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血湧き肉踊る  3
SNSでの題をそのまま移動してますが、血も肉も出てきません。 すいません!(笑)
誤解をされませんように。 本当にかる~い話です。 コメディです。 




では、どうぞ





















今、陛下は何を言った!?

陛下の腕を振り払い身体を反転させると、何故か嬉しそうな表情の陛下が居た。 

「そんな褒美を欲しがる者は居ませんよ? 大体李順さんや菰将軍がそれを褒美として認める訳がないでしょう!?」  

眉間に皺を寄せて文句を言うと、今度は意外そうな表情になる陛下。 
名だたる美姫なら兎も角、私なんかが、私の口付けなんかが・・・・。

「え? ・・・今、何て言いました? まさか、く、く・・・・ 口ぃ・・・」

急いで夕鈴の口を覆ったから、叫びそうになった声は周囲の歓声に掻き消された。 口を押えた目の前の夕鈴は赤を通り越して深紅に染まってワナワナと震えている。 
その顔が可愛くて可愛くて この場で抱き締めたくなる。 

「静かにね。 幾らこの歓声の中でも君の叫び声は注目されちゃうよ」
「~~~っ!! で、でも口、口付けなん、なんてっ! 無理ですっ! 絶対、絶対に無理ですからねっ! それなら独身の女官さんからして貰った方が、皆どれだけ喜ぶかっ! 陛下、そうでしょ? その方が武官の方々は皆喜びますよ!」

涙目で声を落としながら必死に訴える夕鈴。 ああ、このまま何処かに攫っちゃおうか!

「武官らは陛下と妃に忠誠を誓っている。 そのために日々鍛錬を行い、今日その腕を披露している。 だから妃から褒美として口付けをして貰うのは至上の悦びだろう?」
「・・・・誰も喜びませんって。 第一、武将や武官の皆様は陛下や妃のためだけではなく、国を守る為に日々鍛錬なさっているのでしょう? それなのに・・・。 そんな褒美が本当なら私は直ぐに癪を起こして後宮に引き篭もりますからねっ!」

その言葉に僕は自身の口を押えて身体を震わせた。 夕鈴と同じように真っ赤になった顔で堪え続ける。 その様子にぽかんとした表情の夕鈴を見て、我慢の限界を超えそうになる。 
ああ、可愛すぎて如何しようかっ!
 
そこへ浩大が姿を現し 「はい、はい、こちら」 と陛下と夕鈴を遠くの場所へと連れ出す。

「へーか、あんまりお妃ちゃんを苛めるなよ~?」

御前試合を観戦する皆から離れた場所で、とうとう陛下の我慢の限界という堤防が決壊した。

「あーはっはっははっははは!!! ごめん、ごめんね、夕鈴・・・・ひぃ、ひ。 くっ・・・・あははっはっは!!」
「・・・・・・・陛下?」

お腹を押えて承久殿の壁に寄り掛かり、真赤な顔で悶え苦しんでいる陛下。 
全開の笑顔で、涙目で・・・・。  これは・・・・・・・・・。

夕鈴がじと目で哂い続ける陛下を見つめていると、涙を拭きながら陛下が夕鈴の肩に手を置いた。 その手が未だ震えているのに気付き、更に冷たい視線を向けると苦笑し続ける陛下が浩大に突付かれた。 
浩大が顎をしゃくって夕鈴を見ろと無言で示唆すると、ようやく笑いが止まったようだ。 

見る見るうちに陛下の顔から赤味が消えていく。

目の前の妃の表情にやっと気が付いたから。


「ご、ごめんねっ! 冗談だからね。 妃からの口付けは嘘だからっ!」
「・・・・御前試合は有力な武官を見極める為のものでもあると将軍様より伺いました。 その様な重要な催し物に 『臨時花嫁』 からの口付けなど誰が欲しがりますかっ! もう、・・・・陛下の馬鹿っ!」
「でもさぁ~。 ・・・・・欲しがる人が居たら如何する? お妃ちゃん!」

浩大が眉を上げて楽しそうに聞いてくる。

「陛下の為に仕えていらっしゃる武官にその様な方はいらっしゃらないと思いますよ? その為に頑張る人なんか 居るわけ無いじゃないの!」
「だ~か~ら~ 居たらどうするぅ? 花恵宴の時のお妃ちゃんの着飾った姿を見て、今回頑張っているのも居るかもよ~? お妃ちゃんが見物するのは事前に皆が知ってるしさ。  ・・・・で、そんな奴が居たらしちゃう? 口付け!」

浩大の言葉に思い切り脱力すると、陛下が肩を支えながら苦笑した。 
陛下のその苦笑にカチンと来て、夕鈴は思わず宣言してしまう。

「そんな武官がいらっしゃるとは思いませんが、・・・・・ええ、いいですよ! 私なんかの口付けを褒美と受け取って下さるなら、喜んで差し上げますわっ!」


夕鈴の運命は決まった。 


浩大はその言葉を聞くと直ぐに踵を返して一目散に走って場を離れた。
夕鈴が驚いて 「ど、如何したの!?」 と叫ぶもその声は浩大には届かない。 浩大は知っているのだ。  陛下が御前試合に変装して出ることを。 だから自分の甘言に簡単に釣られてくれた夕鈴に、自分の笑い声が決して届かない場所へと急いで移動しなければならなかった・・・・。


其の事を知らず夕鈴は 「刺客でも見つけたのかしら? 忙しい身ね・・・・」 と浩大が消えた方向を見つめた。 陛下は声を顰めて 「僕、将軍と話し合いの続きがあるから行くね」 と夕鈴に告げ、 「試合見ててね」  と楽しげな表情で会場へと足を向けた。 取り残された夕鈴は 暫しぽかんとその場に立ち尽くしたが、試合会場からの歓声に意識を取り戻り、首を傾げながらも席に戻るしかない。




大柄な体躯の武官が圧倒的な力で勝ち続け、先の試合に参加する者は武官ばかりとなった。 
幾ら参加した文官の体躯が良いといっても普段からの鍛錬の違いだろう。 大臣らからは悔しそうな声が聞こえたり、低い哂い声が聞こえたりして夕鈴は冷やかな視線を送りたくなった。 大臣らの話から賭けをしてるのは間違いが無かった。

・・・・御前試合で賭けなんて。

陛下は御存知なのかしら? 李順さんが知ったら怒り心頭だろうに・・・。
いや、それをネタに上手く大臣らを使役しようとするかも知れない。 
彼なら有り得るだろう・・・。 

そんな事を考えながら溜息を漏らし試合を観ていると、大柄な武官の前に黒い衣装に身を包んだ人物が登場した。 黒衣の長身の人物は身元が判らないように目元以外を黒い布で覆っている。 文官は全滅したと聞いて居たが、では彼も武官なのかしらと見ていると試合に参加していた武官らからも戸惑いの声が上がっている。 

そして、唐突に試合が開始された。

大柄な武官が繰り出す昆を難なく避け、合わさる昆の響きに皆が注目する。 合わせた昆から上手く力を逃しているようで、黒衣装の人物は相手の昆を宙に投げ飛ばし、更に相手の足を攫うと試合場に倒し、咽喉元に昆を押し付ける。 あっという間の流れだった。

「・・・・参りました。」

倒れた武官の言葉に観客からどよめきが湧き上がる。 

アレは誰だ? 大柄な武官をいとも簡単に倒したぞ。
あの昆の使い手はどの州の将軍の手の者だ?
文官でない事は確かだが、喜んでいるのは何処の将軍だ? 


ざわめきと歓声の中、次の試合が始まった。 
勝者となった彼は続けて試合を開始する事になるが、疲れも見せずに相手を翻弄する。 昆を軽々と付き出し、相手を試合場から追い出そうとするかのような動きを見せる。 相手がその動きに翻弄されながら上段から振り下ろすと、後ろへ飛退いた反動で直ぐに相手へと大きく踏み出し、見事な足捌きでくるりと背後へ回り後頭部へ一撃を落とした。

「・・・・ぐがっ!」

大柄な相手がその場にうつ伏せに倒れると、会場が揺れるような歓声と同時にどよめきが沸きあがった。 夕鈴が思わず耳を塞いでその喧騒に顔を顰めると、試合会場の黒衣の男性が手を上げて此方に合図を送っているように見えた。 
夕鈴が首を傾げてじっと見ていると、上げられた手が握られ人差し指が立ち上がる。

『一番になる・・・・ つまり、優勝だ』

そういう意味合いがあるのか、周囲の観客が更にエキサイトした。 
いつの間に居たのか、観客席から女官が悲鳴のような黄色い声を張り上げ、大臣らが 「アイツに賭けるっ!」 と大声を出した。 ぎょっとした夕鈴が声のする方向を見ると柳大臣が、賭け事に興じている大臣を睨ね付ける光景が目に入る。 興奮して思わず声を張り上げてしまった大臣は柳大臣の視線に目を大きく見開くと蒼褪めて立ち上がり、急いで場を離れて行った。

その様子に大仰な溜息を吐き、前を見る柳大臣と視線が絡み夕鈴は慌てて会釈をした。








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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 01:10:10 | トラックバック(0) | コメント(0)
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