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兎の閨房  2
暑いっ!!!! ばてるっ! 水分摂るから汗が滝のように流れます。汗が目に入るとめちゃ痛い! 汗臭いし、だるくなるし。エアコンの設定を下げてくれ! 企業で取り組む節電設定なんて・・・・ くうっ!
「もしもシリーズ」成婚後、夕鈴正妃設定です。 


では、どうぞ。






















「老師、御加減はいかがでしょうか?」
「・・・・しばらくは動けん・・・・ この歳じゃ、あちこちガタが来ているのじゃ! だから早く御世継ぎを、御世継ぎを抱かせ・・・・っ 痛っ!」

寝台の上で息を詰めて痛みを堪える老師は、眉間に皺を寄せた顔を少しだけずらして夕鈴に見せた。 ガタが来ているというが、腰の他は至って健康と侍医よりお墨付きを貰っているこの老体は、寝台の上で 『御世継ぎを~~』 と大きな声で唸るほど元気だ。
ただ、やはり腰の痛みは辛いようで、じっとりと油汗が滲み出ているのが見て取れる。

「・・・・老師様、叫ぶと余計に痛みますよ。 それより倒れていた部屋の書簡ですが、まとめて部屋の片隅に置きますので、お元気になられたら御自身で片付けて下さいませ。 何処にどう片付けたら良いのか、私には判りませんから」

書簡を思い出し頬を染めた夕鈴を見て、片眉を上げた老師が小さく鼻を鳴らした。

「あれらの書簡はお前さんがよく読んでから纏めて置いてくれ。 多少は役に立つじゃろうて。 いろいろな見聞を深めるのも正妃としての務めじゃ!」

動けるようになったら、しばらく温泉のある離宮に行くから好きに読めと言われ、夕鈴は戸惑いながらも老師に小さく小さく頷いた。

「では、さっそく読みますねー!」 と返事は出来ないが、きっと何度か目を通すだろう。
昨日ちらっと見ただけでは、陛下のために如何すればいいのか見当も付かない。 
下町でも女友達とそこまで深い話しをする暇がなかったし、バイトに明け暮れて、青慎の心配ばかりしていたから、その方面には疎い自分だと自覚もしている。
老師の言う通り勉強出来るなら、しておこうかと夕鈴は小さく息を吐いた。 
後宮にいる以上、閨に関しても知らないとは謂えない立場なのだから。


夕鈴は見舞いを終えて、未だ書簡が放置されている部屋へと足を踏み入れる。
それだけで頬が紅潮してくるのだが、それを堪えて床上の書簡を全て卓へと移した。
箱に仕分けするために ひとつひとつの書簡を紐解き、中を確認していく。
閨房に関する書簡ばかりではない為、開いて見てもいいのか戸惑いながら、それでも春画のような絵が出てこない限りは 動揺も少なく作業を進める事が出来た。 大まかではあるが閨房、房中術に関する書簡と、王宮の歴史に関するもの、後宮の歴史に関するものに仕分け出来た夕鈴は、卓にひとつの書簡を広げた。
無作為に選んだ書簡には、男性への奉仕について書かれていた。


一度目を強く瞑った夕鈴は深呼吸をしてから、ゆっくりと目を開く。
書簡には図解と共に男性への奉仕について、事細かに書かれていた。 くらりと眩暈を感じたが、必要な事なんだと自分を叱咤して読み進めていく。 赤くなったり青くなったりしながら夕鈴は時間の経過も忘れて読み進めていた。




自室に戻った夕鈴は早々に侍女を退室させ、一人で湯浴みをした。 大湯殿は使わず部屋にある簡易の湯船で汗を流しサッパリした後、自分で熱いお茶を淹れる。 
深い溜息を吐き、ゆっくりお茶を飲むと、漸く全身から力が抜けていった。

「知らないことが多過ぎる・・・・・・」

閨房に関する書簡の内容を思い出すだけで赤面するが、反対にそれだけの努力をしても時の権力者に飽きられたら、後宮では立場も寵愛も、背後にある親族の名誉も全て失ってしまうと解かり悲しくなった。

・・・・・・もし、私が普通の貴族の子女だったら当たり前の指南として勉強していたのか。
紅珠も氾家の息女であるからには閨房のことは一通り勉強しているのだろう。 あの歳だが、房中術の何たるかを熟知しているかも知れない。 陛下に初めて出会った頃あれだけ後宮に入りたいと夕鈴を翻弄していたくらいだ、後宮での自分の位置と立場を理解しているのだろう。

自分だけがそれを知らず、陛下に頼り切っていた。 正妃教育はしているが、陛下のために自分が出来ることなど知れている。
老師から聞いた華やかなだけではない後宮。 唯一人の御方の為だけの後宮。
そこで犇めく女同士の権力争いと寵愛を求めての激しくも醜い争い。 

それを夕鈴の愛しい人は好まないと、私だけで好いと言ってくれている。 
このまま甘えるだけでは駄目だと思い知った。 でも・・・・・自分に出来るのか?
出来た方が陛下は喜ぶだろうし、寵愛だけが今の夕鈴の支えなのだから それに答えるのは私の務めなのだろう。 恥ずかしいから厭だ、では陛下の支えにはならない。 
求められているのだから、応えなければ。



自分から陛下を求めた事はなかった。 それは恥ずかしい事だと勝手に思い込んでいた。
本来の後宮においては自らが動かなければ唯一人の人の寵愛を受けられない場所。 
香や視線、衣装や傍付きへの賄賂などで唯一人の人を陥落しようと、寵愛を賜ろうと 日々女の争いが耐えない場所。 その後宮で、寝所へと彼の人を導く努力は恐ろしい程のものだっただろう。
そして、今、ここに妃は私だけ。
安穏と受け入れるだけの日々だが、いつ陛下の気持ちが変わるとも知れない。

ただのマグロではいけない!!

夕鈴は心臓が飛び出しそうな思いで、閨房の内容を繰り返し思い返していた。
媚薬なんか使わずとも、陛下に触れられるだけで濡れてしまうこの身体。 そうされてしまう事に抗いもせず、ただ翻弄されていたが 今度は自分が陛下を翻弄させる番なのだ。

気負い充分な夕鈴だが、握り締める拳は震え、目には涙が浮かんでくる。
決心とは裏腹に寒気を覚え、眉根を寄せて夕鈴はお茶を飲んだ。









***









執務室で筆を取っていた黎翔は、ふと手を止めた。 
昨夜の夕鈴の様子を思い出し困惑の表情で口を尖らせる。 陛下の手が止まったのを横目で確認した李順が次の書簡を広げながら、聞えるように小さく咳払いをする。 睨み付けるように顔を上げる陛下に、李順は眉間に皺を寄せた。

「どうせ、夕鈴殿、いえ、お后様のこととは存じますが、さっさと仕事を終わらせてからにして欲しいものです。 滞って困るのは陛下ですからね」

辛辣に陛下へと進言すると書簡が入った箱を提示した。 嫌な顔を向けるも李順は仕方がないでしょうとばかりに眼鏡を持ち上げ、卓上の書簡へと印を押す場所を指差す。 黎翔が黙って印を押すと、書簡を持ち上げ丸めて次の書簡を手渡した。

「なんか、閨のことで悩んでいるみたいでさー。 詳しく聞ける雰囲気じゃなかったし、仕事も立て込んでいたから 昨夜は様子を見ていたけど・・・・」
「ほぅ。 それはもしや 『閨でしつこい陛下が嫌だ』 と言いたいとか?」

じろりと睨むも李順は冷静な表情を崩さずに次の書簡を広げ始めた。

「・・・・しつこくなんか・・・・・」
「まあ、老師なら直ぐに 『正妃一人で大変なら、数人の側室を用意しましょう』 と言い出すでしょうね。 お后の身が持たない程に執拗にお求めになられているのでしたら、側室を用意するもいいでしょう。 しかし夕鈴殿がどう御思いになるか。 ・・・・御承知でしょうね?」

万が一にもそんな話が彼女の耳に入れば酷く打ち拉がれ、下手すると実家に帰ることになる。
そうなれば当たり前のように陛下も下町に逗留し、彼女の機嫌を治すために奔走するだろう。
政務が滞るのは目に見えている。
だから先に釘を刺す必要があると李順は厳しい言葉を陛下に告げる。

「お后の悩みが閨なのでしたら、改善策は陛下に有るのではないでしょうか? 御夫婦の悩みを執務室にまで持ち込まないで下さいね」
「悩みか・・・・・。 そんなに僕、しつこい・・・・かな」

陛下は書簡に署名をしながら、嘆息を零す。


僕だけが悪いんじゃない。 
寝台の上でしどけなく身を捩る夕鈴が僕を煽るから、つい手が伸びてしまうのだと陛下は口を尖らせる。 快感を知った夕鈴の身体が切ない程に僕を求め、締め付けてくるのだから仕方が無いじゃないか。 
彼女の肌の香りも、吐息も、嬌声も知れば知るほど狂おしい程に僕を捕縛し、彼女を強く求めてしまう。 強く求めても、優しく嬲っても、夕鈴は身を震わせながら悦びを表してくれる。
確かに 「もう・・・赦して・・・」 と言わせるほど翻弄してしまうし、気を失わせるほどに求めたことも多々あるし、次の日は声が嗄れ、足腰が立てない程にさせたことも度々だ。 
その都度夕鈴には睨まれるが、嫌われていないことは解っている。

でも・・・・・その優しさに付け入っているのか?
本当は 『しつこい』 と思われているのか?


ちょとだけ陛下は戸惑った顔で次の書簡を広げた。














「・・・・夕鈴、遅い時間にごめんね。 起きていた?」

夕餉も終わり、連日の政務で遅くなる陛下を一人居間で待っていた夕鈴は、いつものように部屋に訪れた陛下に いつものように柔らかい笑みを向けた。 

「お疲れ様です、陛下。 連日お忙しそうですが、明日も忙しいのですか?」
「いや、明日は午前中少し遅い時間に謁見があるけど、山のような書簡は大方片付けて来たよ。 李順も少しは効率の良い仕事配分を考えて欲しいな~」
「・・・・では、御酒を用意致しましょう」

明日に響かないように僕の予定を聞いてから酒の用意をする。 そんな夕鈴の心遣いを嬉しく思い、自分は絶対に愛されていると確信した。 湯上がりなのだろう、しっとりと濡れたままの髪が動くたびに纏まって揺れる。 「どうぞ・・・」 と差し出した杯に注がれる酒は隣国からの献上品。

「これは果実酒だね。 あ、夕鈴も珠には少し口を付けてみる?」
「いえ、私は・・・・。 でも・・・珠には良いでしょうか」

頬を染めた夕鈴が自分の分と杯を取りに立ち上がる。 声を掛けてはみたものの、普段は酒を飲むことがない。 珍しいこともあるものだと陛下が夕鈴を目で追う。

これから自分が行なうことを考え、夕鈴は震えないようにするだけで必死だった。 
明日は多少遅くても大丈夫と聞き、酒を勧めた。 陛下に勧められたから素直に自分も呑むことにした。 酒の力でも借りなきゃ、とてもじゃないが出来ないだろう!と強張る頬を押える。 素ではとてもじゃないが、自分の考えを実行するのは躊躇われた。
それでもやると決めたからには、最大の努力をするのだ!
 
杯を持つ手が知らず震えるのを如何にか止め、陛下に酒を注いで貰い、夕鈴は少し口にした。 

「ん、やっぱりお酒ですね。 甘いけど沢山は飲めそうもないです。」

くすくす笑いながら夕鈴はそれでも口に杯を運ぶ。
酔わなければ此の先には進めない自分を知っているからだ。 

珍しく酒を口にする夕鈴を見ながら杯を重ねつつ 黎翔はいつものように閨に誘って良いのかと静かに悩んでいた。 

『閨でしつこい陛下』 

李順に言われた台詞がこんなに堪えるとは思ってもいなかったが、もし本人に問うて、そうだと涙目で言われたら・・・・・・。
父王や兄を鑑みても、自分も淡白な方ではないと判っている。
王の血筋を残すためか、血統に刻み込まれた性欲の強さが少しだけ悔やまれる。
いや、まだ本人から辛いと言われた訳ではないのだから、いつものように抱き締めようかと考えるも、やはり躊躇してしまう。 自分でも驚くが、夕鈴に対して こんなに臆病になる自分に苦笑してしまう程だ。

「無理して飲まないでね。 夕鈴は酒癖が悪いから」
「え・・・? あ、離宮でのことですね? あ、あれは陛下に風邪をひかせては駄目って思っていたんです。 酒癖が悪いまで言われるのは心外です。 でも起きた時の頭痛には困りました。 寝台に横になってからのことも記憶にはないですしね」

困った顔で笑いながら夕鈴が肩の力を抜くと、陛下も頷きながら杯を傾けた。

「まあ、暴れた訳じゃなかったけど、頭痛があったなら弱いと思って自重した方がいい。 もう、止めておいたら?」
「杯に入っている分だけは飲んじゃいます。 折角の献上品ですし」

たった数口だけなのに、それでも頬は紅潮して身体が揺れ始めた夕鈴を見て、もう限界だろうと思えた。 甘みはあって確かに飲み易いが酒の度数は高いからな・・・と、黎翔が杯を取り上げようとしたが、それに気付いたのか夕鈴が一気に飲み干すから、眉間に皺を寄せる。 

「夕鈴、最近 何を考えている?」
「・・・・何を? う、ん。 ・・・陛下のことを・・・」

その問いに首を傾けた夕鈴は、頬を染め上げ、潤んだ瞳で僕を見上げるから正直どうしようかと困ってしまう。 弱い癖に呑むからと言っても、後の祭りだ。 
とろんとした瞳が酔っていることを示しており、これ以上は話しをしても無駄だろうと判る。 夕鈴を抱き上げて寝所に向かうと、するりと手が伸びて、首に巻きついた。 
こういう時は素直なんだよな~と微笑みながら寝所へ運び、寝かせると頭を撫でる。


「結構、強い酒だよ。明日は頭痛がするかもね」
「今は痛くありませんから・・・・」

寝かせた夕鈴が体を捩って僕の袖を掴んだ。 潤んだ瞳が寝台を照らす常夜灯に照らされ、艶かしく誘っているように見える。 黎翔は苦笑した顔が強張るのを感じながら、もう一度優しく頭を撫で 「明日、辛くなるから・・・・」 と早く寝るように告げた。 

僕の言葉と態度に夕鈴は寝台から飛び起きると、縋るように手を伸ばし、そしてその手が僕の首へと回り、強くしがみ付いてきた。 どうしたんだろうと鼓動を跳ねさせながら夕鈴の背を撫でていると、唾を飲み込み、震える頬を寄せて囁きを落とす。


「いかないで・・・・」 と。
 







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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

もしもシリーズ | 00:15:30 | トラックバック(0) | コメント(0)
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