら夕日に向かって走り出したと・・・・」

今度は陛下の台詞に夕鈴がぽかりと口を開けて呆然とした。
こ、こ、こ、こ・・・・・・ 浩大は何を言っているんだっ!!!
直ぐに真赤な顔になりフルフルと怒りに震え出した夕鈴に気付いた陛下は、急ぎ腰に回していた腕を離して 「ゆ、夕鈴?」 と酷く慌てる。

「へ・い・か? 浩大の馬鹿な作り話を・・・ そんな馬鹿な作り話を信じたんですか? あまつさえ夕日に向かって走るって、 まだ夕刻にもなっていないのに!!」
「へ・・・? ああ、そうだ・・・・・」
「バイトとはいえ陛下の花嫁を演じている最中に、水月さんの 『彼女』 を演じたのは悪いとは思いましたが、あの場で水月さんと私が上手く逃げるのには仕方が無かったんです。 ・・・・皇女様には可哀想なことをしたとは思いますが・・・・・ 」

蒼褪めた顔で自分を見つめていた皇女を思い出し、夕鈴は俯いた。

いつか・・・ 自分もそんな顔で陛下の隣に並ぶ誰かを見るのかも知れない。
それはバイト中の後宮でなのか、バイトを終えた下町でなのか。 華やかな花吹雪の舞う中、城下をゆっくりと走る馬車の中で寄り添う陛下と正妃の姿を想像し、夕鈴は唇を噛み苦しい胸の内を、苦しい胸の思いを堪えた。 ・・・・・それはいつか来る未来。
だからといって、貴女と私は同じなのだとは皇女に伝える事は出来ない。 
ただ黙ってあの場を去るしかなかったのだ。

黙ってしまった夕鈴の肩に陛下は額を寄せた。 小さな声で 「ごめんね、夕鈴」 と呟く声が聞こえ夕鈴は溜息を吐いて苦笑した。 陛下は演技が上手いなと、悲しくなる自分に苦笑した。
臣下と妃がした演技に悋気する演技が上手くて、上手過ぎて、夕鈴は胸が痛くなる。


「本当に・・・皇女様は水月さんに一目惚れだったんでしょうね。 あんなに悲しげな表情をさせてしまい、水月さんの為とはいえ申し訳なく思います・・・・」

夕鈴が肩に乗ったままの陛下の頭に少しだけ首を傾けると、「夕鈴がそう思うことはないよ」 と声が聞こえた。 その言葉に眉を寄せた夕鈴が 「だってすごっくお辛そうな御顔をされて」 と続けて話し出そうとすると、陛下の頭がゆっくりと肩から離れていった。

「今、僕がここにこうして居られるのは如何してだと思う?」
「へっ? そ、それは浩大からの報告に、バイト妃が何をしてるんだって怒って・・・・って、違うんですか? あの、何かあったのですか?」

背後から抱き締めていた体勢を、あっという間に横抱きへと変えて陛下はやんわりとした笑顔を見せる。 部屋へ訪れた時の冷たい笑顔ではなく、『素』 の笑顔だったので夕鈴も安堵して聞いてみることが出来た。
  

「凋と共に使節団が居る会議室へ皇女らが来たのだが、意気消沈した様子と、激しく疲れ果てた様子の凋に、李順が声を掛けたんだ。 御疲れの様子ならば部屋にて宴までお休み下さいと。
・・・・李順は 『邪魔をするなら出て行け』 くらいの気持ちで言った言葉だと思うのだが、妹皇女が顔を上げた時、その顔がその場に居た皆に解かるくらい・・・」
「なっ? 何があったんですか?」
「李順にね、すごっく注視していたんだ。 頬を赤らめ、指を絡めた手を胸に当て、そして言った言葉が 『貴方様のお名前は・・・?』 と近寄って行ったから、もう可笑しくって!!」
「・・・・・・・」

夕鈴はぽかんと口を開けたまま、陛下の顔を見た。

「李順が一瞬、眉間に皺を寄せて 『ただの側近で御座います』 って告げたら、妹皇女は楚々と近寄って繰り返し名を聞こうとするから、凋がその場でとうとう倒れたんだ。 胃の辺りを押えていたから急性胃炎じゃないかな?」
「・・・・惚れっぽいのかしら。 皇女様って・・・・ 」

くすくすと哂い続ける陛下は、 「だろうねっ!」 と夕鈴に頷いた。 
陛下を見ると 「それで宴は中止となったので、早くからここに来られたんだよ」 と答えてくれた。 夕鈴がこくりと唾を飲み込み、 「それで・・・・皇女様は?」 と聞いてみると。

「姉皇女も一緒になって李順に迫っているよ。 えっとね、 『理知的な眼鏡の方は初めてです』 とか何とか言って二人掛かりで熱い視線を投げ掛けていた。 あれは見物だったけど、僕、こっちに来ちゃったっ!!」

「あ、浩大の言葉を鵜呑みにして反省してます、ごめんね夕鈴!」 と夕鈴の身体をぎゅっと抱き締めてくるから、夕鈴は 「もっ、もういいですっ!!」 と陛下の胸を押し出す。 が、反省を示そうと腕の力が更に強まり夕鈴は困惑するしかない。 身体に巻かれる腕を押し出すのを諦めて夕鈴が陛下を見ると、耳が垂れた切ない表情の小犬陛下。


・・・・・・・・駄目だ。 もう駄目だ。自分がどれだけこの表情に弱いか解かっている。


「本当に、もういいですから・・・ 陛下の言い付けを守れなかった私が悪いんです。 それに皇女も立ち直っている様子ですから・・・・ 李順さんは大変でしょうけど」

李順さんが、あの皇女様達に熱く迫られているって、陛下は興味なさそうだけどちょっと見てみたい気がする。 夕鈴はこくりと唾を飲み込むと思わず想像をしていた。
李順さんは皇女様に どういう対応を取るのだろう? 方淵みたいに? 水月みたいに?
ぐるぐる考えていると、陛下が夕鈴の両頬に手を添えて自分へと向かせる。
その顔は拗ねている様に見えて夕鈴は驚いてしまった。

「あ、あの? 陛下、どう・・・」
「李順の彼女役はしちゃ駄目だよ。 僕それは本当に嫌だな・・・」
「はあぁ? 李順さんのって、する訳ないじゃないですか! いやさせても貰えないですよっ! もう・・・馬鹿にされるのが目に見えています・・・・」

水月さんの彼女役をやったと知れば李順さんの眼鏡が白く輝き、大仰な溜息と壮絶な叱責が待っているだろう。 そんな彼の彼女役? 有り得ない。 天地が逆になっても有り得ない!!
ぶるっと、恐ろしい考えに寒気を覚えると陛下が夕鈴の身体をまた抱き締めた。

「考えるのも駄目だ、君は私の唯一の妃なんだから!」

その腕の強さに、今だけは甘えてしまおうかと夕鈴は黙って体から力を抜いた・・・・。








一週間以上経過してから水月さんはいつもの表情で出仕した。
しかし、仕事が始まると書庫と政務室を行ったり来たりして忙しそうに動き出すのが見える。 団扇で口元を隠しつつ夕鈴が首を傾げると 何時の間にか陛下が夕鈴の側に立っていた。 陛下は身を屈めると夕鈴の耳元に低い声を掛けてくる。

「他の男を熱く見つめる妃を問い質したのだが・・・・」
「・・・っ、陛下っ! ・・・っ、私が見つめているのは陛下だけですわ。 ただ、いつもと違って妙に動き回る水月さんが視界に入るのです・・・・」

陛下が近寄ったので、夕鈴は小声で妙な動きの水月の事を尋ねてみる。 
夕鈴を抱き上げると李順に 「暫し休息を取る」 と、拒否の叫びも無視して庭園へと夕鈴を連れ出した。 「陛下っ!お仕事っ!」 と暴れる夕鈴を愛しそうに抱かかえながら。



杜南国は凋の体調不良と 国王からの帰国命令もあった為、皇女がぐずるのを如何にか宥めて早々に帰国することになった。 宴を開くどころではなく、泣きわめく皇女と青筋を立てる李順と、胃部の激痛を堪える凋。 それらを視界に捉えながら必死に外交交渉だけはと、他の使節団員と白陽国官吏らが宰相の采配の元、無事に纏め上げた。

その場で外交に係わった全員の安堵の表情も、 『やっと理想のお方に御会い出来たのにっ!』 と、姉皇女のためだけに今まで動いていた私の初めての恋が割かれてしまうと、悲痛な叫び声が響き渡る中、共に姉皇女欧花までもが 『貴女が自ら誰かを欲するなんて・・・』 と共に泣き出し、皆が皆、瞑目しながら互いに挨拶を交わした。

「このような経験をするとは・・・・・」

酷く疲労した表情の李順は、それでも恭しく杜南国使節団を見送った。
皇女ら一行が大門から出た瞬間に 「この騒ぎに至った原因は?」 と冷酷な表情で原因である筈の誰かを探し始めた。 全く罪のない水月が皇女らに勝手に惚れられて、話も碌にせずに断った事であると位置づけた李順。 出仕拒否が続いていたが、やっと出て来た水月。
その後の騒ぎを知らない水月に 眼鏡の青筋魔人は大量の仕事を回したのだ。

水月は水月で、もっと休んで居たかったのだが、休み続けるとこの先恐ろしいことになるだろうと、意を決して出仕した。 一番に目を合わせたくないのは陛下。 その陛下の視線から逃れる為なら大量の仕事でも構わなかった。 頭の隅で壮大な打楽器の演奏が鳴り響く中 必死に目の前の仕事をこなしていく水月。
方淵の呆れたような視線すら、今の水月には届かない。




その後、数年たっても姉妹は杜南国で幸せに王の庇護の下暮らしているという・・・・・・。











FIN








 
  
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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

長編 | 01:22:22 | トラックバック(1) | コメント(0)
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まとめtyaiました【双の華  8】
最後、すごく長くなっちゃった。まとめたいのに、つい。むちゃぶりなまとめ方ですが、ご勘弁を。今日は飲み会があって、それでも本誌を買って読んで「激萌え」しております。もう、...
2012-06-24 Sun 05:52:20 | まとめwoネタ速neo

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