スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


スポンサー広告 | --:--:--
秋霖  14
なんか、もう、リアが・・・・・。 毎日なんかありますが、まあ、大変。
もう少しだけ頑張ろうと虚ろな笑いが零れます。 職場の皆も虚ろです。 
本当に日々忙しいだけで、本当にもう・・・・。 宝くじ当たらないかな。(本気です)





では、どうぞ。


















几鍔に連れて来られた宿は入り口からして高級感が漂い、宿泊客を選んでいるかのように思える佇まいを見せている。 夕鈴は裏口に回り、使用人頭に挨拶をして早速仕事を開始することになった。 客室で寝台の誂えや部屋全体の掃除、各部屋の花器の用意、希望があれば部屋に食事を運んだりと初日から忙しく働き出した夕鈴は、煩わしい考えが消えて仕事に没頭できる事に感謝するほどだった。

「珠には几鍔もいいことを言ってくれるものね」

宿での一日を終えて苦笑しながら青慎にその報告をすると柔らかい微笑みで 「良かったね」 と返された。 その微笑みに自分がどれ程弟に心配を掛けていたのかを知り、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。 そんな青慎の学業の為に、借金返済の為に、出来ることならなんでもしようと改めて夕鈴は心に決めた。
李順から二度と王宮に戻らなくてもいいと、または掃除婦として一生働けと言われたとしても、自分が出来ることならやるしかないのだと弟の微笑みに強く心に誓った。


暫らくは同じような仕事の繰り返しで、それらを要領良く覚えていった夕鈴は几鍔とおばば様からの紹介ということもあり、裏方以外にも泊り客の世話も任されるようになった。 
部屋への案内や客からの要望に応える仕事が増え、一日が終えると心地良い疲労に何も考えずにぐっすりと眠れていた。 王宮のことも陛下のことも今は忘れて、目の前の仕事にのめり込み、青慎の世話をして久し振りの自分らしい日々を過ごしていた。


そんな日々がずっと続くのかと思い始めていた時、隣国からの商人が大勢宿泊して来た。
おばば様の言う通り大きな商隊らしく、帯刀した警備兵を伴っており物物しい雰囲気が感じられる。 ふくよかな商隊の主人である人物の他 従者らがが宿の3階、4階を占有し、大量の荷物が積み込まれた馬車が6台宿の裏手に置かれた。 
そこには厳重な警備がしかれ、宿の者は決して近づけないようにと強く言い伝えられていた。 

警備兵や従者に食堂や浴室を案内した後、隊の主だった人物らの部屋へと食事を運ぶように指示が来て、夕鈴ら数人の使用人が恭しく各部屋へと食事を運んだ。 
商人にしては食事内容がいやに豪華な上、昼間から酒を注文するなど着いた早々の食事にしては豪勢過ぎると夕鈴は訝しむが、商売の相手がきっと大臣とか大貴族相手なので景気がいいのだろうと深く考えるのをやめた。 
今は目の前の仕事をてきぱきとこなすことの方が大事だと気持ちを切り替えることにした。

そう思いながらも、夕鈴は知らず注意深く商隊の人物達を見つめていた。
商隊の主人らしきふくよかな人物は大きなお腹を揺らしながら卓上の点心を次々と口へ運ぶ。
指には煌びやからな指輪が輝き、商人というより何処かの富豪のように見える。 だが、彼の視線は周囲を鋭く見つめており、給仕する夕鈴すら怪しむように注視していた。 それを感じながらも 『お妃演技』 で培った微笑みを浮かべて落ち着いた所作で給仕を続ける。
給仕を済ませ御辞儀をして退室した夕鈴は、部屋から離れた場所で深く息を吐いた。

・・・・あれはただの商人の視線じゃない。 商売をしにきた商人の視線にしては昏過ぎる。
きっと何か悪いことをしに来たに違いない。 ・・・・・そんな気がする。  

仕事を終えた夕鈴は帰り道、ひと気の少ない裏路地を通り家から少し離れた空き地に足を向けた。 空き地に着き夕鈴がくるりと振り向くと、そこには浩大の姿。

「何か言いたいことでもあるのかい? お妃ちゃん」
「・・・・今私がバイトしている宿に宿泊している商隊、奇怪しいと思うんだけど。 商売しに来た人の雰囲気じゃないし・・・。 大きな商隊の場合は確かに盗賊対策に警備兵を連れて旅をするとは聞いていたけど・・・・ 何か変なのよ、浩大」

大きく目を見開いたあと、にやりと哂った浩大は頷いて 「・・・・で?」 と聞いてきた。 
夕鈴より隊が隣国の庚土国から来たこと、商人とは思えない尊大な態度でいたこと、富豪のような豪華な衣装や宝飾を身につけていたこと、大量の荷物に厳重な警備をしいていることなどの報告を聞くと 「ふうん・・・」 と俯き何かを考え出した。 
夕鈴が心配気に浩大を窺っていると、 「調べてみる価値はありそうだ」 と了承してくれた。 何もないことが一番だが、夕鈴はどうしてもあの商人の一行が気になってしまう。
自分の取り越し苦労ならいいのだが、もしもを考えると恐くなってしまう。

「ごめんね、今は臨時花嫁でもない私の無茶振りに付き合わせて・・・・」
「いんや、隣国から来たというなら一応調べておいた方が良いだろう? それにさ、お妃ちゃんの勘が当たるかもしれないしね。 桐から新しい情報があると言っていたし、双方調べて、お妃ちゃんが早く王宮に戻れるようにしなきゃな!」

それを聞いて、夕鈴は首を横に振った。 

「・・・・陛下が元の陛下に戻るなら、それでいいから・・・・」

苛澄蘭がただの村人であったとしたら、同じ庶民の私より陛下の傍に居て相応しいのは彼女の方では無いだろうか。 彼女の優雅な所作や美しい容姿。 
陛下に寄り添う姿を何度も見て来た夕鈴はその度に嘆息していた。
私は下町で掃除や下働きをしている方が性に合うんだなと久し振りに下町でバイトをしてみて、心からそう思い自嘲気味に浩大に微笑んだ。

「お妃ちゃんがどう思おうと、最終的には狼陛下の考えに従うよ、オレは」

にっこり笑った浩大は片手を上げて宿へと走り去って行った。 自分の勘に浩大を付き合わせてしまうのは心苦しいが、何かあるような気がしてならない。 夕鈴は自分の考えが、ただの気鬱であれば良いと思いながら浩大が走り去った方角を暫らく見つめ続けていた。






着いた翌日は宿から出ることなく各部屋で過ごす商人らだが、その部屋に下町に似つかわしくない人物が数人早速出入りしているところを目撃し、夕鈴は自分の考えが確かであったと確信した。 夕鈴は髪形を変えて俯きながら給仕を行いつつ部屋に出入りしている人物の顔をそっと窺った。 すると衣装は違えど、政務室で見たことのある高官だと判る。
出来るだけ視線を下げて、蒸篭を卓に置き茶の用意をして部屋を出た。 
胸の鼓動が高まり、自分自身で動きたくなるのを必死に押える。 余計なことをして浩大の邪魔をしてはいけないと何度も何度も繰り返し念じながら、その日の仕事を終えた。
帰り道で同じような行動を取ったが、その日は浩大が現れることがなく、きっと調べるのに忙しいのだと諦めるしかない。 姿を見せない浩大を案じて 『怪我なんかしていないわよね・・・・』 と寒気に襲われそうになるが、強く目を閉じて 「大丈夫! 浩大は有能な隠密だから大丈夫っ!」 と口に出して繰り返した。

次の日、宿では大きな動きがあった。
泊り込みで働いている他の使用人から 「貸切の商隊の荷物の一部が盗まれたらしいのよ」 と話を聞き、夕鈴は誰の仕業か直ぐに頭に浮かんだ。 
激昂した商隊の主人は荷物を警護していた兵達に鞭を打ち、罵声を浴びせていた。
宿支配人が真っ青な顔で慌てて諫めると、今度は宿側に不備はなかったかと問い詰めてきた。
部屋へ立ち入った使用人や、厩舎にいた者、警備兵へ食事を運んだ者、厨房の者らを並べて厳しく調べるようにと支配人に申し付け、夕鈴らは不当に調べられる事となった。
支配人が 「区の警吏に報告をして調べて貰いましょうか。」 と恐る恐る進言すると、商隊主人自ら調べるから警吏は呼ぶ必要などないと言い返されてしまう。 その時の商隊主人の表情が一瞬強張っていたように見え、夕鈴はやはり普通の商隊ではないのだろうと想像した。

「まずは一つの部屋に貸切階に携わった使用人を閉じ込めて、一人一人調べ上げよ!」
「御主人様、警備兵は直ぐに解雇しましょうか?」 
「奴らは腕を叩き居ってから外に放り出せっ!! 役に立たない輩に用はない! 仕置きを与えて懐の金品を巻き上げろ! それでも損失は足りないがなっ!!」

荒い息を吐き、怒りに真赤になった顔で商隊主人は部下に命じる。 
命じられた部下が部屋に閉じ込めた宿の使用人を一人ずつ呼び出し、廊下を挟んだ部屋へと移動させ一人一人に尋問を始めた。 夕鈴はここにおばば様がいたら、絶対にこんな無茶はさせないだろうと思いながら肩を竦めて尋問の順番を待つしか出来ない。
 
・・・・・・彼らがここまで激昂するほど盗まれた商品は大事な品だったのだろう。
浩大が何を盗んだのか判らないが、陛下が元に戻るきっかけになるかも知れないのだから今は堪えるしかない。 ぎゅっと目を瞑った時、夕鈴を呼ぶ声がした。
部屋に入ると、奥に商隊主人が座っており傍には従者が卓上に書簡を広げ、一人一人の調査を執り行っている。 夕鈴が部屋の中に足を進めると、眇めた視線で問い質してきた。

「名前と住所、年齢、いつからここに勤め始めたか話せ。」
「・・・・汀夕鈴、です。 住所は章安区。 17歳。 5日前から勤め始めました」
「5日前か。 何故だ? 他の者は長く勤めている者が多い」
「・・・・以前の仕事が一旦打ち切りになりまして、この宿の持ち主がここでのバイトを紹介して下さいました。 まだ慣れない部分もあり御迷惑をお掛けしております」

ぺこりと頭を下げてから顔をあげると、部屋の隅にもう一人の人物を見た。 佇まいが怖ろしいほど冷酷な雰囲気を醸し出しており、冷たい表情からは何も窺えなかった。 夕鈴は彼にも静かに目礼した後、商隊主人に向き直った。

「宿の持ち主・・・、几家か。 そこの紹介と?」
「そのようです。 几家の女主人から直々に紹介を受けている事は間違いありません。 ここに勤めるよう紹介を受けた理由は?」
「はい。 大きな商隊が来るので忙しくなると、それで働くよう紹介を受けました」

端的に短く返答を繰り返し、夕鈴は目を伏せていた。 恐がっているように演技しながら、部屋の隅の人物が気になって仕方が無い。 3日前商隊が宿に来てから彼を見たことが無い。 尋問の場に居るなら彼は商隊主人の信用ある人物に違いないだろう。 あとから宿に来たのか、他の宿に泊まっていたのか。

「几家の女主人にもここに来て貰うか・・・。 お前は下がれ。 次の者を呼べ」
「・・・・失礼致します」

彼の視線を痛いほど受けながら、夕鈴はもう一度深く御辞儀をして退室した。 廊下に出て次の人に声を掛けた時、自分の声と手が震えていることを知った。 
夕鈴は浩大がどうなっているのか心配になり、窓から王宮の方を見つめた。






→ 次へ





スポンサーサイト

テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 15:14:14 | トラックバック(0) | コメント(8)
コメント
更新ありがとうございます(*^^*)

宝くじが当たって執筆活動に専念出来るよう、微力ながら祈ってます( ̄^ ̄)ゞ

お話もハラハラの展開になってきましたね!
緊迫感漂います。
頑張ってください( ´ ▽ ` )ノ
2012-11-18 日 16:05:29 | URL | 希望 [編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012-11-18 日 17:46:21 | | [編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012-11-18 日 21:19:24 | | [編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012-11-19 月 00:23:46 | | [編集]
Re: タイトルなし
また滞っちゃってすいません。 希望様の祈りが届いて宝くじが当たりますように! 本当にどんと一発当たってくれたらすごっく、すごっく嬉しいんだけどね。 買う人、みんな思っていることですが。(爆)
2012-11-19 月 01:41:24 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
yuri様、同じことを私も会社で言ってます。 みんな考えることは同じですよねー!! 楽しいのは飲み会だけ~(笑) ・・・・(恋愛に関してはとっても鈍いのにね)この台詞には爆笑です。 そうですよね。 そっちは何時進展するのか、今月号も楽しみです。 その発売日が飲み会で、そっちも楽しみなんですよ。 ダイエットはどこに行ったのやら・・・・・。
毎回、コメントありがとう御座います。
2012-11-19 月 01:44:22 | URL | あお [編集]
Re: お疲れ様です
いえいえ、ビスカス様。沢山のコメントを頂き、こちらこそ癒されております。 感謝です。 リアでは皆が大変な毎日を送っておりますのに、つい愚痴を・・・・。 いや、愚痴くらい書かせてくれ! 家でも喚いていますが、足りないんです(爆笑!) 娘には「はい、はい、大変だね。」で終了だし~! そろそろ陛下を出さねば・・・と思っております。 几鍔兄貴が好きなものでつい長くなってしまう。 ほほほほ。 
2012-11-19 月 01:47:46 | URL | あお [編集]
Re: こんばんは
ユナ様、ありがとう御座います。 つい他のサイトを読み耽ったり、流れたりしているもので滞りがちですが、のんびり御付き合い頂けたらすごっく嬉しいです。 はい、頑張ります!! ありがとう御座います!
2012-11-19 月 01:49:29 | URL | あお [編集]
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。