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遺却の追想  1

私の作品に登場する側近は「鬼畜な李順」のイメージが強いよと、ちょっと可哀想だわとの意見があり、考えてみました。 確かにいい人李順さんが少ない。 困った。 
でもたぶん、私の中の李順さんはぶれない鬼畜(爆) それでも如何にかしてみようと、一応もがいております。 仕事熱心のいい人なのは、もちろん重々承知です。 職場に一人いると仕切ってくれそうです。 (だけど飲み会には参加しなさそう?)
あ、バレンタインデーの under 更新です。 次はユーリ編を考えてます。 こちらも宜しければご覧下さい。 なお、しつこいようですが、R指定サイトですのでご了承下さい。




では、どうぞ。













古い書庫には白陽国王宮の歴史が埃を被り、過去を誇るかように悠然と積まれていた。
そのひとつは先人の知恵であり、佳人の詩であり、また愚人の爪痕でもある。

当時の様々な想いが所狭しと書架に詰め込まれ残されており、同じ辛酸を繰り返し舐めぬようにと先人からの手厳しい教えが書き込まれたものや、または王宮で過去催された優美な遊興を書き残したものもある。 様々な想いが積み重ねられたその一角で、その一つを手に取り、連綿と続く王宮行事の流れを知ろうと夕鈴は紐解いた。

書簡によっては余りにも古過ぎて文字を追うことが難しいものも残されており、それは秘書省文官により新たに別の書簡へと書き写す作業がなされる。 
夕鈴が手に取った物もかなり古い文献で、途中途中字が掠れ、かなり読み難いものであった。

全体的に埃臭く、劣化を防ぐために日当たりの悪い、換気用の高窓しかない物置のような古い書庫で、夕鈴が幾つかの書簡を手にしていた時、袖に引っ掛ったのだろうか。
中段の棚から一本の竹簡が乾いた音と共に床へと落ちた。

「うわっ! わ・・・・・ 割れなかったかな?」

手に持っていた書簡を近くの空き棚に移し、落ちた竹簡をそっと持ち上げ埃を手で払う。 
手が汚れてしまうほど表面に埃が積もっており、それはかなり昔から置かれていたと判る。
竹簡外側を探ると皹などの割れ筋は無いように見えた。 ただ、古い書庫だけに暗くてよく見えないと、夕鈴は書庫の奥に置かれた卓へと移動し、竹簡を静かに紐解き中を調べることにした。 
高窓からの薄暗い日差しの下、目を凝らしてよく見たが皹割れは見当たらず、卓上に広げ置いた竹簡の無事に夕鈴は安堵の溜息を吐いた。

「危ない、危ない。 これ以上借金増加は心臓に悪いわよ。 ・・・・・本当、良かった。」

バイト代から差し引かれるにしても、過去の遺物という値段が窺い知れないものを破損した場合、あの上司がどのような値段を提示するか恐怖に凍えてしまうと身を震わせる。
容赦の無い上司の顔を思い浮かべ、もう一度竹簡を撫でて、息を吐いた。


_____息が吹きかかった竹簡がカタリと・・・ 音を立てた様な気がした・・・・・・。 


夕鈴が竹簡に目を移すと、高窓からの薄い日差しの下、それは確かに静かに動き出した。 
心霊モノが心底苦手な夕鈴だ。 
まず自分の目を疑った。 そして地震が来たのかと周囲の書架に目をやった。 

しかし、卓に置かれた竹簡だけがカタカタと動くのみで、周囲からは何の物音もしない。 
小刻みに動き続ける竹簡に目を奪われ、余りの恐怖に身が竦んだ夕鈴は一気に蒼褪め、口を中途半端に開いただけで、声も出せずにただ竹簡を見つめ続けた。 

そして唐突に竹簡の動きが止まり、やっと目が潤み出した夕鈴が声を出そうとした時。
卓上に広げていた竹簡がふわりと立ち上がり________________。












「・・・・陛下。 お妃様付きの侍女がお目通りを願っておりますが」

連日の書簡の山に疲労困憊の陛下は、政務室で怒声を放ち、官吏に叱咤激励という八つ当たりをしていたところ、身を竦めた補佐官におずおずと声を掛けられた。 
眉間に皺を寄せて振り返ると、蒼褪めた侍女が一人、拱手したまま固まっているのが判る。

政務室まで侍女が来るのは、今まで無かったことだ。 もしや夕鈴に何か遭ったのだろうか。
急ぎ政務室入り口近くの回廊へ足を向けると、侍女の顔色は蒼白で目元が赤く染まっている。
嫌な予感が頭を過ぎり、口調が必要以上に荒くなる。

「妃に何かあったのか!?」
「・・・・お、お妃様が、奥にあります書庫で調べ物をされたいと中へ入ったきり、いつまで経っても御戻りにならないので御座います。 私どもでは容易に入ること適わぬ場所で、書庫扉外から何度もお妃様へ声を掛けたのですが一向に返答も無く、如何したものかと、こちらまで足を運んでしまいました。 御政務中とは存じておりますが・・・・・・」
「その書庫内にいるのは確かなのか?」
「はい! 私どもは回廊にて御出になるのを片時も離れずに居りました。 他に出入り口があったとしてもお妃様は私どものことを放置してお戻りなさることは為さいませんし」

確かに夕鈴ならそうだろう。 侍女がいるのを承知している彼女がそんな悪戯めいたことをする筈も、理由も無い。 それならば・・・・。 
そこまで考えると眉間に深い皺が寄り、持っていた書簡を近くの官吏へ放り投げた。

「何処だ! すぐに案内しろ」
「もう一人が書庫の前で番をしています! こちらです・・・・・」

震える手が指し示す方へと、陛下は足を速める。

様々な昏い思惑が渦巻き跋扈する王宮において、夕鈴警護を任せている浩大は全体を統括しており、書庫内や政務室、執務室内に彼女がいる時は他の部署を見ていることも多い。 
懲りもせず入り込む密偵の排除や捕縛、大臣らの密談を調べ背後関係を叩き出すなど、常に彼女だけを見ているのは難しいだろう。
 
善からぬ輩が突然襲い掛かることもあるため、妃付きの侍女は盾にもなれるよう基礎訓練はしている。 しかし、侍女のそれは後宮内での対処法だ。 万全ではない。
そして侍女が傍にいる時、浩大が姿を見せて夕鈴警護に就くことは難しい。
  
本来なら、書庫や政務室など、妃とて立ち入り禁止だ。
そこは一部の官吏や礼部尚書、宰相、大臣など限られた官僚のみ立ち入ることを許された場所。 夕鈴がいつも整理をしている書庫とて、本来なら限られた者だけが出入りする空間だ。 
信用出来る彼女だからこそ立ち入ることを許している書庫。 
刺客に狙われることが多かった時期に、目の届かない後宮に彼女がいるのは危険と判断した私が夕鈴の政務室、書庫通いを容認し、狙われる危険性が減った現在も自分の 『やる気』 保持のためと 『サボリ』 の言い訳のために不定期で足を運んで貰っている。 

季節ごとの行事が催される前に、妃教育の一環として下調べか勉強をしようとしたのだろう。
もしかしたら李順から宿題が出たのかも知れない。 
以前花恵宴が執り行われた際、 『よくわかってもいない部外者が・・・』 と方淵に侮蔑の言葉を受け、かなり落ち込んでいたことがあったから、それも関係するのかも知れない。 
そのために行事に関する書簡がある古い書庫に向かったのだろうか? 
古い書庫だけに使用者も限られるが、ただ問題も残る。 
古い文献がある書庫は人通りも少なく、死角になりやすいという点だ。

まさか、その場所で何かがあったのだろうか。
人影の少ない、その場所で。











陛下の姿を確認すると、涙目の侍女が戦慄きながら拱手し、こちらの中ですと指し示す。 
確かにここは古い文献ばかりを押し込めた、周宰相が通う以外、他の者の姿を見ることは少ない場所だ。 背後に従っている警護兵を残し、静かに中へと身体を滑り込ませる。
五感を働かせ、周囲の気配を察するも何の動きも感じられず、ゆっくり奥へと足を進ませた。 
佩いている刀を確かめ、周囲を探りながら薄暗い書庫内を確かめる。 
高窓から入り込む夕刻の薄い日差しに僅かながら埃が舞い上がるのが見え、目を細めると奥に何かが横たわっているのが見えた。

「・・・・そこに誰か居るのか?」
「・・・・居ります。」
「夕鈴っ! 奥にいるのか!」

柔らかい、いつもの夕鈴の声で返答が聞こえてきた。 
入り口に警護兵と侍女を残しており、書庫の最奥ということもあり、その返事に僕は息を吐いて小犬の声で近寄り、そこで驚きのあまり息を詰まらせる。
・・・・・・・・一瞬それが夕鈴なのか理解出来なかった。

 
何故なら彼女は床にまっすぐ寝そべったまま、竹簡を顔に巻き付けていたのだから。






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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 01:10:10 | トラックバック(0) | コメント(10)
コメント
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2013-02-22 金 06:43:53 | | [編集]
Re: タイトルなし
ますたぬ様、コメありがとう御座います。いつものように見切り発車ドン!なので、ゆっくり更新となります。李順さん主とはならないと思いますが、いっぱい出てくるよう考えております。いい人李順さん・・・・・は、難しいかな???(笑)うー・・・・・、難しい。 underもご覧頂き、ありがとうです。きゃ!
2013-02-22 金 07:17:08 | URL | あお [編集]
夕鈴何かに取り付かれちゃったかしら?心配ですね・

李順さんは私も厳しいイメージを持っていますが、不思議と嫌いにならない好きなキャラですね・そんな人がまれに優しさをみせると効果覿面ですよねどんな李順さんが登場するのか楽しみにしています・
2013-02-22 金 07:56:27 | URL | ともぞう [編集]
こんにちは、今回はミステリー系ですか?
書簡を顔に巻きつけて横になってるって(; ̄ェ ̄)
学生の昼寝的なまさかのコメディとか?
どっちも楽しみです
2013-02-22 金 11:57:42 | URL | 秋 [編集]
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2013-02-22 金 12:56:44 | | [編集]
Re: タイトルなし
ともぞう様、コメありがとう御座います。 人を使うのがとっても上手い側近ですよね。それにしても彼の私生活が想像しにくいわ。謎のベールに包まれて・・・・。 ひとりで化粧のスキルアップに勤しんでいたら面白い。
2013-02-22 金 21:22:05 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
秋様、コメありがとう御座います。あー、よく教科書の上に涎垂らして寝てたな~。それか友達と8コマ漫画書いて、あとで職員室に持っていって題材となった教師に見せてたり。 体育後の古文漢文物理が最悪で、熟睡タイムだった記憶が・・・・。 そっちのコメディ系も面白いですね。
2013-02-22 金 21:44:08 | URL | あお [編集]
Re: トリツカレタ…?
ダブルS様、コメありがとう御座います。 ええ、深い溜息がばっちり聞こえますでしょう。李順さんの二割は優しさで出来ています。(風邪のコマーシャルみたいですね。)そのコメントに思わず涙が・・・・・。 そして夕鈴のご飯の心配。 ありがとう御座います。(感涙)
2013-02-22 金 21:48:51 | URL | あお [編集]
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2013-02-23 土 00:31:16 | | [編集]
Re: タイトルなし
ビスカス様、コメありがとう御座います。李順さん主人公は無理かも・・・。もうあきらめてます。はははは。体調恐ろしく宜しくないようですね。眠気は身体が治そうとしているサインですが、辛いことと思います。もう少しで治るでしょう!頑張って下さい。ユーリ編もそろそろ更新予定です。こちらもよろしくお願いします。
2013-02-24 日 21:32:30 | URL | あお [編集]
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