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血湧き肉踊る  2
続きです。 ほんの少しだけ修正と補足してある他は、SNSのままです。
飲み会で愚痴と笑いと泣きが交じり合い、帰りはホロホロ酔い気分。
帰宅すると、娘に「遅すぎっ!」と怒られ(李順みたい) そのままバタンキューでした。
飲み過ぎです・・・・・・・。 


では、どうぞ。























夕鈴が政務室に赴くといつも以上に走り回る官吏の姿が目に入る。

「い、忙しそうですね!?」

思わず口にすると、李順が溜息を吐きながら書簡を広げた。 見て判るだろうとでも言うように黙々と必要部署ごとに仕分けをしている。 ぴりぴりした空気に夕鈴も黙り込み、あとは片付けるだけとなった書簡を持つと書庫へと足を向け、怖ろしいほどに冷たい空気が漂う場所から離れることにした。

書庫では方淵らが忙しく動き、不在の主が居ない間に出来ることを早急に処理していた。 
方淵が黙って睨み付ける中、邪魔にならないように手早く書簡を片付け、陛下が居ないのならばと後宮へ戻ろうと回廊へ出た時、狼陛下の声が自分を呼び止めるのを聞く。

「我が妃は忙しそうだな。 私の為だけに咲く華であって欲しいと思うのだが?」
「へっ、いか。 御戻りですか? 御不在でしたので御暇しようかと思っておりました。 ・・・・・どちらに行かれていたのでしょうか?」

妖艶な笑みを浮かべた狼陛下は兎の頤を掴み持ち上げると、顔を寄せ耳元で囁いた。

「君の為に出来ることをしているんだよ」
「・・・っ!!!」

きっと顔が深紅に染まっただろうと夕鈴は思った。 耳元に響く低い掠れた狼の声に腰から力が抜けそうだ。 思わず陛下の袖に縋りながら、周囲に目を走らせると驚いた顔の官吏が数人書簡を持ちながら拱手しようか、この場から立ち去ろうか逡巡している様が視界に映った。
夕鈴が息を詰まらせながら、真赤な顔のまま微笑み陛下を見上げた。

「わ・・・私の為に・・・で御座いますか? そ、そ、それは・・・・」
(李順さんが怒らない事でしょうか? 陛下のその笑顔が恐いんですけど・・・)

耳元から離れた陛下は夕鈴が蒼褪めるほど顔を近づけると、その妖艶で有り余るほどの魅力を夕鈴だけに降り注ぎながら、 「まだ内緒。」 と微笑んだ。 そこで夕鈴は限界となり袖に縋ったままで膝から脱力してしまった。
が、膝が床に着く前に夕鈴の身体を持ち上げると、くてんと肩に乗せられた夕鈴の頭を撫でた。

「御前試合まで楽しみにしていてね!」

後宮へと歩を進めながら小犬陛下の声で楽しそうに言う陛下に、夕鈴はそれ以上聞くことが出来なくなった。
ふと夕鈴の鼻にいつも衣装に焚き染められた香とは違う匂いを感じた。 それは陛下の汗の匂い。
外にいらしたのかしら・・・・、そう思いながらも脱力した夕鈴は何も言えずにいた。







御前試合当日。


厳かな衣装を身に纏った陛下が試合会場に姿を見せると大臣や、将軍が静かに拱手する。 
外宮承久殿前の広場にて武官が整然と並び片膝をつき拱手している。 それぞれが昆を足元に置き、これからの御前試合に意気揚々と構えていた。 武官並びに参加者全てを見下ろした陛下は、菰将軍を見て合図をする。

「これより 陛下御前試合を開始するっ!」

その声に一斉に立ち上がる武官達の怒号に夕鈴は驚いた。 
警護のため侍官姿の浩大が夕鈴の横に立ち、 「試合が始まったら場所を移動するよ。 危ないからね~」 と告げて来た。 激しい打ち合いで昆が飛ばされる場合があり、大臣らと共に少し離れた高台の見物席へと移動するらしい。 
陛下は将軍らと共に試合を視ながら、各州への軍配備や人員に関しての協議を行なうと聞き、一緒には観れないのかと少し残念に思った。 しかし仕事の一環で行なわれる御前試合でもあると聞き、夕鈴は仕方がないと諦めるしかない。 確かに一緒に見ようとは言われなかったと肩を竦めた。


各部署の若輩者から順に、敷地内に用意された試合場にて試合を開始する。 
狼陛下の御前と知り 若い武官らは緊張を隠せずに昆を振るい、素晴らしい試合を見せる者や散々な試合を行なう者がいた。 試合のたびに大きな歓声が上がり、数人の高官、大臣らが一喜一憂している様が見て取れる。 自分の親戚筋でもいるのかしらと夕鈴がその歓声に驚いていると、浩大が 「あれは賭けてるからだよ」 と教えてくれた。

・・・・・・・全く、男って。

夕鈴は父親を思い出し、肩を落とした。

そんな夕鈴を見て笑う浩大だが、ただ傍に居るだけではない。
飛んでくる昆を避ける事もそうだが妃警護を兼ねて、 陛下から周囲を 『見る』 ように指示がされていた。 用心に越したことは無いが、このまま無事に催し物が終了して欲しいよな~と浩大は願った。

若輩武官らの試合が終了すると、今度は勝ち抜き戦が始まった。 2年以上の経験武官が会場に登場すると歓声は一段と大きくなる。 夕鈴が会場を観ると体躯の良い武官が睨み合うように距離を取り、互いの昆を突き出し威嚇している。 
開始の合図と共に踏み出した足と気合の怒声が響く。
歓声が唸るように会場を包み込み夕鈴も握った手に力が入る。 
勝敗がつくと次の対戦に切り替わり、次の武官が場に現れると更なる歓声に包まれる。
周囲の皆が会場に注目し、歓声が止むことなく試合が展開された。


「浩大、あの人達、あんなに体格差があるのにいいの? ・・・・・あれ?」

浩大が何時の間にか離れたことに気付いた夕鈴は会場を包む歓声の中その姿を探した。 
侍官姿の浩大が何処にも見当たらなかった為、大臣らの傍からそっと離れて探す事にする。
 
周囲は王宮に勤める武官や文官、そして高官や大臣らの姿で埋め尽くされ、皆興奮している様に驚きながら足を進めた。 下町のお祭りも華の喧嘩が始めるとその喧騒がすごいことだが、彼らの変貌に心底驚いてしまう。 普段は真面目な顔で勤めている文官が身を乗り出して、この喧騒の中叫んでいる姿に見慣れないものを見たようで目を瞠る。 
ふと前を見ると浩大の姿を確認した。
 
浩大に声を掛けようと近付くと急に背後から誰かに口元を塞がれてしまう。 『こんな時に刺客なの?』 と思い蒼白になり身構えると、耳元に低い苦笑の声が聞こえ夕鈴は直ぐに真赤になった。

「夕鈴、何処に行く? 試合は見ないのか?」

何時の間に背後に? 
夕鈴が振り向くと人の口を塞いだままで陛下がにっこりと微笑んで背後に立っていた。 

「あ、あの浩大が居なくなったので如何したのかなと思って!」
「浩大を探していたのか。 それより試合を見てて。 あ、夕鈴はこの試合の最終勝者が貰える褒美を知っている?」 

背後から包み込むように耳元で響く声は小犬陛下。 
周囲に皆が居るというのに素を出していいのかと慌てながら、夕鈴は首を横に振った。 


「あのね、勝者への褒美は、王宮唯一の妃からの口付けだよ。」
「・・・・はぁ??」








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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 21:50:45 | トラックバック(0) | コメント(0)
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