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縛り付けられない鎖  1
今日、ララを買って来ました。いいわ~。にやけながら本誌を読む自分に
哂ってしまうほどです。陛下や几鍔、あと・・・・・(おっとっと)

さて、今回大きな怪我はしていない・・・筈の夕鈴です。
元気な夕鈴です。ちょっと刺客慣れしてるかな?

では、どうぞ!

























「あ~…。どうしよ~…全く~」

周囲に誰も居ないため、妃演技はしていない素の夕鈴が肩を落としながら左足首の鉄輪と其れに繋がる鎖を触り、何度目かの溜息を吐く。










・・・・ ・・・・  ・・・・・・・・・  ・・・・・ ・・・・・・  ・・・・ ・・・・・・










或る日の午後、侍女を従えて後宮内の四阿まで散策をしていた。
最近暖かくなって来たので池の畔の花々が咲き出したと聞き、侍女らと花見に来た。 淡い色の花々が足元に広がり、仄かに甘い香りが沸き立つようだ。 池周囲を取り囲んだ花々は幾種類もあり、色合いや高さが四阿から見ると計算された装いを見せる。 更に水面に反映して美しさが際立つ。

「なんて綺麗なのでしょう。 目の保養とはこのことでしょうね」
「本当にそうで御座いますわね」
「夢の国みたいだわ・・・」

嬉しそうに見つめている妃を見て、侍女もお連れして良かったと喜んだ。
侍女が四阿にてお茶の用意をしながら 「今度は陛下と御一緒に御足を御運び下さいませ」 と告げると、頬を染めた妃がそっと頷く。 その仕草に心から嬉しそうな侍女たち。


《政務でいっそがしい陛下を連れ出したら、李順さんに殺される!》


心の中で叫びながら、侍女たちの心遣いが嬉しく思う。 その前に氾紅珠と共に花を愛でながらお茶を楽しみましょうと思った。 花の盛りが続くうちは天気が持つと良いのだけど。
東には白い月。 西からは厚い雲がみえた。






・・・・・・・・・ ・・・・・・・・  ・・・・・  ・・・・・・・・・・・  ・・・・・・
 









夜、遅い時間に陛下が後宮を訪れた。
乳白色に輝く月を 時折速い風に流された雲が覆う。

「夕鈴。 今日は奥の池まで散策していたんだって?」

人払いが済んだあと、お茶を楽しみながら今日の報告を聞く。

「はい。 淡い色の花が池の周りをぐる~~っと囲んでいて、 すっごく綺麗でした。
少し背の高い花が池に映りこんでいて 夢の国って感じでした!!」
「ふぅ~ん、夢の国ね。 かわいいな」
「春の国… 桃源郷… う~ん、淡い花がおぼろげな感じで、夢の国って感じが一番
合うような気がするんです。 侍女さんも溜息吐いてました!」

嬉しそうに話す夕鈴を眺めながら にっこり笑ってお茶を飲む。

『すっごい喜んでいる♪ やっぱり夕鈴は宝石より自然の方が喜ぶんだ~』

春の宴で頑張った夕鈴のために、突貫工事で (夜間集中工事、ご迷惑かけます) 池周囲に花々を植え込ませたのは陛下だ。 豪奢な華ではなく、淡い色合いの可憐な花を主に指示して。

もちろん李順からは大量の文句や厭味が来たが、駕籠の件など卒なくこなせた夕鈴の臨機応変な対処に関しては、彼の文句の量も減る。 もちろん、宝石より植え込み工事の方が多少なりとも安く済みそうだと計算した上で渋々許可が下りた。

・・・その後、陛下には大量の仕事が舞い降りたが。
肩を落としながらも、夕鈴のために其れを享受した陛下だった。


「陛下、お疲れの様子ですね」

下から覗き込むように 「大丈夫ですか」 と心配顔の夕鈴に、全身の力を抜き素の表情で 「心配ないよ」 と言い、首を振る。

「もう少しで事案が纏まるから、その詰作業に集中しているだけ」
「すごく御忙しそうで、李順さんからも暫く政務室には来なくていいと謂われてますが、
 陛下がこんなにお疲れの様子とは…」

その激務のあとに後宮へ足を運び 「仲良し夫婦」 の演技をしなきゃならないなんて。 部屋に泊まることはないので、陛下は自室まで疲れた体で戻らなければならない。 王宮と後宮は長い回廊を渡らなければ行き来出来ない。 風が吹く日もあれば、冷たい雨の日もある。
ふとそう考えると、陛下の体調が心配になってくる。

「陛下、忙しい時は無理に此方まで来られなくても良いですよ。 忙しい時期なのは
 侍女も承知していますし。 遅くに足を運ばれるより早く体を休ませた方が、明日の
 仕事も捗りますよ!」

心から陛下を気遣っているのが解かるだけに、ちょっと凹みそうな陛下。
誰かに見せるために夕鈴に遭いに来ている訳じゃないのに解かって貰えない。
まあ………
第三者に仲良し夫婦を見せ付ける為だけに王宮に居ると思っている夕鈴はそのための 「バイト妃」 として後宮にいるんだしな~。 僕が彼女に気持ちを伝えても 「演技」 って言われるし、逆に本気で伝えると腰抜かされちゃうし……。 優しい気遣いに凹んだ陛下は、ちょっとだけ意地悪したくなる。
 
「では、今夜はこちらに此の侭泊まるとしようか。 
 愛しい妃が私を気遣ってくれるので、早速共に休むとしようか?」

狼陛下でにっこり哂い夕鈴の髪を一房取り、口付ける。 「なっ…!!」 と固まった夕鈴は見る間に赤い顔に染まっていく。 わなわなと肩が震えだす。 
この先の台詞は聞かなくても想像出来る。

「演技を入れないで、人の心配を素直に受け取って下さい!!」

涙目で怒る夕鈴を見て 「ああ、やっぱりいいな~」 と言うと余計怒られた。
素直に受け取ることにして自室に戻ることにした。

「今度は一緒に花を見に行こうね」  それだけ告げて。









・・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・








外からの業者が出入りする時は、厳重な管理体制の下で身辺確認を行う。
食材や飼料を運ぶ業者や、宮殿や庭園の修繕のための作業員は毎回同じ指定業者が定められた日に、監察札と顔確認のあと更に二重三重の検問を通り身体確認をし、やっと所定の場所に辿り着ける。 警護のものと業者が馴れ合わないぬよう 時折影から監視することもある。

夕鈴が気に入った池周囲の花に追肥するため、庭園業者が数人やって来た。
門所にて確認を受け、池へ向かう。
定期的に庭木の調整や剪定に来たり、防虫駆除、生垣の補修、また宴などで大掛かりな植木や庭石の移動時にも彼らは要請される。 鋸や剪定鋏、植木鋏、麻袋、肥料、時には荷車を持ち込むこともある。 何度も訪れる勝手知ったる業者であり、門所での確認にも問題はなかった。

その日もいつもの様に確認を行い、門所から宮廷庭園へ移動を開始した。
庭園へ向かう途中一人静かに仲間から離れて行ったが、・・・・・誰も気が付かなかった。









・・・・・ ・・・・・・・・・・・ ・・・・・・ ・・・ ・・・・・ ・・・・・  ・・・








池の周囲に淡く咲く花々は夕鈴を和ませた。
侍女たちと四阿から暫し眺めたり、近くに寄り愛でたりもする。 後宮から茶器を持ち運び、お茶を飲みながら他愛もない話を楽しみ、花を摘んで花器に移しながら一時を過ごす。 明日は氾紅珠が来訪予定なので、花が明日まで咲いているかの確認をしながら、大丈夫そうだと安心していた。

その時夕鈴が纏っている薄い衣が急に 「飛ばされた」。
少し風が吹く程度だったのに、衣だけが急に夕鈴の体から ふんわりと飛ばされるように離れたのだ。 「お妃様、取りに行ってまいります」 侍女が慌てて動く。

オカシイ!!

何度も刺客に狙われていた夕鈴は、瞬時に危機を感じて侍女を止めようとした。 一人の侍女が四阿から衣に手を伸ばしながら追い掛け、一人は茶器を持ちながらその様子を眺めていた。 双方に目を遣り、衣を追いかけようとした侍女に声を掛けようとした時

ガチャン!
音に驚き、卓近くに居た侍女を見ると、ゆっくりと崩れていく様子が目に入る。

「…! どうしたの!?」

更に、ドサッ!!と今度は後方で音がする。 振り返って音のした方を見ると衣を追い掛けようとしていた侍女が地面に体を横たえていた。 慌てて周囲を見回すと四阿の屋根から作業服姿の男が降り立った。

「……彼女たちに傷一つでも付けたら…一生呪ってやるわよ!!」

瞬時に対峙した男を睨み付けながら夕鈴は卓上の湯飲みを持ち、男に投げつけた。 が、あっさり避けられ近付いて来たと思うと、あっという間に夕鈴の右手を逆手に捻り上げる。 背が反り返り、 「痛っ!」 と叫んでしまう程の力だった。 首には短刀が押し付けられたのか、チリッとした熱い痛みがする。
そして後ろから刺客の低い声がした。

「声を上げると侍女を一緒に連れて行く。 大人しく従うなら侍女はこのまま捨て置く」

更なる被害を増やすかどうかは夕鈴次第と脅され、従うしかない。
下唇を噛みながら、頭を垂れた。

「侍女たちに命の別状はない。 妃をこの場から連れ出すのが俺の仕事だからな…」

無言のままの妃の様子に、刺客は 『是』 と取り夕鈴と共にその場を離れた。











・・・・・ ・・・・・ ・・・・・・ ・・・・ ・・・ ・・・ ・・・・・・ ・・・・・
 







間も無く、侍女たちが倒れているとの報告を受けた陛下は急ぎ後宮へ足を運び、詳細を問い質した。 陛下の冷たい視線に侍女らは怯えるように震えながら答える。

「お妃さまの御衣が風に流されましたので私が取りに動き、もう一人が四阿にて
 お妃さまと共に居りました。 が、首後ろに痛みを感じてあっという間に気が遠く
 なり……気が付いた時には、お妃さまが……」
「も、申し訳御座いません!!」

涙を流しながら震え続ける侍女らは、拝礼しながら謝り続けている。 気を失った侍女からの情報はこれ以上ないと解かると、陛下は無言で踵を返す。 闇い表情で恐ろしいほど冷たい雰囲気を纏った陛下に、侍女らは声も出せないほど震え続けていた。


「浩大!」

私室に入るなり隠密である浩大を呼ぶ。
すぐに浩大が足元に姿を現すが緊張の顔色で息を切らしている。

「ちょっ…捜索中っす。 庭園業者が関係してることは判明したんで、詳細を
 調べてます。 なんか脅かされてみたいっすよ、庭園業者が」
「捜索はどの程度進んでいる?」
「う~ん、どの麻袋にお妃ちゃんが入っているか!」

浩大の報告を聞くと、眉間に皺が寄り静かに呟く。

「…ほぅ…麻袋に我が妃を入れて運んでいるのか……」

近寄れば大火傷を負わせそうな陛下の激怒は、反転し全てを凍り付かせる冷やかな哂いとなり浩大を震わせた。 他の隠密たちは精鋭動いている最中だ。 新規開拓事業の為、現地視察を兼ねて隠密行動をしていた浩大は、王宮に戻りこの事態を知り、すぐに隠密を集め詳細を把握した。
 
「麻袋が数個あり、それぞれ違う方向へ移動中って言っていたから
 その全てに監視を付けたよ。 誰の指示で行っているかは調査中っす」
「……至急、決着をつけろ」

静かに話す陛下の怒りの程が知れる。 こくんっと唾を飲み込み、浩大はその場を離れる。






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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

長編 | 20:47:03 | トラックバック(0) | コメント(0)
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