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一葉落ちて貴方の秋を知る  9
朝晩が寒くなってきました。 お布団から出るのが辛いです。 くぅぅ・・・。
折角のお休みが総会でつぶれたので、睡眠不足。 今日は職員会議だし~。


では、どうぞ。




















からかっている様な その声に浩大が来たのだと判る。 
陛下に命ぜられて少女のことを、そして隠密のような刺客のような動きをしていた黒衣の人物のことを調べていたと知り、夕鈴は固唾を呑んだ。 
陛下が冷たい視線で浩大を睨み付け、 「お前はタイミングが悪い・・・・」 と小声で何か文句らしきことを呟いているが、それよりも早く報告を聞こうと几鍔に買って貰ったばかりの果物の砂糖漬けとお茶を出し、浩大に椅子を勧めた。  今は青慎も几鍔も居ない自宅内。 
浩大が居ても問題はないが、それでも突っ支い棒をして用心しながら話を始めた。

「調べは済んだのか? 問題の娘は大店の次女とは聞いているが」
「そうそう、茶卸の大店の次女さんで、長女は婿を貰って店を継いでいるよ。 歳が離れているせいか 家族中に甘やかされて育った、御歳十六の夢見るお嬢さん。 過去にも、い~ろいろな騒動を起こしていると判ったよ。 まあ、惚れっぽくて猪突猛進タイプ? 事件になったこともあるそうで、今回は幼馴染クンだけど、その前は学問所の先生、あとは人の旦那さん、官吏に医師、花卸店の息子、下級貴族の息子、舞台俳優、織物問屋の跡取り息子・・・・・ あとは・・・・・」
 
指折り数える浩大の話を、夕鈴はぽかんと口を開けて聞いていた。
自分より一つ下の女性の恋愛経歴(?)を聞き、唖然とするしかない。 陛下に頬を突付かれ、夕鈴はようやく現実に戻ることが出来た。 瞬きをして、こくんと唾を飲み込んでから夕鈴は浩大の話しを戻した。

「あ、あの! 事件になったこともあるって具体的にはどんな事件なの? 下町でバイト中、私、全く聞いたことが無いんだけど?」

下町は情報が早い。 流れる噂話は本当が半分、作り話が半分。 
それが真しやかに浸透するのだ。 夕鈴もその噂話に翻弄されたことがある。 
大店の跡取り息子とお役人に取り合いされてる三角関係の子・・・・と。 下町の悪女とかまで言われて当たり前だがイイ気持ちはしない。
彼女が何らかの事件を起こしたなら下町に流れていい筈だ。

「あっという間に揉み消したらしいよ。 それに上級役人に金を掴ませた上、親戚筋が居るらしくてね、緘口令っていうの? それに最近こちらに越して来たから噂までは皆、未だ知らないんだろう? 事件はまあ、今回の金貸し君と同じ。 付き纏って一緒になれないなら死にましょうって油をかけて火を点けたとか、周囲の女性に暴行したとか、舞台に立てないくらい精神的に追い詰めたたとか、それと~」
「も、いい・・・・。 怖過ぎる・・・。 そこまでやっていたんだ・・・・」

几鍔が嫌がる理由がようやく判ったような気がする。 そこまで追い詰められたら、どうやっても逃げたいと思うだろう。 酷い目にもたくさん遭っていたのかも知れない。 
ここまで聞くと彼女を説得する段階じゃないと判り、解決方法が判らなくなる。 
話しが通じない、話が出来ないなら如何すればいいのだろう。

夕鈴が頭を押さえて唸りながら考え出すと、陛下は浩大に黒衣の人物について問い質す。

「手練れの正体は判ったのか?」
「・・・何のことは無い、彼女の家の奉公人でしたよ。 普段は店の手伝いをしてるけど、彼女が出掛ける時は警護しながら付き従っている様子で、彼女の命令なら何でも聞くそうだよん。 たぶん、過去の事件全てに係わっているだろうね」

何処かの隠密とか修行した刺客だとかではないと判ったと浩大は嘆息しながら零した。 
裏はないようだが、あの少女に心酔しており、彼女の言う通りに行動している。 
善も悪も彼女の命令なら、全て彼女の言う通りに実行する、ある意味自分が無い様子だと浩大は話した。 彼女が主で、その彼女が彼の全て。 歳は彼女より上で、普段は店の手伝いをしているが彼女が出掛ける時は毎回付き従っていると判ったそうだ。

「この男が曲者で、彼女の願いを叶えようとめちゃめちゃするんだよな。 一番面倒な奴かも知れない。 奴が居なきゃ彼女もここまで酷くはなかったかもな~・・・・」

夕鈴はその説明を聞き、彼女より彼と話が出来たら如何にかなるのかしらと考えた。 
すると急に顎を捉えられ、驚いて意識を向けると陛下が怖ろしいほど冷たい視線で自分を見つめていて、夕鈴は目を瞠って震えた。 

「・・・・何を考えているのか解るが、それは危険だ。 今君は自分が狙われているという事を自覚しないといけない。 彼を捕縛して話を聞くのは警備兵に任せるんだ」
「で、でも・・・、それなら私が囮になれば捕まえやすいかも知れません! 几鍔のことだけじゃなく、あの娘のためにも早く話をして、間違いを教えてあげなきゃ」

浩大がケラケラ哂う声が聞こえたが、陛下の視線で直ぐに静かになる。 陛下は視線を夕鈴に戻し、じっと見つめるが小さく溜め息を吐くと夕鈴の顎から手を離した。

 「囮・・・・か。 君は如何してもこの件に係わりたいと謂うのか。 そんなに・・・」

眉根を寄せた陛下の表情は何を語ろうとしているのか夕鈴は計りかねたが、囮になることに躊躇はなかった。 小さく頷くと真っ直ぐに陛下を見て、自分の意思表示を示した。 その瞳に何を思ったのか陛下は夕鈴の頬をそっと撫でると視線を外すことなく、浩大に現在の彼女らの動向を調べるように指示をした。

几鍔の居る場所に毎回出没するとは聞いたが、それを調べて彼女をその場所へと連れ出すのも男の仕事なのだろう。 いつも傍に居るというからには几鍔の居る場所に夕鈴が現れれば、奴は動く筈だ。

「一刻も早く男を捕まえ、女と離そう。 まずはそれからだな」

几鍔の居場所は調べてあると浩大は目を輝かせ、卓の菓子に手を伸ばした。











几鍔は頭をガシガシと掻きながら、新たに届いた荷物の行き先を指示していた。 
少し離れた場所からねっとりとした視線を感じ、胃がムカムカするのを我慢し続けていた。 
仕事が終わったら町の見回りがてら、もう一度彼女に諦めるように説得しようかと考えて、ひたすら耐えていた。 先ずは目の前の仕事を間違えないように終わらせなければ。 
小さな間違いでもばーさんは激昂して怒鳴り出す。 
孫にも容赦ないばーさんだと解っているから集中して取り組むしかない。

「今日はこっちで仕事なんだね~」

のんびりした声が背後から聞こえてきて、またか・・・・と几鍔は思った。
そして、まさか一人かと振り向くと、李翔の隣に夕鈴が居るのを知り安堵した。 一人家に残されたのではないと解ったが、容易に出歩くのも危険だろう。 一度李翔とは思いかけず対峙しており、その腕前は解ってはいるが、黒衣の人物の腕も確かなものだろう。 
少しでも危険から遠ざけた方がいいと王宮に戻るよう頼んでいた夕鈴を連れて町を歩くなんて、コイツは一体何を考えているのか。

几鍔の考えが解るのか、陛下は苦笑しながらその視線に答えた。

「そんな顔で睨み付けなくてもいいよ。 夕鈴一人置いて来る訳にはいかないし、一緒に居た方が安全だから連れて来たんだ。 ・・・・本当に君は心配性だね。 まあ君の心配は特定の人物限定だろうけど・・・?」
「そんなんじゃねえよ!  ・・・・・居るんだよ、あの女が・・・・」

顎をしゃくって倉庫から伸びる人影を見ろと二人を睨み付ける。 陛下はにっこりと几鍔に笑い掛け、 『分かっている』 と口を動かし指を唇に当てて小さく頷いた。 
眼の前で突然夕鈴が陛下と腕を組むと几鍔に近付き、腕を伸ばして袖を引っ張った。

「ちょっと近寄ってよ・・・。 向こうの彼女らに見えるように」

楽しそうに微笑みながら几鍔だけに聞こえる小声で囁いた。 訝しそうに片眉を上げた几鍔がそれでも近付くと、夕鈴の手がするりと几鍔の腕に絡む。 そのまま二人の男に挟まれた状態で夕鈴はすぅっと息を吸うと大きな声で 「今日は三人で遊びに行きましょう! ね、几鍔?」 と首を傾げて几鍔に微笑んだ。
プロ妃演技で培った明るく、それでいて上品な笑顔を几鍔に向けると、明らかにげんなりした顔で見返される。 几鍔の表情に青筋が一気に2本浮かぶが、夕鈴は息を整えると強張った笑顔で几鍔の袖を引っ張る。

「仕事が終わったら一緒に出掛けましょうよ。 今日はへ・・・ 李翔も居るから少し遠出しない? ね、約束して! 待っているから一緒に出掛けましょうっ!」

ぎゅっと腕を引き寄せながら夕鈴は几鍔に笑い掛け、傍に立つ陛下は黙って几鍔を見つめた。
 
そんな二人の意図を理解した几鍔は陛下を睨み付けながら逡巡したが、少し瞑目したあと深い溜め息を吐き、夕鈴の頭を掻き回した。 頭を掻き回された夕鈴が眉間に皺を寄せて顔を上げると、真面目な表情で顔を近付けた几鍔が 「・・・・本気か?」 と小声で囁いたから、頭に乗せた几鍔の手に自身の手を重ねて視線に力を入れた。

「じゃあ、いつもの場所で待ってるから二刻後には絶対に来てね!」

するりと几鍔の腕から手を離すと楽しげに手を振り、夕鈴は陛下と共に料亭街へと足を向けて行った。 肩を竦めた几鍔は忌々しげに二人を見送ったあと、仕事を早急に片付けようとペースをあげるため檄を飛ばし出し出す。 






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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 00:45:09 | トラックバック(0) | コメント(2)
コメント
いよいよ
夕鈴はどっちにいてもやることは変わりませんね・もうなんと言っていいやら…今回は両手に花?といっていいのかしら内容は怖いけどきっと二人いや三人か?守ってくれると思いますが、どんな解決方になるのかドキドキです
2012-10-17 水 06:15:59 | URL | ともぞう [編集]
Re: いよいよ
守ってもらう夕鈴もいいですね~。 ふむふむ。 几鍔にも陛下にも浩大にも心配されて、うふふ。 考えるのが楽しいです。 解決方法・・・・まだ考えていませんけどね~! ああ、如何しましょう!?
2012-10-17 水 13:26:01 | URL | あお [編集]
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