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兎の閨房  1
もしもシリーズです。成婚後の夕鈴正妃設定です。 多少、本当に多少ですが、Rぽい文章があります。それでもいいよという方のみ、お読み下さい。



では、どうぞ















「 張老師、お邪魔致します・・・え?」
「・・・・・うぐぐぅ・・・」

後宮管理人に呼ばれたので部屋に訪れると老師が卓の下で蹲っているのが目に入る。
急ぎ近寄ると腰を押さえていて、どうしたのかと尋ねると 「ぎ、ぎっくり腰に・・・」 とか弱い呻き声をあげた。 そっと腰に触れただけでも、老師が痛みで悲鳴を上げる。 
酷く痛むようで額には脂汗が滲んでいるのがわかり、何処をどう触っていいのか困った夕鈴は声を張り上げた。

「ねぇ!! 浩大、いるの?」
「いるよ、お妃ちゃん。 どーした? ・・・あやや。 張のじーちゃん、腰か?」
「お願いよ、すぐに侍医に診せてあげなきゃ!」

「仕方がねえな」 と浩大が痛みに大騒ぎする老師をひょいと担ぎ上げ、後宮管理人の私室へと運んで行く。 振り向いた浩大に侍医を呼び出すから、部屋の片付けをお願いと言われ、夕鈴はもちろん了承した。 

しかし何をしていて腰が痛んだのか、壁に備え付けられた書架と卓の間の床には数本もの書簡がばら撒かれており、いつもの書庫と違い、何処に何を片付けて良いのか範疇にないことに戸惑ってしまう。 下手に触って、あとで老師が苦労するのは申し訳ない。
取り敢えず床上の書簡を巻き直しながら部類ごとに纏めておこうと、一つの書簡を紐解いた。


そこには・・・・。



「・・・っ!!!」

な、な、な、な・・・ 何これ! 
閨房術・・・って。 ね、閨の睦言お勧め集って。
わぁっ! だ、駄目だぁ!


夕鈴は慌てて書簡を放り投げた。 
後宮立ち入り禁止区域の一室、監理人の室床に放り出された巻物が長く伸び、そのままでは駄目だろうと、片目を覆いながら広がった書簡に近付いた。
開かれた書簡にそっと視線を落とすと、後宮での閨事が詳細に記載されていて、拾い上げることなど出来ないと真赤な顔を叛けた夕鈴は部屋から逃げ出そうと踵を返そうとして固まる。 
流石に長く伸びてしまった書簡を其の侭にはしておけず、逡巡したあと仕方がないと手を伸ばし、ふと描かれた絵を目にした夕鈴の手が止まってしまった。


な、な、何しているの、この人達!!
・・・・こっちは男性よね? で、こっちが女性?
反対じゃないの? え? 何故この体勢なの? 無理でしょ・・・・? 
こっちは・・・陰唇・・・って、・・・陰茎って・・・。

「・・・・っ!!?」

ガタガタと震え出した夕鈴は、それでも巻物から目が離せなくなっていた。 
図解してある部分は所謂 『口淫』 の章。 
見目麗しい女性が男性性器を握り締めて口元へと寄せている。 その説明部分の文章を目にしても今の夕鈴には難解な文字が躍っているとしか思えなかった。
震える手で書簡を持ち、泳ぐ眼でその文章をなぞっていく。

え? 陰・・・茎を柔らかく持ち・・・って触るの? 直に?
で、・・・・を滑らかに手で手淫し・・・。 手淫って何? 
・・・の硬さ充分に・・・・って、いつもの状態が解からないし!
充分な硬さってどの位なのよ? 鈴口に舌を宛がい・・・・ 鈴に口があるの? 
手で裏筋を・・・・ 裏に筋って? それに この絵は何????
一度・・・吐精させてって? 手の動きに注意って?
濃い精を賜りたくば・・・ 見極めて・・・へと導き・・・ 意味が解からない。
あああっ、絵が生々しすぎて直視出来ない。
え? 男性の胸を・・・乳首を舐める?? で、出来ないわよ、そんな事!!
で、脇腹を舐るように舐め・・・・ 無理っ!!
そして、手で押さえた陰茎に・・・ぃぃぃいいい????


ピーーーーーチッチチィ・・・



後宮庭で鳴く鳥の声に夕鈴ははっとして書簡から目を離した。 
一気に正気に戻ると慌てて書簡を丸め、適当な書架へと押し入れる。 鳥の声に心臓が飛び出たかと思うほど動悸がして指先までが震えてしまい、どうやったら治まるのか見当がつかない。

もしも、誰かに今の光景を見られたら・・・・。
絶対に死んじゃう・・・・!

夕鈴は本気でそう思った。 頬が熱く火照っているのが自分でも判る。 老師の腰の痛みを思い出し、早く書簡を片付けて老師の元へ足を向けようと思うが震えた足は思うように動いてくれない。 それでも如何にか摺足で動かすと、足元に他の書簡が触れた。
視線を下げると似たような絵が描かれているのを見つけてしまい、何故か、吸寄せられるように手がその書簡を持ち上げた。 そこには艶かしい男女が重なり合う体位が描かれており、目を逸らしたくなったが、その先に目を奪われるような文章が書かれていることに気付く。


『閨房術とは氏族の女性に課せられたひとつの習得すべき積極的に主君を喜ばせる為の技』 と記され、 『殿方が武勇を競い領地を広げるならば、後宮での女性の戦場は寝所である』 と書かれていた。

閨では正妃、妾妃ともに、どのように陛下を喜ばせるかの性技勝負の場になるとあり、これは、そのための性技の書であると続いている。 また正統な血筋を残すため、跡継ぎを残すために寵を賜ることは至極当たり前である。 と共に、後宮での妃としての格付けにもなっていたと。
陛下が同じ妃に渡るということは技の多さと情愛の深さを知ることとなると。
男女の中は添ってから育むもので、互いを想い合うようになると最終到達点であると。
まずは主君である陛下のために、どれだけの技を習得し披露出来るか勉強を行なうべきであり、そのための指南書であると書簡には記されている。


深紅に染まっていた夕鈴の頬は何時しか蒼褪めるほどになり、先程とは違う震えに襲われる。
何も知らず、いつも陛下に流されているだけの自分を思い返した。

出来る出来ないじゃなく、妃は私だけで良いと言ってくれた陛下のために、例えどんなことでも自分が出来ることを勉強して披露しなければ、過去に後宮で暮らしていたたくさんの妃達に申し訳ないじゃないかと思えた。 焦る必要はないだろう、自分が出来ることを少しずつでいい。 出来ることから少しずつでいいから勉強をしなければ、たった一人の妃として余りにも恥ずかしい。
そして御世継ぎを産み、王宮で働く全ての臣下と白陽国の民に安心して貰える妃になり、後継者を育てなければならない。 それが『正妃』としての仕事なのだと自覚しなければならない。

でも流石にこれを部屋に持ち帰る訳にはいかないと、必死に文章を読み、出来そうな技を覚えようと目を凝らす。 難解な文章と文字に頭を捻りながら、時に眩暈を覚えそうな絵図に恥らいながら、それでも夕鈴は真剣に読み進めていた。


浩大が老師の部屋へ侍医を呼び終え、夕鈴の様子を見に行くと、ぶつぶつと真剣な顔で書簡を読んでいる妃に 「熱心に勉強中か~」 と周囲警護のため、一旦場を離れて行く。

もし、夕鈴が必死に覚えようとしている閨房術の書簡に気付いていたら 浩大は間違いなく読むことを中止させていただろう。 今までと違う性技を、何処で知り得たのかと機嫌が悪くなる陛下は想像に容易い。 そして老師の命が・・・・・。

しかし、浩大は気付かなかった。













「夕鈴、老師ぎっくり腰だって? 何か無理して持ち上げようとしたのかな」
「そうですね・・・・」
「季節の変わり目だし、歳だから無理せずともいいのに」
「そうですね・・・・」
「李順も引退を勧めたことがあるんだけど、頑固でね」
「そうですね・・・・」

黎翔が夕鈴を見ると、茶杯を持ったまま何処か遠くに気持ちを馳せていることに気付いた。 手を翳して目の前で振ると、ようやく夕鈴が視線を現実に戻してくれる。 呆けた表情で僕を見ると、不思議そうに首を傾げるから、同じように傾げてみた。

「何ですか? どうかしましたか?」
「・・・夕鈴、今 何考えていた?」

自分の何気ない言葉に、首を傾けたまま真っ赤に染まる夕鈴を見て黎翔は驚いてしまう。

「夕鈴、顔が真赤だよ。・・・・もしかして閨のことでも考えている?」
「なっ、いやっ、そのっ・・・ いえ、そ、そうですっ!!」
「・・・え? うそ」

真赤な夕鈴は僕の顔を見て、パクパクと口を開け、まるで池の鯉のように見える。
冗談で言ってみた 『閨』 が、まさか本当に夕鈴の考えていたこと? 
もしかして僕の言葉が上手く伝わらなかったのかなと夕鈴の手を握ると、飛び跳ねるように一度大きく震え、その後におずおぞと寄り添って来た。

正妃になっても変わらない恥ずかしがり屋の夕鈴。
いつもなら 『閨』 のことを言うだけで真っ赤になって黙り込んだり、深紅になって戦慄いて涙目になるのに、今日に限って僕に身体を預け、しどけなく寄り添うなんて一体どうしたんだろう? 思わず額に手を当てると少し熱い気がする。

「夕鈴、熱っぽいかな? 侍医を呼ぼうか?」
「・・・っ、いえ、大丈夫ですっ!」
「君が知らない疲労が溜まっているのかも知れない。 侍医を呼ばなくてもいいと言うなら、早めに休むことだ。 僕は仕事が残っているから執務室にまた戻らなきゃならならないが、君はゆっくり休んで、明日また元気な顔を見せてくれ」

優しい陛下の言葉に夕鈴は戸惑ったが、項垂れると 「はい、休みます」 と小さく答えた。

確かに書簡は衝撃的な内容であったし、勉強し始めたばかり。 お妃教育に誰も其処まで突っ込んだ指導はしてくれなかったし・・・・  (そこまで指導したら陛下に殺される)
閨のこと自体、自分自身も興味がなかった。 
全ての初めてが陛下で、指導も指南も陛下自身から閨で教わるばかり。
(翻弄されているともいうが)
陛下を導くなんて、あの本を知るまで思いもしなかったし、女性が男性を気持ち良くする方法があるなんて、目から鱗だ。 まだ書簡を思い出しただけで真っ赤になるし、指先が震えてしまう。

でも、やると決めたからには努力をしなきゃ!!








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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

もしもシリーズ | 00:25:40 | トラックバック(0) | コメント(0)
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