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一葉落ちて貴方の秋を知る  13
続きです。 御免なさい。 夕鈴痛いです。




では、どうぞ。










 











 
「囮としての役割は果たせたでしょうから、陛下は直ぐに浩大の援護に行って下さい。 私は裏から回って几鍔の様子を見てきます。 凛佳さんを上手くその場に留めることが出来ているといいけど・・・・。 陛下、いいですね!?」
「うんっ!  ・・・・本当に僕のお嫁さんってカッコ良いね」

今度はぽっと頬を染めた陛下が嬉しそうな顔をしているのが目の端に映ったが、夕鈴はあえて視界に捕らえないようにして塀沿いに邸外庭へと歩き出した。 
「すぐに合流するから気を付けて!」 と陛下が言ってくれたのが心強い。



短気な几鍔が万が一にも凛佳さんを怒鳴りつけたり、叩いていないかと夕鈴は気が急いていた。 そんな事はしないだろうとは思うが、あそこまで嫌がっているのを見たことがない夕鈴は、几鍔も辛かったんだろうな・・・と同情しながら走り出した。 塀沿いを暫らく行くと二人の姿を捉える前に凛佳さんの声が聞こえて来て近くの茂みに急ぎ身を隠した。 

「私に似た可愛らしい女の子が二人は欲しいわ。 でも几鍔様に似た男の子も欲しいし、三人となると大変かしら? 几鍔様の御実家の跡取りだから教育も必要でしょうね。 うふふふ・・・・。 ふたりで良い子に育てましょうね?」

未来想像図を膨らませる楽しげな声が聞こえてきたが、几鍔の声が聞こえない。 
外庭周囲の庭木に隠れながら近付いて行くと、二人の姿が漸く見えて来た。

「あれは・・・・・ 相当やばいかも・・・・・」

日に焼けた几鍔の肌が赤黒く染まり、握り拳から血が滴っているのが見えた。
思い切り握り締めたせいで爪が肌に喰い込んでいるのだろう。 肩から背や腕が小刻みに震えているのが離れていても判るほどだった。 これ以上几鍔を怒らせないで欲しいと夕鈴が両手を合わせて拝んでいると、彼女が更に爆弾発言を放った。

「私、几鍔様の眼帯に触れてみたいわ。 ・・・・私にならいいでしょ?」

夕鈴が思わず立ち上がる。 几鍔の片腕に縋り付き頬を寄せている彼女には解らないだろうが、反対の腕が震えながら上へと持ち上がっていくのが見えた。
 
「だっ、めぇー!!」

夕鈴は反射的に駆け出し、そのまま凛佳の身体に覆い被さった。 
直ぐに、側頭部へ重い衝撃が走り、夕鈴の身体は地面に勢いよく叩き付けられることになる。

「・・・なっ! お前っ、如何して!」
 
凛佳を庇うことだけしか考えていなかったため、思い切り地面に投げ出された夕鈴は目の前が真っ暗になり言葉も出ない。 それでも意識を失うことなく如何にか息を吐き、手に力を入れて立ち上がろうとするが手先の感覚も朧気で痺れているように感じた。 
こんな衝撃を凛佳にぶつけようとしていたのかと恐怖と腹立ちが夕鈴を一気に襲うと、凛佳を腕から突き飛ばし、夕鈴に駆け寄ると几鍔は蒼褪めて肩を押さえ込んだ。

「動くなっ! 頭を殴ったから・・・・ 動くな・・・・」
「こ、の・・・・バカ 几鍔・・・・・・」
「悪ぃ・・・・」

夕鈴は深い息を吐き、几鍔が落ち着いている事を知り安堵した。 夕鈴の肩を押える几鍔の手が震えているのを感じ、目を瞑ってもう一度深く息を吐く。 
突き飛ばされた凛佳が両手を口に当て、怖ろしいものを見たように悲痛な声を張り上げる。 

「ひ、ひ、酷い・・・・几鍔様・・・。 そんな女に手を差し伸べるなんて! 下町の悪女ですのに!! 直ぐに御離れになって下さいっ!!」
「・・・・っ!!」

几鍔が立ち上がろうとしたので、夕鈴は肩を押さえる几鍔の手に痺れる手を重ねて押えた。
息を詰めて几鍔が堪えているのが解るが、衝動的に暴力に走らせる訳にはいかない。 
几鍔が眼帯に触れて欲しくないのは夕鈴も知っている。 ましてや触らせて欲しいなど・・・・。 
幼馴染の憤りも充分解るが、それでもか弱い少女に手を上げる几鍔は見たく無い。




「夕鈴っ!? どうした!」

頭上から大きな声が響いた時、夕鈴の肩で几鍔の手が大きく揺れたのを感じた。 
足音が直ぐに近付き、頬に温かい手が触れる。 夕鈴は顔を傾けて頭上を見上げ、ああ、やっぱり陛下だと息を吐き、起き上がろうと身体を動かすと背に陛下の手が回り上体を起こしてくれる。 
縄で頑丈に巻かれ猿轡を噛まされた状態の恭玖の姿が陛下の後ろに見えて、上手く捕まえることが出来たのだと判った夕鈴の身体から力が抜けた。

「悪い、俺が怒りを抑えることが出来ずに・・・・。」
「・・・大丈夫。 几鍔は悪くないの解ってるから。 ・・・・手を出したのは駄目だけど」
「・・・・悪い」

地面に膝をつき深々と頭を下げる几鍔に如何にか笑い掛けると、膝裏に陛下の手が回り夕鈴の身体が浮上した。 夕鈴を横抱きにした状態で歩き始めた陛下の足が迷うことなく門を目指していることが解り、慌てて陛下の襟を掴んだ。
 
「あ、あのっ、陛・・・李翔さんっ! 話をさせて下さい。 約束してましたよね!?」

見下ろされた陛下の視線に思わず身体が強張る。 
冷酷無情の狼陛下の視線が夕鈴を見つめ、何も言わせない雰囲気を醸し出していた。 その視線に陛下の襟を掴んでいた夕鈴の指先が痺れたように震え、息が止まりそうになる。  
正直、この表情の時の陛下は恐い。 
冷たい視線が貫くように夕鈴を見下ろし、その視線に震えるしか出来ない。

「・・・・君は本来、下町に何をしに来たんだ? 弟君の怪我の様子を見に来ただけだろう。 怪我をして弟君に心配を掛けるためじゃないだろう」
「!! そ、そうです。 ・・・・けどっ」

涙が浮かんで来て陛下が滲んで見える。 青慎のことを言われるとその通りだから言い訳も出来ない。 確かに怪我をしてしまった私を青慎は心配するだろう。 
だけど私はこの件に係わってしまった。 其の儘にはしておけないと思ってしまった。 
だから最後まで係わらせて欲しいと夕鈴は震える手で陛下の襟を掴み直した。

「お、お願いします。 話をさせて下さ・・・」

しゃっくりあげると酷く頭が痛んだ。 地面に叩きつけられた時に打ちつけたのだろう、肩を竦めると鈍い痛みも走る。 それでもと襟を掴んでお願いを繰り返していると、門の近くまで来た陛下の足が止まり深い溜め息が聞こえ、夕鈴がそっと顔をあげると紅い瞳が見下ろしていた。

「ご、ごめんなさ・・・、お願いします・・・」

門を目指していた陛下の踵が返り、邸方向へと向かうと外廊下にゆっくりと下ろされた。 
背に扉があり、痛む身体を預けると背後から浩大の声が小さく聞こえてくる。

「・・・お妃ちゃん、これで冷やしてね。 無茶は駄目だよ~・・・・」
「ありがとう。 無茶をするつもりはなかったんだけど・・・・ ね」

苦笑すると痛みが走り、格子の間から差し出された濡れた手布を側頭部に当てて嘆息する。
そっと頭を撫でられ、顔を上げると心配気な陛下の顔が覗いていた。 狼陛下の装いを解いて、李翔さんの顔で頭を撫でているのが判り、申し訳なさで夕鈴は涙が零れそうになる。 

「本当に・・・御免なさい。 几鍔が悪いんじゃないの。 飛び出した私が悪いから・・・」
「うん、解かった・・・。 でもこれ以上は心配させないで大人しくしていて。 ・・・・吐き気はない? 後で侍医に良く診て貰うようにね」

少し蒼褪めた顔のままで近付いてきた几鍔が陛下の背後から 「本当に悪ぃ・・・・」 と呟くから可笑しくなった。 几鍔のこんな顔は母親が亡くなった葬式に見たとき以来だ。



その時、絹を切り裂くような悲鳴が邸の庭に響いた。

「恭玖っ! ああ、如何したの!? 酷いっ、直ぐに外してあげるからっ!」
「ぐぐっ、・・・うぐぅ・・・・。 ぐっ、ぐぐっ!」

見ると凛佳が縛られた恭玖に縋り付き、必死に縄を解こうと引っ張っている姿があった。






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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 01:30:13 | トラックバック(0) | コメント(2)
コメント
やっぱり
夕鈴無茶しちゃいましたね・夕鈴らしいんですけど…陛下は心配が耐えませんね喜びも束の間・
今回は特に私的に嬉しい場面がありました・几鍔の眼帯を取り上げていたことです・几鍔が大好きな私としては、あの眼の怪我は夕鈴を庇う為におったもので、夕鈴しか触れることが出来ないに違いないと、常々妄想しておりました・よって髪を切ったりするのも、いつも喧嘩しているとはいえ、夕鈴なのかなと…私がSSを書ければ絶対に書きたいと思うことだったので、とても嬉しかったです

話は反れましたが、このあとお嬢様と夕鈴はいったいどんな話をするんでしょうか・待ちますとも・
2012-10-23 火 06:33:26 | URL | ともぞう [編集]
そうそう
眼帯に触れるのは正直すごっく迷ったのですが、自分の妄想に素直に従いました。(なんか変な言い回しですが) 如何したら几鍔がぶち切れるかなと考えた結果の文章です。 この先は・・・・。 はい、頑張ります。
2012-10-24 水 23:42:54 | URL | あお [編集]
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