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泡沫人の羽衣  30
うさぎのしっぽさん、ありがとうゴザイマス。早速見ました。 すごく素敵!! ニコ動「青い恋」すごっく良かったです。テンション上がりまくりです。 歌詞と陛下が合っていて好みです。


では、どうぞ











・・・・・だけど たった3日後、書類を持って珀コーポレーションに足を運ぶことになった。 
仕事だから仕方が無い。 それに所定部署に書類を届けて帰るだけだ。 
会長に会うことも、声を掛けられることだって無いはず。 
ユーリは受付で用件を伝えると、いつものようにエレベーターで第3経理部へ急いだ。 

顔馴染みになって来たので仕事は直ぐに終わらせる事が出来、後は急ぎここを離れるだけとなる。 ホールから外へと出ると、ユーリはやっとほっとして息を吐いた。
少しだけ急ぎ足になっていた自分を馬鹿らしく思いながら、自分の会社へと急ぐ。


「おっ、ユーリか?」

聞き慣れた声に振り返ると、同じ会社の几鍔とわかる。 同じ中国系アメリカ人ということもあり、話しやすい相手だ。 ほっとして肩の力を抜くと、鍔は眉根を寄せて頭を撫でて来た。 

「なんだ? なんかあったのか?」
「ああ、大丈夫。 ・・・まだ緊張しているだけ。 重要書類を持って歩いているからね。 おまけに珀コーポレーションの本社よ。 緊張するなって言う方が無理でしょ」
「はっ、お前がか? 有り得ないだろっ! もう少しマシな嘘を言えよっ! あーあ、折角の休みなのに明日は嵐だ。 飛行場が封鎖されるな。 ちくしょー!」

バイトの時から人を馬鹿にしたモノの言い方が気に喰わないが、実際彼は仕事が出来る先輩なのでユーリは唇を噛んで睨み付けるだけに留めた。 薄ら笑いを浮かべる鍔はユーリの頭を撫でながら一緒に会社へと歩き、近くのカフェテリアからコーヒーを奢ってくれたので、それでユーリは怒るのを止めた。 髪の毛はくしゃくしゃになるが、文句を言っても毎回一向に止めてくれないので放っておくことにする。

会社に戻るとユーリに電話があったと聞き首を傾げる。 仕事中にはよっぽどのことがなければ自分に電話なんてある訳が無い。 友人らは携帯に掛けて来るだろうし、会社にユーリを名指しで電話を掛けてくるなんて・・・・。 
緊張しながらユーリは電話に出た。


『お嬢さん、覚えてる? オレ浩大です』
「! はい、覚えてます。 どうなさったのですか? もしかして書類に不備が?」

瞬時に先ほど渡した書類に何か問題があったのかと夕鈴は蒼褪めた。 
電話の向こうからは笑い声が聞こえるから直ぐに違うと判ったが、それでは何の用事だろうと首を傾げる。 そもそも彼はどの部署なのかも知らないというのに。

『ちょっとお願いがあってね。 今晩、仕事終わったら時間あるかな?』
「お願い・・・・ ですか? でも何で私に? ・・・あ、もしかして頭が痛むとか? でもあれから結構時間経ってますよね・・・。 ? ?」

電話の向こうからまた笑い声が聞こえる。 ユーリはむっとした表情になり浩大に伝える。

「・・・・用件を明確にお伝え下さいませんと、当方としても大変迷惑で御座います。 申し訳ありませんが、今晩は都合が悪いのでお断りさせて頂きます」
『あーっ!! ごめん、御免なさい! 折角知り合えたんだから一緒にご飯でもどうかなって思って。 駄目かな? 如何しても駄目なら悲しいけど諦める・・・・』

相手の声は掠れ出し、懇願するような台詞にはっきりと断わるのが難しく思えてくる。 
ユーリは瞑目しながらこの後の仕事の流れを頭の中で組み立て、退社時間を伝えた。





会社から出ると浩大が待っていて、笑顔でユーリに近付いて来た。 

「お嬢さん、来てくれてオレ嬉しいっす! ありがとうねっ!」

本当に嬉しそうな顔をするからユーリは眉根を寄せて苦笑せざるを得ない。 その背後から几鍔が驚いた顔でユーリの頭をいつものようにぐちゃぐちゃと撫でて来た。 

「おまえっ、・・・・デートか? やっぱり明日は嵐だな、参った・・・。 セスナ飛ばそうと思っていたけど明日は駄目か・・・・。 マジにがっかりだよ、ユーリ」
「ちっ、違いますっ!! 彼は・・・・・あれ、何だろう?」

ユーリは浩大に振り向いたが彼も肩を竦めて困った顔を向けた。 
加害者と被害者なのかしら、でもそれって言っていいことなのかしら。 
それ以外だと・・・・仕事上の・・・・・あれ?  知人になるのかしら??  
ユーリが首を傾げて本当に困った顔で沈黙すると、几鍔はユーリの頭をぽんぽんっと軽く叩いてから離れて行った。

「・・・・ま、楽しんで来な。」 
「そんなんじゃ・・・・、むー! お疲れ様でしたっ!!」

ユーリが几鍔に声を張り上げると、背を向けて離れて行く彼は片手を上げて軽く振った。
浩大が眉を下げて 「あー、お嬢さん。 彼は・・・・ボーイフレンド?」 と訊ねてくる。 

「一応上司です。 部署は違うんですがバイト時代から良く知っている人なんです」
「ほ~・・・・」

ユーリの言い方だとただの仕事上だけの付き合いしかないようだが、彼の視線は違っていたなと浩大は感じていた。 彼の視線は浩大を上から下まで睨ねつけるようなものだったなと、雑踏に消えて行った人物に意識を向けるも、既に姿も無い。 

「・・・ふぅん。」
「ねっ、それより何処に行くんですか? 浩大さんから誘ったんだから奢りですよね?」
「うん、それはいいけど、出来たら呼び捨てで言ってくれると嬉しいな~」
「無理ですよ。 ・・・浩大さんて年上でしょ? 珀コーポレーションの社員だし、呼び捨てだけは無理ですよ。 逆に勘弁して下さい。」

明るく笑いながら言われるから浩大は諦めた。 ・・・・お妃ちゃんとは違うもんな。
美味しいところに連れて行くよと、浩大はユーリを連れて歩き出し、先導されて着いた先でユーリは蒼褪めた。 

「・・・・無理です。 あの・・・こんなドレスコードが必要な場所でご飯なんて無理っ!」
「大丈夫だよ。 オレだってこの格好だし。 問題なしっすよ!」

『イレブン・マディソン・パーク』 にだって入ったことが無いのに、エントランスからして高級感漂うホテルのレストランってどれだけ高いのよ!!! ドレスコードが無いって本当なの? 確かに浩大は普通のジャケットにTシャツだけど、本当にいいの? 大丈夫なの?

あわあわしながらユーリが浩大の後を付いて高層階のレストラン内へ足を入れると、レストランの壁一面に広がる大きな窓から美しい夜景が広がっていた。 
各テーブル上に置かれた仄かに揺らめく蝋燭の明かりが幻想的であり、対照的に闇夜を映す窓から人工的な星々が瞬くのが見える。

ウェイターに 「お待ちです」 と促された時も、ユーリは夜景に見惚れていて言われた言葉には全く気が付かなかった。 レストランの奥へと誘導され、気付けば他のテーブルとは隔離された一室へと誘われてる。 突き出した形の特別室だとウェイターが恭しく告げたが、もうその言葉はユーリには届いていなかった。


「ユーリ。 この間のお弁当のお返しがしたくって!」

特別室に居たのは 珀黎翔だった。 
ユーリが慌てて後ろを向くとそこに浩大の姿はなく、瞬時に謀られた気分になる。 
もう会うことは無いと思っていたのに。 ・・・・・何故私に会おうとするの? 
珀会長が時間を作って、こんな素敵なレストランに人を使って誘導してまで。 
余りにも心臓が跳ねて、胸が痛くて、上手く考えることが出来ない自分がわかる。 

退がることも進むことも出来ずにユーリは室の入り口で立ち竦んでいると、黎翔が立ち上がりユーリへと優雅に手を差し出すから、躊躇しながらも席へ誘われるしかない。 

「突然でごめんね。 なかなか逢えなくて」
「いえ・・・・。 それより如何して御誘いを受ける事態となっているのか、正直戸惑っております。 珀会長、どうしてですか? 他社の一社員に対する対応ではありません」

背を正して正面から聞いてみるが、実は頬が強張っており胸の内は動揺の嵐だ。 
こんな風に誘われたら誰だって自分が特別なんじゃないかって思い込んじゃうでしょう。 
お弁当のお返しって、そんなの有り得ないって!!  

「私が逢いたいと思ったのだが、ユーリは迷惑だった?」
「め・・・迷惑なのではありません。 そうではなく・・・・ ふぅ・・・」

迷惑じゃない。 逆に 都合良く思い込んでしまいそうな自分が恐いだけ。 
だけどここまで来て背を向けて逃げ出す訳にも行かない。 
珀会長に恥を掻かせることは出来ないだろうと、ユーリは肩の力を抜いて椅子に深く凭れた。  






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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

パラレル | 23:58:58 | トラックバック(0) | コメント(2)
コメント
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2012-08-25 土 07:57:46 | | [編集]
同じです。
『王家の紋章』好きです。 今はコミックではなく、文庫をじんわり待っています。 しかしアレは長いですね。 いつまで続くのか、作者の年齢を考えると心配・・・・って余計な心配か。 いつまでも続いてくれたら嬉しいですわ。 どうにか白陽国編は終了。 あとは目覚めた夕鈴と陛下の間は皆様の想像に御任せします。
2012-08-26 日 14:25:37 | URL | あお [編集]
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