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秋霖  16
下町編って動かすのが楽しいです。 几鍔兄貴が好きだから~。 
陛下も出てます。 毎回、皆様のコメントに癒されております。 感謝!!!!
リアでは・・・・・なので。 (もう書くのもイヤです。 ガッカリです。)



では、どうぞ。









 









「姉さん!! 几鍔さんも!」
「青慎どうしたの? また父さんが借金でもしたの!?」

驚いた夕鈴が最悪なパターンを想像すると青慎は首を横に勢い良く振った。 
その顔は酷く戸惑っているようで、更に首を傾げている。

「あ、あの、さっき李翔さんが来たんだけど・・・ なんか変だったんだ。 姉さんはバイトで家にはいないって伝えると難しい顔をして無言で出て行っちゃって・・・・。 いつもは朗らかな人なのに奇怪しかったんだ。 ・・・・具合でも悪かったのかな?」

青慎の言葉を聞き、夕鈴は動揺した。 
陛下がここに、私の自宅まで足を運んだ? 
_______今の・・・ 陛下が何故? 

何か伝えたいことでもあったのか。 それは王宮でのバイト 『臨時花嫁』 に関してか。
でも陛下には退宮すると告げて王宮を離れている。 それなのに此処まで来たのは何故?
先程会った浩大は陛下が下町に居ることを知らなかった。 それは陛下が黙って下町に出てきたということなのかしら。 きっと今頃は李順さんが青筋を浮かべて怒って探しているだろう。 
でも本当に、何故? 
それに私の家を・・・・ 覚えていたの? 
陛下は未だ近くに居るのかしら。 目障りだと言っていたのに如何して・・・・・・。

「・・・・李翔さんはお役人様だからお忙しかったのでしょう。 直ぐに御帰りになったのなら急ぎの用事ではなかったという事よ。 今から夕餉の支度をするから、青慎はもう少し勉強して待っててね。 あ、几鍔の分はないから、早く帰りなさいよ」
「姉さん・・・、でも・・・・」

背を向けた姉に声を掛けるが、夕鈴は振り向くことはなかった。
几鍔は青慎の肩を掴み振り向かせると 「あいつは何も言わなかったのか?」 と問い質し、青慎が頷くと眇めた視線で夕鈴を見た。 肩を落として夕餉の支度を始めた幼馴染の姿に、小さく嘆息した几鍔は細めた視線を夕鈴の背に投げ掛けて、静かに家を出ていった。 
扉が閉まる音にも反応しない姉に、青慎は眉根を下げて寂しそうな顔をする。
弟の気遣う視線を感じながら夕鈴は何も考えたくないと、背を向けたまま支度を続けた。



夕鈴の家を離れた几鍔は子分たちが集まる店に顔を出した。 夕鈴と共に下町に現れる怪しい役人 『李翔』 が町に来ている旨を伝え、早急に所在を探すよう命令を下した。
冷やかな怒気を見せる几鍔に子分達も真剣に頷き、静かに町へと散開した。
 
町中に散開した子分達はあらゆる伝手を使い、翌朝には荷降ろしの現場に居る几鍔の元へ馳せ参じる。 几家の管轄する宿に泊まっていることを報告するために。

「それって夕鈴が昨日までバイトしていた宿じゃねえか。 ・・・・まさか、それでアイツはバイトを辞めたのか? ・・・・逃げてるみてぇだな・・・・・」

唾を吐き捨てた几鍔は 胸の前で広げた片手に勢い良く自身の握り拳を叩き付けた。






翌日の同じ時刻、夕鈴が掃除と洗濯を終えて空を眺めながら伸びをした。 
小春日和の中、家の掃除も済んで気持ち良くバイト探しと買い物に出掛けることにする。 
今日は宿でのバイト代を貰う約束をしているので、青慎にいつもより豪華な夕餉を作ってあげようと決めていた。 昨夜は気遣わせる態度を取ってしまったし、実際自分の落ち込みに弟を巻き込んでいる自覚はある。
首を振って気分を替え、夕鈴は秋の高い空に手を伸ばした。

「考えるより行動あるのみ! 買い物しながらバイトを探して借金返済出来るように頑張るのみっ! 身の丈にあった返済方法を考えよう!」

気持ちを切り替えて市へ向かった夕鈴の足取りは軽かった。 



しかし、昼近くに買い物を終えて自宅に戻ると途端に目の前が真っ暗に感じる現実に遭遇する。 王宮から何かあれば浩大がその橋渡しになるはずだ。 
昨日もそうだったし、一昨日もそうだった。 
なのに、何故家の前に・・・・ 陛下が居るのか・・・・・・・・。
徐克右さんは如何したの? 何故、陛下が此処にいるの? 
こんな状況で私は・・・・・ 如何したらいいの?

それでも家に入らなきゃならない。 沢山買った荷物は重いし、第一夕鈴が隠れる理由も無い。 今の陛下に会うのは辛いけど、このまま角で隠れている訳にはいかない。 
私が不審者扱いされてしまう!  自宅前で、自宅に入ろうとしている不審者として。
 
深く息を吸い、夕鈴はキッと顔をあげて買い物籠を持ち上げた。 夕鈴の自宅戸口で立ち竦む陛下に軽く目礼をして、足早に勝手口から家の中に入る。 
台所の卓に買い物籠を置き、夕鈴は肩を落として深く息を吐いた。 
玄関門から勝手口の短い距離だというのに額にはじっとりと汗が滲み、手が震えていた。
陛下の唇が薄く開いたように見えたが、直ぐに顔を伏せたので確かでは無い。 
何か言いたげな雰囲気が見えたが・・・・ 恐かった。 何を言われるのか、恐かった。 
本当に息が止まりそうなほどに恐い。 たった数日、5日ほど陛下の顔を見ていないだけで泣きそうになる自分も恐い。 借金が返済し終わり、本当の意味で王宮を去る時も同じように感じるだろう自分に恐怖を感じる。 このままでは心が壊れてしまいそうだ。

手の震えが治まってきて、水を飲むと漸く落ち着いてきたように思えた。 

「・・・・・何をしに来たんだろう。 御一人で・・・ 私の家に・・・」

窓からそっと外を窺うと戸口に陛下の姿は既になかった。 ここまで足を運び、陛下は何を言いに来たのか。 それとも、ただ私の姿を見に来ただけなのか・・・。 
宿で見かけて、何かを確認したかったのかも知れない。 その何かは判らないけれど。 
窓から視線を移し、目を伏せて溜め息を吐く。 
居ないとなると逢いたくなる。 恐いと思うのに、反面逢いたい気持ちも溢れそうなくらい胸を占め苦しくなる。 もう気持ちを掻き回さないで欲しいと思うのに、姿が消えてしまったことに悲しくなるほどの喪失感に襲われる。

・・・・・元の陛下に逢いたい。
それだけを強く願う。 元の小犬陛下に逢いたいと、いつか離れる人と判っていても逢いたいと願ってしまう。 この国の為に自分を偽ってまで恐れられる狼陛下を演じている、本当はとても優しい陛下に逢いたい。 その優しさが演技だと判っていても傍に居たい。 
涙が滲んできて、何度も瞬きをする。 
瞬きをしているうちに、自分が何故か笑いそうな顔になっていることに気付き苦笑する。 涙を拭いた夕鈴は、井戸水を汲もうと水桶を持ち勝手口を開けて井戸へ向かう。 外に出て勝手口扉の影に人が立っているのに気付き、視線を移して・・・・・ 悲鳴をあげそうになった。

 
視線の先には・・・・・ 陛下が立っていた。

ぽかんと口を開き、思考回路が止まった状態がどのくらい続いたのだろう。
陛下の手がゆっくりと動き、夕鈴が持っていた水桶を取り上げる。 手から力が抜けていた夕鈴は何も言うことが出来ずに取り上げられた水桶の行方を呆然と見ていた。 
陛下は井戸から水を汲み上げると水桶から台所の甕に移し入れる。 茫然自失の夕鈴の前を通り、その作業を数回繰り返した陛下は甕いっぱいに水を湛えると卓に水桶を置いた。 

「・・・・宿のバイトを・・・・ 辞めたと聞いた」

固まったままの夕鈴に、そう話し掛ける陛下の声は久し振りに聞く穏やかな声色だった。 
夕鈴が詰めていた息を吐き陛下を見ると、少し項垂れたまま卓に視線を落として、夕鈴の答えを待っているように見えた。






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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 00:16:16 | トラックバック(0) | コメント(14)
コメント
ねる前にサイトに遊びにきてよかった
もうドキドキです
私もリアが…
なぜクリスマスなのに(>人<;)
これは2次元ににげるしかない
2012-11-21 水 00:35:18 | URL | 秋 [編集]
Re: タイトルなし
秋様、お休み前にいらして下さり、ありがとうです。 リアが不憫な毎日だと二次元に逃避したくなりますよね。 うん、うん。 今週末飲み会なので、私も壊れるつもりでいます。 ええ、壊れますとも!! でも本誌を買って、それだけは忘れずに持ち帰ります。 楽しみです~!
2012-11-21 水 00:42:05 | URL | あお [編集]
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2012-11-21 水 00:48:45 | | [編集]
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2012-11-21 水 06:14:26 | | [編集]
陛下はいったい何を考えているのでしょう?夕鈴ではありませんが、混乱してしまいます・陛下自身解ってないかもしれませんね…下町にくると夕鈴の実家に行くのが当然の事実みたいになってますからねどうなって行くのか展開が気になります・


私も最近リアが混乱していて、逃げ場が欲しいです(^-^;現実逃避する時間も怪しくなって来ました…・
2012-11-21 水 07:44:17 | URL | ともぞう [編集]
子犬陛下ですか!(◎_◎;)
いよいよ、出動ですか?!
もう思い出したんですか?やはり、あのキュンの侍女さんの香油かしら?!
でも、陛下のSっぷりもちょっとイイって思えてきてしまいました(笑)
もどかしい〜って状態も気持ちヨシです\(//∇//)\
もう少しなら夕鈴をイジメても…(笑)


更新ありがとうございました(*^^*)
ワックワクで今日もバイト頑張れまっす( ´ ▽ ` )ノ

2012-11-21 水 07:57:46 | URL | 希望 [編集]
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2012-11-21 水 20:16:43 | | [編集]
Re: タイトルなし
yuri様、まだ几鍔とは会っていない設定です。 まあ、このあと会うんですけどね。 まあ、恐い。 小犬雰囲気なのは、私が我慢できなくなってきたから(爆) 夕鈴にとって良い方向に動いてくれると、話はさくさく進む筈です。 いや、進んで欲しいです。秋が終わっちゃう!!(焦)
2012-11-21 水 21:33:45 | URL | あお [編集]
Re: おはようございます
ビスカス様、長文コメントありがとう御座います。 陛下以外に・・・で爆笑です。 几鍔兄貴の動きもいろいろなパターンを妄想中です。 陛下を苛めるために、夕鈴の為にどう動かそうか楽しく思案中です。 桐は・・・・・どうしようか。 うん、如何にかします。 いつも楽しいコメ、ありがとう御座います。
2012-11-21 水 21:38:05 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
ともぞう様、下町=夕鈴の実家。 そうですね、陛下の行動パターンは決定されています。 うぷぷ。 どの陛下を投下するか妄想中です。もう暫らく御待ち下さい。 リアはもう匙を投げました。 如何とでもなれです。 ははははは(乾いた笑い)
2012-11-21 水 21:40:34 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
バイトお疲れ様です!!! 希望様の「もう少しなら夕鈴をイジメても・・・(笑)」に思わずにやりとしてしまいました。 少しずつ陛下が変わっていきますので、お付き合い頂けると嬉しいです。 コメントありがとう御座います。
2012-11-21 水 21:51:43 | URL | あお [編集]
Re: わぁーっ
ユナ様、2人が会えて嬉しいと言って貰えて、私も嬉しいです。 コメントありがとう御座います。 癒されて頑張れます。
2012-11-21 水 21:56:03 | URL | あお [編集]
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2012-11-22 木 03:44:44 | | [編集]
Re: タイトルなし
rita様、コメント・・・・・・・・・・爆笑です。 最高です。ナイスです! このような素晴らしい称号はかつてあったでしょうか(否、ない!) 帰巣本能というのも爆笑です。 ナイスコメ、ありがとう御座います。
2012-11-22 木 16:03:28 | URL | あお [編集]
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