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水難の相  2
紅珠先生が結構受けていて、嬉しいです。 陛下がどう動くのかも楽しみです。
夕鈴が必死になるのも楽しいです。


では、どうぞ。














侍女は中級貴族の家庭で育ち、見目良く、立ち振る舞いにおいては全く問題がない。
今後彼女の婚姻に何か問題が出ては大変だと夕鈴が慌てて説明すると、ずっと後宮に仕えるつもりだと、自分は結婚するつもりがないから大丈夫ですと、水月様の恋人代役でも出来るならば一生の思い出になりますと頬を染めて語ってくれた。 水月様に恋焦がれている自分が何か役に立つのなら、こんなに嬉しいことはないですと涙まで零して協力したいと訴えてくれた。 

ただ、氾家に関わるのだ。
自ら望んだとしても、どういう方向に転ぶか解らない。
ましてや氾大臣に睨まれたら、彼女の実家にどのような被害が向けられるか解らない。
夕鈴は今更ながら、恐ろしい企みに加担してしまったのではないかと心配になった。
こんな事、誰に相談したらいいのか・・・・・・・・・。

「夕鈴、最近元気ない様子だね。 悩みでもあるのかな? 政務室でも心在らずといった様子で呆けていたし。 もしかして実家で弟君に何かあったと手紙でも来たの?」
「・・・・・・え? あ、何か言いましたか?」

茶杯を持ったまま深く考え事をしていた夕鈴は陛下の声掛けに意識を取り戻した。 
陛下を見ると少し寂しげな表情で自分を見ているのが解る。 
夕鈴は慌てて背を正し、陛下が何を言ったのかもう一度聞き直した。

「うん、夕鈴が元気ないなって。 何か悩みがあるなら僕に相談して?」
「相談・・・・・・・・ 陛下に・・・・・・・・・」

優しい瞳が真摯に夕鈴を見つめている。 陛下の言葉に頭に浮かぶのは、氾家のこと、大臣のこと、紅珠からの相談、水月の縁談、これから行なう演技、侍女のこと。
後で知られて怒られるより、陛下や李順の耳に入れておいた方が絶対にいい。 
陛下の臣下である氾家とどんな風に拗れるか解らないし、拗れないにしても侍女が何か粗相した場合、何も知らなかったでは済まないだろう。

「あの・・・・ 実は・・・・・・・・・」

でも・・・・ 紅珠に相談なしに、勝手に陛下に伝えていいのだろうか。
ふと、そう思うと口はそれ以上開けなくなった。 紅珠に相談し、陛下へ作戦のことを話してもいいか聞いてみてからじゃなきゃ駄目だろうと、夕鈴は小さく首を振った。

「後日、陛下にお話させて下さい。 今は・・・・ お話出来ないんです」
「そう? 後で話してくれるならいいけど、何でも相談してね」

夕鈴が小さく頷くと、陛下はいつものように過ごしてから夜遅くに自室へと戻って行った。 
紅珠が嫌がったら陛下へ相談することは出来ないけど、全てを黙っている訳にはいかない。 
自分付きとはいえ、バイト身分で勝手に後宮に仕える人を巻き込むのだから。 最終的には自分が責任を取らなきゃ駄目だと解る。 解るけど・・・・ 困った・・・・と夕鈴は深く溜息を吐く。







翌日、紅珠が遊びに来ることとなり、夕鈴は早速恋人役候補の侍女を紹介した。
侍女は真っ赤な顔で紅珠に頭を下げ、「何でもさせて下さい」 と意気込みを見せる。 紅珠は満面の笑みを見せ、あとは水月を誘い込むだけだと書簡を広げた。 もちろん、紅珠側も恋人役を用意するらしいが、直ぐには見つからなかったと話し、侍女にお願いすることに同意した。 衣装や化粧は当日に紅珠側で用意すること、甘い演技と台詞があるから期日までに覚えて欲しいと侍女に伝える。

「お名前は清禾さんね。 どうぞよろしくお願いしますわ。 兄様に来た縁談は数件あるけど、まず最初の縁談で兄様と濃密で熱愛中の恋人を演じることが出来たら、他の貴族だって尻込みするでしょう。 ですから、初日の演技が大事なのですわ。 当日までは陛下のお妃様への寵愛を手本にされて頑張って下さいませねっ!!」
「はい、紅珠様。 わたし、陛下とお妃様の寵愛を演技の手本にさせて頂き頑張ります!」
「・・・・・・え?」

熱い視線で見つめ合う紅珠と侍女の清禾は何やら違う次元に飛び、頬を染めて頷き出した。
二人の頭の中に、厳格な陛下からの寵愛を一身に受ける妃が浮かんでいるのは容易く想像出来た。 その想像を思い浮かべるだけで死にそうなくらい恥ずかしくなり、夕鈴は団扇で顔を隠して震えるしか出来ない。

「と、ところで紅珠! 水月さんは恋人役のこと何て言っていたの? ちゃんと演技出来るの? 水月さんが上手くリード出来ないと一番困るでしょう? 今日も出仕されてないようだけど・・・・ 生きてるの?」
「兄様は私の作成したこのプランに戸惑ってらっしゃいますけど、大丈夫ですわ。 本番には強いでしょうから、自分が可愛いならちゃんと演技されるでしょう!」
「・・・・・・え? それって一番の不安要素なのでは・・・・・」

私が蒼褪めていると、お茶を用意した清禾はほうっと吐息を漏らして宙に視線を彷徨わせた。 

「そうですわね、水月様でしたら何事も上手にされることでしょう。 私も上手く演技出来るように精進させて頂きますわ。 お妃様、不躾に見つめ続けることをお許し下さいませ。 陛下との甘い囁きに耳立てることは本来控えるべきなのでしょうが・・・・・」
「・・・・・・え? 見つめ続ける? 耳立てる?」

甘い囁きって・・・・ それは陛下の過剰な演技を受け止めて、嬉しそうな微笑で返す演技を私もしなきゃ駄目ということ?  それを理解して、紅くなるべきところなのか、青くなるところなのか・・・・。 夕鈴は大きな眩暈を感じながら妃らしく微笑み続けた。

「あ、紅珠っ! あのね、へ、陛下に私付きの侍女を今回のことに使わせて貰うことを伝えてもいいかしら? あとで下っ端妃の侍女が関わっていたと知られると氾大臣との確執にもなり得るし、知らせないでいるのは出来ないわ。 お知らせだけでもしておかなきゃ、後が怖いと思うのだけど・・・・。 お伝えしてもいいかしら?」
「そ、そうですわね。 陛下が後で知るよりも先にお伝えしておいた方が絶対に良いですわね。 陛下が御怒りになると・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

蒼白になった紅珠はガタガタと震え、夕鈴は慌てて彼女が持っていた筆を取り上げた。 

「水月さんの縁談を裏から妹が阻止するのに私の侍女を使うと、それだけを簡単に伝えるわ。 当日はお手伝いが出来ないけれど、それは判ってね。 それ以上入り込む訳にはいかないわ」
「判りましたわ。 それ以上ですと、へいかの・・・・ へいかの・・・・・・・・・」

ガタガタ震え続ける紅珠を宥め、とりあえず陛下に伝える旨を了承して貰った。 
鼻を噛まれた時に、紅珠にはすごっくお世話になっているから、それを持ち出してでも陛下にお願いをしよう。 侍女を私用で使うのは申し訳ないけど、一日だけのことだから許して貰うしかない。 此処まできたら陛下を巻き込んででも成功させなきゃ、紅珠が可哀想だと、夕鈴は小さく頷いた。 問題は陛下に上手く説明することが出来るかどうか。 そして侍女の前で甘い演技をしなきゃならない自分。 夕鈴は耳まで真っ赤に染めながら、演技する自分を想像した。






夜、陛下が部屋に訪れた時、出迎えの挨拶もそこそこに夕鈴は頬を染めて駆け寄り、袖を引き耳元に手を当てて 「陛下にお願いが御座います」 と囁いた。 
陛下は驚いた顔を見せたが、すぐに嬉しそうな顔をして妃を抱き上げ長椅子へと移動する。

「君からの願いならどの様なものでも聞こう」
「本当ですか、陛下。 嬉しいですわ、約束ですよ」

夕鈴がそっと肩に額を寄せて袖を引き寄せると、髪をひと房持ち上げた陛下は微笑んだまま口付けた。 近距離での陛下の暴挙に夕鈴は固まりかけたが、この演技を参考にしている侍女が居ると思い出し、陛下の顔を見上げて、笑顔で耳元で囁いた。

「じゃあ、二人きりでお話がしたいですわ・・・・。 お願い」
「・・・・・我が妃は今日はいつもより積極的だな。 可愛い妃の願いだ。 ・・・下れ」

微笑で見つめていた侍女らが拱手して静かに退室する。 強張った笑みを浮かべていた夕鈴は急いで立ち上がると部屋の入口までダッシュし、本当に皆が下ったかを確認した。 
衝立に身体を寄りかからせ息を深く吐くと動揺を隠して、陛下のために御茶を淹れ始める。

「あの・・・、お話があるのは本当なんです。 陛下、聞いて頂けますか?」 
「うん。 それより今日のゆーりん、いつもより可愛かったね。 その話のための演技?」
 
卓にお茶を置き、陛下を見ると何故か寂しそうにも見えて戸惑ってしまうが、正直に頷いた。
いつもより過剰な演技になってしまったのは申し訳ないと、素直に夕鈴が頭を下げると陛下は苦笑するしかない。 あの甘えは演技だとわかり意気消沈してしまうのは仕方がないが。

「はい、昨日陛下に話せなかったことなんですが、驚かないで、そしてどうしても了承して欲しいんです。 駄目だって言われたら・・・・ 諦めるしかないんですが」
「どうしても了承して欲しいのに、駄目って言われたら諦める? 夕鈴、おかしくない?」
「おかしいのは判ってますが、バイト身分ですのでそう言わざるを得ないというか・・・・。 でも了承して欲しいんです。 あのっ、お見合いのために、侍女さんを貸して下さいっ!」

「・・・・・・え?」




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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 01:46:23 | トラックバック(0) | コメント(10)
コメント
陛下は夕鈴からのお願い聞き入れてくれるかしら?夕鈴のお願いだから、渋々了承するのかな?条件付けられそうだな・
2013-01-21 月 06:11:11 | URL | ともぞう [編集]
Re: タイトルなし
ともぞう様、コメありがとう御座います。陛下は夕鈴のお願い聞くかしら?すごっく悩みますね。私が!!皆悩んで大きくなった!
2013-01-21 月 07:40:42 | URL | あお [編集]
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2013-01-21 月 09:06:22 | | [編集]
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2013-01-21 月 12:27:11 | | [編集]
Re: 吉か凶か…
makimacura様、コメありがとう御座います。陛下に相談しなきゃ、バイトとしては駄目だろうなと少しは学習した夕鈴ですが、李順さんには言えなかったんですね~。(怖いから!) 舞台裏方として頑張る夕鈴に陛下は如何するか。 如何するでしょうね。
2013-01-21 月 12:49:23 | URL | あお [編集]
言葉って大変( ´△`)
さあ!楽しみですよ次回(///∇///)
滅多にない、夕鈴からのお願い事です!
陛下が聞き入れてくれたら、甘~いイチャツキが!ニヤニヤしますが、はてさて?
最後の夕鈴の台詞、思いっきり誤解が生じますね…(笑)
2013-01-21 月 20:00:56 | URL | ダブルS [編集]
Re: 言葉って大変( ´△`)
陛下が動揺する「お見合い」が始まります。 ダブルS様、コメ、ありがとう御座います。 あんだーもどうにか更新出来ましたので、お暇な時にでも覗いて頂けると嬉しいです。
2013-01-21 月 22:05:36 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
ますたぬ様、コメありがとう御座います。 李順さんを巻き込んだらそれこそ地獄の縁談になりそうで怖いです。 そこまで暴走は出来ませんわ。(爆)方淵ね~・・・・。 出した方が面白そうですが、ごめんなさい、ちょい無理が。 でも・・・・う~ん。禿げるほど悩んでみます。
2013-01-21 月 22:08:26 | URL | あお [編集]
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2013-01-22 火 00:04:40 | | [編集]
Re: お疲れさまでした!
makimacura様、コメありがとう御座います。 underご覧頂きありがとう御座います。 思ったより鬼畜にならなかった陛下ですが、愛があるのでまあ、良いかと。もっと腹黒になって欲しかったのですが、私の力量不足ということで。 あんまり苛めると夕鈴大変になっちゃうし、この辺でいいかなと。 まあ、新婚旅行の時は連続でしたし、夕鈴体力あるから大丈夫でしょう。ははははは。
2013-01-22 火 01:16:27 | URL | あお [編集]
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