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水難の相  8
毎回のことですが、長くなりました。 どうしても短くまとまらない。(笑えるほどに)
陛下が怒らないんですね~とありましたが、怒りますよ。 違った方向で。 勿論、夕鈴は翻弄されます。 これが書きたかったんです!(爆) そして水月さんファンの方、申し訳ないです。



では、どうぞ。














水月さんの縁談で、普通の貴族では他に女性がいても結婚には支障がないという考えを知り、夕鈴は胸が痛くなった。 妻以外の女性を娶ることは貴族では当たり前で、国王陛下をはじめとして高貴な血筋を絶やさぬよう、貴族たちは正妃や正室の他にも妻を娶ることが多い。 
妻が多い分だけ実家の後ろ盾も増え、子が出来る確立が高まる。 
多くの子を残し、家名と財を継がせて残すことこそが大事なのだ。
 
バイト妃でただの庶民が口出すことではないが、眉間に皺が寄り口調がきつくなるのは自分の性分として仕方が無いと夕鈴は顔を逸らした。 
親の勧める相手と結婚する。 
しかし、貴族と庶民とではその意味合いがこんなにも違うのだと改めて教えられた。 
下町では親が子の幸せのために結婚相手を選ぶことが殆どだが、貴族では名を残し更に強固とするために縁を結ぶためが主で、子は時に、その道具になる。 今回の縁談で、本人の意思意向は無視される場合があるのだと知った。 

「・・・・演技は侍女さんがする予定のものを、出来る範囲でしただけです・・・・」

考えると悲しくて苦しくなっていくから、夕鈴は立ち上がって居間へと移動した。 お茶を淹れて、もやもやした気持ちを落ち着かせて、質問を避けようと思った。 
それなのに背後から着いて来る陛下の質問は執拗に続くから、眉間の皺は深くなるばかり。

「どんな風に手を握ったのかだけでいいから教えて? 僕の手でやってみせて、ね?」
「陛下・・・・。 その手で茶杯を持って下さい」 

卓に置こうとした茶杯を陛下の手に渡す。 が、茶杯を持ったまま陛下の追求は続く。
「夕鈴、少しでいいから教えて」 を繰り返すから、溜息が零れる。 

「陛下、それを聞いてどうするんですか? 必要最低限の演技しかしてないと伝えたではないですか。 何度聞かれても私は言えません。 お二人に迷惑は掛けたくないと、頼みましたよね。 陛下がこれ以上聞くなら・・・・・」
「・・・・ゆーりん、ずるい」

幾ら小犬で見つめられても水月さんの生死が掛かっているのだから口は割れない。
・・・・・そういえば 『恋人を奏でる』 ってどういう意味なの? 
演奏に併せて唄を歌わせるってことかな? それに膝上に座ったけど大丈夫だったかしら? 
水月さんは文官だけど膝に座っていても安定していたから大丈夫だったと思うけど、あとで筋肉痛になりました・・・ なんて言われたら困る。 でも、抱き上げたのは水月さんだし。 
それにしても紅珠は 『膝上抱っこ』 を何処から持ち出したのだろう。 脚本の中の台詞はどれも、とても年下とは思えない。 さすが貴族息女、いろいろな勉強をされているのね。

急に黙り込み、時に小さく頷いたりしている夕鈴から諦めきれずに聞き出そうと頑張っていたが、ふと何かを思い出したのだろう。 陛下は立ち上がると、政務に戻ると告げた。

「氾水月と氾紅珠には何の処罰も与えないから安心してね。 許可を出したのは僕だから約束は守るよ。 それより夕鈴は僕のお嫁さんだから何処にも行かないでね」
「私は 『臨時花嫁』 です。 それにもう勝手な行動はしませんからご安心下さい」

笑顔を浮かべた陛下が出て行った時、ちりっと首筋に嫌な予感が奔った。 その予感に寒気が奔り、実は李順さんが自分の勝手な行動を知っていた・・・・と、その時は恐々とそう考えた。 
翌日李順さんがいつも通りにお妃教育を始めてからも暫くは指導が耳に入らず、いつも以上に怒られることとなり、そこで漸く自分の気鬱だったのかとやっと安堵したのだが。








やはり嫌な予感は当たっていた。
夕刻、侍女が真っ青な顔で近付いて来たから驚いて顔を見ると、清禾だった。 

「ど、如何されたのですか? まだ胃の調子が悪いんでしょうか?」
「お・・・・お妃様。 も・・・ 申し訳御座いません・・・・・」

侍女が縋るように袖を掴むから急いで寝所へと彼女を誘い、椅子に腰掛けさせる。

「水月さんの縁談の事でしたら気にしないでいいの。 多少は誤魔化しましたが陛下にも問題はないと言って貰えましたので、貴女は直ぐにでも休ん」
「お妃様っ! 本当に・・・ 本当に申し訳御座いません。 先程・・・・ 女官に呼ばれまして、陛下直々に演技内容を詳細に述べよと・・・・ 問い詰められてしまいっ!」
「・・・・・・・・・・・え?」

泣き崩れる侍女は蘇る恐怖で蒼褪め、それを聞いた夕鈴は血の気が引いて蒼白になった。 
まさか・・・・ まさか陛下が侍女に演技内容の確認をするとは思わなかった。 

「ど、どんな風にお伝えしたのですか? まさか紅珠からの手紙を・・・・ あの脚本を見せた訳ではないですよね? ・・・・・水月さんが死んじゃいますよ!?」
「申し訳御座いませんっ! で、でも脚本はお約束通り読み終えたので、直ぐに焼却しておりますから大丈夫で御座います。 しかし陛下からあのように問い詰められては・・・・・」

蒼褪めた顔で震える侍女を見ると、夕鈴はそれ以上言えなくなった。 
狼陛下直々に問い詰められれば、侍女など震え上がり喋らざるを得ないだろうのは解る。

「どんなことを・・・・ 陛下にお話したのですか?」
「お妃様が何もお伝えしていないとは、知ら・・・・ ひぃっ!」 
「・・・・・いろいろと聞かせて貰ったよ、我が妃。 君が何も教えてくれないから、本来の役者に聞いてみたんだよ。 ああ、お前は下れ。 他の者も下るように伝えよ」
 
狼陛下の冷たい言葉に可哀想なほど震えながら、侍女は這うように寝所から出て行った。 
彼女は陛下に何処まで話したのだろう。 彼女を追って一緒に此処から出て行きたいのに、陛下が寝所入口で腕を組み嫣然とした微笑を浮かべているから逃げることも出来ない。 
昨日は 『絶対に氾家の二人には責任を負わせることは無い』 と言ってくれた筈なのに、陛下がそこまでして演技内容を知りたがるのは如何してなのか。 
やはりバイトとはいえ 『狼陛下唯一の妃』 を使ったことを怒っているのだろうか。
でも昨日許してくれたことを今日怒るのは納得がいかないと、夕鈴は涙目で睨み付ける。

「水月さんと紅珠は怒らないって言ってくれましたよね。 演技だって本当は侍女」
「夕鈴・・・・・」

大股で近寄って来た狼に、兎は息を呑んで目を瞠った。 
背を折り顔を近づける肉食獣は、紅い目を細めて嬲るように捕食対象を追い詰める。

「手を・・・ 握っただけじゃなく、こんな風に指を絡ませたのか」
 
すいっと手を持ち上げられ、夕鈴の指の間に陛下の指が絡み出した。 目の前で互いの指が絡み合う様に、思わず手を引こうとすると今度は両手で包まれた。 陛下の両手が指先から指股を動くたびに、甘いような痺れが這い上がってくる。

「へ・・・いか! そんなことしてなっ・・・・」
「そして見つめ合った後、耳元で愛を囁き合う。 愛しい我が妃からそのようなことを私はされたことが無いというのに、他の奴にはしたんだ。 ・・・・・夕鈴」

陛下の片手が離れ安堵する間もなく顔が近付いたと思ったら、首もとの髪を掬われて耳元に低い声が響く。 名前を呼ばれた瞬間、震える膝から力が抜けてしまい床に倒れ込むと思ったのに、何故かいつものように陛下に抱え上げられていた。 
もう逃げられないと解り、夕鈴は蒼褪めた顔をふるふると横に振る。 

「み、耳元で囁かれてませんっ! それに・・・・ 抱き上げられてもいませんからっ!」
「見つめ合いはしたんだよね。 膝上抱っこはされたかな? お尻が痛いが合言葉?」
「・・・っ! し・・・・ してな」
「したんだね。 水月の膝の上に・・・・。 夕鈴、お尻が痛くなったの?」

陛下は寝台に腰掛け、夕鈴を膝上に乗せながら耳元に囁くように問い掛けた。
何処を見ていいのか何を言ったらいいのか、夕鈴は口をぱくぱくさせながら腹に回る手を外そうと力を入れた。 だけど腰が抜けて立てない状況では逃げることも叶わないと解っている。 
解っていても抗うしかない。 真っ赤な顔で夕鈴が戦慄いていると耳元に息を吹き掛けられた。

「・・・・ぁっ! なぁ・・・!?」
「あれ、これは無かったのかな? そうだ、楽器の話しが出たら恋人はなんて言うんだっけ?  私のために演奏して欲しい・・・・ だよね? そして水月が確か・・・・ 君を奏でる方が得意だと・・・・・。 間違っていないかな、夕鈴?」

声色が明らかに怒っている。 背後から陛下が低く静かに話すだけにその怒りが恐ろしく、夕鈴は素直に小さく頷いた。 だけど、その台詞に関しては本当に意味が解らない。

「ま、間違ってませんけど・・・・ あの・・・・ 私を奏でるって、どういう意味なんですか?  それと陛下もよく膝の上に抱き上げますけど、これって恋人とか夫婦なら普通にするの? 行き過ぎた大げさな演技じゃなくて?」

耳を押えながら陛下に振り向くと驚いた顔をされ、ぐるっと体勢が変わり今度は膝上で横抱きにされた。 陛下の顔が間近になり、夕鈴は思わず悲鳴を上げた。






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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 01:08:08 | トラックバック(0) | コメント(11)
コメント
ごちそうさまでした!(///ω///)♪
いや、まだ終わってないのですが、顔が綻びまくりです!

今晩も良い夢が見れそうです!!
再現演技、陛下だとエロく感じるのは愛ゆえにですかね!

もう一度、ごちそうさまでしたm(__)m

2013-01-29 火 01:38:59 | URL | ダブルS [編集]
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2013-01-29 火 01:52:26 | | [編集]
Re: ごちそうさまでした!(///ω///)♪
ダブルS様、コメありがとう御座います。 そして、ほっほ~。 そうですか、そうですか。 やはり腹黒ですよね、陛下は。 ドが付くのは李順さんでしょうか。 柳大臣長子以外はみな、基本「S」かしら??
2013-01-29 火 02:09:00 | URL | あお [編集]
なるほど、夕鈴から聞き出せないとみて、侍女さんを手っ取り早く落としたんですね夕鈴頑張ったのに気の毒に…
それにしても、恋人演技、同じことしててもドキドキぐわいが半端ないです陛下っ・これでは夕鈴気絶しますよ・気持ちがある分余計に( ´艸`)その辺解ってあげようよ陛下…あっ無理か(^-^;夕鈴知恵熱出して倒れないでね・
2013-01-29 火 06:19:28 | URL | ともぞう [編集]
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2013-01-29 火 07:40:46 | | [編集]
Re: タイトルなし
ともぞう様、コメありがとう御座います。 侍女さんから聞いた陛下は即行動に。 さすが陛下です。 迅速な行動が国を動かし、夕鈴を翻弄させる。(笑) ドS陛下からの熱演に夕鈴が熱出さないように私も祈ってます。
2013-01-29 火 09:47:13 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
ビスカス様、コメありがとう御座います。 包み込んでの耳元ふーっ攻撃に兎は真っ赤です。 昔の中国皇帝も日本の殿様も体力と精力がなきゃ駄目な時代だったのですよね。 大変だったでしょう。 宮廷医は精力剤の開発に日夜努力していたとの史実もありますし、子孫を残すということは役目でもあったのですからある意味 『種馬』 状態ですよねー。 ご苦労様です。
2013-01-29 火 09:50:34 | URL | あお [編集]
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2013-01-29 火 09:51:18 | | [編集]
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2013-01-29 火 12:42:57 | | [編集]
Re: タイトルなし
ますたぬ様、コメありがとう御座います。 やさぐれてますかー(爆) もっと展開を求めちゃいますよね、今月号は。 そのじれったさがもう、次を求めさせるというか・・・・。 うん、じれったい(笑) ごめんなさい、こっちも同じかも。 一気にいくならunderをご賞味下さいませ。
2013-01-29 火 15:27:31 | URL | あお [編集]
Re: そこからかぁ~!!
makimacura様、コメありがとう御座います。 結構皆様、水月さんを心配されております。 その度に思い出すのですよ、水月さんの存在を! すいませんっ! 笑えるくらいに縁談シーンが終わると頭から離れていて・・・。 えっと、如何しましょうかね。 水月さん。
2013-01-29 火 15:29:14 | URL | あお [編集]
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