スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


スポンサー広告 | --:--:--
血湧き肉踊る  1
SNSで掲載させて頂いたものです。 多少、手直しをしております。

コメント拍手がいつの間にか 10000を超えていて驚きました。
本当に沢山の方が見に来てくれていると、嬉しくって・・・・・ほら、涙が。
見えますよね、ナイアガラの滝状態の涙が!!!
ありがとう御座います!!!



では、どうぞ。









 








「陛下、御前試合があるんですか?」
「よく知っているね。 浩大にでも聞いたの?」

後宮、夕鈴の自室でお茶を飲みながら寛いでいる時、ふと思い出して夕鈴が問い掛けた言葉。 
後宮立ち入り禁止区域の掃除中、浩大と老師が話していたことだ。

「ええ、時期的にそろそろ毎年恒例の御前試合があると聞きました。 だから各部署の武官が忙しそうに鍛錬なさっておいでなのですね」
「鍛錬は日々行なっているが、何か目標があったほうが成果が出るからね。 ああ、良かったら夕鈴も見るかい?」

夕鈴はその言葉を聞いて目を輝かした。 思わず頷くと、陛下の笑顔。
花恵宴の時は基本下っ端妃は出ちゃいけないと言われたが、今回は陛下のお墨付き。 

「ただ 楽しいものではないよ。 兵が自らの鍛錬の結果を出し合うだけだし、女性が見て目を背けたくなる場面があるかも知れない」
「大丈夫です。 下町では日常茶飯事ですから。 祭りの時は喧嘩の流血騒ぎも毎度のことです。 是非、見学させて下さい!」

王宮ならではの催し物をこの目で見られると聞き、夕鈴は楽しみで心弾ませた。 
陛下がその様子を見て、首を傾げる。

「・・・・夕鈴、武術とか興味あるの?」
「私が男だったら武官になりたいって思ってました。 青慎は文官向きですが私は体力に自信がありますし、身体を動かすのは基本好きですし! もちろん見るのも楽しいです」

夕鈴は祭りのたびに当たり前のように喧嘩が始めるという下町の祭りを見て育って来た。 
刺客などに襲われても、簡単に気を失う柔な貴族のお嬢様とは違う。 陛下は夕鈴の嬉しそうな顔を見て、催し物に 「ほんの少し」 手を加えることを考えた。








「陛下・・・。 これ本気ですか?」

李順が眉を顰めて陛下が提示した内容に文句を言う。
執務室で 陛下は書簡に埋もれながら李順の言葉に頷いている。

「これは・・・・。 兵の士気が下がりませんか?」
「何故だ? 基本、その為に王宮で働いているのだろう?」
「その為に仕えているのでは無いでしょう。 これは如何見ても無理がありますね」

椅子に凭れながら陛下は涼しい顔を上げ、李順に提案をする。 

「それなら、他に兵の士気を上げる褒美を追加してもいいよ。 無理のない範囲で、李順が 『これなら!』 と思うことをね」
「・・・・・それならば会計参与とも話し合い、ちゃんと士気が高まる事項を検討したいと思います。 陛下のお考えだけでは士気が上がるとは到底思えませんのでね」

苦笑した陛下は 「え~?」 と李順を見上げるが、溜息を吐く側近はさっさと執務室を離れて行った。 それでも楽しそうに書簡に筆を走らせる陛下。 李順が去った後の笑みには何かを画策しているかのような・・・。



李順が新たに提示した書類を見て、「ああ、これは良い」 と陛下は承認の印を押した。 
李順も 「あるものは使用しませんとね」 と印を確認し、御前試合進行担当の将軍へとその旨を報告するため、足を向けた。 そして御前試合まで後一週間と迫った鍛錬の場では、今回の催し物には褒美があると聞き、兵の士気は俄然高まった。 










 ・・・・・・・・    ・・・・・・・     ・・・・・・・・     ・・・・・・・・







連日稽古に励む兵士に混じり、文官も数人ではあるが参加を始める。 
陛下がどの部署の者でも、王宮に出仕している人間で腕に覚えがある者は参加を許すと申し伝えたからだ。 文官でも調理人でも 例え大臣や宰相であっても希望する者ならば、誰の参加も許すと公言した。 その言葉に、逞しい体躯の腕に自信のある文官が急いで武官と共に稽古に混じり出し、多少人数の少なくなった政務室は更に忙しく皆が走り出した。


それを聞いた周宰相は 「では、予言をしましょうか?」 と低い声で呟き、暫し空を眺めたあと、 「恐らく、荒れるでしょう・・・・」 と一言告げて、書庫から消えて行った。 書庫で今回の御前試合のことを仕事そっちのけで話していた高官たちは、背後から突然周宰相が語った予言に蒼白になったとか。 




「おや、君は参加する方だと思っていたよ」

水月が書庫に書簡を運び入れると、書簡を紐解き内容を確認している方淵がそこに居た。
 
「私は文官であることを誇りに思っているし、浮き足立った奴らの尻拭いをされる陛下を置き去りには出来ない。 文官として弁えているつもりだ」

そこそこ腕は立つ筈だと水月は眺めていたが、方淵の言葉を聞き、彼らしいなと頷いて書簡の片付けを始めた。 彼が褒美を求めて御前試合に参加するような人間でも、文官の仕事を放り投げて稽古に参加するような人間でもない事はよく判る。

さらに、政務に忙しい筈の陛下も頻繁に姿を消し、側近である李順が怖ろしいほどに苛々している。 これ以上政務室から人が居なくなると陛下が呼び戻され、機嫌の悪い陛下の怒鳴り声が政務室に響くことになるだろう。 
それだけは勘弁して欲しいと水月は思い、黙って書庫から逃げ出した。






稽古を見つめる王宮内禁衛 禁軍指揮官 菰将軍は日に日に殺気立つ稽古に些かげんなりして来た。 普段の稽古を御前試合で披露し、王宮内警護の更なる発展、向上とさせるべき処なのだが、陛下から 『褒美』 が賜れると聞き、兵の志気が燃え上がってしまったのだ。

更に他部署からも稽古参加を申し出るものが出現し、何故かと尋ねると菰将軍の知らぬ間に 陛下から許可が下りたと聞き、心底から驚いた。 おまけに体躯の良い確かに腕に覚えのある文官などが稽古に参加し出したから、武官である自分達が御前試合で見っとも無い戦いは見せられぬと 更に意欲的に稽古に熱が籠もる。 
褒美につられて炎上した焔に油を掛けられたかのようだと菰将軍は嘆息した。


その上・・・・・・・・・・・・・。

熱の籠もった稽古を繰り広げる兵に混じり、一応変装はしているようだが。


「あ~~~~、其処の武官・・・。 此方へ・・・・」
「・・・・何か?」

腕を引っ張り、稽古中の兵から見えない場所へと移動して菰将軍は小声で呟いた。


「・・・・・何故陛下がこの場で一兵卒と共に稽古に励まれているのか 私には理解出来かねます! 一体何をなさって御出でですか!?」
「ばれたか。 珠には身体を動かさないとストレスが溜まる一方だ。 それに兵の稽古の様子を見るには紛れるのが良い。 いろいろな話を聞く機会も出来るしな・・・・・」

にやりと哂う陛下を見て、菰将軍は額に手を宛がい嘆息するが、容易に引く陛下でないことは元より重々承知している。

「ああ、菰将軍も御前試合に出て見るか? 褒美が貰えるぞ? 確か婚礼を挙げたばかりだったよな? 」
「陛下・・・・ 御戯れを。 例年の御前試合には2年以上勤めた兵のみが参加できる筈。 今回に限って一体何故、文官や門番までもが参加することに為ったのですか??」

菰将軍の問いに陛下の濃紅の瞳が細くなり、口角が上がる。 

「仕える者のやる気があるならどの様なものでも見てみたいものだ。どんなやる気が試合会場を包み込むか判らないがな・・・・・」 

その言葉の意味に気付いて 菰将軍は黙って頭を下げ 「陛下の仰るとおりに・・・」 と答えた。 紅い瞳は稽古場で身体を動かし続ける兵らを見つめたあと、ゆっくりその場へと足を向けた。

陛下が大きく回した昆が熱気が充満した場の空気を薙ぎ、冷酷な表情が稽古場を見回す様に菰将軍は背に寒気が奔るのを感じた。









→ 次へ






スポンサーサイト

テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 00:07:30 | トラックバック(0) | コメント(0)
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。