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夏の夜の  2
下町編です。 陛下は今回出て来ません。
妄想爆発です。 几鍔兄貴大好きなんで!!!!



では、どうぞ














「夕鈴、来たのねっ! 来るとは思っていたけどさ~」
「明玉! 今年の出し物は何? 去年の迷路は面白かったから楽しみで!」
「あら~、夕鈴。 お元気~?」
「きゃあ、元気よ! 素敵な簪じゃないの!どうしたの?」

友達が集まりはじめ、賑やかに話が始まる。 
青慎も友達と連れ立って祭りの喧騒の中へと消えて行った。 
近くの出店でお茶を飲みながら女友達と早くもお喋りが開始され、周囲から注目されるほど賑やかに話を弾ませ思い切り楽しみ始める。
そこへ周囲から違った意味で注目される団体が近付いて来た。 几鍔とその子分たちだ。
子分達が睨みを利かせるため 周囲が道を開き悠々と歩いている。
子分の一人が夕鈴たちに気付き、几鍔に報告する。

「兄貴、あれって夕鈴じゃないですか? やっぱ祭りだから戻って来たんすね」
「夕鈴姉貴~、お祭りだから来たんすか?」

夕鈴が名を呼ばれたので振り向くと、最も逢いたくない人物がそこに居た。 眇めるような視線を送り、ふいっと顔を背けると一緒に居た女友達が一斉に囃し立て出した。

「あら、几鍔さんたちじゃないの。 こっちにいらして御一緒しませんか~?」
「げっ!! な、何を言ってんのよ。 何であいつ等を呼ぶのよ!?」
「ゆーりん、いいじゃないのよ。 几鍔さんはいつもあんたの心配ばかりしてるんだからさ、元気なところを見せてあげてもいいんじゃないの?」
「それは、借金の返済があるから逃げないように監視しているだけでしょ? それもこれもあの親父が原因でっ! 全くあの親父は顔も見せないで!」

真っ赤になって怒り出した夕鈴には構わず、明玉達が几鍔と子分たちを呼び寄せてしまうと夕鈴は地団太を踏んだ。 几鍔が目を細めて顔を近づけて来たので、眉間に皺を寄せる。

「な、何よ! 何か言いたいことでもある訳?」
「・・・・アイツは一緒じゃないんだな・・・・」

夕鈴はその台詞に 「またか」 と溜息を吐く。 青慎と同じ事を聞かれるなんて陛下がどれだけ下町で目立っていたのかと頭痛がしてくる。 几鍔が、さも当たり前のように夕鈴の隣に腰掛け、「来ていないのか?」 と繰り返し尋ねて来るから、更に頭痛が酷くなる。

「・・・・一緒じゃないわよ。 それより何で座るのよ!」
「座るところがここしかねぇんだ、気にするな。 それより今年の出し物知ってるか?」

頭を押さえながら夕鈴が首を振ると、反対側に座っていた明玉が急に目を輝かせながら二人の話しに参加して来た。 今年の出し物は当日までの御楽しみということで、当日まで何が催されるのか祭りの実行委員しか知らない筈だった。 
しかし、そこは下町、あっという間に噂は流れて周知の知ることとなるのだが、王宮に勤めていた夕鈴は知らない。

「面白いらしいから、どうせなら皆で行こうよ。 あ、ちょっと用意するわね!」
「用意って? それに今年の出し物は何なの?」
「・・・・・去年とは全く違うぞ。」

明玉達が集まって何か用意を始め、それに夕鈴が戸惑っていると几鍔が隣で溜息を漏らした。
夕鈴が振り向いて何が違うのかを聞こうとした時、背後できゃあああっと明玉達が騒ぎ出す。 何事かと振り向くと、女友達の手には紐がぶら下がっているのが目に入った。 

「さあ夕鈴、ひとつ引いてっ! 次は几鍔さんね!」
「・・・・何よ、これ」
「今年の出し物は二人一組で入るのよ。 だからその組み分け! ほら早く!!」

ぐいっと目の前に差し出され、夕鈴は渋々ながら紐を引いた。 その先には青い色が付いている。 几鍔の子分が自分の紐を差し出し、 「青か、オレは赤・・・赤は誰だ?」 と周りに聞いている。 見ると女友達は白や黄色が付いた紐を持ち、誰と一緒なのかを聞いていた。
その時、背後から 「青・・・・」 と聞こえ、その声に夕鈴は 「げっ!」と叫んだ。

「青は夕鈴と几鍔さんね。 では二人で一緒に・・・・・」
「明玉っ! あんた図ったわねっ!? 私は嫌だからねっ!」
「何よっ、文句あるの? あたしはちゃんと公正に籤を作ったわよ。 引いたのはあんた自身でしょ? さあ~、皆で行くわよっ!」
「ちょっ、ねえ、やり直しをっ、やり直しを~~~~!!」

わああっと皆が立ち上がり、夕鈴は腕を取られて引き摺られるように連れて行かれた。






今年の出し物は趣向を凝らした物で、他の町でも大好評だったと自信有り気に主催者は語る。
小屋の入り口で呼び子をしている人物もその自慢を語り、出し物の入り口看板には大きな文字で内容を知らせている。 その文字を見た瞬間、夕鈴は踵を返して逃げ出そうとしたがもちろん、友達に両脇を抱えられ逃げ出す事は叶わない。 
首を振り蒼褪めた顔をするが、皆は楽しそうに騒ぎ立てている。

「め、明玉、私がこういうの苦手なの知っているでしょ? 無理だって!」
「あら、未だ駄目だったの? まあ几鍔さんがいるんだし目を瞑って入ればいいじゃない。 意外と楽しいかもよ? じゃあお先に~~」

そう言うと、明玉は手を振りながら几鍔の子分と一緒に小屋の中へと入って行く。
「あんた彼氏居るじゃない!」 と叫ぶも、声が震えている夕鈴の声は届かない。 
溜息を吐く几鍔を涙目で睨み付けると、目を細めた几鍔に肩を竦まれた。

「まあ、人間誰しも苦手なモノがあるからな 」
「あ、あんたと一緒なのが嫌なのよっ! こ、こんなの苦手に入らないわよ!」

今年の出し物は 『お化け屋敷』 
看板には血塗られた女性の恐ろしくも悲しい表情の顔が描かれており、その看板を見るだけでも夕鈴は震えてしまう。 それでも皆が入って行ってしまったので、出て来るまでは待っていなければならない。 

「ふぅん、お前でもお化けは苦手なんだな」
「苦手じゃないわよ! 嫌だから入りたくないのっ!」
「苦手じゃないなら入ってみようか? それともやっぱり苦手か。」

くっと笑う几鍔とその言葉に苛立ち、つい夕鈴は答えてしまった。 

「そこまで言うなら入るわよっ! 入ればいいんでしょっ! ほら、行くわよっ!」

入り口から勢い良く小屋の中へと足を踏み入れ、夕鈴は直ぐに後悔した。 
暗い小屋の中には高い位置に揺らめく蝋燭があり、足元には光苔がぼんやりと光っている。
屋根が無い為、祭り会場からの提灯の灯りが小屋の中にも多少届いているが、それでも暗い。
ニ、三歩進んだところで足が竦み、頭の中は真っ白になり、どうしていいのか夕鈴には判らなくなっていた。 そこへ背を押すように几鍔が入って来て、声を掛けてくる。

「なんだよ、もう駄目か? ・・・おい、夕鈴?」

遠くから女性の叫び声が聞こえ、その声に夕鈴は身体を大きく震わせる。 几鍔がそれに気付き夕鈴の腕を掴み引き返そうとした時、夕鈴の足首に冷たいモノが触れた。

「ひいっ!? いっやああああっ!!!」
「な、おい! 何だよ?」

入り口で躊躇する客を奥へと誘う為、足元に冷たい布を持った仕掛け人が居たことを夕鈴は知らない。 だから恐怖に怯えて思わず小屋の奥へと駆け出してしまった。
夕鈴の腕を掴んでいた几鍔もその叫び声に驚いて共に中に入ると、夕鈴が行き止まりの壁にぶつかりそうになるのを知り急いで腕を引き寄せる。 その途端に行き止まりの壁から腕が沢山飛び出し、夕鈴目掛けて蠢き出した。 

「やああああああっ!!」

踵を返して几鍔の胸に飛び込むと夕鈴はその背に手を廻して抱きついた。 
叫びながら思い切り几鍔にしがみ付き、壁へと押し付ける。 その様に驚いて几鍔が夕鈴の腕を掴むと、悲鳴を上げながら、 「はっ、離さないでっ!!」 と叫ばれてしまい、几鍔は更に驚いた。

「ヤダァ、もう駄目っ、嫌だぁー!」

しがみ付く夕鈴はガタガタと震えており物凄い力で几鍔を締め付けている。 
几鍔は舌打ちをして夕鈴の背をぽんぽんと撫でると、もう一度夕鈴の腕を掴んだ。
 
「このまましがみ付いていていいから、お前、俺の後ろに回れ」
「ほえ? ・・・・う、後ろ? こ、こう?」
「ああ、それでいい。 いいか、このまま小屋の中にいる訳にはいかないから、俺の背中で目ぇ瞑ってくっ付いていろ。 仕方ないから連れて行ってやる」

まだ小屋の中に入って数メートルしか進んでいないのに、足を竦ませた夕鈴の恐がりを知り几鍔は背後に夕鈴をつかせて歩く事にした。 
前に回った夕鈴の手をぽんぽんっと撫で 「足元に気をつけろよ」 と声を掛ける。
背後から小さな震える声で 「・・・うぅ、判った」 と声が返って来たあと、少し間を置いてから更に小さな声で 「・・・お願いします」 と聞こえた。


少し進むと先の方で女性の悲鳴と男性の叫び声が聞こえ、夕鈴がその声に驚き 几鍔の背に強くしがみ付く。 その度に几鍔が溜息を漏らす。 
恐がっているのは判る。 
最初から入りたがらなかったし、こういうのを嫌っているのも知っている。 幼馴染だから知っているのだが実際に其処まで嫌っているとは、恐がってしまうとは思わなかった。 
バイト中でも何にでも気が強い夕鈴は誰に頼ることなく過ごしていて、誰が相手でも弱音を見せることが無かった。 だから嫌いなのは知っているが、こんなに違った姿を見ることになるとは思っても居なかったのだ。

「ねえ、几鍔、何か喋っていてよ! 気が紛れるから~!」
「何かっていってもな・・・・。 あ、お前の親父が・・・・」
「それは言わないでっ! 聞きたくないからっ!」

几鍔の腹に回った夕鈴の手に力が入ったので、思わず几鍔は苦笑しそうになる。
『・・・・からかって悪かったか?』 と几鍔が思い始めた時、聞こえる女性の叫び声に背後の夕鈴が堪えきれなくなったのか、とうとう几鍔の背中に顔を付けて 「も、もう嫌だぁ~」 と泣き声を上げ出した。
ぎゅうっと強く抱き締められ、気がつくと夕鈴の胸が背中に押し付けられていることに気付き几鍔は長い溜息を吐くと、もう一度夕鈴の身体を前に回した。 夕鈴がくるりと背から胸へと移動すると、「しょうがないな」 と呟きながら壁に凭れて夕鈴の背を撫で続ける。 

「歩かなきゃ小屋から出られないだろう? もう少しだから我慢しろよ。」
「うううう・・・判っているけどぉ・・・・こ、恐いものは恐いのよぉ・・・」


几鍔が夕鈴の背を撫でながら、如何しようかと思案していると暗闇から突然人影が出て来た。
思わず夕鈴を庇うように抱き締めると、その人物は最近、何故か夕鈴と共に下町で見かけてしまう人物と判り、几鍔は唖然としてしまう。









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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 21:10:03 | トラックバック(0) | コメント(0)
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