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秋霖  9
やっと、やっと動きが・・・。 上手く纏められなくて、もっと上手にスムーズに伝えられるようになりたいのですが、なかなか上達出来ず。 じたばたしてます。 
皆様のコメントに癒されております。 本当にいつもありがとうです!!



では、どうぞ。














翌日、後宮立ち入り禁止区域にある管理人張老師の元を尋ねると真っ先に浩大が姿を見せ、嬉しそうな顔を見せる。 老師は 「直に李順らが来るから、先ずはこっちに来い」 と、卓に菓子を広げて夕鈴に差し出した。
何故二人がこんなにも機嫌が良いのか判らず小首を傾げると、浩大がいきなり老師を抱き上げて 「足の次は貧血か? 次は風邪でもひく気か?」 とニヤ付いた顔で部屋の中を歩き出した。 
直ぐに何のことか判った夕鈴が真っ赤になり、浩大を睨み付ける。

「あ~、書庫の中でお妃ちゃんが柳と氾の坊ちゃんズと何を話したかは解らないけど、書庫に陛下が乱入してからはずっと見ていたからね。 いや~、あれは焦ったよ。 坊ちゃんズ、斬り殺されちゃうかと思ったもんな~!」

浩大から降ろされた老師が目を輝かせ、 「今の陛下に妬かれたのか!?」 と身を乗り出してきたが、夕鈴は首を振った。 

「李順さんと陛下が執務室で話していたの・・・。 私の存在が目触りだって」
「・・・・なっ! なんと陛下がその様なことを? お主が目障りと?」
「はい。 バイト解消は出来ないかとか、借金の残りも聞いていたし。 書庫に行ったら方淵殿と水月さんが陛下のために何か・・・・手伝える・・・・ことはないかって・・・・・。 その言葉に思わず・・・・ 私、泣けてきちゃ・・・・・・」

陛下を想う二人の強い気持ちを思い出し、夕鈴は涙が溢れてきて言葉が詰まってしまう。 老師が目を眇めて 「あの大臣らの御子にしては素直に育ったのぅ」 と零すと夕鈴は大きく頷いた。 

春の宴に最初は互いを認めず自分勝手に推進める二人だった。
水月は出仕拒否が解消されたと思ったのに早退ばかりを繰り返すし、方淵はごり押しで我が道を行く性格なのに、陛下を尊敬する想いは同じで信頼に値する臣下なのだ。 
その二人が今の陛下を見て心苦しく、下っ端妃である自分までもを助けたいと言ってくれるなんて、嬉しくて頼もしくて胸が熱くなる。

「その二人にかまわれているお妃ちゃんに、今の状態の陛下が悋気を起こすなんてな~。 陛下は基本、お妃ちゃんが気になるってことだよね~? ・・・・あ、それいいかも!」
「浩大、何じゃ? 何かいい考えでも浮かんだか?」

浩大がクスクスと含み笑いを夕鈴に向ける。 何を考えているのか問い掛けようとした時、李順が桐と共に部屋に入って来て、早速本題を話し合うこととなる。 
桐が苛澄蘭の身辺に探りを入れだしてから、妙ともいえる動きが多数見つかったと話す。 
浩大の調べていた国境警備隊と盗賊に関しての調査も終わり、翻弄されていた隠密も戻り他の調査に向かわせていた結果が大半集まったと報告される。
李順も陛下の政務に対する取り組みに巧妙に隠された事項を見つけ、宰相と共に審議をしていたと告げ、夕鈴は方淵と水月に言われた台詞をもう一度涙目になりながら伝える。

「・・・やはりとしか言えませんね。 あとは確たる証拠集め。 最近、ごく珠にですが陛下が頭を押さえることがあります。 薬によるものか、暗示によるものかと桐が調べていましたが、それは彼女が持ち込んだ 『茶』 であることが判明しています。 桐がその茶をすり替えているので徐々に変化が現れるでしょう。 彼女の目的、または役目を調べ、裏にいる輩を炙り出すよう努めて下さい。 他に何か解ったことは?」
 
桐が挙手して立ち上がる。 

「あー、女官に調べて貰ったところ、陛下の首筋に幾つか針跡があるそうです。 そして茶。 ・・・・身体を痺れさせたあとに、茶で意識を朦朧とさせ暗示を掛ける。 そんなところでしょうね。 李順さんから村で陛下の衣装に嗅ぎ慣れない香りが付いていたような気がすると言っていたが、それはこのような香りか?」

懐から出した壜を李順に渡すと蓋を開けるように促す。 
李順が眉を寄せて匂いを嗅ぐと目を瞠り、直ぐに顔をあげる。

「・・・この香りは陛下の衣装に付いていた香りと同じですね。 この香りに何らかの作用があるというのですか?」
「まあ、一種の媚薬みたいなもの・・・・かな? 龍涎香のような・・・。 しかし、これはとても高価な品で、村の女が手に出来るものじゃあない。 となれば・・・・だ」
「そっちは国境警備隊の櫨隊長が面白い証言をしてる。 盗賊と思われていた奴らの中に隣国の密偵が入り込んでいたんだよね~。 すぐに自害している奴もいるけど、残りに聞けば何か判るかも知れないから急ぎうちの隠密が奴らに・・・・・・・・。 おっとと、 ・・・・・・お妃ちゃんの前では言えないか」

くすりと哂う浩大は昏い笑顔を見せる。 
その笑顔に夕鈴が思わず強張った顔を背けると 「大した事はしてないよ」 と肩を竦めた。 
老師が桐から預かった茶の成分を調べた結果、神経に作用する物が混入されており、酩酊に似た状態になり記憶の混濁がおこるだろうと告げる。 その間に催眠でも掛けられるようなら容易に掛かるだろうと思われた。
状況証拠は出てきた。 
しかし茶は苛澄蘭の部屋から黙って失敬したもので、今はまだ証拠として出す訳にはいかない。 隣国との明確な繋がりが出てこない限りは下手に動けない。 それに彼女の正体が未だ掴めずにいる状態だと桐が歯噛みした。 彼女の身辺は上手く隠されており、隣国の密偵からの確たる発言が待たれるところだと浩大が肩を竦め、李順は嘆息した。

「陛下の体調に変化は見られませんが、侍医に定期的に検診を行なうよう指示します。 茶を入れ替えたので陛下に掛けられた暗示が消える可能性が出てきました。 そして気付かれた場合、今後彼女に動きがあるかも知れません。 そちらは桐に任せます。 一刻も早く暗示が消えるためにも  ・・・・・夕鈴殿」
「・・・は、はいっ!?」

急に呼ばれて慌てて立ち上がる。 李順がじっと夕鈴を見つめたあとに、ふっと口角を上げて微笑んだ。 しかし、その微笑みはどう見ても意地の悪そうな上司らしい笑みで・・・・。 
夕鈴が嫌な寒気を感じると 「陛下の為に素晴らしい妃演技をして下さい」 と命令を下された。








「・・・・・という訳で・・・。 えっと、聞いておりますか?」

書庫で方淵、水月を前に夕鈴は目を泳がせながら李順に言われた通りの説明をした。
すると、どう見ても呆れている表情の方淵と、もう既に目が死んでいる水月。 
やっぱり駄目だろう、無理があり過ぎる! と夕鈴が手を前に翳しワタワタと振る。 
 
「無理です、無理ですよね。 そうです、無理です! ごめんなさい!」
「・・・・いや、陛下のためならば、その案に乗ろうではないか。 陛下側近である李順殿の御提案だ。 確かに不本意ではあるが、必要以上にただの妃妾である貴女をかまっていたのは目にしていた。 ・・・・・では、如何すればいいのか指示をくれ」
「どうすればって・・・。 ・・・っ、互いを・・・・見つめる・・・ とか・・・?」

方淵が途端に眉間に皺を寄せる。 何故そんな顔をするのかと夕鈴が首を傾げると、真剣な表情で 「それはいつもしている睨み合いと、どう違うのだ?」 と尋ねるから頭痛がしてくる。

「いやっ、そ、そうではなくて相手を愛しむような・・・ 視線を絡めあうというか・・・・。 見るのが駄目なら~~~  手を握る?  腕を組む?  陛下みたいに抱き上げ・・・・ こっ、これは駄目っ!! えっと、えっと・・・・・・」

夕鈴が方淵、水月に説明したのは 『陛下に焼きもち妬かせて正気に戻す』 作戦だ。
浩大が書庫で取った陛下の行動や、政務室での椅子破損時の行動を伝えると、それを聞いた李順が 「良い手かも知れませんね。 まあ、何事も試してみましょう」 と夕鈴に直ぐ実行できるよう、二人に協力を仰ぐよう上司命令を下した作戦。
バイト妃が何をしても陛下の気を惹くことなんか出来ないと夕鈴が涙目になるが、上司である李順に上から睨ねつけられ、反論することが出来なくなる。 
陛下が、それも今は暗示か何かに掛けられている陛下がバイト妃に悋気など起こすだろうかと思いながらも、二人に作戦実行をお願いすることになったのだ。

「で、ではっ! 私が係わった春の宴の書簡を一緒に見たり、王宮行事の説明を御二人が私にするというのは如何でしょう? 陛下の目の届くところでっ!」
「お妃様。 本来、その様なことをしたならば・・・・ 私と方淵殿の首が政務室前の庭に転がるでしょう。 もしかしたら陛下の刀の錆になることも有り得ると・・・・」

力なく微笑む水月の瞳は怖ろしいほど空ろで、死んだ魚のようだと夕鈴は思わず後退りする。
方淵が 「陛下の御為とはいえ、このような妃妾相手に演技をしなくてはならないとは・・・・」 と心底悔しがる声が聞こえたが、それでも了承してくれた。  
他にも妃に懸想しているような態度を取ったり、妃を意味もなく褒め称えたり、妃に意味もなく微笑んだりする案が出て三人は深い溜め息と共に行動を開始することとなる。









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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 00:45:09 | トラックバック(0) | コメント(6)
コメント
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2012-11-10 土 06:21:48 | | [編集]
やっと…
おおっ少しずつ色んなことがみえてきましたね・夕鈴少しは安心できたかな?

とはいえ、まだまだ心配ですね・そして、方淵や水月さんの命の心配ごとまで出てきましたよ楽しいからいいですけど・夕鈴後一息頑張れ・
2012-11-10 土 06:30:25 | URL | ともぞう [編集]
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2012-11-10 土 07:27:35 | | [編集]
Re: すごい!
ごめんなさい! 腰砕けさせるほど妖艶な方淵は無理でした!! あおの考えれる方淵は「10」に出てきます。 期待を裏切ってごめんなさい!! でもビスカス様の褒め殺しには腰砕けになりました!!!
2012-11-11 日 00:20:06 | URL | あお [編集]
Re: やっと…
本当に少しずつで申し訳ない。 なんか進まない話に一番モヤモヤしているのは、私かも。(笑) それでも少しずつですが、如何にか・・・・です。 ともぞう様、いつもコメありがとう×10回。
2012-11-11 日 00:21:47 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
二人並んで転がっていたら、歩く官吏がびっくりですよね。 いやいやいや・・・。すいません。 ファンの方に私が殺されてしまう。 yuri様、殺さないでね? 
2012-11-11 日 00:23:07 | URL | あお [編集]
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