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殷紅彩  3
突っ込みどころ満載のコメントに感謝しています。何度読み直しても本誌に萌え狂っている私。 ああ、早くもっと進展しろと突っ込み、いやいや、もっと焦れ焦れしてくれと悶えております。 そして花粉。 目もくしゃみも鼻水も大変なことに。 外に出るのが辛いです。



では、どうぞ





 




新たに同盟を結んだ国を接待しての宴は、今後友好的に互いを知る上で重要なものだ。 
ましてや相手国の国王が独身ともなれば宴の中で、縁談を勧めるのは当たり前の流れであり、後宮にいるのが下っ端妃一人だけと聞けば、自国の皇女を勧めるのは至極最もなこと。
歓待側の主たる氾大臣の心境は兎も角として、同盟国となった相手から勧められている縁談を、陛下の機嫌が悪いからといって聞かないフリも出来ないだろう。 
上手く聞き入れながら、今後の国交に支障がない程度にはぐらかす。 
氾大臣ならば、それも卒無くこなすのだろうな。 それに今回の縁談は・・・・・・。

「陛下の機嫌が悪くても同盟の話し合いは大切でしょうし、お酒の付き合いも大事な接待。 それに、皇女様との縁談はとても良い話だって噂で聞いたのよね。 李順さんも今回は乗り気なんじゃないのかな? 条件がかなり良くて、若くて後ろ盾も充分で、綺麗で歌が上手くて、楽器の演奏も素晴らしいって聞くし、なにより同盟国からの話しだし・・・・・。」
「お妃ちゃん、焼きもち妬かないの?」
「・・・・っ!」

浩大から突込みが来るのは想定内だが、ストレートに来た分、動揺は隠せない。

「気になるなら、陛下に尋ねてみたら?」
「わ、私はただの臨時花嫁のバイトです! 焼きもちなんて・・・バイトには必要ないし! 侍女さんたちの耳に届くほど皇女様との婚姻の噂が流れて来てて、すごく良い話って聞くけど、最近やたら刺客が多いでしょ? そんな危ない国かって、同盟国の人に思われたら困るじゃない。 そういう状況が解消したら正式な婚姻話も進むでしょうけど、進んだら進んだで、借金がまだ残っているから追い出されたら困るなぁって・・・・」

焼きもち・・・・。 そうだ。 自分に都合良く言い訳しているだけで妬いているんだ。
忙しい陛下が毒茶を飲んだ私の元に直ぐ来てくれてすごく嬉しかった。 
でもそれも 『唯一の妃』 へ向けて演技の一環だったのだろう。 その後は使節団との交渉が忙しいのもあるだろうが、顔を見ていない分、余計なことばかり考えてしまう。 
陛下の執政のお陰で、徐々に内政は安定して来ていると大臣達が話しているのを耳にしたこともある。 安定して来たなら、次に望まれるのは正式な妃であり、正当な跡継ぎになる。 
それは国の大事であり、陛下の責務でもある。 今回の話はすごく良い条件と噂されているのだ。 側近である李順さんが放って置くはずが無い。 
自分は囮でもいいと思ったけど、本当なら居ない方がいい存在。 後宮に 『唯一』 なんて言われている妃がいるなんて、正妃として求められる人が聞いて気持ちいい話ではない。
私なら・・・・・厭だと思う・・・・・・・・・

「お妃ちゃんが考えることじゃないだろう? それは陛下と李順さんの仕事」
「・・・・・そ、そうだよ・・・ね」

浩大の言葉が胸に突き刺さる。 確かに私が考えることじゃない。 
相手がどう思おうが、後宮に妃が何人いようが、正妃として遇されるなら王族は気にしないのだろう。 気分が悪いかもなんて考えるのは私くらいなのかも知れない。 
老師も過去の後宮には沢山の華が競いながら陛下をお越しを待ち望んでいたと言っていたことが思い出される。 すると、だんだん胸が苦しくなってきた。 
自分がいくら考えたって蚊帳の外の住人なのに、なんでこんなに考えてしまうのだろう。 頭の中がぐちゃぐちゃになって、考えても仕方が無いことがぐるぐる回る。 

「そうそう、刺客のことは陛下と李順さんに任せて、お妃ちゃんは今まで通りにいちゃいちゃして過ごせばいいんじゃね? それを陛下は望んでいると思うから、お妃ちゃんは変に考え込むより・・・・・・あれ、どうした?」
「こ・・・・・」

薬湯が効いてきたのか、考えすぎたのか、ぐるぐる回る頭が急に重くなり唐突に眠気に襲われる。 何だろう、こんな急に眠くなるなんて。
余りにも眠くて、浩大が何を言っているのかも聞こえない。 
急に重くなった瞼と強い眠気、そして胸の苦しさと共に真っ暗な闇に飲み込まれそうになる。 何処かに引っ張られる感覚に意識を手放そうとした時に、浩大の手が伸びたのを視界の端で捕らえた。









「こう何度も後宮にまで刺客が来るとは、やはり疑いたくなりますね」

侍女たちを退室させた妃の部屋へ、陛下と共に容態を見に来た李順が言った言葉がこれだ。 
その言葉に、寝台の上で夕鈴は短期間に三度も襲われたことを思い出し身を竦めてしまう。 
今度は果実に毒が仕込まれていたと判明し 「幾ら食べても苦いのはそのせいだったんですか」 と思わず呟き 「食い意地張るのも大概にして下さい!」 と李順に酷く叱責された。 
自ら毒を口に運んだと思われたのはショックだったが、薬湯が変更したばかりの上、慣れ親しんだ侍女から出された果実は 『陛下からの差し入れ』 と聞き、疑いもしなかったのだ。
それでも李順に怒られると、項垂れて謝るしかない。

「う・・・・・・。 申し訳御座いま」
「夕鈴が悪いんじゃないだろう。 侍女に果実を渡したのは宦官だと聞く。 たぶん変装して潜入した者だろうが、それを捕まえるのが先だ。 手下からの報告はどうした?」

激務の合間に来てくれた陛下にも申し訳がない。 
忙しいだろうに、正装のままで後宮に来てくれたことに嬉しさを感じながら、これからまた使節団との話し合いで婚姻の話しが出るのかしらと気になる自分に嫌気が差す。
また無理やり吐かされたので自分自身の汚れも匂いも気になるから、近付かないで欲しい。
私が意識を失う直前、浩大は容赦なく人の口に指を突っ込んで、舌の付け根を刺激した。 
嘔吐しながら意識を失った私は、気付いた時は寝台に寝かされていて、片付けも換気もされていたけど、汚れた衣装はそのままだし、口の中の違和感も残ったまま。 それなのに陛下は寝台に腰掛けて、私の髪を心配げに撫でるから口を押さえて身を竦めるしか出来ない。

「宦官も侍官より届けられたと申しており、侍官は見たこともない官吏より受け取ったと申しておりますが、陛下から 『貴重で珍しい果実』 を急ぎ妃へ届けるようにと強く伝えられ、その言葉に慌てて運んだため、相手方の顔は良く覚えていないと・・・・・。 最近の陛下がぴりぴりしているのを存じておりましたので、急がなければ厳しい叱責を受けてしまうだろうと足を急がせたようです」

人を介し、更に陛下からの不況を買わないよう焦る気持ちを利用して、後宮に毒入りの果実を運ばせる。 急ぎ運ばれた貴重な果実は陛下からの贈り物とあり、そのまま妃へと。
同盟国との話し合いが行われている忙しい最中、上手く動いたなと思わず頷きたくなる。
陛下の機嫌の悪さまで考慮に入れるとは、敵ながら天晴れか?

「私の機嫌の悪さを理由にするな。 全ての食材や茶は詳細に調べるよう伝えてある筈だ。 私から妃への差し入れとて同じこと。 ・・・・・浩大がいたから早急な対応が出来たが、放置すればどうなっていたか!」
「陛下から妃へ急ぎと言われて、毒見をする時間も惜しんだのでしょう。 これからは充分な指示系統の見直しを行いましょう。 夕鈴殿、気分はいかがですか?」

李順さんからの問いに私は口を押さえたまま頷いた。 気分は最悪だが痛みはないし、命に別状は無いのだから問題はない。 強い催眠作用だけなのか他の成分は調べている最中で、またドロドロの薬湯に逆戻りになったことの方が問題だ。 
それよりも今は嗽がしたい。 着替えもしたい。 お願いだから近付かないで欲しい。

「今回仕掛けられていたものに対する薬湯を用意させていますが、そちらも毒見などしてから桐に運ばせます。 桐には医官として潜り込めるよう身分証を発行します。 いいですか、今後侍医と共に来る医官姿の桐から直接薬湯を受け取って飲むように。 あと、後宮内に運ばれる品は再検査を行います。 衣装から食材まで全てです。 夕鈴殿は自分が口にする物、全て疑って下さい。 痛いのも苦しいのも貴女自身ですよ」

全てに疑いの目を向けるのは辛いけど、今は仕方がない。 
その言葉に私は素直に頷いた。

「後宮に夕鈴殿だけで良かったと言うべきでしょうかね。 大勢の妃が居た場合、どれだけの警護が必要となったのでしょうか。 費用を考えると恐ろしくなります」

費用に換算するところが李順さんらしい。 思わず苦笑すると陛下から冷ややかな怒気が流れて来たので慌てて掛け布を引っ張って隠れた。 
連続した妃襲撃に、とてもじゃないが他の人がいない状況下でも小犬には為れないのだろう。 
怒気を孕んだ表情は冷たく、執拗な刺客の手管に怒りが滲み出ている。 
陛下のために出来るだけ早く影で動いている黒幕を捕まえて欲しい。 
どうしてこんなに国のために日々努力している陛下の邪魔をしようとするのだろうか。 
私利私欲のために、人を傷付けてまで動こうとする人の気持ちが判らない。

「夕鈴は暫くこの部屋から出ないように・・・・ って部屋にいても狙われている状況か」
「本当でしたら宗広国視察団に妃との仲の良さをアピールする予定でしたが、夕鈴殿の体調を考えると数日は無理でしょうね。 女官を妃として仕立て上げますか?」

耳にした言葉に思わず掛け布を握り締めた。
今、李順さんは何て言ったの? 聞き間違いじゃないよね? 
ああ、心臓の音が大き過ぎて何を言ったのか判らなくなるっ!!

「それは・・・・・厭だな。 でも夕鈴が狙われる機会が増えるのはもっと厭だし・・・・」
「同盟国と婚姻など、どこまで入り込まれるか困りますし、婚姻は必要ないとさりげなく伝えることが出来たら簡単なのですが、今の夕鈴殿に無理は出来ませんしね。 刺客を大量に送り込む手管といい、全くしつこいにも程があります。 警備にどれだけ費用が掛かることやら! 関税は引き下げないよう、くれぐれもお願いしますよ?」
「面倒だな。 でも夕鈴がこれ以上狙われるのは困るから、斬っとく?」
「誰をですかっ! 不用意な言葉はお使いにならないようお願いしますよ!」
「あ・・・・ あの・・・・・」

掛け布から顔を出すと、二人が私を注目する。 眉間に皺を寄せた李順さんとは対照的に、陛下は眉根を寄せて心配げな表情で起きようとする私の肩を支えてくれた。 
吐いた後だったと気付き、急いで掛け布で口元を隠しながら、こくんと唾を飲み込む。

「で、出来ます! プロ妃として、ちゃんと演技しますっ!」






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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 00:15:20 | トラックバック(0) | コメント(6)
コメント
夕鈴の健気さにもう涙がそんな意地らしい夕鈴を見て陛下はどう思うんでしょうか?

早く問題が解決することを祈ります

夕鈴頑張れ・・・
2013-03-09 土 06:15:56 | URL | ともぞう [編集]
Re: タイトルなし
ともぞう様、コメありがとう御座います。今回夕鈴主体の語りが多かったのですが、漸く次から陛下目線も入ります。纏まらなくてすいません。本当にグチグチグチグチ・・・と。陛下がしっかり意思表示をしてくれりゃ楽なのに!(本誌で翻弄される夕鈴が可哀想! ・・・・ってこっちでも翻弄させてますが) 書く方は楽しいけどね~。(笑)
2013-03-09 土 09:09:32 | URL | あお [編集]
休んだら働く!!
根性?の見せどころ(笑)
陛下の側が一番安全ですからね~(^o^)/
思う存分仲良し夫婦アピールして、刺客捕縛&黒幕暴いて緩やかな日常に戻りますようにm(__)m

2013-03-09 土 13:25:37 | URL | ダブルS [編集]
Re: 休んだら働く!!
ダブルS様、コメありがとう御座います。頑張る夕鈴が次回登場となりますが、いちゃいちゃ演技ですので、たぶんあの方が壊れます。お楽しみにして頂けたら嬉しいです。
2013-03-09 土 19:50:58 | URL | あお [編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2013-03-09 土 21:49:07 | | [編集]
Re: タイトルなし
ビスカス様、コメありがとう御座います。 そうそう狙われまくりで、そして次は陛下に翻弄されちゃう。 可哀想で涙が出ます。どうして夕鈴こんな酷い目に・・・・。(誰が書いているんじゃ!)  引き続き、お読み頂けると嬉しいです。
2013-03-09 土 21:54:55 | URL | あお [編集]
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