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秋霖  17

ここ最近の私は、仕事で腐っている状態です。 はっきり言って腐乱してます。 
ジッ〇ロックしても腐敗臭がだだ漏れの状態です。 そんな私に、皆様からのコメントがどれだけの癒しになっていることか! 毎日感涙の涙を流してます。 
先日は泣きすぎて目玉が溶けて流れてしまいました。 慌てて掻き集めていると、愛犬が舐めて吐いてました。 ああ、何たる事か! (突っ込み無用です。) 
本当にありがとうです!



では、どうぞ。 















夕鈴は戸惑いながら陛下に腰掛けるよう勧めて、お茶の用意を始めた。 
王宮で使用される高級な茶葉と違い、下町で扱っている普通のお茶しか出せないがそこは仕方が無い。 そっと茶杯を差し出すと陛下が夕鈴を見上げて来た。 
小犬とも狼とも違う、いつか見たことのある視線。 
その視線を避けて、対面の椅子に腰掛けて夕鈴は自分の茶杯を持ち上げた。 目の前の陛下も静かに茶杯に口を付ける。 夕鈴は陛下からの視線を感じながら顔を背け、黙っているしか出来ない。 確かに宿のバイトは辞めてきた。 それを何故陛下が知っているのだろう。 それを聞いて如何するというのだろう。 
答えることが出来ずに小さく息を吐くと、陛下が茶杯を静かに置いた。

「私があの宿に行ったから、泊まると知ったから・・・、辞めたのか?」

夕鈴は唇を噛んだ。 そうですと答えるべきなのか、違うと答えるべきなのか・・・・。
ゆっくりと瞳を開き、目の前の陛下を見る。 王宮でのあの冷酷さはなく、冷たい視線でも無い。 憂いを帯びた視線に胸が締め付けられそうになるが、夕鈴は手を強く握って息を吸った。

「辞めたのは・・・・ 元々短期間でのバイトでしたから。 それと陛下の御仕事の邪魔はしたくありません。 陛下が来たから・・・・・ という理由だけでは御座いません」
 
私の 『答え』 に息を呑む音が聞こえる。 視線を落としているので陛下の表情は窺えない。 嘘は言っていない。 本当を言っていないだけ。 

「陛下は・・・・、それを伺いに此方まで足を運ばれたのですか?」

この家を・・・ 覚えていたんですか? 冷たい視線で睨みつけていた陛下が、私を 『目障りだ』 と言っていた陛下が、バイト妃の実家を覚えていて御一人で足を運んで来た。 
それは何故? 夕鈴が正面から陛下を見つめると、戸惑った表情を見せる。 
暫らく言い淀んでから紡ぎ出された言葉に夕鈴は目を見開いた。

「・・・・後宮で、お前付きの侍女に・・・・ 香油を投げ付けられた」
「へ? こ、香油を、投げ付け・・・、ええっ!? 嘘っ! 侍女さんが陛下に?」

真っ青になった夕鈴が思わず立ち上がると、陛下は表情を変えずに椅子に腰掛けるよう無言で促す。 唇を戦慄かせながら腰掛けると、陛下が目を細めて夕鈴を静かに見つめているのが判る。 侍女さんが如何して陛下にそんな事をしたのか・・・・・。 退宮する前に侍女と話し合った時を振り返ると、真赤な顔で憤りを隠さずに泣き出した一人を思い出した。

「それは・・・・、大変申し訳御座いません! 彼女に上手く伝えられなかった私に非がありますので侍女さんは悪くありません。 ですから、ですから・・・・・」

頭を下げて必死に侍女の行いを詫びていると、大きな溜め息が聞こえた。 ビクリと肩を震わせて夕鈴がもう一度深く謝罪をしようと息を呑むと陛下が話し出した。

「・・・・纏わり付くように続いていた頭痛がその後消えた。 それが関係しているのかは正直判らないが兎も角、君の侍女を罰するつもりはない。 君からの謝罪は必要ない」
「あ・・・、ありがとう御座い・・・ ます。  あの・・・・陛下、あれからも頭痛が続いていたのですか? 私を見て頭痛がしていたと言っていましたが、ずっと・・・・?」
「・・・・頭痛は君に関係ない。 あの時はそう言ったが、纏わり付くような頭痛は君に関係なく続いていた。 あの時は何故そんな事を言ったのか・・・・」

夕鈴が顔を上げて問い掛けると、陛下は眉根を寄せて呟くように答えて視線を逸らした。 政務室での陛下の表情を思い出し、夕鈴は呟いた。

「・・・・だから陛下は何時も辛そうな表情をされていたんですね」
「何時も・・・・、そんな表情を私がしていたと?」

訝しむ視線で見つめらるが、夕鈴は正面から視線を受け止めると静かに頷いた。 
いつも眉間に皺を寄せて苛立ちを隠そうともせず、それでも政務に取り組んでいた。 自分を見るたびに陛下が苛立っているのを感じていたが、辛そうな表情はそれだけでは無いように思えていた。 李順らが暗示などで操られているか、洗脳されていると言っていたが、それを聞いても私には何も出来なかった。 声を掛けることさえ難しく、せめて気持ちだけでもと手作りの品を届けて夕鈴は退宮することとなったのだ。

頭痛に苦しんでいた陛下に気付かなかった自分が口惜しいと、夕鈴は唇を噛んだ。 
涙が滲んできて思わず俯くと、陛下の手が伸びて頤を持ち上げられる。 触れてきた指の冷たさに夕鈴が驚いて目を瞠ると、陛下の戸惑った表情が見て取れる。 
それでも夕鈴の頤から手は離れないまま、陛下は夕鈴を見つめ続けた。   

「・・・・如何して私はここに来たのだろう。 気付けば知らぬ間に下町に居て、克右に宿を探させた。 宿で偶然君を見て・・・・ 辞めたことを知り・・・・。 私はここに、君の家に来たことがあるのか? バイトである君の家に?」

陛下を見つめる瞳から涙が零れそうになる。 夕鈴の家に来たことを陛下が忘れていても、身体が覚えていてくれた。 今はそれだけでいい。 
陛下が私を二度と思い出さなくても、煩わしいと思われても、もう充分だと思えた。 

「ええ、陛下。 何度か此方へ足を運ばれました。 お泊りになったこともあります。 一緒に下町を歩かれたことも、意地悪を言われたこと、されたこともあります」
「私がここに? ・・・・泊まったこともあると?」
「ええ、食事を作らせて頂き、陛下に召し上がって頂きました。 ・・・・陛下、お時間があるのでしたら、召し上がって行かれますか?」

昼を少し過ぎた時刻。 きっと陛下は未だ何も召し上がってはいないだろう。 そう思い尋ねてみると陛下は逡巡していたようだが、暫らくしてから黙って小さく頷いた。 
その様子に苦笑した夕鈴は、お茶を淹れ直してから支度に取り掛かる。 
買い物したばかりで材料はある。 温かい野菜たっぷりの湯と焼き餃子、包子を蒸そうと用意をしている途中で青慎が帰宅した。 台所に立つ姉と、卓に手を置き大人しく腰掛けている陛下の姿に驚いた青慎は声も無く2人を凝視した。

「・・・・李翔さん、お昼食べていくから青慎は手を洗ったら手伝ってね」
「あ、はいっ。 ・・・・直ぐに洗って来ます」

青慎が手洗いの為に外の井戸へ向かうと、陛下が 「李翔?」 と尋ねてくる。 

「えっと、陛下は下町に来る時、その名前でお過ごしでした。 私は王宮の掃除婦で、陛下はその上司という設定です。 ですから此処では李翔さんで通して下さい」
「・・・・昨日も彼にそう言われた・・・・」

そう言って黙り込んだ陛下は夕鈴の説明に考え深げに卓を見つめていたが 『臨時花嫁』 のバイトをしているのは家族には内密だと理解出来たのだろう。 
陛下が小さく頷いたので、夕鈴はほっと息を吐いた。

荷物を置き、簡衣に着替えた青慎が戻って来て、早速皿の用意を始める。 
その皿に夕鈴が焼き餃子を移すと美味しそうな湯気が卓に広がった。 鍋から器に湯をよそおうとする時、皿の焼き餃子に手を伸ばすのが見えて、夕鈴は思わずお玉でその手を叩いた。

「ちゃんと大人しく待ってなさいっ!!!」

勢い良く怒鳴った後で、叩いた相手を見た夕鈴は瞬時に蒼褪めた。
家に居るから、つい何時もの調子で・・・・っ!! 

しまったと思った夕鈴と同じように蒼褪めた青慎が 「姉さん、上司の方に・・・」 と夕鈴に戸惑った顔を向ける。 しかし対する陛下は叩かれた手をじっと見て、次第に頬を染め出した。

お玉を握り締めた夕鈴は、陛下が怒っているのだと思い全身をガタガタと震わせた。 姉に縋るように青慎が袖を掴み、恐れ戦きながら共に陛下を見つめる。 
じっと手を見ていた陛下がゆっくりと顔を上げて、二人に向けた表情は・・・・・・・・・。


「ゆうりん・・・・。 僕、大人しく待っているね」




柔らかい笑みで叩かれた手を擦る陛下は _____ いつか見たことのある風景の中の。






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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 23:30:17 | トラックバック(1) | コメント(14)
コメント
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2012-11-23 金 00:12:30 | | [編集]
Re: タイトルなし
yuri様のお慰みになって嬉しいです。 この話を考えた時から 「お玉」 は浮かんでいて、ここまで暗い話になる予定じゃなかったので、 「お玉」 を外そうか悩んだのですが・・・・・・。 初心貫徹で行こうと!
早速のコメ、ありがとうです。
2012-11-23 金 00:20:25 | URL | あお [編集]
子犬陛下キターーー(・∀・)ーーー!
1話目から数えて16話ぶりの子犬陛下っ!お久しゅうございます陛下w
ショック療法でしょうか。
良かったね~夕鈴TT

お忙しい中を縫っての更新本当にありがとうございます><
2012-11-23 金 00:24:14 | URL | rita [編集]
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2012-11-23 金 00:24:37 | | [編集]
Re: タイトルなし
rita様、数えて下さったのですか!? そうですか、16話ぶりですか。 ほお・・・・。 小犬に戻した途端に早々のコメがいっぱいで、嬉しいです。 本当に癒されますわ~~~。 ありがとう御座います。 
2012-11-23 金 01:14:41 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
ユナ様、侍女さん褒めてくれてありがとー!! プロットには無かった侍女さんですが、途中何が欲しいと途中参加して貰い、上手いこと動いてくれてほっとしているんです。 あとは小犬がどう動くか・・・・。 頭を悩ませながら続きを楽しみます。 コメ、ありがとう御座います。
2012-11-23 金 01:16:51 | URL | あお [編集]
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2012-11-23 金 01:42:52 | | [編集]
Re: いやーん!
ビスカス様、いつも楽しいコメ、おまけに長文ありがとう御座います。 お玉見てニヤニヤして頂けたら嬉しいです。そうそう、副使節団長下賜して貰おうと飛んできますね。 まあ、夕鈴が断わるでしょうが。 ここから漸く小犬が登場で私も嬉しいです。 長い話に御付き合い頂き、嬉しい!!!
2012-11-23 金 08:40:10 | URL | あお [編集]
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2012-11-23 金 10:37:24 | | [編集]
うわぁ陛下お玉で叩かれて小犬になるなんて、マゾッ気たっぷり見に染みていらっしゃる愛のムチですね・アメとムチがお互いの間だで続いていたとは…続きが益々楽しみですね
2012-11-23 金 15:08:13 | URL | ともぞう [編集]
Re: タイトルなし
 幻想民族様、コメント有難う御座います。SNSの作品、時間ある時に読ませて頂きます。お知らせ有難うございます。そうですか、スカッとさわやか、李順の活躍ですか。 楽しみにしています。 コメ、有難うございます。(^^)
2012-11-23 金 16:44:41 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
ともぞう様、お玉使いたかったの!!! えへへ。 やっと使えて嬉しいけど、ここまで長い話になるとはおもわなった・・・・(汗) あとはまとめ作業になる予定です。  仕事次第ですけどね。(今も仕事場です) コメント有難う御座います。
2012-11-23 金 16:46:17 | URL | あお [編集]
こんにちは(^^)
コメント失礼します。ぺこり
子犬な陛下!やっとお会い出来ました!
狼陛下の態度にじっと耐える夕鈴の切ない感じ、実は大好物なのですが、久しぶりの優しい陛下の登場にほっと嬉しくなってしまいました♪

お玉でつまみ食いを注意するあのシーン!とってもお気に入りのシーンだったので、こうして拝見出来て幸せです♪ありがとうございます!
2012-11-23 金 16:52:40 | URL | バニーガール [編集]
Re: こんにちは(^^)
バニーガール様、お玉でつまみ食いのシーン使えて嬉しいです。 こちらこそ、コメありがとう御座います。
2012-11-25 日 16:06:51 | URL | あお [編集]
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まとめ【秋霖  17】
ここ最近の私は、仕事で腐っている状態です。 はっきり言って腐乱してます。 ジッ〇ロックしても腐敗臭
2012-11-23 Fri 15:57:41 | まっとめBLOG速報

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