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遺却の追想  7
思っていたより長くなってしまい、あれれ状態。浩大の時と同じ、3~4くらいの予定だったのに。 困ったものだ。 underも長くなり、困り果ててます(笑) 久し振りに夕鈴が困る話を妄想中。 本誌があれでは、困らせたくなる妄想が止まりません。紅珠も萌えてますし(燃えてる?)、萌えって素晴らしい!




では、どうぞ。











その後、目を覚ました夕鈴は倒れた原因を聞き、蒼白になり怯えたが、数刻もすると李順の懸念通り、書簡に同情し始めてしまい、執務室に足を運び、李順を捕まえてお願いを繰り返す。

「李順さん、どうしても書簡や竹簡の書き写しは出来ないのですか?」
「費用も人手も足りませんからね。 全く・・・・ 怖がったままでいれば宜しいものを、何故、首を突っ込みたがるのでしょうか。 貴女は自分の仕事がわかっていますか?」
「で、でも・・・。 私なんかに憑くほど困っているのですよね、書簡さんたちは」

縋るような視線で李順を見上げても、嘆息だけでそれを撥ね退けられる。 夕鈴も新たな書簡を用意して、掠れて読みにくい古い書物から書き写す作業はすごく大変だと判ってはいるのだが、それでも自分を頼ってくれた 『モノ』 に怖さだけで嫌いと言えない。

「でも・・・・古いだけで捨てちゃうと言われると悲しいですよ・・・・」

取り憑かれるのは怖いけど、古いが趣のある行事や宴、過去の素晴らしい偉業もあると聞けばこのまま古い書庫で埃を被り続け、忘れ去られる存在は厭だと嘆く気持ちもなんとなく理解したくなる。 バイトとしていつかは王宮から消えていく自分と重ねていたのかも知れない。

「捨てるとは言ってません。 古い書庫などの見直しは必要だと思いますし、全てを過去の物と捨ててしまうのは確かに勿体無いです。 ただ何度も言っているように費用と人出が足りないのです。 今すぐにはといきませんね」
「う・・・・・」

二人の会話を聞いていて面白くないのは陛下だ。 
謁見中に李順が傍に来たと思ったら、無事に全て解決したと言われ、急ぎ執務室に戻ったら、目が覚めた夕鈴は掃除のために、立ち入り禁止区域へと移動していた。 あの苛立ちを何処へぶつけたらいいのだと文句を言うと、有能な側近に書簡の山を黙って指差された。

「夕鈴。 また同じ目に遭ったら困るから、あの書庫には立ち入り禁止だよ」
「う・・・・。 そ、それは。 で、でも・・・・」

諦めきれない様子の夕鈴は涙目で僕を見つめてくる。 普段はそんな風に見つめてくることなんて少ないのに、なんで僕以外のものにそんなに熱くなるのかな。 

「心配だから、お願いだよ。 ね、夕鈴」
「で、でも・・・・。 あ、竹簡を返すに行くだけはさせて下さい。 戻す場所は覚えていますので、それだけは宜しいでしょうか。 もちろん一人では行きませんから!」
「それなら僕がついていくよ。 今度はずっと夕鈴の傍にいるから安心して」
「陛下は政務がぎっしり、みっちり、どっさりとお待ちです。 そんなことより陛下は書簡の山を崩すことに集中して下さいませ」
「ええー。 もし夕鈴が倒れたら抱き上げて運ぶのは誰がするの?」

立ち上がる陛下を睨み付けた李順が眼鏡を白く輝かせる。

「夕鈴殿がそのようなことにならないよう、憑いたものときっちり話はついてます。 が、万が一を考えて竹簡等は他の官吏に任せ、貴女は後宮立ち入り禁止区域で・・・」

そこまで強気で話していた李順が急に黙り込んだ。 陛下と夕鈴は急に途切れた台詞に、李順を見ながら首を傾げる。 何か深く考え込み始めた李順を二人がじっと注視していると、彼は眉間に皺を寄せたままの顔を夕鈴に向けた。

「夕鈴殿、その竹簡を持って老師の下で仕事を任せます」
「はいっ! ・・・・・・・え?」





「嘉慶折・・・・・・ 花乱時節・・・・ 字は丁寧にな」
「は、はい。 て、丁寧に・・・・ じ・・・せつ・・・・・ 次は?」
「ちょっと待て。 掠れて読みにくいのぅ。 う~ん・・・・」

後宮立ち入り禁止区域の一室で老師の指導の下、夕鈴は古い竹簡に書かれている過去の宴内容を、新しく書簡に書き写しの作業をしていた。 習字の練習を兼ねて丁度いいでしょうと、李順が夕鈴に追加のバイト仕事として任せたもの。

「じいちゃん。 この竹簡も字が掠れてて、かなり古そー! これは時間が幾らあっても終わらないんじゃね? お妃ちゃんも墨であちこち汚れちゃってるしさ」

幾つか持ってきた竹簡の埃を取り除きながら、浩大が溜息を吐く。 
その溜息を耳にして、夕鈴は明るい表情で答えた。

「今は掃除婦の格好だから多少の汚れは問題ないし大丈夫。 それより綺麗な字を書くのがむ、難しい・・・・。 少しでも役に立てるならいいけど、確かに時間は掛かりそう。」

かなり昔の竹簡のため、文字は掠れており、書かれた文章は往古らしく書き記された文章は余りにも古めかしく、老師が生まれる前の行事もあり難解な作業であった。 夕鈴が担当した竹簡は、大昔の行事に関してだけと限定されているだけに、その内容は難解で書き写していても全く意味が判らず、夕鈴は頭痛と戦いながら筆を進ませている。
しかし、少しでも役に立てるならと頑張って筆を動かし続けていた。 
日のある内にと朝から夕刻まで筆を走らせ、午後に少し政務室と書庫に顔を出す。 
そんな毎日を過ごして、もう五日。 少しは慣れたかなと筆を卓に置いた。 
聞き慣れない言葉遣いに、難しい漢字、使い慣れない筆に苦労していたが、老師が時間を掛けて説明し、何度も練習を繰り返し、やっと昨日から新品の書簡に移し書く作業を始めたばかり。

「まだひとつしか書きあがってないし、李順さんからのチェックを通った後、周宰相にも見て頂いて、それから書庫に戻せるかどうか・・・・・。 先は長いわね」

手が震えるし、肩は凝る。 
それに何より突然乱入してくる陛下にも困っている。 憑かれてないかと心配してくれるのは申し訳ないほど嬉しいが、何度も顔を見せる陛下に、政務は大丈夫なのかと困惑してしまう。 
勿論、李順さんの怒りも怖い。
今日もいつの間にか背後に立っていて、いきなり肩を揉み出した。

「お疲れ様、夕鈴。 根を詰めないようにね。 書き写しの官吏も漸く用意できることになったし、見直しと修復作業も少しずつ進ませるから」
「・・・・・陛下。 お忙しい官吏さんたちに無理はさせていませんよね? 私も少しはお手伝い出来るように頑張りますから。 無理をさせると李順さんに怒られてしまいます」

むっとして振り向くと、にこにこした陛下が夕鈴の憤りなど気にせずに肩を揉み続けている。

「それより、夕鈴が次の竹簡を取りに行くって聞いたから手伝いに来たんだ。 着替えたら一緒に行こうね。 あ、李順には伝えてあるから大丈夫だよ」
「そ、それでしたら・・・・・ お願いします。 今着替えて参りますので」

例の書庫に行く時は、侍官姿の浩大か陛下と一緒に行くことにしている。 官吏の目もあるし、また倒れることになっては事だから仕方がない。 忙しい中、何度も足を運ぶ陛下に申し訳ないと思いながら夕鈴は急いで着替えて、お妃演技をしながら書庫へと向った。

「古い竹簡ばかりがある奥の書庫から始めてますから、古過ぎて老師も頭を抱えてますよ。 書き写しながら意味を教えて貰ってますが、理解出来なくて・・・・」

埃まみれのため竹簡を布に包みながら、付き添ってくれた陛下に苦笑した。 
ただ書き写すだけではなく、老師は古過ぎて今は執り行われていない行事に関してウンチクを語りながら竹簡に書かれた文字を伝えてくるので、時間が掛かって仕方がない。

「私の字も正直、綺麗ではありませ・・・・・」
「そんなことないよ。 夕鈴はしっかりやってくれている。 ・・・って、夕鈴!?」

陛下がほんの少し余所見をしていた間に、夕鈴は床に倒れていた。 一体何事かと抱き起こすも、夕鈴は目を閉ざしたままで、陛下は慌てて抱きかかえて執務室に飛び込んだ。

「李順っ! 夕鈴が倒れたーっ!!」
「・・・・・今度は本当に貧血ですか? それとも、また例の・・・・ですか?」

「そんな、まさか」 と長椅子に夕鈴を寝かせると、李順の言うとおり、直ぐに夕鈴の口からあの憑いたモノの口調で話しが始まった。

「・・・・・思ったよりも早く書き写しなどの作業を行って頂き、大変感謝しております。 ですが、更なる願いを申したく、ゆう・・・・ 彼女の身体に取り憑かせて頂きました」
「我が妃の身体を、お前達の連絡代わりに何度も使うな!」
「陛下、小娘はバイトですよ。 で、今度は一体なんでしょうか。 紙の質を向上しろとか書き写し作業員の増員を望むとかですか。 それは早急には解決出来ることでは」
「いいえ」

以前と同じように端的な返答が返ってくる。 では何だと訊くと困ったような表情を浮かべる。

「大変申し上げ難いのですが、彼女の作業を中止して頂きたいのです」
「・・・・我が妃に何の問題が?」

慣れない作業を頑張っている夕鈴の姿を見ているだけに、何の問題があるのだと陛下が憤慨すると、夕鈴に憑いたものは更に困った表情を浮かべて、口篭った。 
李順が面倒だとばかりに嘆息し促すと、しばらく口篭っていたが、ようやく口を開いた。

「字が・・・・・ お綺麗では御座いませんので・・・・・」

その答えに陛下は佩いている物に手を伸ばし、李順は思わず口を押さえた。
憑いたモノは 「新たに書き写して頂けることには深く感謝しておりますが、誤字と、あの字体で未来へと引き継がれるのかと思いますと、皆、どうにも心苦しいと・・・・」 と語り続け、李順が我慢の限界とばかりに肩を震わせ出した。

「・・・・・では、書庫の大掃除を行うとしよう」

陛下は直ぐに例の書庫にある竹簡、書簡を集めて焼却処分を決定した。
 
それは直ぐに周宰相により止められたが、それから例の妄執たちは夕鈴の身体に取り憑いて語ることは二度と無くなった。 急に書き写し作業が中止になった夕鈴は首を傾げたが、李順に 「予算の都合です」 と告げられると何も言うことが出来ない。 バイトは上司に逆らえないのだ。

しかし、何故か上司の自分の見る目に憐憫の色があるように思えてならなかった。





FIN






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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 11:27:44 | トラックバック(0) | コメント(8)
コメント
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2013-03-05 火 12:29:42 | | [編集]
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2013-03-05 火 12:56:36 | | [編集]
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2013-03-05 火 15:53:56 | | [編集]
Re: 爆笑~!!
makimacura様、竹簡さんは過去の妄執なので我侭なのです。こだわりがないので、素直というか。夕鈴活躍が少なくって、読み返すとあれれ??となりました。誰が主だか、私も判らない(爆)コメありがとう御座います。
2013-03-05 火 22:35:44 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
ますたぬ様、コメありがとう御座います。こんなオチですいません! 最初からこれが書きたかったんです(嘘) 誰が結局主人公だったのか、自分でも解らない話になってしまいましたが、楽しかったです。次の話もお付き合い頂けたら嬉しいです。あ、本読んでいる時に吹くと、すごく悲しいですよね。買い直しをしたことがあります。へこみました。
2013-03-05 火 22:51:22 | URL | あお [編集]
Re: やる気≠達筆…
ダブルS様、コメありがとう御座います。習字が大嫌いな私です。この時代は筆と墨の時代。ゲルボールペンをこよなく愛する私からしたら、地獄です。書簡の妄執さんは国語の教師みたいなもの。きびしー!! 引き続きお付き合い頂けたら嬉しいです。\(^o^)/
2013-03-05 火 22:53:07 | URL | あお [編集]
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2013-03-06 水 20:13:30 | | [編集]
Re: タイトルなし
ビスカス様、コメありがとう御座います。黒陛下っていうか、黎翔さん(偽)最高ですか。ありがとう御座います。あちらの拍手も多く頂き、感謝感激です。 ビスカス様はのんびり、ゆったり過ごして下さいね。友達に聞いたら、アルバム見るのが安らぐって言ってました。過去のいいところ取りの写真を見て、トリップするんだって。良く判らないけど(笑) そう言えば、子供が大きくなってから写真整理が滞ってる。 時間作ってやらなきゃな~。
2013-03-07 木 00:24:30 | URL | あお [編集]
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