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暦の果  12

牢獄シーンになります。 後半につれ、真っ暗です。 痛いシーンがありますので、それでも大丈夫という方はお進み下さいませ。 まとまりが悪くて、まとまらなくって困ってます。 
いつものことながら長くなってしまう自分にとほほです。 怒った陛下と浩大がメインです。
あと、under拍手500越え、ありがとう御座います!! きゃあ~ 嬉しい!


では、どうぞ。

















少し笑みを浮かべた側近に、訝しげな視線を送ると山と積まれた書簡を指差される。

「昨夜はゆっくりお休み出来たようで政務も随分捗ると思われます。 周宰相より急ぎの書簡が来ておりますので、此方を先に目を通して署名して頂きたく願います」
「・・・・奴の邸を含めた財産整理、徴収が上手くいったようだな」
「裏も取れておりましたし、本人もあの後は至極素直になられ、署名捺印も頂きました。 あとは一族と乎東国王女の件が残っておりますが、其方も上手くかたが付く予定です。 他にも高官らを捕縛出来ましたし、男を雇った親族も纏めて処分出来ますしね」

陛下が書簡を広げ小さく頷くと側近は卓上の山の上に新たな山を築き出した。 
昨日、刑房へ足を向ける前に急ぎの書簡に目を通した筈だと睨み付けるも、仕事熱心な側近は飄々とした顔で見つめ返してくる。

「・・・・夕鈴殿のお加減は如何ですか?」
「腫れた頬や傷は暫らく掛かるだろうが、元気に食事を摂っていた。 熱も下がり、痛みと傷が無くなれば此方にも顔を出すだろう。 ・・・・何か用事でもあるのか?」
「私ではなく、堵将軍が直々に正妃へと謝罪を申し上げたいと願い出ております」
「それは却下だ」

端的に言葉を発した陛下に、やはりと李順は頷いた。 勿論それを聞いた時に李順は断りを入れている。 間違って武官処分が正妃の耳に届けば、却って陛下の怒りが増すだけだろう。 
正妃であるとはいえ、裏側の詳細までを知るのは酷だと李順も解かっている。 
堵将軍も正妃を攫った武官の長として謝罪をするだけだろうが、今の陛下がそれを赦す筈も無く、また他の男が今の彼女に近付くのさえ嫌うことは重々承知だ。

「御意。 そのように伝えておきます。 あと刑吏より残りの処分はどの様に行なうかの問いが来ております。 今、浩大が詰めておりますが何か急ぎ伝える事は有りますか?」
「・・・・この山を如何にかしないと刑房には行けそうもないが、・・・・・李順。 至急署名、指示が必要なものを仕分けて置け。 様子を見たら直ぐに戻る」
「全ての書簡が至急と、周宰相より伝え聞いております」 

しれっと伝えられるが陛下は気にすることなく執務室から離れて行った。 側近の大仰な嘆息が耳に届くが、それは気にも留めずに。












刑房に姿を見せると刑吏が恭しく低頭し、昨夜の房での様子を報告して来た。 そこへ明るい表情でこんな場所だというのに煎餅を齧りながら浩大が飛んで来る。 陛下の前まで来ると、大きく目を見開き驚いた顔を見せ、それから頤に手を添えて数回頷いた。

「いや~、昨晩はお妃ちゃんとイチャイチャ出来たようで何よりです。 少しは眠れたようですっきりしてんね。 こっちの報告はもう聞きましたか?」
「・・・・刑吏から報告は聞いたが、お前からは何かあるか?」

口の中の煎餅を飲み込んで、浩大は目を細めて頷いた。 促すように刑房を歩き出した浩大に黙って付いて行くと、奥の房に近付くにつれ呻き声が聞こえて来た。 背後から付いて来た刑吏が中に入り壁の燭台に次々と明かりを灯すと、一人の高官がゆっくりと顔を上げて虚ろな瞳を向けた。 口角から涎が垂れ、既に意識は他へと向けられているようだ。 肩を揺すりながら俯いた高官は猿轡からくぐもった呻き声を漏らして地面に転がった。
余りの恐怖に精神が現実逃避したのだろう。  それでも罪からは逃れることは無い。 
それを一瞥した陛下は無言のまま浩大に頷いた。 浩大は早速他の房へと陛下を案内する。

「そういえば、お妃ちゃんに直接暴力振るった男達、一応生かしてあるけど、もう一度話しでもするつもり? それともそのまま処分しちゃう?」
「お前が直接手を下したいのは廚大臣だろう。 男どもは奴に恐怖を与えることが出来た時点で もう用はないからいつ処分しても良いだろう。 あとはお前に任せる。 ・・・・あとの高官らは正気か? もう必要な情報は無い筈だから奴の恐怖を煽るのに使うだけだな。 そうだ。 刑吏、薬師を呼んでおけ」

浩大が足を止めて房の鉄格子を叩くと中から悲鳴が聞こえた。 刑吏が中に入り明かりを灯すと身を竦めた高官が震えていた。 陛下の視線を感じると慌てて呻き、額を地面に擦り付けて謝罪を叫んだ。 しかし猿轡のせいで意味不明の言葉が漏れるだけだ。 内容は理解出来るが、ただそれだけだと冷たい視線を向け続けるも高官の頭は下がったままで上がることは無い。

「・・・他の高官も似たようなものだろう。 で、廚大臣は如何している?」
「奥にいるよん。 まだ希望を捨て切れてないようで手を出すのが・・・・ 楽しみだ」

浩大の最後の台詞は昏い囁きとなり、目の前の高官を恐怖へと陥れ更に震わせる。 
二人が奥へ足を向けると刑吏が房の中へと入り、同じように灯を灯す。 
そこには胡坐をかいた廚大臣が猿轡を噛締め、蒼褪めながらもしっかりした視線を向けて来た。 何か言いたげな視線を受けた陛下は刑吏へ指示を出し、大臣から猿轡を外させると暫らく咽込んだ後、彼は真摯な表情を見せて陛下へと訴え出した。

「陛下っ! わ、私は陛下の御為に乎東国王女を娶ることを薦めたいと、それだけで動いた次第で御座います。 ここまで非道な目に遭うような事は何もして居りませんっ!」
 
相変わらずの態度を貫く大臣に浩大が思わず口笛を吹くと、陛下が苦笑した。 

「お前は以前、申し開きは無駄だと承知している、思い残すことはないと私に言っていたではないか。 意向を替えたのか? 武官の死を目にして・・・・ 怖気付いたか?」
「あ・・・・ そ、それは。 しかし、私は・・・・。」

刑吏が房から出て去って行くと、二人はゆっくりとした動作で中へ入った。 身構えた大臣が充血した目を大きく開き頤を持ち上げ陛下を見上げるが、二人は嘆息して哂いを零す。

「廚、我が妃の横腹に痣があり、それは蹴りによるものと解かっている。 暫らく安静が必要な状態だ。 更に薬師に毒の用意まで頼んでいたそうだな。 ・・・・・覚えはあるか」 
「毒って ・・・・お妃ちゃんに飲ませようと? それ、聞いてないよ」 

浩大の睨ね付けるような視線が陛下を責めるが、それを無視して大臣を見つめる。 蒼白になった大臣は視線を落として唇を戦慄かせ、必死に言葉を探しているように見えた。 浩大が怒りに満ちた瞳で大臣に詰め寄ると、紗帽を乱暴に取り外し、そのまま彼を蹴り倒した。

「なぁっ! 何をするかっ!」
「・・・・煩い。 オレ、今すげぇ腹立ってるから逆らわない方がいいよ・・・・」

大臣が陛下へと顔を向けると、激しい怒りを放つ双眸は細められていた。 
視線を合わせた大臣の口が徐々に大きく開き声無き悲鳴が漏れ、今にも気を失いそうな表情になり全身を震わせている。 そこへ刑吏が薬師を引き摺るように連れて来た。 一晩でげっそりと痩せた呈の薬師は鉄格子越しに膝をつくと陛下に平伏し、叫ぶように謝罪を申し立てた。   

「も、申し訳御座いませんでし・・・。 用意だけで使うことが無かったことが今は救いとなっております。 このような恐ろしい企みに加担してしまい・・・・。 誠に・・・・・」
「わたっ、私は毒のことなぞ存じませんっ! この者が何を申し立てようと私には何の関係も御座いませんっ! 弑そうなぞまでは考えも」

大臣が必死な表情を陛下に向けて喋り出した時、陛下が刑吏に小さく頷いた。 
陛下の視線を追うように大臣が言葉を切り鉄格子に振り向くと、薬師の後ろに控えていた刑吏が無表情のまま、薬師の髪を掴み上げ、横一文字に咽喉元を鋭利な刃物で切り裂いた。 
天井から房内の壁にまで散った血飛沫は大臣の顔を濡らし、その生暖かさに瞬時彼は何が降り注いだのか理解が出来なかっただろう。 
咽喉元を切り裂かれ大量の血を滴らせた薬師の頭から刑吏の手が離れると、彼はゆっくりと崩れるように地面へと倒れた。 大臣の房の対面に囚われていた高官が引き攣った息を繰り返した後、響き渡るような叫び声を上げた。
奥から姿を見せた刑吏が二人掛かりで薬師の死体を運んで行くと、それを目にした他の高官らも泣き叫び出し、狭い刑房内が阿鼻叫喚の坩堝と化した。 浩大が耳を塞ぎながら大臣を見ると、頭から血塗れになった彼が驚愕の表情で固まっているのが解かる。 

「あ、大丈夫だよ、廚大臣。 あんたは直ぐに殺すことなんかしないから」

自分を蹴り倒した人物が場に似合わぬ飄々とした顔で明るい声を出す。 廚が強張ったまま視線だけを彼に向けると、途端、怒気を漲らせた視線に囚われる。

「・・・・・時間を掛けて、じっくりと嬲ってやるから覚悟しろ」

ひゅっと息を吸う音と共に廚が失神したのが解かる。 陛下が冷やかな視線を落とした後、踵を返して房から離れ出すと、浩大が途端にケラケラ哂い出し 「後は任せて頂戴ね~」 と伝えてくる。 無言のまま肩を竦めると、背後から浩大の哂い声が更に大きく房に響いた。

「さて、まずは水でもぶっ掛けて起こすか。 気が触れた高官を使って地獄の果てまで追い込んでやるとしよう。 刑吏の皆さん、お手伝いお願いしますよ~」
「水より熱湯をご用意しました。 先に壁などを流しましょうか。 薬師が用意した毒も入手しております。 御使いになりますか?」
「使う、使う! 目の前で加担した仲間が少しずつ削られていくのを時間を掛けて見せてあげて追い込んであげよう!  この坊ちゃんが何時まで持つのか楽しみだね~」

正妃警護もあるから全部に係わることが出来ないと、刑吏に伝えると昏い笑みが返って来た。
大部分を任せても大丈夫だろうと、浩大は久し振りに休息を取ることにした。 着替えを済ませたら桐と警護を替わり、ゆっくりと無事な姿を確認しながら菓子でも食べさせて貰おうと考えて。

「・・・・このままじゃ何をしていたのか、丸解かりだな」

袖に鼻を摺り寄せ匂いを嗅ぎ、そして衣装を引っ張ると、やはり尋常じゃない汚れが目立つ。 
それでも自分の目で、手で、大臣が壊れていく様を確認したいと、浩大は昏い視線を大臣へと向けた。 つかの間の悪夢の中を彷徨えばいい。 現実の悪夢が身体を喰むのとどちらが楽か、じっくりと選ばせてやろう。 お前の頭で理解出来るまで。

短く哂った後、浩大は刑房から明るい冬の日差しの中へと足を早めた。





  




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もしもシリーズ | 01:50:12 | トラックバック(0) | コメント(14)
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2012-12-31 月 02:16:47 | | [編集]
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2012-12-31 月 02:56:57 | | [編集]
Re: タイトルなし
ますたぬ様、夜遅くまで御覧頂き、感謝です。 ブラック好きで(?)嬉しいです。 そうそう、夕鈴好きな二人に掛かれば、血だって耳だって飛びますよ!(ええー!!) コメ、ありがとう御座います。 
2012-12-31 月 02:58:32 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
らっこ様、こちらにコメントは珍しいですね。嬉しいです。いつもたくさんのコメントを頂くのに、(それも毎回!!!)ひとつの話が終わってから数行しか返せなくて悔しい思いをしていたので、超嬉しいです。 今年一年、(といっても2月中旬からですが) お世話になりました。当初からずっとコメを頂き、本当に感謝しております。 来年も宜しくお願いします。 
2012-12-31 月 13:43:07 | URL | あお [編集]
浩大でてます(>人<;)
ありがとうございます
思えば今年の私はアオさまの文才に支えられました
来年もよろしくお願いします
良いお年を(。-_-。)
2012-12-31 月 18:08:02 | URL | 秋 [編集]
暗い中にも
夕鈴のために働く浩大、惚れます(*^^*)
暗くても誰かの為だということで、安心して読めます!!
どんとこい、暗い展開(笑)

今年ももう終わりですね、お疲れ様でしたm(__)m
来年もお邪魔いたします、良いお年を\(^^)/
2012-12-31 月 19:31:59 | URL | ダブルS [編集]
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2012-12-31 月 20:05:40 | | [編集]
Re: タイトルなし
明けました!おめでとう御座います。 秋様、コメありがとう御座います。新年より明るいコメが見られて嬉しいです。今年もどうぞ宜しくお願い致します。
2013-01-01 火 10:14:59 | URL | あお [編集]
Re: 暗い中にも
年末にとことん暗い内容でしたね。(汗) ダブルS様、コメありがとうです! 本年もどうぞ宜しくお願い致します。今年は本誌もドキドキの内容になるでしょうし、こちらも明るい話で一杯になると良いな~(他力本願!) 今年もよろしくお願い致します。
2013-01-01 火 10:37:16 | URL | あお [編集]
Re: ブラック~!!
ブラック浩大、結構人気があってほっとしています。嫌われるかしらとドキドキしちゃったから~。makimacura様、コメありがとう御座いました。 今年もどうぞ宜しくお願い致します。
2013-01-01 火 10:44:44 | URL | あお [編集]
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2013-01-02 水 00:56:48 | | [編集]
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2013-01-02 水 00:58:45 | | [編集]
Re: わおっ!
ビスカス様、明けましておめでとう & コメありがとう御座います! 毎回のことながら長くなってしまい、まとめが上手くいきません!!(これもいつもや~) 浩大よりの後半になりましたが、どうしても流れがそっちに行ってしまいアワアワです。 御許し下さいませ!!! 今年も宜しくお願い致します。
2013-01-02 水 01:10:52 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
ななすけ様、コメありがとう御座います。あーんど新年おめでとう御座います。 浩大好きって言って貰えてほっとしてます。 余りにも酷い扱いになってしまった感があって、如何修正しようか悩み、もう放り投げです。(爆) いちゃいちゃは李順さんに阻止されてますので、政務が片付いたらどうなるか。 やっぱり「お仕置き」必要ですかね?
2013-01-02 水 01:14:23 | URL | あお [編集]
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