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一葉落ちて貴方の秋を知る  11
続きです。 あー、動きのあるシーンは苦手です。 上手く伝わっているのか不安です。
不安といえば最近体重が不安です。 半年は計測していません。 そろそろ健康診断の
時期なので不安になりながら、ご飯が美味しいと、ビールが旨いと止める事が出来ない
私です。 ・・・・・・・・・・どうしましょう?(爆)


では、どうぞ。

















邸の外庭には黒衣の人物が静かに立っていた。
少し後ろに少女が真赤な顔でワナワナと肩を震わせているのが判り、やはり後から付いて来ていたのかと几鍔が庭へ降りると、少女が悲痛な叫び声で訴えた。

「几鍔様、そ、そ、その女は魔性の女です! 下町の噂を御存じありませんか? 大店の御子息である几鍔様と役人貴族を手玉に取る下町の悪女なんです! 騙されてはいけませんっ!! すぐ離れて下さいっ!!」

夕鈴は全身から力が抜けて眩暈に襲われ、扉に縋りながら床に膝をついてしまう。 
隣に立つ陛下から 「・・・下町の悪女って・・・・」 と呟きが聞こえ、夕鈴は更に脱力して項垂れた。 以前明玉に言われたこともある台詞だが、この場面で言われると余りにも情けない話しじゃないかと涙が滲んできた。 
陛下が夕鈴の里帰りに付いて来るからそう噂されることになったのに、その原因が夕鈴の隣で全身を震わせて笑いを堪えている。 もう・・・ただ項垂れるだけしか出来ない。

「コイツが下町の悪女なら、お前は何だろうな? おい、そっちの男。 お前は自分が何をしているのか判っているのか? こんな女の言うことを一から十まで聞いて・・・。 そんな事をして今まで何か上手くいったことがあるのか? 追い詰められるだけだろう」
「・・・・几鍔様!? 恭玖が何をしたというのですか? 彼は私の下僕。 私の命令だけを聞く私の人形。 追い詰められることなど何もしてませんわ」

花が咲くような可愛らしい笑顔を几鍔に向けて少女は微笑んだ後、ついっと夕鈴に視線を向けると今度は激しく燃えるような憎しみを露わに可憐な唇を開く。

「その女が悪いだけです。 ですから恭玖が排除するだけ。 その女が居なければ几鍔様は私だけの御方になって下さる筈。 ・・・・二人で幸せになりましょうね」

夢見るような表情になり、夢見るような足取りで几鍔に向かって近寄ろうとした。 
その少女の足を止めるのは黒衣の人物、恭玖と呼ばれた彼だ。 
少女が眉根を寄せて訝しむ視線を恭玖に向けると彼は静かに口を開く。

「・・・凛佳お嬢様。 危ないですので暫らく御離れになって居た方が良いかと」
「で、でも几鍔様は私の・・・・っ! ・・・・・危ないって如何して?」

少女、凛佳の前を遮るように出された恭玖の腕を見つめながら、彼女は問うた。 

「・・・・・・・他にも居るからです。 凛佳お嬢様と几鍔様を裂こうとする輩が」
「まあ、私たちの間を裂こうとする輩!? ・・・・でもお前が居るから大丈夫よね」
「はい・・・」

確認すると凛佳はうっとりとした視線を几鍔に向けて、 「もう少しですわ、几鍔様」 と嬉しそうな微笑みを浮かべた。 その様子をみて 几鍔は眉根を下げてうんざりした顔で頭を振った。 
何を如何伝えても駄目なのだと再確認したようだ。 夕鈴も二人の遣り取りを聞き、彼の洞察力の高さと彼女の妄信的な恋愛感情を知った。 陛下が夕鈴を支えるように立たせると、耳元に 「やはり話しは出来そうも無いな」 と狼陛下の声色で囁かれる。

悔しいけど、彼女の表情を見ていると難しいかも知れない。
でもどうしても諦める訳にはいかない。 このままでは彼女は何が悪いのか理解しないまま捕らわれてしまうのだ。 それでは彼女は何も変わらない。 不条理だと騒ぎ立て、同じことを繰り返そうとするだろう。 今度は見目麗しい警吏か刑吏に・・・・・・? 

途端、同じことを繰り返そうとする少女の行動に夕鈴は何かが引っ掛かると眉根を寄せる。


「陛・・・、李翔さん。 彼を、恭玖さんを無傷で捕らえて下さい。 私は・・・・・ あのお嬢様とどうしても話がしたい。 駄目って言わないで下さい、お願いします」  
      
大きく目を見開き陛下に懇願すると紅い瞳にじっと見下ろされた。 冷酷な表情が垣間見えたが怯むことなく夕鈴は見つめ続けた。 几鍔が私の言葉に振り向き、舌打ちをして 「お前は!」 と唸るような声を出すが夕鈴は怯まなかった。

「あの人・・・ 几鍔が好きなんじゃない。 よく解らないけど・・・違うって思う」

几鍔に近寄り自分でも困惑した顔を向けると、ガシガシと頭を掻いた几鍔に深い溜め息を吐かれる。 そんな態度をとる几鍔に、それでもと袖を引いた。 

「違うって思うから彼女と話をしたいのだけど、作戦通りに動くと危険な状況になるのは解っている。 だから几鍔 ・・・・気を付けて」

夕鈴が真摯な視線を向けると深呼吸した几鍔が夕鈴の頭をぐしゃぐしゃと掻き混ぜるように撫で付け、恭玖らへ足を向けた。 何をするんだと眉間に皺を寄せて几鍔を見送っていると、耳元の髪が持ち上げられる感触に驚いた。

「ゆーりん・・・。 僕にも気を付けてって言って?」

口をへの字にした小犬が耳も尻尾も垂れ下げて夕鈴の耳近くの髪を一房持ち上げている。 
何でそんなことで陛下が拗ねているのか理解が出来ないが、夕鈴は瞑目した後、顔をあげて陛下の手を握り締めた。

「李翔さんも本当に気を付けて下さいね。 万が一にも怪我なんかしちゃ駄目ですからね。 絶対に無事に王宮に戻りましょうね!!」

握り締めた手があっという間に握り締められる形となり、陛下の頬に寄せられる。
頬に触れた手に大きな手を重ねられて少し戸惑ったが、陛下を見上げると嬉しそうに頷かれた。 自分の言葉にこんなに嬉しそうな顔をする陛下を見ると、彼女らの説得も何とかなるかも知れないと思えてくるのが可笑しいくらいに不思議だった。

「僕、気を付けて怪我しないで頑張るね! ・・・・・ねえ、今は僕の彼女でもあるから、これくらいはいいよね?」
「?  ・・・いっ!?」

陛下が言う 『これくらい』 って何のこと首を傾げるとぎゅっと抱き締められた。 
思わず陛下の胸に手を当て距離を取ろうと暴れ出すと耳元に 「演技だからこれくらい有りだよね?」 と囁かれる。 困惑した頭の中で 『いや、無いだろう!!!』 と叫んでみたが、彼女らの前だったと唇を強く噛んで耐えた。


「おいっ! お前ら何をやってるんだ!!」
 
恭玖を捕縛しようと几鍔が気構えているのに、背後でいつまでも喋っているから振り返ると夕鈴と李翔が抱き合っているのが目に入る。 思わず怒鳴りつけると ビクリと肩を竦めた夕鈴と、几鍔に向けて小さく舌を出した李翔の姿が目に入る。

「・・・・いい根性してるじゃないか・・・」

几鍔が夕鈴の元へ足を向けると、その瞬間、背後から小刀が几鍔を掠めるように真っ直ぐ夕鈴へと投げられた。 几鍔の背後で恭玖が小刀を投げる動きが目に映り夕鈴が息を止めた時、あっと思う間も無く陛下に抱き上げられていた。 
小刀は目標を失い、邸の扉に強く突き刺さる。
几鍔が直ぐに踵を返し、恭玖に向かって持っていた木刀を振り下ろすが、大きく一歩退きその動きを躱される。 追うように木刀を横に払うがやはり小さな動きで難なく躱された瞬間、大きく几鍔の身体がぶれ、顔をあげると恭玖が次の小刀を夕鈴に向けて投げ降ろした瞬間だった。

「・・・っ!」

几鍔が振り向くと李翔が軽々と夕鈴を抱き上げたまま、邸内へと姿を消すのが見えた。 恭玖が目標である夕鈴を追うため、几鍔の持つ木刀を足で薙ぎ払いそのまま姿を消して行く。

几鍔が離れた木刀を拾い体勢を整えて、邸内へと走って行く恭玖を追い駆けようとした瞬間、何かに抑えられたような力と重みが掛かり、振り向くと木刀の片側を凛佳が強く握り締めていた。 几鍔が睨み付けるも、嬉しそうな微笑みで彼女の指が木刀を這うように辿り、片側を握る几鍔の方へと近寄って来る。 触れられる・・・と思った瞬間、急いで木刀を離すと 「・・・恥ずかしがらないで。 今は二人きりですわ」 と口角を上げ、少女とは思えない妖艶な笑みを見せる。

夕鈴は こんな女とどんな話をすると言うんだ!? 
自分中心で 話が平行線で 一方通行だろう!
永遠に交わる事なんか有る訳が無い! 
この女は頭の螺子がぶっ飛んでいるんだ!!!

全身に鳥肌を立てて足を竦ませていると、凛佳が飛びつくように几鍔の腕に肢体を絡めてきた。 目を瞠り腕を振り回すも、こんな少女の何処にそんな力があるのだろうと驚くほど強くしがみ付かれてしまう。 大蛇に巻き付かれてもこれほど恐いとは思わないだろうと几鍔は心底思った。 微笑む少女の顔が近付き、全身に浮かんだ鳥肌が更に増えたような気がする。

「ああ、几鍔様に抱かれる日が来るなんて・・・・」

うっとりとした声が几鍔の右腕から這い登ってくるのを顔を背けながら耳にし、視線を邸へと向けた。 黒衣の男が追った姿が脳裏に浮かんだが、今はあの李翔に託すしかない。 
もう一度腕を大きく動かし、少女の肢体から逃れようとしたが絡みつく腕は離れず、しかし少女相手に本気で叩きのめす訳にはいかない。 
今、几鍔に出来ることは眉間に深い皺を寄せて奥歯を噛締め、耐えるしかない。 
少女を捕獲するという役目なのだから・・・・・。 心に揺らめくように湧き上がる 『もしかして捕獲されているのは俺か?』 という疑問には目を伏せて。

「・・・・・お前は下僕が心配じゃないのか?」

几鍔が腕に絡みつく凛佳に問うと、目を大きく輝かせた彼女は嬉しそうに答える。

「まああ、大丈夫ですわ! 几鍔様に纏わり付く蟲は必ずや恭玖が退治しますから御安心を。 あの・・・几鍔様。 お尋ねしたい事があるのですが良いでしょうか?」
「頼むから怖いことは聞くなよ・・・。 考えるのも面倒な気分なんだ」

頬を染めた凛佳が少し躊躇いながら几鍔を見上げた。 

「几鍔様は・・・・・・ 何人くらい御子を望まれますか?」


几鍔は生まれて初めて女人に殺意を覚えた。








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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 00:30:11 | トラックバック(0) | コメント(2)
コメント
何を…
夕鈴はいったい何をお嬢様から感じとったのでしょう?恋愛経験のない夕鈴が感じとれることとは?
夕鈴と几鍔の何気ないやりとりに焼きもちを妬く陛下も相変わらず健在毎回楽しみです
2012-10-21 日 08:06:18 | URL | ともぞう [編集]
Re: 何を…
焼きもち陛下前回で今回お届けしております。 ちょっと遣り過ぎかなと思いますが、次もやっちゃうんですね~。(笑) 毎回嬉しいコメントありがとー!!
2012-10-21 日 11:31:17 | URL | あお [編集]
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