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暦の果  2

夕鈴攫われて勿論陛下は怒るでしょう。 その怒りを書いてみたくなりました。(酷っ!)
そしてのんびり予定ではありますが、underサイトでも「甘やかな」シリーズ(いつの間にシリーズに?) 更新中です。 お暇な方は覗いて下さいませ。
あ、R指定ですので、そこは宜しくお願いします。(^^;)



では、どうぞ。

















「浩大、・・・・それで我が妃は何処にいると?」
「それが疑わしい輩が三方向に同時に現れて、一つは桐が向かっているけど、その他の奴が後宮の庭にまで入り込んだとなると・・・ 本当に参ったな~・・・。 解れば直ぐに奪還しに行ってるって! 情報が集まるのをもう少し待ってくれ」

浩大が妃の部屋周囲を見回っていると見るからに怪しい人影があり、追い詰めるとあっさりと捕まえることが出来た。 訝しみながら後宮警護兵に引渡していると屋根の上に新たな人影を見つける。 流石に奇怪しいと感じ、後は警護兵に任せて急ぎ夕鈴の部屋に戻ると床に膝掛けが広がっており、何処にも妃の姿は見当たらなかった。

もしかして酔った夕鈴が勝手にふらふらと何処かへ移動したのかも知れないと考え、周囲を探すも姿を見つけることが出来ずに急ぎ屋根に上ると王宮から辻馬車が走り去るのが見えた。 
嫌な予感が浩大の頭を過ぎるが、宴終盤で早々に帰り出した大臣らが数人居たようでどの馬車が怪しいかは判断出来ず、直ぐに他の隠密に連絡して探りをいれるように指示を出すのが精一杯だった。
自分が陽動された隙に警護すべき正妃が姿を消した。 
浩大は先の動きを頭の中に幾通りか浮かべながら、震えるほどに強く己の手を握り締める。

「引き続き調査しております。 解り次第直ぐに陛下に知らせますので、今は他大臣らに気付かれないよう、表面上は平静を保って下さるようお願い致します」

無理だと承知してるが、それでも李順が蒼褪めながら告げると薄く哂った笑みが振り返る。 
紅い瞳に殺気を纏いつつ陛下が口角を上げて首を傾げた。

「李順、我が妃が連れ去られた可能性があるというのに平静を保つなど、出来そうもないのだがな。  ・・・・急ぎ無事な姿を見ないと私は何をするか判らないぞ?」

ゆっくりと椅子から立ち上がった陛下が李順と浩大に視線を向ける。 部屋の空気が肌に突き刺さり痛いほど冷たく重く感じられ、浩大は唇を噛み新たな情報が入っていないか確認をするため踵を返す。 李順は宴に出席した大臣、高官らの名簿を精査し直そうと立ち上がる。
その時、扉が静かに開き視線が一気に集まると、そこには桐が驚いた顔をして立っていた。

「ちょっと変な輩を捕獲したので陛下側近である李順殿に報告をと思いまして来ましたが  ・・・・・何かあったんですか?」
「お妃ちゃんが攫われたかも知れないんだが、桐は何か知らないか?」

桐は目を瞠って瞬時何かを探すように視線を彷徨わせ、そして頷いた。 
その頷きにその場に居た皆の視線が集中する。 


桐が後宮へ向かう宦官の足取りに違和感を感じ暫らく様子を窺っていると、正妃の部屋前で周囲を見回し、その後庭へと移動するのが見えた。 庭園から殿へと続く道筋を確認している様子に桐が姿を現すと、彼はひどく慌てた様子で踵を返した。 放置する訳もなく、捕らえようとすると自害を企てるのが解かり手刀で昏倒させた。
その後桐が調べを続けると、捕獲した輩より正妃に関しての目論みが判明する。 
近隣国との取引に際し白陽国国王である珀黎翔との婚姻が条件にあがり、その為に邪魔な正妃を排しようと目論んでいたと。 そして、その取引を請け負った大臣が自国に居る。
しかし、その考えが既に実行されたかも知れないと聞き、桐は浩大に顔を向ける。 
浩大が少し蒼褪めた顔で頷くと桐は陛下に視線を移した。

桐が陛下に視線を向けると同時に・・・・・ ギリリと嫌な音が聞こえる。 李順が顔をあげると陛下の口元から赫いものが滴るのが見えた。 陛下が仄暗い笑みを浮かべると共に紅い瞳が細まり咽喉の奥で哂ったかのようなくぐもった声が聞こえ、李順は蒼褪めた顔を逸らした。 

「浩大、直ぐにどの大臣かを調べろ・・・・。 至急だ」
「了解っす。 桐、その宦官は未だ生きているだろうな?」

桐は陛下の昏い視線に怖ろしい程の寒気を感じ、浩大へと視線を移し小さく頷いた。 
かなり執拗な拷問の末に聞き出した情報。 まだ辛うじて息があるのを確認して止めを刺すかと陛下へと報告に来たが、最悪の事態になっているとは知らなかった。 

「直ぐにその者の元へ案内しろ。」

浩大と共に陛下が動き出そうとするのを、李順が急ぎ止める。 
阻まれた陛下の側近に向ける眇めた視線は怖ろしいほど冷酷で、片手がゆっくりと刀へと動いたのを知りながら李順は重苦しく息を吐き、低頭してお願いをする。

「陛下、まだ散会の儀にての挨拶が御座います。 今がどのような状況か重々承知はしておりますが、お願い致します。 これが御済になりましたら如何様にも、全ての軍兵を動かしても構いません。 しかし、最後の挨拶だけは・・・・ お願い致します」

遠方から来た各州の貴族や州牧の一部は早々と帰路に着いたが、残った大臣らへの挨拶を終えて宴が終了する。 今は周宰相が場を纏めているが、あの御仁の纏めでは和むどころでは無いだろうと李順は項垂れる。 暗雲立ち込める奇怪な場にいつまでも大臣を残していては正妃の為に動くことに支障がある。 李順は陛下の顔を見た後、深く頭を下げる。

「・・・・陛下、どうか」
「陛下、隠密を取り調べてくる間、・・・・・その挨拶はして来なよ」
「正妃が捕らわれているなら手っ取り早く喋らせて来ますので、暫しお待ちを」

側近に震えた声で低頭され、隠密らは捕らえた人物の元へと足早に駆け出した。 
李順の蒼褪めた視線に荒々しく溜め息を吐き、陛下は峻烈な焔を宿した表情で執務室から出て行った。 追掛ける李順が手布を差し出し、口角の赫いモノを拭うよう伝える。 無言のまま陛下が舌で舐め取ると、その場に足を止めた李順がもう一度低頭した。

「お気持ちは重々・・・・、暫しの間だけ演技をお願い致します」
「解かっているから安堵しろ。 しかし その後の私に何か言えばお前でも赦すことが出来ないと理解しておけ。 ・・・・・夕鈴の無事を祈っておけよ」
「・・・・御意」

宴が開催されている殿へ向かった陛下を見送った李順は管轄下の密偵を急ぎ呼び寄せた。







唯一のと、彼女は私にとって唯一の妃であると夕鈴が立后した日、皆に伝えていた。
この国の国王である私の唯一であると。 
それは理であり変えようの無い理法だというのに、未だに理解出来ない輩がいる上に、良からぬ目論見を企てようと・・・・ いや実際に企てていたのかと知り盲目的な攻撃と破壊の衝動が湧き上がる。 未だ制し切れていない臣下のこうした動きに苛立ちと遣る瀬無さを瞬時覚えるが、それを深く考えるつもりもない。 御し切れていないなら、今後の自分の動きはおのずと知れる。 冷酷非情な態度で内政に携わっていたが、まだまだ足りぬという事だろう。 
己の御世に尽くさせるために何が必要か、それは強さと恐怖なのだと改めて思わされる。
それを理解しない者への憤懣を今は押さえ、黎翔は肩を揺らした。 
自分のこうした思いも考えも、夕鈴は良しとしないのを承知しているからだ。
しかし、その夕鈴が攫われた。 
彼女が信じる狼陛下の臣下の手にて、彼女を良しとしない愚かな考えで攫われてしまった。 
今、こうしても帯刀した腰へと手が向くのを抑えるのが難しいほどだったが・・・・・・。

紅く昏い瞳が宴の扉へと向けられる。
薄く上がった口角が何を意味するか、解かる者は直ぐに視線を逸らして脱兎の如く逃げ出そうとするだろう。 怒気を孕んだ空気を纏い、黎翔は重い扉を開いた。







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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

もしもシリーズ | 22:45:02 | トラックバック(0) | コメント(14)
コメント
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2012-12-11 火 23:40:58 | | [編集]
Re: こーわーいー
恐さが伝わると嬉しいのですが、上手く表現出来ない自分にジレンマです。 怒っているのが伝われば万歳です。 ビスカス様、早速のコメ、ありがとう御座います。
2012-12-11 火 23:44:47 | URL | あお [編集]
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2012-12-12 水 00:22:55 | | [編集]
部下は大変(´д`|||)
陛下のお怒り…
李順さん、胃に穴があかなければいいのですが(笑)

続き楽しみです!
お邪魔いたしましたm(__)m
2012-12-12 水 07:27:39 | URL | ダブルS [編集]
苛烈な陛下、かっこいいです。
拐われた夕鈴が何をしでかすか、楽しみです。
寒いですので、体調に気を付けてください。
2012-12-12 水 08:19:37 | URL | ゆきんこ [編集]
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2012-12-12 水 09:09:07 | | [編集]
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2012-12-12 水 15:14:57 | | [編集]
Re: タイトルなし
ギャップ有りすぎですよね。 すいません。(笑) こっちの陛下もあっちの陛下も結婚後設定なのですけどね~。 yuri様はどちらの陛下がお好きでしょうか?
2012-12-12 水 21:05:28 | URL | あお [編集]
Re: 部下は大変(´д`|||)
ダブルS様、部下というのはどの社会でも、会社でも大変なのですね~(遠い目・・・・) 李順さんは本当に大変と思いますが、頑張って欲しいです。うん。
2012-12-12 水 21:07:18 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
ゆきんこ様、コメありがとう御座います。 苛烈な陛下、カッコイイと言って貰えて嬉しいです。本当に寒いですので、風邪予防に気を付けて下さいませね。
2012-12-12 水 21:09:31 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
ますたぬ様、爆笑ですよ~! 浩大と李順の命がある内にって、無くなるの決定?(爆) コメ、ありがとう御座います。
2012-12-12 水 21:24:16 | URL | あお [編集]
Re: つ・続きが…
makimacura 様、やっぱり恐さ足りませんよね(汗) もう少し頑張ってみます。 というか、頑張って貰いましょう! underものんびり更新していますので、時々覗いてくださると嬉しいです。 コメ、ありがとう御座います。
2012-12-12 水 21:27:14 | URL | あお [編集]
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2012-12-13 木 22:31:54 | | [編集]
Re: タイトルなし
ななすけ様、コメありがとう御座います。 そうなんです、その何となくの分け方が難しい。 上手く伝わるように書けないことにジレンマが~~~! 恐い陛下を上手く書こうとするのは難しいです。
2012-12-13 木 23:26:10 | URL | あお [編集]
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