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秋霖  15
漸く陛下が出てきて、動き出します。 長くなるのは私の悪い癖か??
短い話も書きたいな、もしもシリーズも書きたいな、underも書きたいな・・・・と思い
ながら、リアで苦しんでいます。 とほほ状態が解消されるのは年内は無理か!?





では、どうぞ。
















仕事を終えた夕鈴が自宅勝手口から入り、卓に荷物を置くと背後から声を掛けられた。

「おっ妃ちゃん!」
「うきゃあああああっ!?」

飛び上がるほど驚いて振り向くと、そこには飄々とした顔で浩大が立っていた。 
片耳を押えて笑いながら 「でかい声だね~」 と買い物荷物を物色し始めるから、夕鈴は驚きで激しく躍る胸を押えて浩大に近付くと、まずは思い切り一発殴った。

「お、驚かさないでっ! ほっ、本当にびっくり・・・びっくりした~~~!!」
「ごめんっ! 本当にごめんなさいっ! 痛いです、すいませんっ!」

涙目で手を振り上げて更にもう一発殴ろうとする夕鈴から逃げ回り、浩大は何度も必死に謝った。 ふーっふーっと夕鈴が睨み付けると、両手を挙げて降参する浩大は下町で違和感のない姿だった。 夕鈴は涙を拭って椅子に腰掛けると、浩大がそろそろと近付き顔を窺った。

「お妃ちゃんに言われた商隊の荷物を調べてみたんだけどさ~、当たりだったよん! 直ぐに李順さんに報告して詳細を掘り下げているところだよん」
「そう・・・。 あの人たちは一体何を運んで来たの?」
「う~ん、武器一式・・・をね。 まずはここまで運んだってところだけど、続いて何が来るか。 暗殺者か一個分隊か。 まあ直ぐには動けないないように火器に細工したし、弾は盗んだし、刃物は大方片付けたし。 疑われた宿の皆には悪いことしちゃったけどね~。 隣国からの商人と聞いてさ、国境管轄の領主と外相大臣に強く訴えるって李順さんが酷く怒っていたよ~。 あれは、すげえ恐かった」

武器一式と聞き、夕鈴は蒼褪めて武器商人だという商隊主人を思い出す。 
では尋問の部屋にいたあの人物は? 商人と違う雰囲気で冷たい視線を投げ掛けていた彼は何者なのか。 不安になった夕鈴は尋問の時に見かけたその人物のことを浩大に伝えた。   

「・・・・そっちは桐の方が上手く動けそうだな。 苛澄蘭は動きがないそうだから、桐にこっちに来て動いて貰うことにしようか。 お妃ちゃんももう少しの辛抱だからな」
「でも・・・ 陛下のお気持ち次第でしょ? 今は兎も角、その武器商人を捕らえる方が先でしょう。 宿の方も大丈夫。 犯人がここにいるなら疑いもその内晴れるでしょ?」

私のことより陛下の現状を改善出来る方を優先させて欲しいと伝えると、浩大が目を大きく見開いた。 夕鈴の頭をくしゃっと掻き混ぜて 「同時進行で頑張るよ」 と笑ってくれるから力を抜いて一緒に笑った。
浩大が姿を消して直ぐに青慎が帰宅し、夕鈴は気分を切り替えて夕餉を作り始める。 父親は夕鈴が帰宅してから遅く帰ってくるようになり、顔を合わさないという事は借金か?と疑い深い視線を送る。 卓の上に 『借金厳禁!』 と書いた紙を置いたり、貼ったりしている内に父親は更に遅く帰ってくるようになっていた。
 
明日の用意を終えて夕鈴は床に入るが、なかなか寝付けなかった。
武器商人が白陽国に来た理由は、勿論通りすがりでは無いだろう。 李順から聞いた国境警備隊と盗賊の話しも、村が襲われたことも何か関連があるのかも知れない。 では苛澄蘭は、彼女はどうなるんだろう? 彼女はこの件に係わっているのか、それとも盗賊に立ち向かい村を救った勇敢な女性なのだろうか。 桐は何処まで調べたのだろうか。 

・・・・・・・・陛下は今も狼陛下のまま彼女の部屋に渡って居るのか。 
目障りな私のことはもう・・・・ 忘れたかしら・・・・。

深く考えるうちに涙が滲んできて眠気が薄れていく。 
明日の仕事に支障があっては困るから眠らなきゃと思うのだが寝返りばかりで眠気が訪れてくれない。 身体はとても疲れているのに、宿でのことと浩大からの言葉で精神が高揚しているのだろうか。 
そして夕鈴はまんじりともしないで夜を明かす。 


いつものように宿に向かうと警備兵が宿の周りを囲んでいた。 驚いて勝手口に回ると見知った顔の使用人たちが 「あの人たち、違法に武器を運んできた隣国の商人だったんですって!」 と顰めた声で教えてくれた。 夕鈴はそれを聞き、浩大か李順が動いたのだと判ったが驚いた顔で 「まあっ!?」 と相槌を打つことにした。 
捕縛された商隊員が宿から連れ出される様子を仕事をしながら目で追っていると、例の彼がいないことに気付く。 この宿には宿泊していなかったのか、鋭い眼光を放っていた彼は捕縛された中にはいない様子だった。
    
彼らがこの宿に泊まらなければ密輸武器の事は判らなかった。 そして几鍔が仕事を紹介してくれなければ自分が係わることもなく、もしかして大事に至るところだった。 
・・・・いや、町に配置されている隠密が気付いて王宮に報告していただろう。 
それでも自分が王宮の為に少しでも役に立てたかも知れないと考えると嬉しく感じた。 
几鍔に会うことがあったら御礼を言おうと、手早く彼らが宿泊していた部屋の片付けを始める。 以前から勤めている使用人らが事情徴収に呼ばれている為、少ない人数で3、4階を走り回っていると新たな客がやって来た。
飛び込みの宿泊客は珍しくもないが、警吏らが出入りしている宿に泊まろうとするなど風変わりな人もいるものねと夕鈴は部屋を整える。 部屋に案内された御客が部屋に入り、設えを終わらせた夕鈴が深々と御辞儀をして退室しようとした時、声を掛けられた。

「あれ、娘さんは確か陛下の 『耳』 の?」
「え? ・・・・あ、えっと、徐克右・・・さん? お久し振りです。 お仕事ですか?」
「あー・・・、仕事、なのかなぁ。 君はバイト? ここは几家の宿だろう? やっぱり几家の坊ちゃんの彼女なのか! 将来のために勉強中かい?」
「ちっ、違いますっ!! ・・・・ふつーにバイトしているだけですっ!!」

真赤な顔で大きな声を出してしまった夕鈴は慌てて口を閉じ、もう一度背を正して御辞儀をする。 つんと澄ました顔で踵を返して部屋を出ようとした時、入り口で誰かと思い切りぶつかってしまった。 宿泊客にぶつかったと思った夕鈴は深く低頭して急ぎ謝罪する。

「も、申し訳御座いません。 お怪我は御座いませんか?」
「・・・・・・・何故、ここにいる」
「へ? えっ!? へいっ、 ~~~~~~!」

その声に顔をあげると陛下が目の前に立っていて、夕鈴は更に大きな声を出してしまい急いで口を押さえ込む。 久し振りに見る陛下に胸が詰まり、苦しくなる。

変わらない姿・・・。 いや、少しお痩せになった? 外套を着て、お忍びの姿だ・・・・。 
潤んだ瞳で見上げると、眉間に皺を寄せた陛下が夕鈴を前に戸惑っているように見えた。 
『目障り』 と言われた言葉を思い出し、直ぐに視線を伏せ 「申し訳御座いません・・・・」 と謝罪して足早に階下へと走り去った。 

______何故こんな場所で陛下に会うのだろう。 

武器密輸の隊を調べる為に来たにしては、宿にまで泊まる意味が判らない。 それとも、もしかしたら徐克右と内密の話があって来たのか。 
・・・・・それなら私は直ぐにでもここを辞めるしかない。 次は陛下の目に触れない場所でのバイトを探そう。 また、訝しむ視線で見下ろされるのは・・・・ 辛い。
部屋の給仕を代わって欲しいと頼むと、他の使用人に驚いた顔をされる。

「あんなに良い男の部屋に行きたくないなんて、あんたって変ね!」

夕鈴は曖昧な笑顔で誤魔化して調理場や掃除に回り、その日の帰りに使用人頭に今日限りでお暇を取らせて欲しいと申し出た。 最初から短期間バイトであると了承していたからか、残念そうな顔で 「あんた、働きがいいから何時でも働きにおいで」 と嬉しい言葉を貰うことが出来た。 
王宮に戻ってバイトが出来なくなった時は、この宿で頑張って借金返済をしようかしらと思いながら深々と御辞儀をして離れた。





自宅へ戻る途中、人気の少ない道を歩き空き地へ行くと浩大が姿を見せてくれた。

「お妃ちゃん、今日は大変だったね。 李順さんが直ぐに動いて警吏を動かしたんだ。 宿も大迷惑だったみたいだけど、もう大丈夫だろ?」
「昨日の今日であの人たちを捕まえて大丈夫だったの? 裏付けとか詳しい調査とかが必要になるんだと思っていたんだけど・・・・。 すぐに捕まえてしまったけど誰の指示だったのかとか、・・・・もう解ったの?」  

隣国との衝突になる前に叩き潰せる材料を集めようと李順さんなら言うと思っていた。 
浩大は両手を後頭に回して、「勿論っ!」 と哂った。

「今まで長々と調べていたんだぜ? これくらいの動き、直ぐに判ったさ」
「じゃあ、何故陛下が下町に来ているの? 王宮で彼らを調べるのは他の人が行なうの?」
「・・・・・へ? 陛下が宿に!?」

瞬時にきょとんとした顔になる浩大を見て、夕鈴は驚いた。 

「私が働いていた宿に陛下がお泊りに来たの。 徐克右さんと共にね」
「なっ、なんで?」
「知らないわよ!  ・・・・私、バイトも終了したし、知る必要もないし・・・」

浩大が 「直ぐに王宮でバイト妃を続けられるようになるよ」 と眉根を寄せてくれたが、夕鈴は首を振った。 辞めたバイトは宿の方だと告げると驚いた顔をされる。

「もともと短期のバイトだし、『目障り』 な私が居ては陛下もお困りになるでしょう」
「そこまで考えなくっても・・・・。 今の陛下はいつもと違うんだからさ~・・・・・」 
「・・・・陛下の本心だったらと思うと私恐いの。 バイトだから、目障りでも我慢させていたのかも知れない。 望み通りの妃が、苛澄蘭様が来たのにバイトがいつまでも居るのは邪魔だと思われているかも知れないと・・・・ 考え出すと ・・・・・・恐い。」

自分の台詞に身体が震え、涙が滲んできて夕鈴は項垂れた。 
それは考え過ぎだと浩大が必死に説得するが、悲しげな顔の夕鈴は頑なに首を振った。 
新しいバイトが決まったら教えてくれと浩大は王宮に戻り、その姿を見送ってから夕鈴は嘆息した。 何も考えなくていいように早く次のバイトを見つけることにしようと下町を歩いていると、急に後ろから腕を掴まれる。 振り向くと息を切らした几鍔が片眉を上げている。

「お前、宿のバイト辞めてきたって?」
「最初からそのつもりだったでしょう。 大きな商隊が来るから忙しい間だけと」
「・・・・そうだが、次のバイトはどうするんだ。 当てはあるのか?」

捕らえられた腕を引きながら夕鈴は余計なお世話と睨み付けると、几鍔に睨み返される。

「あいつが・・・、李翔とかいう役人が来たからか?」

夕鈴が返事もせずに歩き始めると、背後から几鍔が付いて来るのが分かる。 黙って後を付いて来る几鍔を無視して買い物をし、自宅に戻ると青慎が飛び出して来た。







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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 20:15:15 | トラックバック(0) | コメント(14)
コメント
更新お疲れ様です!思わずコメを。
むむむっ!??
まーさーか陛下がお家に来たんでしょうか?そりゃ青慎も驚きですよ。
それと、夕鈴が危ない目に合わなくてちょっと安心しました(笑)
続き楽しみにしております。
2012-11-19 月 20:50:13 | URL | もあい [編集]
Re: タイトルなし
ああ、言われてみたら夕鈴今回は痛い目にはあってませんね。 精神的には大打撃を受けていますけど。 今回も長くなってしまって、上手くまとめることが出来ない自分にヘコミマス。 もあい様、コメ嬉しい! ありがとう御座います。
2012-11-19 月 21:04:43 | URL | あお [編集]
更新、ありがとうございます(*^^*)

来たのはメガネのあの人とか…。

最初の頃は陛下はわかってて、夕鈴が巻き込まれないように知らんぷりになってるのかしらとか勝手に深読みしてましたが、それはなさそうですね〜f^_^;

早く子犬陛下に会いたいですっ!
2012-11-19 月 21:45:11 | URL | 希望 [編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012-11-19 月 21:50:19 | | [編集]
夕鈴大活躍でしたね・陛下の側で臨時花嫁をして、何気に観察力がついたんでしょうね・陛下はこの活躍をご存じなんでしょうか?知っていても今の陛下では何も感じないのかしら?

それにしても、此処でまさかの徐克右さん登場に驚きました・どんな展開が…ワクワク((o(^-^)o))ドキドキ・
2012-11-19 月 22:05:08 | URL | ともぞう [編集]
更新楽しみにしていました!
毎回気になる所で終わるので続きが待ち遠しいです。
陛下が下町に…!
何を考えて現れたのか、気になります(≧∀≦)
お仕事大変ですが、頑張って下さいp(^-^)q
続きを楽しみに、明日も頑張りま~す。
2012-11-19 月 22:19:55 | URL | こうやどうふ [編集]
Re: タイトルなし
私も小犬陛下を書きたい。 めちゃいちゃいちゃさせたいです。 如何してこんな流れになったのでしょう?(爆) 希望様、へこんだ小犬と甘えた小犬、どちらがいいでしょうか?
2012-11-19 月 23:02:12 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
居る者は何でも書きます。 オリジナルの桐さんがいて、徐克右がいないのは寂しいものね。(笑) ともぞう様、間が開いたけど、来て下さって嬉しいです。 今週は少し楽・・・な、予定なので最後まで終わらせたいと思っております。 次の妄想が待っていますので!
2012-11-19 月 23:04:24 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
こうやどうふ様、コメありがとう御座います。(^^) 陛下が何を考えていたのか・・・・、もう勢いで書いているので何を考えているのか私が知りたい(チュドーン!!) もう毎日爆死寸前で書いております。 御付き合い頂けると嬉しいです。
2012-11-19 月 23:06:54 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
yuri様、几鍔とのひと悶着希望ですか? 如何しようか思案中なんですよねー! うぷぷ。 あっても楽しいかも。 悩みながら書き綴っております。 コメ、いつもありがとう御座います。 
2012-11-19 月 23:08:45 | URL | あお [編集]
管理人のみ閲覧できます
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2012-11-19 月 23:36:22 | | [編集]
凹んだ子犬陛下( ´ ▽ ` )ノ!!!
もう、ネガティブホロウをくらったかのような、めっちゃ凹んだ陛下が見たい!

と、即座に思ったものの…そこまで凹ませると、夕鈴はすーぐ許しちゃいそうf^_^;

すぐはダメです、ひっぱって欲しいので〜…うーん、あおさんの腕の見せ所で!パンパン!(←二の腕叩いてます(笑))

願いはイチャイチャです\(//∇//)\
そして、あおさんの自由時間!

頑張ってください!
倒れないでくださいね(*^^*)
2012-11-20 火 18:20:34 | URL | 希望 [編集]
Re: 豪華キャスト!
几鍔兄貴が好きなので、いい人で活躍して貰ってます! えへ。 夕鈴が凹みまくってますが、まだ小犬陛下は出てこないんですよね。 さあ、如何しましょう(爆) ビスカス様、いつも楽しいコメントをありがとう御座います。 本当に癒されてますよ~。
2012-11-20 火 20:49:40 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
ネガティブホロウ好きです。 ワンピのカレンダー、今年は卓上型も出たので両方予約してます。 よし、思い切り凹ませてやろうではないか!!! さあ、如何料理しましょうか。 へへへへ。(悪い笑い) いちゃいちゃはどの程度まで御許し頂けるのか・・・・・。 脳内のいちゃいちゃは「under」に変換されそうで、ここでは無理です。 ぷー!
2012-11-20 火 20:52:47 | URL | あお [編集]
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