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暦の果  13
明けましておめでとう御座います。 本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

昨年2月から開設したこのサイトも、御越し下さる皆様のお陰で楽しく続けられ、年を越すことが出来ました。 自分でも感動です。 たくさんのコメ&拍手を頂き、心から深くふかーく感謝申し上げますと共に今年も引き続き、時間が有るときで結構ですので(笑)遊びに来て下さいませ。

この話も思った以上に長くなりましたがブラック陛下&浩大がいっぱい書けて楽しかったです。




では、どうぞ。













正妃である夕鈴の部屋に足を向けた浩大は窓枠を叩いてお伺いを立てる。 万が一着替えの最中だったら後宮中に響き渡る叫び声に狼が飛んで来て、廚の横で転がされる破目に陥る。

「あ、浩大! 久し振りね、お礼を言いたかったから会えて嬉しい!」
「お妃ちゃん、元気そうだけど・・・・ 蹴られてたって? 大丈夫?」

夕鈴は少し驚いた顔をした後、困ったような笑顔で頷いた。 窓から入って来た浩大はそのまま窓辺でちょこんと腰掛けたが 「寒いから中に入って 熱いお茶でもいかが?」 と勧められ遠慮なく卓へと着いた。 夕鈴がお茶の用意を始めたので、背後からそっと彼女を窺って見る。
手首と足首に白い包帯が見えるが、それは縄を解く際自分で付けた傷と聞いている。
しかし、原因を作ったのは廚大臣だ。 奴が拉致監禁し、縛り上げなければ傷をつけることは無かった。 そもそも拉致されたのは自分が夕鈴から離れた隙に・・・・・。

「・・・・大、浩大? お茶、入ったけど。 どうしたの?」
「ん? どうもしない。 ちょいと考え事をちょっとね。 あ、菓子は? 美味い菓子!」
「はい、あるわよ。   ・・・・ね、浩大、聞いてもいい?」

真摯な表情の夕鈴を見て、浩大はすいっと視線を外しながら短く返答する。

「あ、駄目っすよ? 大臣に関しては言えないから聞かないでね。 それは陛下に直接聞いて頂戴。 オレはお妃ちゃん警護がメインだから大臣のことは判らないし~」 

滔滔と話しながら卓上の菓子に手を出す。 「お、白茶じゃん!」 と嬉しそうな顔で口を付けると、静かな溜め息が聞こえて来た。 
素知らぬ顔で茶を飲みながら口いっぱいに菓子を頬張り、喋ることが出来ないとアピールしていると、夕鈴が 「そうじゃない」 と困った顔で問い掛けてきた。 

「大臣のことは聞かない。 それより陛下は大丈夫なの? ・・・・隣国と、その・・・・ 王女様との・・・・。 大臣が一方的に持ち掛けたっていうのは知ってるけど反故にして大丈夫かって。 国交問題もあるだろうし、でも他の妃が来るのは・・・・・ イヤ、だし」
「あ、そっちか! それは全く問題ないでしょ? それは李順さんが裏で・・・ んんっ、何とか出来るそうだから心配すんなよ。 もちろん、陛下はそっちにゃ興味ないから大丈夫だって。 そんな事より、お妃ちゃんはゆっくり休んで早く良くなれよな~」

そう話すと、俯き掛けていた夕鈴が眉根を寄せてはいたが微笑んで小さく頷いた。

「李順さんがいるから大丈夫! 逆に財産徴収で国庫が潤うとか言ってるんじゃね? 抜け目ないからさ~。 ・・・・李順さんて結構、鬼だよ」
「浩大、鬼はちょっとだけ酷過ぎない!? ・・・でも陛下にも、国にも、王宮にも大事な人だっていうのは知ってる。 そうだね、報告が来るのを今は大人しく待つことにするね。 ・・・・って駄目だな、私。  ・・・・・昨日の今日で」
  
言いながら急に肩を落とした夕鈴に驚いて目を瞠ると、俯いたまま 「ただの愚痴だから」 と呟き出した。 次の菓子を頬張りながら黙っていると、深呼吸した後、静かに話し出した。

「・・・・昨日ね、陛下に知られたくない事を無理に聞かないって、相談して貰えるように努力するって、頑張るって・・・・・ 言ったんだけど、乎東国王女様の件はどうしても気になって。 これじゃ駄目だよね、信用してるって言って気になってるんだもの」 

深刻な雰囲気を醸し出されて居ただけに、浩大は口中の菓子で咽込みそうになった。 
急いでお茶を飲み、呆れ顔で夕鈴の愚痴に答えた。

「それはいいんじゃね? それって結局はお妃ちゃんの 『焼きもち』 ってことだろう? 陛下だってお妃ちゃんにいつも焼きもち妬いてるんだから、傍から見てたら馬鹿らしいけどね~。 夫婦になってまで何やってるんだかってさ!」
「・・・やっ! そっ、なっ! ・・・・焼きもちで片付けて良いの・・・? 王女様の件を李順さんが如何にかしてくれるなら正直、助かるけど」
「・・・・助かるならいいだろう。 それより今日一日安静と言われていなかったか?」

突然窓から顔を出したのは桐だ。 
夕鈴は驚いて立ち上がったため、腰に痛みを感じて慌てて卓に縋って床に転がるのを阻止した。 浩大は普通の顔でお茶を飲んでいるから気付いていたのだろう。 振り向きもせずに卓上の菓子を窓辺の桐に放って投げた。 
桐は菓子を受け取ると、呆れたような表情で夕鈴を見下ろした。 

「言われてます・・・・。 でも浩大が来たから、お茶と一緒にちょっとお話しをって」
「浩大さんは食べたら休憩、その間また私が警護。 それから、陛下は山のような政務に追い立てられており、こちらには顔を出せないとの伝言を預かっている。 お后様がちゃんと休んでいるかの確認も兼ねて、私が見に来た」  
「ずっと休んでいたものっ! 薬湯も飲んで、痛いのだって随分良くなって来ているし!」
「・・・・今、腰が痛みましたよね? まだ頬にも痣が残っていますし。 それから、『余計なことを考えている暇があるなら正妃用の書簡を読むように』 と、李順殿から伝言を承っております。 身に覚えは御座いますでしょうか?」
「・・・・ひぃっ!」

反抗して桐に文句を言っていた夕鈴は最後の台詞に瞬時に蒼褪めた。 

「何でも冬宵の宴の少し前に直々に御渡しして、目を通して頂きたいと、尚、書かれた問いに御答えになるように伝えてあるとか。 で、今日一日はお暇でしたでしょうから答えが出ているのかと、李順殿が申しておりました。 ・・・・御后様?」

一気に全身を震わせ彷徨う視線に涙まで滲ませる夕鈴を、二人の隠密は可哀想に見つめ、そして少しだけ呆れてしまう。 浩大と桐は視線を合わせ小さく哂った後、それぞれの仕事を行うために正妃の部屋を離れることにした。 部屋にひとり残された夕鈴は半泣き状態になりながら急ぎ李順から受け取った書簡を広げ、李順からの宿題を確認した。

「問いって・・・・ い、いっぱいあるっ! あ、筆を用意して、か、紙を!!」

蒼白の呈で夕鈴は書簡に散りばめられた李順からの宿題に取り掛からねばならなくなった。 腰が痛いとか頬が痛いなんて、もう頭の片隅にも無い。 目の前には宿題が、頭の中には輝く眼鏡を持ち上げて薄く哂う李順がいっぱいいっぱい増殖し、乎東国王女のことなど、あっという間に消え去っていた。 夕鈴が頭を押さえながら問いを目で追い、苦悩しながら答えを書面に書き出すと、そこへ窓からもう一度顔を出した桐が優しげな顔で伝えて来た。

「李順殿より、明日、答え合わせを致しましょう、とのことです」
「ひぃいいいいっ!!」

思わず縋るような瞳で桐を見るも、微笑みだけを残し、あっという間に姿を消した警護に憤りさえ感じる。 冬宵の宴の前に確かに受け取った書簡だが、宴準備では方淵と水月の間を取り持つのに忙しく走り回り、正直それどころじゃなかったのも事実。 しかし、以前のように遽しく係わっていたから時間が無かったというのは李順には通用しないだろう。 判っているだけに余計に涙目になる。 今は必死に、それこそ必死に書簡に取り組まなければならない。

「このままじゃ今夜は徹夜になる! ああ、お昼寝しておけば良かった・・・・」

・・・・・後悔先に立たず。 
そんな言葉が頭に浮かんだが、何の役にも立たないと夕鈴は鼻を啜った。









正妃宮の屋根の上で、浩大が桐と肩を竦めて嘆息する。

「刑房内のことは勿論内密だけど、お妃ちゃんが乎東国王女のこと気にしてるなんてな。 あんだけ陛下にベタ惚れされてて浮気の心配って、全くずれていると言うか、判ってないと言うかさ~。 お妃ちゃんって本当に飽きないな」
「そんなお后だからこそ、陛下も翻弄されているのでしょうね。 しかし翻弄されていることに陛下も存外喜んでいるようにも思えますけど」
「焼きもちなんて知ったら、陛下は大喜びしちゃうだろうに。 焼きもち妻の機嫌を取るために政務放り出して駆けつけちゃうかも!」
「そうすると李順殿が怒り出して・・・・。 ああ、容易に想像出来ますね」

隣で小さく哂う桐を見て、浩大は今頃陛下も山と積まれた書簡を前に互いのことを考える暇さえ、側近である李順に与えられず、ただひたすらに筆を走らせているのだろうと思った。 
少し休んだら刑吏と共に廚大臣らに引導を渡しに行こう。 
陛下は廚大臣への興味も随分と薄れたようだから、さっさと片付けてしまうのがいいだろう。 
もしもお妃ちゃんが落ち込み続けていたら陛下の残虐性は恐ろしいほどに増したのだろうけど
・・・・ やっぱりお妃ちゃんだ! 昨夜、何を話したのか解からないが今朝の陛下は驚くほど変わっていた。 だからこそ二人の憂いは早めに片付けた方が良い。 
任せると言われたし、そう言ったからには遠慮なく好きに料理させて貰うことにしよう。

「さ、休んだら一仕事して、それからもう一度ゆーっくり休ませて貰おっと!」
「では、私はお后が茹らない内に老師に御教授して頂けるようお願いしに行きますか。 薬湯を飲んでいても、あれでは知恵熱が出てしまいそうですからね」

世話が焼けるほど、手が掛かるほど飽きなくて良い・・・・・。 
浩大は執務室にも寄って、夕鈴が泣いているよと伝えようと考えた。 薬湯を飲んでいるのに李順さんからの宿題じゃ、幾らなんでもちょっと可哀想だろうと笑ってしまう。 李順さんはやっぱり陛下の為の 『賢妻』 で、夕鈴にとっては 『姑』 なんだなと口角を上げて瞼を閉じた。








FIN 


 
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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

もしもシリーズ | 01:01:01 | トラックバック(0) | コメント(12)
コメント
お疲れ様でした!
明けましておめでとうございますm(__)m
今年もお邪魔いたします(*^^*)
余計な事を考え過ぎないようとの李順さんの配慮?なのか、拉致監禁よりもつらいお勉強(笑)
やはり、落ち込んでるよりは前向きに頑張る夕鈴が可愛いですね(///∇///)
寒い日々が続いてますが、お身体大事にお過ごしください(#^.^#)
お邪魔しました!!

2013-01-02 水 08:11:58 | URL | ダブルS [編集]
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2013-01-02 水 15:43:56 | | [編集]
あけましておめでとうございます。
今年もたくさんのお話待ってます!
2013-01-02 水 21:31:01 | URL | mmhk [編集]
Re: やっぱり
明けましておめでとう御座います。makimacura様からのコメ、嬉しいです。三人のやり取りは書いていて楽しいので、褒めて頂けてうきゃきゃです。やっぱり浩大、報告した方がいいですよね。そしてあっちの流れに・・・・?(笑) 「お仕置き」あった方が楽しいですか? ほほほほほ。
2013-01-02 水 22:10:14 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
mmhk 様、初めまして。コメントありがとう御座います。のんびりですが、楽しく書かせて頂きますので、また読みに来て下さいませ。
2013-01-02 水 22:11:16 | URL | あお [編集]
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2013-01-02 水 23:13:06 | | [編集]
Re: タイトルなし
明けましておめでとうございます。こうやどうふ様、コメありがとう御座います。桐を気に入って貰えて嬉しいです。李順さんは姑として頑張って貰っております。本誌でもそのポジションを継続させて欲しいです。いや、彼も幸せになってなって貰いたいとは思うのですがね。 今年も宜しくお願い致します。
2013-01-02 水 23:24:58 | URL | あお [編集]
Re: お疲れ様でした!
ダブルS様、コメありがとう御座います。李順さんは優しい配慮などないでしょうね。姑は厳しいものなのです。(笑)余計な事を考える暇はなくなりましたけどね、夕鈴。ダブルS様も風邪ひかないように頑張って下さいませ。
2013-01-02 水 23:38:13 | URL | あお [編集]
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2013-01-03 木 22:30:49 | | [編集]
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2013-01-03 木 23:59:49 | | [編集]
Re: 隠密いいですね!
ビスカス様、コメありがとう御座います。ベランダでお読みになったと有りましたが、風邪などひかないようにね~! お仕置きですか・・・・ あった方が楽しいですよね。 頑張ります。ちょいと時間を貰いますので、のんびり御待ちいただけるよう、おまけを作りました。お時間有る時にでも御覧下さいませ。
2013-01-04 金 17:20:58 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
ななすけ様、あちらもお読み頂き、ありがとう御座います。お陰様で拍手も500を越え、嬉しい悲鳴です。この続き、あんだーばーじょんも妄想中で御座います。 おまけを作りましたので、後ほど御覧下さいませ。 浩大大好きなので、いっぱい出しちゃいました。 あ、老師も。 コメ、本当にありがとう御座います。
2013-01-04 金 17:26:14 | URL | あお [編集]
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