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泡沫人の羽衣  28
有り難う御座います!いつの間にやら60000Hit!これもひとえに御覧になっている皆様のお陰で御座います。半年の間、ほんとにありがとう御座います。すごっく嬉しいです。
ご指摘があったように、ウォルターさんは水月さんのつもりで書いております。やっとここで出せた! ウォルターは水で、朔は月、で、水月さん。解かってくれた方、ありがとう御座います。


では、どうぞ。












黎翔が思ったより早く彼女と再開する機会が訪れた。 
関連会社の新規事業パーティで、彼女がウォルター・朔と共に出席しているのに気付き、ゆっくりと足を進める。 落ち着いたベージュのスーツを着ていたが、今日は髪を下ろしているためか、この間よりも随分若く見えた。 ウォルターが黎翔に気付き、会釈をして近付いて来る。

「こんにちは、珀会長。 この間はお世話になりました」

ウォルターの後に付いて来たユーリも一緒に頭を下げる。 
彼女の表情に注視していると、黎翔の視線に気付いたユーリが少し頬を染めて俯いた。

「おやおや、ユーリも女の子なんだね。 驚いたよ、君のそんな表情」
「あっ、や、これは。 ・・・・珀会長格好良いですもの! そんな方に見つめられると大抵の女の子は驚いて顔だって赤らみますよ。 ただの生理現象ですっ!」

生理現象・・・・。 初めて言われた言葉だ・・・・・。 
黎翔がその言葉にがっかりしていると、またウォルターがユーリの頭を軽く叩く。

「言葉が悪いよ、ユーリ。 すいません、珀会長。 躾が行き届かなくって・・・・」
「・・・・苗字が違うが兄妹のように仲が良く、とても親密ですね」

この間もそう思ったが、今回も親密な様子を見せる二人に黎翔は気付けば我慢出来ずに問い掛けた。 ユーリが頭を押さえながら頬を膨らませウォルターを睨み、ウォルターは苦笑して答えてくれた。

「ええ、義理の妹・・・のようなものです。 彼女の両親が亡くなった後、私の両親が彼女を引き取りましたので。 でも仕事上は上司と部下ですので、彼女の実力は彼女本来のものです。 粗忽者ですが他は問題ありません。 また近々御社へ伺う予定ですので宜しくお願いします」
「お、お願い致しますっ!」  

ユーリが御辞儀をすると薄茶の髪がふんわりと靡く。 黎翔が頷くと、丁度ウォルターを呼ぶ声が聞こえ、軽く会釈をすると彼は呼ばれた方へと足を向けた。
置いていかれたユーリは所作無げに立ち竦んでいる。 
近くを通ったホールウェイターからドリンクを取り彼女に差し出すと、ユーリははにかんだ微笑みを見せて受け取ってくれた。 彼女を伴い近くの椅子に移動し、まずは腰掛けてドリンクを口にする。 見ると彼女は緊張しているようで、背筋を伸ばし浅く椅子に座るユーリは固く口を結んでいた。 スーツに身を包んでいるが、髪を下しているせいか多少幼く見える。 

「・・・先程は、プライベートなことに立ち入ってしまったようで申し訳なかった」
「いいえっ、お気になさらずに! 直ぐに手を出すウォルターが悪いんです。 いつまでも人を子供扱いするから誤解されるんですよ。 ウォルはパーティが・・・・というか女性が苦手なので 人避けによく使われるんです。 今回もバイトみたいなもので。 ・・・・私のような下っ端社員が一緒にいるから、奇怪しいと思われたのでしょう?」
 
物怖じせずに話し掛けるユーリの声が心地良く耳に響く。 
明るくハキハキとしている楽しげな口調に、黎翔の顔が知らず綻んでいた。 夕鈴に似ているというだけだと、彼女ではないと解かっている筈なのに惹かれる気持ちが益々膨らんでいく。

「会長は御一人・・・・ですか? お相手の方はどちらに?」

ユーリが周囲を見回すと 数人の女性が黎翔を熱い視線で見つめているのに気が付く。
焦れるほどに熱い視線を感じ、外部関連会社の下っ端社員が会長の横に座っていていいのだろうかと思わず立ち上がりそうになった時、黎翔の手がユーリの膝の上の手に伸びふわりと重ねられた。 驚いたユーリが声もなく黎翔を見ると真面目な顔で見つめ返される。  

「私は側近と部下と出席しているんだ。 こういうパーティに連れ添ってくれる女性もいないしね。 ウォルター氏と同じで女性が苦手なのかも知れない。 今は不躾な視線から君が盾になってくれているようだ。 出来れば、もう少し居て貰えると助かるが、いいだろうか?」

眉根を寄せた切なそうな黎翔の表情に、ユーリは驚いて口を開いたまま小さく頷いた。 

『連れ添ってくれる女性がいないって、苦手って・・・・。 それは嘘だわ! 絶対に嘘! ウォルターと同じで きっとただ面倒なだけか、丁度女性と別れたばかりとか、そんなところでしょ? だって有り得ないっ! 珀エンタープライズの会長よ!? 連れ添ってくれる女性なんて、選り取り見取りでしょう?』

どうにか口を閉ざしたユーリは曖昧な微笑みを黎翔に向け、飲み物を口にしたが直ぐに驚いた顔をしてグラスを見た。

「こっ、これって、お酒ですか!?」
「え? お酒・・・・駄目? 軽めのスパークリングワインだが」

じっとグラスを見て戸惑った顔をするユーリに違和感を感じて、覗き込むように問い掛ける。 

「もしかして初めて飲むのかな? 止めておこうか、ウォルター氏が心配するだろうから。 ・・・あ、ユーリは未成年ではないよね?」
「未成年ではありませんが・・・・。 んんっ、驚いただけですので大丈夫です」

たった一口だけ飲んだユーリの頬がほんのり赤らんで見える。 グラスを取り上げ、それ以上飲むのを止めるとユーリが眉を寄せて黎翔を見上げた。 何故取り上げるのだろうと問い掛ける瞳に少し戸惑ったが、これ以上飲ませて何かあったら大変だと思い、急ぎ他の話しに切り替える。 

「ユーリ、もう少しプライベートなことを少し聞いていいだろうか? ・・・・もちろん、否ならそう言って欲しい。 仕事で来ているのに申し訳ないとは思うが」
「構いませんよ、どうぞ」 
 
呆気ないほど簡単に了承したユーリは頬を染めて首を傾げながら質問を待つ。 
その表情を暫らく無言で見つめた後、少し言いよどみながらも黎翔は口を開いた。

「ウォルター氏は君の・・・・何?」
「へ? ・・・・ウォルターは兄みたいな・・・叔父みたいな・・・感じです。 歳も離れていますし、今は仕事場で会う方が多いので普通に上司だと思ってます。 一緒に暮らしたのもジュニアハイスクールの時だけで、その後はウォルは結婚して別に暮らしてますし」
「ウォルターは結婚されているのか?」
「ええ、二人の可愛い子供がいて、ものすごっく甘いパパですよ!」

ユーリはくすくすと笑った。 その台詞を聞いて黎翔は浮き足立つのをはっきりと感じた。 

「ウォルター氏は随分若く見えるから 君より少し上くらいかと思っていた」
「そうなんですっ! 若く見えますよね! でも、あれで35歳ですよっ! はっきり言って珀会長の方が年上に見えちゃいます。 でもウォルターの中身は立派な 『おじさん』 なんですよ!」

ユーリの言葉に黎翔は思わず吹き出してしまう。 笑い出した黎翔の様子にユーリは顔を蒼褪めて慌てて口を押えた。 肩を竦めて周囲を見回したあと、黎翔に手を合わせて頭を下げる。 

「ヤダ! また怒られちゃう! 会長、お願いです。 今の台詞はお忘れになって!」
「いいよ、ユーリ。 ・・・・・その代わり君が私の願いを聞いてくれるならね」

ユーリは更に顔を蒼褪めて 「私に・・・出来ることですか?」 と真面目に聞いてくる。 
黎翔が頷くと 「出来ること・・・・」 と腕を組んで暫らく黙り込んだ。 
そんなしぐさも可愛いと思えてしまう。 今のところ彼女を夕鈴に重ねてそう考えているのか、ただ目の前のユーリをそう思うのか正直解からない。 解からないが、彼女から目を離したくないと切に願う自分がいる。

「あの、無理難問は困ります。 まだ新入社員ですので時間も余りありませんし」
「そんな無茶は言わないつもりだよ」

じっとユーリを見つめていると、黎翔の口から自然に言葉が零れていた。

「・・・・君が休みの日に、一緒に食事をしたいのだが駄目だろうか?」
「へっ?」

鳩が豆鉄砲喰らったような表情に、黎翔はまた吹き出す。 ユーリはそんなことは絶対に無理だと繰り返し断わったのだが、それ以外のお願いは駄目と言われ 『おじさん』 発言を内緒にするために渋々了承せざるを得なかった。 





暫らくは互いの休みが合わず、ようやく食事に行けるようになったのは一ヵ月程も経過してからだった。 季節は変わり、気持ちの良い秋風が吹き始めた頃。 

ロスから戻った浩大に彼女と会ったこと、会うことを話すと 「オレも行きたい、彼女に会いたい、ボディガードとして連れて行って! 兎も角 二人の邪魔はしないから~!」 と騒がれたが、勿論無視をした。



約束の場所に車を止めると、デニムジャケットと膝上のスカート姿のユーリがバスケットを持ち笑顔で手を振って来た。 しかし、直ぐにその笑顔が固まった。
 
「もしかして、ホテルで食事とか・・・・だったのでしょうか?」

車から降りた黎翔は濃茶の秋らしいスーツジャケットとパンツ姿で、自分の姿とは余りにも異なっていた。 相手は珀会長だったと今頃になって思い出し、瞬時に蒼褪めるユーリは自分の姿を恥ずかしく思って俯いてしまう。

何を考えているのか表情に出ているユーリに苦笑しながら 「まだ決めていないよ」 と告げると、 「ではルーズベルト記念公園へ行きませんか? お弁当作って来ましたので!」 と明るい顔で提案された。 
バスケットはそのためだったのかと、ユーリの希望通りにタイダルベイスン湖畔に位置するルーズベルト記念公園に行くと、ユーリは銅像に近付きそっと手を触れる。 

「一度来てみたかったのです。 親が尊敬する大統領の一人ですから・・・・・」

嬉しそうな顔で愛犬の銅像にも触れ、その後は石塀や滝などが置かれた散策路を歩き、感慨深くそこに書かれた出来事を真摯な表情で読み耽っていた。 
秋の日差しが気持ちの良い季節、大きな桜の木の下にシートを敷き、ユーリの作ったお弁当を食べながら彼女が楽しそうに話すのを黎翔は時々相槌を打ちながら聴いていた。

父と母がここで何度もデートをしていたと聞いたことがあるんですよと嬉しそうに話すのを聞いたり、今の仕事は楽しくて遣り甲斐があると意欲的に話すのを聞いたり、ペットを飼うなら大型犬がいいなと語るのを、ずっと微笑んで聞き続けていた。

「・・・・あ、の・・・・、私ばかりが喋ってますけど?」
「うん、君が楽しそうに話しているのを聞くのが、とても楽しいからそのままで」


敷布に寝転がったまま、黎翔は嬉しそうにユーリに微笑んだ。










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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

パラレル | 01:28:28 | トラックバック(0) | コメント(2)
コメント
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2012-08-22 水 08:50:53 | | [編集]
本当に
毎回のコメント、有難うございます。 ようやく夕鈴帰ってくれました。 ここまで長くなる予定じゃなかったのに、書きたいことや人物が出てきて困ってました(マジ笑) SNSでも長くなりそうで、自分でも笑ってしまう状況です。 あと少しだけ、お付き合い下されば嬉しいです。 体へのお気遣い有難うございます。
2012-08-22 水 15:55:39 | URL | あお [編集]
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