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秋霖   10
方淵、水月を出した途端にコメントが多くなり、びっくりです。 おろおろしちゃいます。
い、いいのか? と、嬉しい動揺です!


では、どうぞ。
















政務室で三人肩を並べて書簡を広げ、花恵宴の反省点や今後考慮すべき点を話し合う。
責任者として執り行った宴の不備な点は次の宴をより良くする為にも役立つ事項が多く、話し合う内に陛下に見せつけるための演技が、何時の間にか熱気を帯びてきた。 
方淵が身を乗り出して花恵宴の進行表を指し示す。 

「・・・・やはり有難いお説教は必要だったのだではないか? 今後はご老人方からの祝辞の時間をもう少し多く取り、我ら若輩者の背を正して貰う機会があった方が・・・・」 
「それでは大半の人たちが耐え難い苦痛を感じるだろうね。 苦行を強いられるのは宴とは言えないよ、方淵殿。 それよりもっと陛下周辺に楽隊を置けば良かったと今も悔やむよ。 次の宴ではその様に手配するよう勧めるべきだね」

「あ、あの、今はそんな話ではなく、次の宴のために良かった点を掘り下げる・・・・」

「苦行と感じるのは軟弱な貴様だけだと言っただろう! 私だけで進めることが出来たら政に係わる官吏のための素晴らしい儀式を用意出来たものを!!」
「儀式ではなく宴だよ? それよりも、もう少し余興に力を入れて宴を盛り上げるべきだったと私は思うね。 ああ・・・・ 楽隊にもう少し力を入れて陛下の御世を壮大に祝うべきでした」

「で、ですから、昔の話をほじくり返す場ではなくってですね・・・・・」

睨み付ける方淵と肩を竦めて挑発を繰り返す水月の間に挟まれた夕鈴は困惑を呈していた。
一体、何故こんなことになったの??
陛下に焼きもちを妬かせる作戦のはずが、どうして二人の口論の場になるの!?
周りの官吏も戸惑いながらちらちらと此方を見ているし、夕鈴は頭を抱えて遁走したくなる。 
はあっと溜め息を吐き、激昂する方淵の胸を押し水月に顔を向け、夕鈴は大きな声を出した。

「いー加減になさって下さいませ! 今は互いが協力して執り行った宴の良い点を上げて、次の機会に活かすために、目立った不備を探す話をしていたはずです! 粗捜しをしてどうするんですか? それでも陛下の信頼する臣下ですか?」
「大きな声で騒ぎ立てる妃がいるかっ! 陛下の為にと貴様らに教えているのだろう!」 
「教えを請うつもりはないですね。 まあ、次の宴でも私は同じように楽と舞の催し以外に興味を持つことはないでしょうし・・・・。  頑張ってくださいね、方淵殿」


ああああああっ! 子供かっ、この二人は! 
互いを尊重し少し譲り合おうとも考えず、陛下を正気に戻すための作戦だというのに本気で言い争いを始める始末。 もうこのまま二人を放り投げて本当に逃げ出したい~! 
周囲からの視線も痛いし、本当に如何したらこの二人は 『歩み寄り』 や 『協調性』 という言葉を理解してくれるのだろう。
夕鈴がそれでも二人の平行線状態を修正しようと必死になっていると、背後から冷やかな視線が投げ掛けられていた。 息を呑む官吏らが恐々と方淵たちから視線を外し、静かに場を離れて行く。 しかし其れを知らず、夕鈴が堪忍袋の緒を切った。

「なんでそんなに困った人達なんですかっ!!」
「貴女がその話を振ってきたんだろうがっ!!」

夕鈴の叫ぶような問い詰めに、方淵が逆襲する。 確かにそうだと夕鈴がぐっと答えに詰まると、水月が 「・・・・では他の話しをしましょうか?」 と掠れた声で夕鈴に近付いた。 その問い掛けに顔を向けると、ガタガタと震える蒼褪めた顔の水月がいる。 
ひやりとした雰囲気に気付いた夕鈴も水月同様、すぅっと蒼褪める。
陛下が政務室入口で足を止め、三人の様子を静かに睨ねつけるような視線を投げ掛けていると水月の肩越しに見えたからだ。  
背にその視線を受け、夕鈴は俯いたままガタガタと震え始めた。 解っていて始めたことだが、陛下に焼きもちを妬かせる前に斬り殺されそうな程の雰囲気に捕らわれ、体が強張り指先が冷たく感じる。 このあと何を話せばいいのだろう。 陛下に悋気なんか感じて貰える気がしないと夕鈴が強く目を瞑っていると、卓上の手に方淵が手を重ねてきた。 
夕鈴が目を瞠って方淵を見上げると強張った笑みが映る。

「やるなら徹底的にだ。 それでも無駄なら貴女に懸想させる魅力がないと知れ」

そう言い放つと方淵は夕鈴に顔を寄せて 「顔を見ていればいいのだろう!」 とじっと見つめてきた。 水月が小さく息を吐き 「お付き合いしますよ・・・」 と夕鈴に蒼褪めた顔で微笑んだ。 






_______耳障りだ。
 

執務室に足を踏み入れると、方淵と水月が小卓であのバイト妃を囲み大声で騒いでいる。
目にすると胸がざわついた。 
何故そう思うのかと自身に問い掛けるも答えは出ず、ただ目障りだと感じた。 
あのバイト妃に、本当に自分が政務室に立ち入ることを許したというのか? 
おまけに方淵が女人に対してあのような物の言い方をするとは思いも寄らなかった。 水月は確か出仕拒否が続いていたがあのバイト妃が係わって出仕するようになった記憶がある。

・・・・・何故そんな記憶が?
考え出すと頭痛がしてくる。
考えるのを止めろと頭の中に手が潜り込み、掻き回されているような不快感に気持ちが悪くなる。 だから、彼女を・・・・・ 目障りなバイト妃を・・・・ 目の前から消してしまいたい。

なのに、何故彼女がここに来るのを止めないのか。
何故、彼女に触れてしまうのか。  そして彼女に触れて感じる不確かな安堵感は・・・・?
それを良しと思うのは何故なのか。  
バイトに手を出すような自分ではない筈だし、それを李順が許すとは思えない。
しかし、自分は彼女の熱を覚えている・・・・・。

背を向けた彼女が震えているのが判る。 そして彼女が震えている原因は自分なのだと理解する。 怯え震えながらも、バイトである彼女が政務室に足を運ぶのは如何してなのか。 他の妃を推奨する大臣らに対抗するために雇ったバイトであるのに彼らと居るのはどうしてか。 
それを眺めているだけの自分は怒っているのか、呆れているのか。 

こちらを振り向かない妃に不快感が募る。



_______目障りだ。





陛下が方淵と水月がバイト妃に寄り添うように顔を近づけているのを見ないように踵を返し、政務室を出て行く。 その顔は表情を失ったかのように怖ろしいほど冷やかだが、紅い瞳だけが昏く燃えるように前を見据えていた。







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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 00:30:10 | トラックバック(0) | コメント(6)
コメント
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2012-11-11 日 02:40:25 | | [編集]
作戦・
浩大の作戦良い方向に転びそうですね・
でも、やっぱり切り殺されそうな感じも見え隠れして何気に命懸けな作戦ですよね・

陛下も記憶が曖昧で辛そうです・そんな所に三人のイチャイチャ?を目にしたら余計混乱して気の毒ですが、元に戻って頂かねばなりませんから、見ないフリして続きを待ちます
2012-11-11 日 06:30:27 | URL | ともぞう [編集]
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2012-11-11 日 09:17:01 | | [編集]
Re: 怖い…
陛下崩壊・・・・。ビスカス様、いつもナイスなコメントありがとう御座います。 今日も爆笑です。癒されますよ。本当に!!!! 夕鈴が斬られないように頑張ります。
2012-11-11 日 14:30:22 | URL | あお [編集]
Re: 作戦・
イチャイチャにならない三人ですが、もう少し動かしてみようかと思案中。特に方淵が上手く動いてくれないので、手間取ってますが。命懸けの作戦ですが、水月さんが逃走しないように祈るだけです。
ともぞう様、一緒に祈っていてね。(爆)
2012-11-11 日 14:32:44 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
yuri様、ご慈悲を(笑)で思わず「にやり」ですよ。狼陛下ばかりですからね。いつ小犬がでるんだろう・・・?自分でもいつ出そうか思案中です。 さあ、もう少し動かす予定です。御付き合いくださると嬉しいです。
2012-11-11 日 14:34:32 | URL | あお [編集]
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