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飾り付けた鎖を君に  6
やっと陛下登場。 一番ほっとしているのは実はあお。
流れ的にじりじりしていましたから。 本当に今回長くなるので飽きずにお付き合い頂けると嬉しいです。 本当に今回の妄想はどうしてこんなに長くなるのか・・・。
萌えに嬉しい苦しみです。(ドMか!?)



では、どうぞ















押えていた手を離し、妃が驚いた顔で自分を見上げるのを喜悦の表情で見下ろす。
普段は少し高めの声を出しているが、落としたいと思った女性には低く甘い声色を使い、必ずモノにしてきた琉鴇は夕鈴の様子を見てほくそ笑んだ。 
耳に手を宛がい真赤な顔を向けてくる夕鈴に近寄り、腰掛ける椅子の背に手を置き、覆い被さる形で獲物である妃を囲い込む。

「御妃様、私は噂の貴女様を見に来たんですよ・・・・。 狼陛下唯一の妃である貴女をね。 巷では狼陛下を翻弄するという女性。 確かに普通の貴族の子女では無いようですね。 使節団が話し合いをしている間にもう一度お話をさせて頂きたいです。 そうですね、出来ましたら今度は少し長めの御時間を頂戴して頂きたく願います」

夕鈴が僅かに首を振ると、柔らかい微笑のままで琉鴇は顔を近づけて来た。

「皇女を置き去りにしたなんて知られたくはないでしょう・・・・」
「・・・・いえ、陛下は存じ上げております。 私には護衛の者がいつも傍についておりますから、何もかもお見通しで御座いますのよ。 ですから琉鴇様のこのような態度も、陛下には後で報告されるでしょう。 急ぎ、私から離れた方が懸命ですわよ?」

先程まで真赤な顔を向けていた妃の表情が明らかに変わった。 
小さく息を吐いたあと落ち着いた態度に変化し、穏やかな声で返答をしてきた妃に目を瞠り、椅子の背凭れから手を離して琉鴇は大きく一歩夕鈴から離れた。

嘘か本当か真偽の程は判らないが、目の前の妃の言葉がもし本当だとしたら狼陛下を敵に回してしまう。 それだけは避けたい。 狼陛下が恐ろしいだけではなく、峯山国の父王や兄達にどれだけ迷惑を掛けるか、そしてどれだけ小言を言われるか、重々解かっているから。

過去 未亡人や人妻、侍女など数多の女性に手を出したために幾度も叱責を受け、無理やり科挙の試験を受けるように厳しく言われた。 科挙に受からなければ皇子の籍を剥奪すると言われ必死に勉強をして官吏となった身。 また次に叱責を受けたら今度こそ皇子の籍を剥奪された上に、今度は国からも追い出されるかも知れない。 
そこまで考えると、蒼褪めた琉鴇は更に一歩大きく妃から退いた。

そして、夕鈴の瞳の強さに胸が締め付けられるような痛みを感じ、ひどく動揺した。

微笑みも無く、頬も染めず、真っ直ぐに自分を見る妃の瞳に何故か居た堪れなくなる。
急に自分の言った台詞が恥ずかしくなり、何を彼女にしようとしていたのかを思い出した彼は、自分が紡いだ言葉を取り消したいとさえ思った。


夕鈴は峯山国の第三皇子と聞き心底驚いたが、その後の彼の瞳が見慣れた視線であると気付いた瞬間、すうっと気持ちが落ち着くのを感じていた。 
その瞳は貴族特有の見下すようなものだと知っているから。 
過去の刺客からも同じような視線を感じたことがあるわねと、そう思いながら皇子を見ると、もう自分の顔が赤らむことは無いと知った。 
梓蘭皇女と同じ鼻筋に口元。 髪や目が違うのは母親が違うせいなのかしら? 
でも話し方は同じ 『上から』 だな・・・・。 ただ彼の声は・・・・・ 声は苦手だ。

夕鈴が言った言葉は半分ハッタリだが、たぶん浩大は傍にいるだろう。
危険がない限り浩大は姿は見せないだろうが、峯山国の使節団副団長と皇女と四阿に居ると李順さんからも聞いているだろうし、そうでなくとも浩大は常に護衛をしてくれている。 
後宮内でも、下町にいても。
そして、夕鈴が言った言葉に琉鴇が直ぐに反応を示したので、心の中で安堵した。
夕鈴の言葉で彼が下がってくれたら、何事も無く話し合いの場に戻ってくれたら・・・・。
心臓が早鐘を打つ中、それでも妃らしく夕鈴は背を正して琉鴇を見つめていた。


琉鴇は真っ直ぐに自分を見据える妃を見つめていた。 今まで相手していた女性は誰もが自分の声音だけで腰を砕かせて熱い視線をねっとりと向けてくるというのに。 
目の前の妃は確かに自分の声音に腰が砕けた状態になり真赤な顔で自分を見つめていた。 
それなのに今は迷い無い瞳で強く自分を見つめている。 
その瞳が琉鴇を責めているように見え、思わず視線を逸らしていた。


「我が妃はここか。 余殿と御一緒とは・・・・。 おや皇女はどちらに?」

夕鈴の背後から砂利を踏み付ける音と共に陛下の声が聞こえてきた。 陛下の低く響く声に夕鈴が振り向き、その姿に、表情に安堵するよりも一気に蒼褪めてしまう。 
そこには使節団には見せたくない、余りにも冷やかな表情の狼陛下が立っていたからだ。

黒に近い濃紺の衣装を身に纏い、両腕を組んだ陛下は昏いオーラを背負っているように見え、紅い目を細め睨み付けるように四阿の夕鈴らを見つめている。 
怒りを抑えているようなその表情は冷たく、夕鈴は薄く開いた口を戦慄かせた。

「これは珀陛下。 梓蘭皇女様は先程払暁殿へと御戻りなさいましたが、私は御妃様と少々お話をさせて頂いておりました・・・・」

ゆっくりと拱手し陛下へ頭を下げながら、琉鴇は本当に隠密が居て陛下へと四阿へ来るように伝えたのだろうかと考えた。 それなら自分が第三皇子であることも、妃に必要以上に近づいたことも知られているのかと身震いするのを、表面には出さずに短く説明をして沈黙することにした。 夕鈴は琉鴇の言葉に少し驚いたが、確かにその通りだと陛下に頷いて見せた。

「我が妃と話とは・・・・。 それは使節団の仕事ではないな。 話し合いの場に戻ることを勧める。 あと余殿が勝手に献上した最後の品は受け取れないと再度お伝えしておこう。 私の妃は、彼女ひとりで良い」

四阿の椅子に腰掛ける夕鈴に近付いた陛下は、妖艶な笑みを浮かべて夕鈴の手を持ち上げた。 狼の視線を受けて夕鈴は強張った笑みを浮かべて陛下の傍らに立ち上がる。

「では、私は会議の場へと戻ることにしましょう。 御妃様、梓蘭様との歓談ありがとう御座いました。 改めて御礼を申し上げさせて頂きます」
 
陛下の言葉を受けて琉鴇は踵を返して場を離れることにした。 
陛下から告げられた後半の内容には触れず、もう一度頭を下げて会議の間へと向かって行く。










「・・・・・で、夕鈴。 何故彼と二人きりになっていたのか説明して貰いたい。 確か皇女と話すだけではなかったのか? 皇女は居ないのに彼と二人きりなんて、君は危険というものを解かっていないのか?」

握られた手に力が入り、夕鈴は顔を顰めた。 確かに妃が他国の男性と二人きりで四阿に居たのだから陛下に咎められても仕方が無いとは思う。 だけど夕鈴が望んで二人きりになった訳ではないのだから、怒られるのは不条理だと考え、陛下を睨み上げた。

「では、説明させて頂きますっ! ちょっと政務室で問題があり、急遽顔を出すことになったんです。 そ、そこは怒らないで下さい。 官吏さんたちだって自分達ではどうしようもなくなって、仕方なしに私を呼び出すことになったんですから。 で、皇女様を置き去りにしていたので、問題解決後に慌てて四阿に戻って来たら、もう皇女様は居なくなっていて・・・・・。 仕方なく茶器の片付けを始めたら副団長様が来て、本当は・・・・・ 」

陛下に説明している内に涙が滲んできた。 
副団長が本当は身分を隠しているが峯山国の第三皇子だという事を陛下に伝えていいのかも解からないし、陛下に強く握られた手も痺れてきて、第一なんでそんなに怒っているのか腹が立ってきて、そもそも皇女みたいに綺麗な人が正妃候補って・・・・。  
ぐるぐる考えていると ふと頭の中に皇女に言われた台詞が甦ってきた。

 『たった一人の妃で毎夜満足されているなんて』

ぽんっと音が出るほど顔を真っ赤に染めた夕鈴は、顔を俯かせて慌てた。

「兎に角、ここで二人きりになったのは、ワザとではありませんが、そのまま居続けたのは駄目でしたっ! 申し訳ありません! では、直ぐに部屋に戻りますから!」

だから手を離して欲しいと夕鈴が腕を振り解こうとすると、逆に引き寄せられて陛下の胸に捕らわれた。 突然胸に捕らわれて息を呑む夕鈴の背を、強く陛下の手が押えつける。

「夕鈴・・・・ 何故顔を赤らめる? 奴に何かされたのか?」
「なっ、そんなことはありませんっ! 浩大が見ていたのでしょう? だから陛下もここに来たのでしょうから、本当は全部判っているはずですよねっ!」

陛下の胸に手を当てて離れようと押してみるが、ビクとも動かない。 それどころか膝裏に手が廻りそのまま抱き上げられてしまい、四阿の椅子に移動すると陛下の膝の上に座らされてしまった。 驚いて夕鈴が陛下を見ると眉間に皺を寄せた顔が見下ろしているのが判る。 

「確かに浩大から報告があり、四阿で夕鈴が副団長と二人きりになったと聞いたから足を運んだ。 何を話していたのかは聞いていないし、夕鈴の態度が奇怪しいから ・・・・・・・・・・心配したんだ。 皇女とのお茶といっても楽しいものでは無いだろうし、奴は謁見の間で夕鈴のことを不躾なまでに見ていたし・・・・・。 何かあったのかと心配したんだ・・・・」

頭を押さえられた状態で聞こえてくる声に、夕鈴は陛下の心配が判り、力が抜けた。
小犬の声音に、滲んでいた涙がぽろりと零れてしまい、そっと拭いながら微笑を見せる。

「有り難う御座います。 ・・・・本当はちょっと居た堪れなかったんです。 皇女様とどの様な話をしたらいいのか全く見当つかなくって。 正直 官吏の方が私を呼びに来てくれて助かった気持ちもあります。 皇女様の相手を最後までしなかったことは、あとで李順さんに怒られても仕方がありませんけど・・・・ 」

夕鈴が正直に話すと陛下が苦笑した。 
「大丈夫だよ。 逆に政務にまで気を使わせて悪かったね」 と言われ安堵した。
安堵した夕鈴はつい言わなくてもいいことまで、ぽろりと零してしまう。

「あの方の声には本当に驚きましたけど・・・・・」
「・・・・声? 言葉じゃなくて、声? どういうことだ、夕鈴」
「あ・・・・」

口を押えたけど、もう遅い。 瞬時に顔色が変わった夕鈴の頤を掴み上げた陛下は紅い目を細めて夕鈴に問い質す。 夕鈴の視線が外されたのを許さないとばかりに、更に頤を持ち上げて自分に向けさせる。 動揺する瞳を捉えると昏い笑みを零して答えるように促してきた。

「~~~~~っ! 耳にっ、耳の近くで話しかけられて驚いただけですっ!」
「耳の近くで? そんなに近くに奴は近寄ったのか!」
「で、でも陛下だって同じことするじゃないですかっ! 王族の人ってそういう人ばかりなんですか? って、・・・・・あっ」

夕鈴が口を押えたので陛下は気付いたようだ。 訝しむ表情で夕鈴を見下ろすと 「何故?」 と短く聞いてきた。 夕鈴は頤を掴む陛下の手を外して肩を落とした。

「ご本人様が仰っておりました。 自分は峯山国の第三皇子であると」
「ふぅん・・・・。 自ら夕鈴に話したか。 それは如何謂うことなのか・・・・」
「存じませんっ! 兎も角それだけです。 他には何もされていませんから、大丈夫ですからっ! もう膝の上から下ろして下さい。 陛下はお仕事中でしょ?」

陛下が副団長の身分を知っていたと解かっても驚きは少なかった。 ああ、やっぱりと思っただけだ。 それよりも膝の上に自分が何時までも居ることの方が恥ずかしくて困った事態だと夕鈴はわたわたと抗う。 すると陛下が夕鈴の頬に手を宛がい、耳元に唇を近づけて。

「・・・夕鈴が判っていないだけで、君は僕を翻弄しているんだよ。 政務よりも君の方が大事なんだ・・・。 それを判っているのか、夕鈴」

甘く低い声が夕鈴の耳元で響く。 陛下の唇が夕鈴の耳朶に触れた感触がして夕鈴は腰にぞわっと寒気に似たものを感じ全身に鳥肌が立つ。 力が抜けてしまい、琉鴇とは異なる脱力感に襲われる。 陛下の胸に頭を凭れて 「そ、その声は・・・・」 と呟いた。

「ねえ、奴の声と僕の声、どっちが好み?」
「・・・・ず、ずるいです・・・。 もっ、耳元で狼陛下の・・・・」
「ねえ、夕鈴。 どっちの声が好みなの? ねえ」

脱力した夕鈴は涙目で陛下を見上げた。 
顔だけでなく耳も首も指先までも深紅に染まっている夕鈴に、陛下は満面の笑みを浮かべる。 
夕鈴に聞かなくても答えは出ているだろうと、それでも彼女の口から答えが聞きたくて何度も強要していると、膝上の妃からガタガタと震えが伝わって来て・・・・・。 
その顔を覗くと眉間に皺を寄せており、どう見ても自分を睨み付けているように見える。

「・・・・陛下は本来お仕事中ですよね? 人の耳で遊んでいる場合じゃないですよね? どっちの声でも、王族でも、関係ありませんっ! ちゃんと仕事をして下さいっ!!」

ああ、もう時間切れか。 これ以上の追求は無理かと諦めるしかない。 
取り合えず奴の声に驚いただけで 気持ちが傾いた訳でもなさそうだと自分を納得させ、怒り出した夕鈴を抱えて後宮へと向かった。 腕の中で 「あ、歩けますから!」 と騒ぐから、もう一度耳元で 「愛しい妃を抱き上げて居たいんだ」 と低く囁いてみると腕の中で大きく夕鈴が震えのが判る。

「・・・・・・わ・・・ 解かりました・・・・ おねがいします」
「うんっ! 後でゆっくり夕鈴の好みを聞かせてねっ!」

夕鈴からの返事はなかったけど僕に凭れ掛かる夕鈴が襟をきゅっと掴んだから、それだけで良しとしておくことにした。 







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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

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