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殷紅彩  4
今日は特に花粉がすごい! 午前中で掛けたのですが、車の中でくしゃみ連続コンポ! 
くしゃみの連続で身体が熱くなり、額に汗が! 薬飲んできたのに、辛い辛い辛い! 
マスクしてても来るー!  そしてミホーク&フランキー&シャンクスBirthday





では、どうぞ。









目の前に置かれた薬湯はひどく苦そうだが、桐さんが運んで来たのだから安心出来る。 
これを飲まなきゃ演技は出来ないのだからと覚悟を決めて、一気に咽喉に流し込む。

「口直しに用意致しましたのは、杏の砂糖漬けで御座います」
「あ、あいがとう御座います。 ううう・・・ 苦い・・・・ 甘い・・・・」

医官姿の桐さんが差し出してくれた砂糖漬けを急いで口に放り込むが、咽喉に貼り付くドロドロした薬湯の苦さは直ぐには消えず、冷まして置いた茶を流し込み必死に誤魔化す。

「大丈夫で御座いますか、お妃様」
「え、ええ。 大丈・・・・・もうひとつ下さい、砂糖漬け!」
 
多少咽せ込んだが胃の調子も元に戻りつつあるし、本来の仕事が出来るなら、どんな苦労も厭わないと夕鈴は口元を押さえて笑顔を見せる。 
他の誰かに 『臨時花嫁』 を、ましてや 『囮』 をさせる訳にはいかない!
これは自分の仕事であり、この仕事をしている間だけ陛下の傍に居られるのだから。 
唯一の妃が狙われるという、あってはならない事態に少しでも私が役立てるなら、体調が悪かろうが、ドロドロ薬湯だろうが、毒だろうが立ち向かってやる! プロの臨時花嫁として、いかなる時も動揺せず、冷静に妃を演じきる鋼の精神を持った女性を目指すのよ!

再び臥せってしまった私が久し振りに政務室に向うと知り、少し心配げな顔をした侍女さんが顔色を隠しましょうといつもより濃い化粧を施し、最後に艶やかな紅を注してくれた。 
使節団に対して 『新たな妃はいりません。 うちの夫婦はこんなに仲が良いので、他の妃が入る隙もありませんのよ!』 アピールをするために豪奢な衣装を身に纏い、微笑を浮かべた侍女を伴って、医局に戻る医官姿の桐さんを護衛に夕鈴は政務室へと向った。



胃の不快感と薬湯のせいで傷む咽喉を抑え込み政務室に顔を出すと、忙しそうに使節団と話しをしていた陛下が直ぐに気付いてくれた。

「我が妃よ。 臥せっていたと聞くが、もう大事無いか。 君が顔を出さない政務室はまるで火が消えたかのように寒々しかったぞ」

それは陛下の怒気のせいではないでしょうか・・・・と突っ込みを入れたそうな顔をしている官吏たちを余所に、私はプロ妃として柔らかい笑顔を浮かべる。 差し出された手にそっと手を重ね、陛下に誘われるがまま、政務室から庭へと二人仲良く連れ添って降りて行く。
背後から鋭い視線が飛んで来たが、それはきっと柳方淵だろう。 鋭い矢のような視線は慣れ親しんだもので、背中にぶすぶす刺さるが、ちっとも怖さはない。 刺客ではないと解るので、出来ることなら睨み返して差し上げたいほどだ。 でも、今はそれどころじゃない。 

「私も、陛下がお忙しい日々を過ごしているとは存じておりますが、御顔を見ること叶わず、とても寂しゅう御座いましたわ・・・・・」
「愛いことを言う。 ああ、まだ足元が御簿付かぬであろう」

愛しそうに妃を抱き上げた陛下はそのまま四阿へと足を向ける。 先回りしていた侍女がお茶の用意をしており、二人が椅子に腰掛けると微笑を残して退っていった。
椅子に腰掛けたのは陛下だけで、私はその膝の上に乗せられ、真っ赤に染まる顔を団扇で隠しながら陛下にそっと問い掛けた。

「・・・・膝上抱っこまでする必要があるのでしょうか? 重いでしょう・・・・」

乙女としては聞きたくないが、最近薬湯ばかり飲んでいてお腹が膨れている。 
食欲が減っている訳ではないので、出来れば横に座りたいと心から嘆願してしまう。 
しかし腰に絡めた手は外れることなく、団扇をそっと避けられ左腕を囚われた。

「腕の傷はどうなった? ・・・・・・まだ少しだけ赤味が残っているな」
「これはもう痛くないですよ。 今は薬湯の苦味の方が辛いです。 ・・・・それより陛下、膝から下ろして欲しいのですが。 隣に座っていても演技は出来ますよね?」

眉尻を下げた陛下がじっと左腕を見つめるが、本当に痛みはない。 すでにうっすらとしか残らない傷痕を注視され、この傷を付けた刺客はどうなったのだろうと、ふと思った。 
既に掴まったとしても私が知ることはないだろうが、李順さんが言っていたように宗広国からの刺客なのだろうか。 そうだとしても同盟国として今後の貿易や国交に支障がないよう取り計らうのだろう。 バイト妃として、それは一線を越えてはならない考えだけど、やはり気にはなる。

・・・ちゅ

他に気を取られていた私の前へと覆いかぶさるように黒髪が揺れたと思ったら、なにやら不穏な音がした。 呆けていた視界をクリアにすると私の腕を捕らえていた陛下が唇を寄せていて、大きく見開いた目の前で、薄くなった傷痕を紅い舌先がなぞっているのが見えた。 

「早く治るように、おまじないだ。 薬湯の苦さが消えるためのおまじないは咽喉元へがいいかな? それとも唇がいいか? 愛しい妃を悩ませるものは赦しておけぬからな」
「・・・おまじな・・・・・」

これ以上無いというほど真っ赤に染まった兎がふるふる震えている。 腕の傷は残らないとは聞いたが、未だ薄く赤味が残っているのに痛くないと笑顔を見せる夕鈴に腹が立つ。 
舌を伸ばすと期待通りの反応で思わず苦笑してしまうが、これ以上は泣いちゃうかな?

「スキンシップは必要だよ。 いちゃいちゃ夫婦を宗広国使節団に見せるんだから」
 
小犬の声色に戻して僕がそう小声で伝えると、視線を下げてちょっと考え込む夕鈴に違和感を感じた。 更なる刺客が来ることを考えて怖くなったのだろうか。 

「・・・・大丈夫だよ。 もう君を傷付けたりしないから。 こんなことになるなら政務室通いを中止させるんじゃなかった。 まさか後宮にまで入り込むほど用意周到とは思わず、夕鈴には怖い思いをさせちゃったね。 ごめんね」
「おまじな・・・・あ、いえ。 『囮』 はバイト規約に入っているので問題ありません。 それよりも、あの・・・・大丈夫ですか?」

すっぱりした返答に僕は思わず目を瞠って夕鈴を見下ろした。 膝に抱かれた夕鈴は数日間に何度も襲われ、傷や毒を受けているというのに 『問題ない』 と言い切った。 
その答えに眉間に皺を寄せながら腰を引き寄せ、耳元に狼の声音を落とす。

「君が問題ないと言うことが私の心を傷付けているとは思わないか? そして君が問う大丈夫とは何のことだ? これ以上私に余計な心配をさせぬように答えてみよ」
「・・・・っ!」

膝の上で夕鈴の身体が強張るのが解る。 耳朶に触れんばかりに近付いて答えを急がせると、君はワタワタと慌てながら周囲を見回した。 人払いしているとはいえ、使節団の集まる殿から見える四阿であり、政務室からも程近い。 周囲の視線を感じて夕鈴は妃演技の続行を余儀無くされながら、おずおずと上目遣いに僕を見上げる。

「陛下の御心を傷付けるつもりは御座いません。 以前にもお伝えした通り、陛下の敵を少しでも減らすためでしたら私は精一杯お役に立てるように頑張りたいのです。 ただ・・・・・・ 本当に縁談はお断りされて大丈夫かと思って・・・・・」
「そのつもりだが、妃は受けた方が良いと言うのか?」
「あ、いえ! そ、そうではなくて・・・・。 ただ新たな同盟国からのお話しですので・・・・。 私は受けた方がいいなんて言ってないです! 噂を聞いてちょっと心配になっただけで。 本当は・・・・・ 受けたら・・・ 嫌です・・・」

段々小さくなる夕鈴の言葉を耳にして、思わず君を抱き寄せる手に力が入る。 
わかっている、大丈夫だ。 
君の言う言葉は 『狼陛下』 に対しての演技上の言葉。 
きっと借金返済が残っているから縁談を受けられると行き場がなくなるんじゃないかとか、掃除婦だけで借金返済を続けられるのかとか、そっちの方向で困るから嫌だと言っているのだろう。 
わかっている、わかっている。 
その言葉に過分な期待を持ち、後でそれがどれだけの反動となって自分を憤らせるか。 それこそ僕の機嫌の悪さにまた誰かが慌てて品を運び、夕鈴の元に良からぬモノが運ばれそうだ。   

「そうか・・・ 嫌か。 大丈夫、我が妃は君だけだ。 愛しく慈しむのは唯一君だけと何度伝えさせるつもりか。 言葉だけでは足りぬというなら今夜の宴参加を取り止めて、君に一晩中でも尽くすとしよう。 それでも足りぬと言うなら今からでも・・・・・」

耳朶を掠める狼の声音は兎を沸騰させ過ぎたようで、胸に凭れ掛かった夕鈴が深紅になって半分意識を飛ばしていることに気付いた陛下は瞬時に蒼褪めた。
『女タラシ』 『そういうことに慣れている』 なんて、また有らぬ誤解をさせてしまう!! 
その言葉を呟く夕鈴の視線を受けるのは辛い! 
眇めた視線で見つめ続けられるのは、酷く居た堪れない!
これではいちゃいちゃ演技どころの話ではなくなり、下手すると妃家出騒動に発展しそうだ。

「ゆ、夕鈴? 顔が真っ赤だけど・・・・ 僕遣り過ぎちゃったみたいで・・・ 大丈夫?」

耳元に小声で話し掛けると、意識を浮上させた夕鈴がこくこくと小さく頷いた。

「すいませ・・・・ ちょっと腰が抜けて・・・・ ちゃんと演技出来なくて、ごめんなさい。 このまま少ししたら立てるようになると思いますので・・・・」 

真っ赤な兎は狼陛下全開の演技にあえなく撃沈していた。 プロ妃は難しいと。




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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 23:44:44 | トラックバック(0) | コメント(4)
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2013-03-10 日 08:56:45 | | [編集]
Re: タイトルなし
ビスカス様、コメありがとう御座います。桐さん、一応侍女さんの前で医官演技中のため、言葉数少なくなっております。本誌にも小さく「ちゅ」ありましたよねー! あー、悶える!それも笑えるほど!焦れ焦れ、ニヨニヨしちゃいますよね。うぷぷ。
2013-03-10 日 15:04:55 | URL | あお [編集]
頭の片隅にて
イチャイチャ演技ご馳走様でした(//∇//)

お互い演技の上での言葉と言い聞かせているのが悲しいですね(´д`|||)
本心なのに(笑)

2013-03-10 日 17:36:45 | URL | ダブルS [編集]
Re: 頭の片隅にて
ダブルS様、コメありがとう御座います。 ジレジレでしょ? もやもやしますでしょ? はっきりしろと言いたいが、当時の身分って大変ですよね。互いの気持ちをはっきり伝えて、方向性を明確にして欲しいわ!(笑)
2013-03-10 日 18:34:00 | URL | あお [編集]
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