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泡沫人の羽衣  2
続きです。 少しずつ話は進みます。 陛下は出て来ません。
楽しんでいます。



では、どうぞ













「・・・・ん、寒い・・・」



夕鈴が寒さに小さく震えて身体を丸めると、直ぐに暖かい腕に囚われた。
夕鈴の頭の下から伸びる腕と腰に廻る腕が夕鈴の身体を絡め取り、そのまま暖かい胸へと密着させる。 背後からのその暖かさに徐々に寒さが薄れていくと夕鈴はゆっくりと身体を弛緩させていった。 
浅く浮上した意識は再び深い眠りに落ち、震えが止まると静かな寝息を立て始める。

夕鈴の背後から抱き締める人物はそれを確かめると、掛け布を追加すべく静かに寝台から離れて行き、戻ると直ぐに夕鈴の身体を抱き締めて自らも静かに深い眠りへと落ちていく。










「・・・・・・」

眩しさに目が覚めた夕鈴は、暫らくの間 周りの風景を黙って見つめていた。

いつもより大きな窓から入る日の光り。 いつもより大きな寝台。 周囲に壁は無く柱が立ち、薄布が掛けられている。 手に触れる掛け布はモコモコしている上にフワフワしている。

・・・・・夢の中なのか。

未だぼんやりしている夕鈴は掛け布から腕を出して額を押さえた。

・・・・・なんか、凄い夢を見たような気がする。 リアル過ぎて体が軋むように感じる。
熱でもあるのかしら、それとも未だ寝ぼけているのかな?  確かにボーっとする・・・。


「・・・目が覚めたの?」
「・・・・え?」

声のする方に顔を向けるより早く、背後から額を押さえる夕鈴の手を掴むと掛け布の中へ戻される。 そのまま掛け布の中で身体ごと捕らえられると 『ぎゅっ』 と抱き締められる感触がして夕鈴は一気に目が覚めた。

背後から抱き締めてくる人物の片腕は夕鈴に腕枕をして、そのまま夕鈴の肩を抱き 首に纏わりついている。 もう片方の腕は腰の上を通り掛け布の中へ戻した夕鈴の腕を掴んでいる。
夕鈴の足には背後からの人物の足が絡むように触れている。 

驚いた夕鈴がようやく状況を把握して、その腕の中から慌てて這い出ようともがき始めると耳元に聞きなれた低く甘い声が響いた。

「やっと熱が下がったばかりだから、暴れないで・・・・」
「・・・っ!? ね、熱? 私、熱が出てたの?」

夕鈴が驚いてもがくのを止めると、掴んでいた腕を解き今度は夕鈴の顎を掴んだ。
緩やかな動きで夕鈴の顎が仰向けにされると額に柔らかいモノが触れた。 思わず目を瞑り身を竦めると頭上から苦笑が聞こえる。 そっと目を開けて夕鈴が見上げると、そこには。

「陛下! な、なんで私の寝所に・・・・?」
「面白いことを言うな・・・・。 陛下とは私のことか?」
「・・・・? ?」

如何見ても陛下の顔の陛下が訳の解からない台詞で私に笑い掛けている。 
それよりも何故一緒に寝所に居るのかと、真赤な顔で夕鈴が掛け布を引き寄せると、隣で横になっていた陛下の肩や胸が露わになった。

「のっ、わあああああっ!! な、なんで裸なんですかっ、陛下!!」
「陛下じゃないんだけど・・・・」
「なんでっ、なんでっ!! どわあああああっ!」
「・・・・今度は何?」

叫ぶのと同時に夕鈴は掛け布を巻き上げると寝台端まで逃げだした。 しかしいつもの自分の寝所と違い、寝台端は壁ではなかったため、そのまま夕鈴は寝台から落ちてしまう。
 
「・・・痛っ! な、壁がない??」
「ちょっ、大丈夫か?」
「・・・っ!! 寄らないでぇ! な、なっ、なんで一緒に寝ていたの?」

落ちた床から夕鈴は陛下に大声で叫んだ。 その夕鈴の叫びに寝台からひょいっと顔を出し笑顔で 「えと・・・、寒そうだったから」 と、悪びれもせずに答えられ、顔が真赤に染まった瞬間、鋭い頭痛が夕鈴を襲った。 あまりの痛さに夕鈴が眉間に皺を寄せて額を押さえると 寝台から降りた陛下に抱き上げられる。

ズキンッズキンッと恐ろしい程の頭痛に声も出ない。 
押さえた額に汗が滲み出し息が詰まりそうに感じた。 夕鈴は陛下に掛け布ごと抱え上げられ、そっと寝台に寝かせられる。

「・・・また熱が上がったようだね。 興奮しないで安静にして。 説明はその後で詳しく聞くから。 今、寒気はしない?」
「さ、寒気より・・・頭が割れそう・・・です」
「薬を飲ませたいが空腹では無理だな。 直ぐに何か口に出来る物と薬を用意させるから、頑張って寝ないで待っていて欲しい」   

この痛さでは寝る事も出来ないと、浅い呼吸を繰り返して耐える。 
薄く目を開けると今度は吐き気と眩暈に襲われてしまい、思わず瞑目した。
池から落ちて熱が出たのだろうか・・・・? 
それにしても何故 半裸の陛下と私が一緒に布団に寝ていたの?  李順さんは?  
それにこの部屋は? 
ああ、頭が痛くって考えがまとまらない・・・。


夕鈴が唸っていると、離れた陛下がいつ戻って来たのか寝台に腰掛けて声を掛けてきた。

「プディングを用意させるから少しでも食べて。 薬はこれを。 バスローブで悪いが今はそれで過ごして欲しい。 あとで服を用意するから。 ああ、熱があるから飲めるようならスポーツドリンクも飲むように」
「? ?  ぷでぃ・・・? ばすろー? すぽーつどり・・・って?」

夜着とは異なるバスローブなる物の質感に戸惑いながら顔を上げた夕鈴は陛下の言っている言葉が理解出来ないで目をぐるぐるさせていた。
『私、そんなに熱があるのかしら』 と夕鈴が額を押さえ眉間の皺を深める。 
すると陛下が夕鈴の額から手を外し、自身の手を宛がった。
手を離すと陛下は直ぐに寝台より立ち上がり、部屋から離れて誰かに指示を出し始める。

そのまま扉から姿を消した陛下と入れ違いに部屋に入ってきた女性は藍色の衣装の上に白い布を纏わせている。 その彼女の腰下を見て夕鈴が驚いた。 
腰から下はふんわりした衣装で、膝から下の肌が露出しているのだ。 
女性が素足を曝け出している等信じられないと 夕鈴がその見たことのない衣装に驚いている内に、陛下も部屋に戻って来た。

困惑した表情の夕鈴を寝台から軽々と抱き上げると、窓近くのテーブルへと移動し椅子へ降ろした。 先程の女性が用意したのか、テーブル上には見た事のない食事が置かれており、夕鈴は何が何だか解からないと涙目で陛下に訴えた。
その様子に困った顔で夕鈴の隣に腰掛けると、一つの器を持ち上げて夕鈴に差し出した。
差し出された器の中には温かく柔らかい品が震えており、夕鈴が鼻を近づけると甘い香りがした。 陛下を見ると微笑んで頷いているのが見えて、夕鈴が匙を持ち、口に運んでみると・・・・・。

「あ・・・まい。 このプルプルしてトロッとしたの美味しいです・・・」
「良かった。 無理せず食べたら薬を飲んで。 もう少し寝たら回復するだろう。 話はいろいろあるだろうが、先ずは体調が戻ってからにしよう」
「はい、すいません・・・。 あの、このふわふわしたのは・・・・・?」
「ああ、パンケーキだ。 メイプルシロップかバター、どちらが好みだ?」
「・・・・・? ?」

難解な問題を出されているような気がした夕鈴は正直に困った顔で 「・・・判りません」 と答えるしかない。 また瞳を大きくした陛下が 「・・・じゃあメイプルでね」 と琥珀色をした粘度のある液体をかけてくれる。 甘い匂いが夕鈴の鼻腔に広がり素直に一口食べてみた。 
瞳を大きく見開くと陛下を見て、大きく頷く夕鈴。 その顔に肩を揺らして笑う陛下。

「美味しそうに食べるね・・・。 食べたら何も考えずにゆっくり眠るんだよ。 食事と睡眠、そして薬。 これが今の君には必要だ」

その言葉に頷き、夕鈴は食事を済ませ薬を飲んだ。 薬を飲むとまた抱かかえられて寝台に横にされた。 瞼の上に陛下の大きな手が被せられ 「お休み」 と優しい声が聞こえた。

「陛下・・・いろいろすいません・・・ ご迷惑をお掛けしたようで・・・」
「う~ん、・・・・ま、いいか。 大丈夫だよ、先ずはゆっくりと休んでね」
「はい・・・」

頭の奥で鈍い痛みが続くが暫らくすると身体から力が抜けてゆき、いつしか深い眠りに落ちて行った夕鈴。 
その傍らで眠りに付いた彼女を見つめ続ける人物は 夕鈴の瞼から手を離すと額の髪を持ち上げて そっと唇を当てた。



「・・・・・さて、どうしようかな?」



   





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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

パラレル | 00:05:05 | トラックバック(0) | コメント(2)
コメント
どうしましょう[i:63908]
ものすごく、わくわくして楽しいんですけど陛下出てなくても問題ありません陛下ごめんなさい

長編とのこと、これからの展開ますます楽しみです書き手のあおさん事態が楽しんでるせいもあるのでしょうか?
2012-07-31 火 06:22:25 | URL | ともぞう [編集]
うん、楽しい!
パラレルって誰もが考える「もしも」ですよね。 いや~、楽しいですよんっ! 楽しく書けるのって、やっぱり楽しいです。 コメントありがとう!!
2012-07-31 火 08:38:51 | URL | あお [編集]
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