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抱擁  1
忙しいと文句を言いながら、妄想は止まらず・・・。
今回は楽しい話にしてみました。 途中滞るかも知れませんが御了承下さいませ。


では、どうぞ。












「方淵殿、大好き」

背中から抱きついた妃はそのまま両腕を方淵の胸に回し、両手を組んだ。 
妃が背を反らして手を回してくるから、妃の胸の感触が方淵の背に伝わってきた。 書簡を棚へ入れようとしたまま、ビシリと固まった方淵は一体何を言われたのか、耳から聞こえた妃の言葉が理解が出来ない。 いや、理解したくないと思った。

「ほーえん・ど・の! だーい好き!」

背に頬をすり寄せる妃は更に胸を押し付けてくるから益々頭の中が真っ白になっていた。
背後から妃の明るい声が聞こえ、方淵の胸には妃の指が強く押し付けるように組まれているのが見える。 書架へと手を伸ばしたまま固まった方淵は何が如何してこうなったのか必死に考えあぐねていた。



「方淵殿、これの書簡の予算なんだけど・・・・ なんだけど、お邪魔かな?」

書庫へ入って来た水月が方淵に語り掛けながら書簡を広げ、顔を上げるとその光景に目を瞠り、戸惑った顔を向けた。 方淵はぎ・ぎ・ぎっと錆びた蝶番のように首を動かし、珍しく蒼褪めた顔を水月へ見せる。

「奇怪しなことを言っていないで・・・・ 助けろっ!」
「方淵殿、いやん、大好きっ!」

きゅうっと力を込めて妃が方淵を抱き締める。 妃のその台詞と姿に水月が困った顔を向けて近付いて行った。 妃の何処を触ろうか瞬時悩み、それからそっと方淵の胸で組まれていた手に自身の手を重ねた。  

「お手に触れますこと御無礼とは存じますが御許し下さい。 お妃様」

すると、するりと方淵の胸で組んでいた手を解き放して、水月の手をきゅっと握った。

「え? お妃様・・・・」

水月が戸惑った声を出したと同時に夕鈴の身体が方淵から完全に離れ、水月と向き直った。 手を握り見上げて来た妃の顔に驚いていると、妃の腕が水月の脇を通り背中へと回された。

「お妃様、あ、あの?」
「水月さん、大好きっ!」

正面から抱きついて来た妃の言動に水月が唖然として固まった。 
きゅううっと強く抱きつかれ 思わず方淵を見ると彼はやっと離れた妃に安堵して書簡を書架へ押し込んで、腕を大きく振り回し強張りを解きほぐしている。 
妃をちらりと見たあと、水月に背を向けて他の書簡を棚へと手早く片付け始めるその動作は急ぎ作業を終わらせ、一刻も早く書庫から逃げ出そうとするかのように見える。

「方淵殿? ・・・まさか私をこのままに逃げようなど卑怯な真似はしないよね?」

その言葉に振り返りもせず、方淵は水月が持ってきた書簡を広げると、その書簡に書かれた予算に関してブツブツ言い出した。 ああ、これはこの部分が必要ないな・・・、これは必要だが見直しが必要だ・・・と真面目な顔で呟きながら書庫を離れようとしたから、水月が妃を引き連れて近寄り、その手を方淵に向けた。

「なっ! お妃様、水月だけで充分だろう!?」
「方淵殿、この状態のお妃様を人に任せる理由を聞きたいのですが」
 
方淵に差し向けた妃の手は方淵の袖をきゅっと掴み、自分へと引き寄せる。

「方淵殿、好きっ! 水月さん、んふっ、大好きっ!」

先ほどは背後からで解からなかったが、妃は頬を染め嬉しそうに顔をすり寄せてくる。 方淵はその表情に驚いて水月に向き直ると 「一体何を食べたと思う?」 と真面目な顔で問い質した。

「さあ、何を食べたか解からないけど、このままでは私たちの首が心配だね」
「・・・兎も角、この妃から逃げ出せるよう何か策を講じなくてはならないな」

二人の溜息を受けながら方淵の袖を握り水月の身体に手を回し、嬉しそうに顔をすり寄せながら妃は 「大好き」 を繰り返した。






  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





一刻以上経過しても妃が書庫から戻らず、扉が閉ざされた書庫近くの回廊で侍女が困惑の表情で立ち竦んでいた。 国家機密に関わる書簡等があるため、侍女は基本書庫の中には入れない。 いつもなら直ぐに戻ってくるか、時間が掛かるような時や執務室に行く時は声を掛けてくれる妃から返答も無い状態で侍女らは待つしか出来ない。

「侍女方、如何されました? お妃様は書庫ですか?」

陛下の側近の登場に侍女らは安堵の表情を呈し、拱手して説明をした。 
説明を受け侍女を後宮へと下がらせ書庫へと足を向ける。 
いつもと違う妃の行動に困惑していた侍女ら。 
彼女はバイトの役割と自分の身分を重々承知しているので、侍女らに迷惑が掛からないように普段は気を遣っているはず。 その彼女が侍女らに迷惑を掛けていると言うことは・・・・・・・。

書庫で書簡を広げながら寝ているか、窓辺で寝ているか、陛下に見つかって四阿に連れて行かれたか、庭園に連れて行かれたかの何れかしかない。 ( 断定! )

侍女がいるところで書庫の扉を開き、涎を垂らして寝ている妃を見られる訳にはいかない。
周囲に人影が無いことを確認し、大仰に溜息を付き青筋を立てて李順が書庫の扉に手を掛けた時、中から楽しげな女性の声が聞こえて来た。
この声は間違いなく、夕鈴殿。 
それに・・・・ 柳方淵殿に、氾水月殿の声??

はあ・・・・。 
こんな所を陛下に見つかったらまた政務をサボるいいネタにされてしまうだろう。 
額に浮かんでいる青筋を柳と氾家の子息に見られる訳にはいかない。 
深呼吸をして、李順は重々しく扉を開けた。




「ああ、李順殿。 助けて頂けませんか?」

扉を開いた瞬間、有り得ない光景が目に飛び込んで来て、重鎮大臣の子息方から縋るような視線と言葉を受け李順の顔から眼鏡がずり落ちそうになった。
 








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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 00:01:10 | トラックバック(0) | コメント(2)
コメント
キャァー・
波乱の幕開けですね

酔ってるんでしょうか?そうでないと想像つかない出来事ですね・

このあと、李順氏には夕鈴どんな反応しめすのかしら?お題通りに抱擁?李順氏に?なんかとても楽しげな展開になりそうな予感?

お仕事忙しいでしょうから、のんびり待ってますね・
2012-09-15 土 07:43:05 | URL | ともぞう [編集]
Re: キャァー・
のんびり待て頂けると嬉しいです。 今日は残業になりそうなので、更新も遅くなるかも。 いやいや仕事しろって話ですよね。 はい、頑張ります。 夕鈴可愛くて酷いことしそうです。(爆)
2012-09-15 土 08:59:48 | URL | あお [編集]
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