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一葉落ちて貴方の秋を知る  8
ようやくunderの更新が終わり、こっちに集中出来ます。 
今回は陛下がメイン? 


では、どうぞ。




















「・・・・・王宮に連絡をして町の警備兵に見回りを強化するよう伝えているから、急に危ない目に遭うことは無いと思うよ。 でも夕鈴が王宮に戻るのは賛成だね」
「だったら早くコイツを連れて行け。 夕鈴、お前も早く支度をしろよ。 いつまでもノロノロしてるんじゃねえよ」

朝餉の後片付けを終えたばかりの夕鈴は几鍔の命令口調に怒鳴りたくなったが、今は陛下がいる家の中。 青慎も心配して顔色を窺っているし今は、今だけは大人しく無視するに限る、と人数分のお茶を淹れて卓へと置くと静かに椅子に腰を降ろした。

「だけど夕鈴が危惧している彼女の今後も気になるね。 本当に王宮まで乗り込みはしないだろうけど 『忠実な者』 がどれだけ有能か解らない以上、下調べは必要だし、彼女の真意と解決方法を模索することは出来るだろう?」

卓の茶をぐいと飲み込んで几鍔は陛下を睨み付ける。 
そんなことが出来るのだろうかと訝しむ視線を向けると、陛下が真摯な視線を返して寄越す。

「君が夕鈴を心配するのは解るけど、今後、万が一にでも君が傷付くことになると彼女は犯罪者として捕らえられることになる」
「はっ、それが如何した? 本当にアイツは怖ろしい女なんだぞ? しつこい大蛇みたいなんだ! それにあの男はマジにヤバそうだ。 解決方法なんて・・・・・」
「う~ん、一番良い解決策は君が彼女と実際にお付き合いをすることかな。 結婚を前提としたね。 彼女は満足して夕鈴を襲おうとは思わないだろう?」

明るい陛下の声に、割れんばかりの音を立てて茶杯が卓に置かれた。 
夕鈴が驚いて茶杯が欠けてないか検証する。 「割れたら弁償してよね!」 と夕鈴が怒鳴りつけるも、肩を震わせた几鍔の視線は燃える怒りで陛下を見つめている。

「まあ、・・・・これが一番簡単だけど、それは君が望まない。 あ、却下でいいよ。 だけど勿論、夕鈴が彼女役なんて二度目は無いよね。 危険だし、これ以上噂が広まる訳にはいかない。 夕鈴は未婚女性なんだから可哀想だろう?」
 
確かに彼女役はしたが、その為に几鍔と将来を誓い合ったような噂が流れるなんて・・・・。 
夕鈴は蒼褪めて陛下の言葉に強く頷いた。 
顰め面の几鍔が 「コイツがそんな噂くらいでめげるかよ」 と嘯いた瞬間、お盆が飛んで来て後頭部を強かに叩かれる。 青慎が慌てて姉を止めようとしたが遅かったようで、几鍔に頭を下げて謝っている。

「彼女役はしないって言うか、あの子をこれ以上煽るのは逆効果だわ。 諦めるなんてしないと解ったから。 ・・・・・正面から話し合いをしてみるのは、どうかしら?」
「したよっ!! 俺の好みじゃないって、誰とも付き合う気は無いって何度も伝えた! その結果がストーカーだ! 訳の解らない飲み物や食べ物らしきの差し入れだ!」

その差し入れを捨ててしまうのは可哀想だと、内緒で口にした几鍔の子分が泡を吹いて倒れ、医家に運ばれる破目に遭ったそうで、思い出した几鍔が蒼褪めてブルッと震えた。 几鍔のその様子に流石に話し合いは無理だと解った夕鈴は額に手を当てて難しい顔で考えるしか無い。

「・・・・下町の警備兵から新しい情報が入っていないか聞いてくるから、夕鈴。 買い物がてら一緒に行かないか? 僕と歩けば幼馴染君との噂も消えるだろう?」

すっと近寄る陛下の顔に驚いた夕鈴は椅子から転げ落ちそうになる。 
青慎が其れは良いかも知れないと買い物籠を差し出しながら 「僕も学問所に行く時間だから、李翔さん。 姉をお願いします」 と痛む腕を押えながら頭を下げ、何故か突然、買い物籠を持ち立ち上がった陛下に引き摺られるように、夕鈴は買い物に出掛けることになってしまった。

「・・・・充分気を付けろよ」

家を出るまで黙っていた几鍔が小さく呟き、彼も仕事へと向かって行った。







「・・・陛下、浩大に何か調べさせているの? 何か報告があるかしら? ああ、如何したらいいんだろう? 説得しても本当に駄目なのかしら?」
「夕鈴、今日の昼餉はどうするの? 料亭街で食べてく? 青慎君はお弁当持っていたよね。 それとも戻って何か作るの? 僕 夕鈴と外で食べるの久し振りだな~」
「陛下・・・・。 まだお腹空いているんですか?」 

陛下と二人で買い物をしていると、昨日夕鈴と几鍔を囃し立てた店の小父さんや小母さんが戸惑った表情で対応してくれた。 陛下がニコニコしながら夕鈴の腕を掴んだり肩を抱き抱えるから、曖昧な笑顔で接客をするのを夕鈴は軽い眩暈とともに強張った笑顔で返していた。
露骨にずけずけと問い質す店の小父さんも居て 「昨日は几鍔とだったが、今日は例のお役人さんか?」 とか、 「几鍔とは別れたのか?」 とか 「昨日とは表情が違うな~。 本命はどっちだ?」 とか・・・・・。 
青筋を浮かばせながら夕鈴が歩くと、陛下が手を繋ごうと指を絡めてくる。 
今そんなことをされると本当に噂だけで嫁き遅れが決定しそうだと、夕鈴は必死にあちこち意味もなく指差して話をしたり、買い物籠を持ち替えたり忙しいひと時を過ごすことになる。

昨日以上に精神的に疲れ果てながら買い物を終えた夕鈴が自宅に戻ると、思い浮かぶことはやはり少女のことだった。

「粗茶ですが・・・・」

陛下にお茶を差し出しながらも眉根を下げて他に何か手立ては無いかと考えていると、陛下が夕鈴の手をぎゅっと握り締め、口を尖らせた顔を寄せて来た。
突然の事に夕鈴が驚いて叫びそうになると腕を引かれ、陛下の胸に捕らわれる。

「なぁっ!? ど、如何したんですか! な、何で?」

吃驚して陛下の胸を押しやろうとすると、頭上から拗ねたような小犬の声が降って来た。

「ゆーりん、僕 いじけそう・・・・。 幼馴染君と遠慮のない口喧嘩で、ずっと楽しそうにしているのを見てたから、直ぐにでも王宮に連れ帰りたくなったよ」
「・・・・口喧嘩は楽しくありませんよ? あのバカが一方的だから腹が立つだけです」
「いちゃいちゃ演技で肩を組んで楽しそうに買い物したって聞いたよ?」
「・・・・え、演技です。 それに肩を組んだりなんかしてません。 肩を掴まれていたんです。 彼女役の・・・え、演技をしていたので」
「逃げる時、手を握り合っていたって聞いたけど?」
「腰を掴まれて、ひたすらダッシュですよ!? こっちは必死だったんですから!」

余計な報告をした浩大を怨みながら、何故陛下はそんなにしつこく聞くんだと大声になる。
背に廻っていた陛下の片手がすっと下がり膝裏に廻ったと思ったら、あっという間に抱き上げられ夕鈴は そのまま裏庭の長椅子へと連れて行かれる。 真赤な顔で何故抱き上げる必要があるのかと暴れるが、陛下は一向に気にせず夕鈴を膝の上に乗せて椅子へ腰掛けた。

「お、降ろして下さい! 何で事ある毎に陛下の膝の上なんですか? ここでは演技の必要がありませんっ! お、重いでしょうから私を降ろして 解決策を考えましょうよ!」

降りたがる夕鈴の腰を押さえて、陛下はぎゅっと抱き締める。 
「ひやっ!」 と素っ頓狂な声を張り上げる夕鈴を束縛して拗ねた口調で文句を言い出した。

「あんなに仲良さ気にしているところを朝からずっと見ていたら、いじけちゃうだろう? 僕とももっと仲良くしてくれても良いのに・・・・」
「はあ? ・・・・・陛下、ですから仲良くなんて無いって言ってるでしょう? 以前も青慎からの手紙を見て、そんなこと言ってましたよね。 陛下の落ち込む意味が全くもって解らないのですが? 几鍔とは・・・・」
 
陛下の意味の解らない呟きに、夕鈴が文句を言い返していると胸に強く抱き締められ言葉が紡げなくなってしまう。 離して欲しいと陛下の腕を叩くと、 「君の口から他の男の名は聞きたくないな~」 と拗ねた声が聞こえてくる。 陛下の誤解を解きたいだけなのだと夕鈴が暴れ出すと、聞き慣れた笑い声が耳に響いた。


「あ~、お邪魔ですかぁ。 全く仲いいっすね~」





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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 20:15:08 | トラックバック(0) | コメント(0)
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