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殷紅彩  5
花粉、すごいですね・・・・。 本当に酷い・・・。 それに寒さが逆戻り。 寒いと花粉が減るけど、暖かいと飛ぶし・・・・。 早く終わらないかな・・・・・。 くすん。




では、どうぞ。















くたんと力なく凭れ掛かる夕鈴は、これも使節団に向けての狼陛下の演技だと思っているようで、僕の過剰な狼ぶりや悋気には気付いている様子がない。 
それはそれで辛いなと視線を上げると、使節団員の居る殿近くに桐の姿が見えた。 
医官姿から侍官姿になり、使節団員と何か話している様子が伺える。 それを夕鈴に伝え、演技を続けるように囁き、君の頭に口付けると、声無き悲鳴を上げながらも僕の襟に手を添えて、強張った笑顔を浮かべた。 必死に演技する夕鈴が可愛くて、つい手が出てしまい困る。 
苦笑を抑えて夕鈴を抱き締めながらラブラブ演技を続け、使節団の様子を視界に捉えていると、浩大がほど近い場所から小声で報告し始めた。

「あー、見えてます? 桐はへーかとお妃ちゃんのラブラブをアピールしに動いているよ。 侍女に化けた女は宗広国の間諜と判ってるんで、その裏付けを取っている最中っす。 このまま奴らに長く居座られても良いことないしな。 縁談話も早々に切り上げて貰わなきゃ、陛下の仕事も滞るだろうしさ。 そうすると側近さんが切れちゃうだろ?」
「・・・・夕鈴との演技は長くてもいいが、確かに対応は早急に取らねばな。 裏付けが取れたら早々に妃に傷を負わせた奴を引っ立てろ。 果実を届けた奴も急がせろ」
「了解っす」

僕と浩大のやり取りを聞き、夕鈴は少し悲しげな困ったような顔を見せた。

「私が立ち入ることは出来ませんが、くれぐれも無理はなさらないで下さいね。 陛下の御身体は御一つだけですよ。 私で役立てるなら幾らでも頑張りますから!」

これからは自分が口にするものには充分気をつけて余計な心配はさせませんし! と新たな決意表明をする君は、僕に新たな心配を運んでくる。 そのやる気は僕を心配させるだけだと気付いていないようだ。 これ以上君が傷付くことも倒れることもさせたくはないのに、この兎は狼のためだと勝手に飛び跳ねて、何か仕出かしそうな予感に僕は心配で堪らなくなってくる。

「・・・・本当に宴なんか出ないで、三食一緒にご飯食べようかな? 僕が毒見をするから夕鈴はしっかりご飯食べて、早く治って欲しいな。 ああ、そうしようか。 夜間は特に危ないから一緒に寝てあげるよ。 それなら安心でしょう?」
「は? え・・・ 何処からそんな話になるの? って宴はお仕事でしょう? ま、ましてや・・・・一緒に寝るのは、む、む、無理でしょう?」
「夕鈴、声大きいよ。 夫婦なら寝所が一緒は当たり前でしょ? うん、そうしよう!」
「他国から使節団が来てお忙しい時に、そんなことしないで下さいっ!」
「ゆーりん、小声だって。 もう、可愛いな、我が妃は」

きゅうきゅう抱き締めてくる陛下と攻防戦を繰り返していると、優秀な陛下側近が昏いオーラを庭園いっぱいに広げながら砂利を踏み鳴らして姿を現した。 薄く貼り付いた笑顔が怖い。 
眼鏡が白く輝き、更に口から白煙を噴き上げているようにも見え、思わず夕鈴が固まると陛下の嘆息が頭上から零れるのが判った。

「なんだ、李順。 使節団の奴らがこちらをずっと窺っているから、愛しい妃との時間をこのまま続けたのだが。 ・・・・・何か問題でも生じたか?」
「はい、問題だらけで御座います。 まず書簡が山と溜まり今にも崩れそうです。 周宰相がお呼びです。 氾大臣が今後の予定を話し合いたいと申してお待ちです。 ですので、妃との御休憩時間は終了とさせて頂きます」
「まだ半刻くらいではないか。 休憩を挟んだ方が効率は上がるぞ?」
「これ以上休憩されると、山の書簡が崩れ、政務が滞ることになりますが?」

冷酷な表情を浮かべた二人に挟まれ、夕鈴は蒼白になりながら如何にか立ち上がろうとした。
その動きに気付いた陛下が夕鈴の膝裏に手を回し立ち上がり 「李順、直ぐに戻る」 と妖艶な笑みを浮かべ四阿から歩き出したから、腕の中の夕鈴は慌てて耳元に小声で囁いた。

「へ、陛下! お仕事が御ありでしたら、私は桐さんと戻りますから大丈夫ですよ。 浩大もいますし、どうぞ御仕事にお戻り下さいませ!」

私の言葉に足を止めた陛下が面白くないとばかりに腕に力を込め 「愛しい我が妃は軽いな。 ちゃんと食べているか?」 と強く声を張り上げた。 李順も周囲の雰囲気に何かを感じたようで静かに低頭し私たちを見送るに留めたが、しかし夕鈴の耳には側近の舌打ちが聞こえ、背筋に冷たいものが這い上がった。

「夕鈴は僕のお嫁さんなのに他の男に送られるのって厭だな。 これも使節団員に見せる演技だと思って甘えてて? ほら首に腕を回せる?」
「あ・・・ 演技、ですよね。 はい、陛下」

腕を回すと陛下の負担が減ると判っているが、その分顔が近くなるから恥ずかしい。 
しかしプロ妃として演技を求められていると知ると、夕鈴は笑顔を浮かべて手を回した。




後宮に戻ると直ぐに陛下は李順が待つ執務室にと渋々足を向けた。
侍官姿から医官姿になった桐さんが部屋を訪れ、薬湯と共に毒見が終わったという茶葉を持参してくれたので、侍女に渡す。 妃不在時に誰かの侵入が無かったかを警護兵が再確認し、薬師や医官により使用する水や衣装、化粧品にまで調べが入り、李順さんの言う通り後宮に沢山の妃が居たなら大変な出費になっていただろうと思われた。

「・・・・四阿で陛下といちゃいちゃしているところを見て貰うよう、使節団の居る殿へと書簡を届けに行ったのだが、演技と思えないほどいちゃいちゃしていたな。 驚いた」
「・・・・・何故驚くのか判りませんが、使節団の方にも見て頂けたのですね?」

桐から告げられた言葉に夕鈴は真っ赤になりながらも、自分の役目が上手くいっている事に安堵した。 そのためのプロ妃、臨時花嫁なのだ。 
それに陛下は演技とはいえ、『妃は一人だ』 と言っていた。 大丈夫だって、妃は私だけだって伝えてくれたのだから、余計なことは考えずに自分のやるべきことを全うしよう。

「ああ、書簡を渡す際に気が付いてくれて、相手の高官は目を瞠って注視していたぞ。 あと窓辺にも数人固まって見ていたようだ。 結構、あいつら暇なんだな。 陛下が妃の腕を舐め上げるところとか、耳に口付けしているところとか、横抱きして腰を撫で回しているのを唖然とした顔で見続けていた。 まあ、体調が完全ではないのだから無理はするなよ。 って、それは陛下に伝えなければならないか?」
「・・・・そ、そうですね・・・・」

桐の言う内容に夕鈴は深紅に染まった。 
俯いたまま、宗広国使節団の皆さんに、どんな風に見られていたんだと酷く震えてしまう。 
あれが狼陛下を手玉に取り、やりたい放題している寵妃かと思われているのだとしたら、逆効果に為りかねないかもと考えると段々不安になってきた。

「桐さん。 ・・・・下町に広がっている狼陛下唯一の妃の噂、知ってます?」
「知っている。 諜報員として動いているから情報は逐一入るが、それが? ・・・ああ、後宮の悪女か。 冷酷非情な狼陛下を手玉に取る妖艶な悪い美女妃。 大方、王宮に勤める暇な奴が、次の妃推挙のために流した噂だろう。 それが?」

滔滔と説明されると、夕鈴は黙り込むしか出来なくなる。 
狼陛下唯一の妃である夕鈴を陥れ、次の妃推挙のために流した噂なのだと言われると確かにその通りなのだが、その噂されている本人としては居た堪れない。 
その噂を宗広国使節団員も知っているのだろうか。 
噂されている妖艶な美女妃が 『これ』 で、噂通りに政務中の陛下を呼び出して、昼間から四阿でいちゃいちゃしていて大丈夫だろうか?

「・・・・いえ。 仲の良いところを見せて縁談を諦めさせるという予定ですから問題はないと言えば、ない・・・・ですね。 あれ? いい、の・・・・ かしら?」
「お前の頭でぐちゃぐちゃ考えていないで、取りあえず薬湯を飲み胃を休ませろ。 この後の警護は浩大が就くから、他へ行く場合や何か食べ物が届けられた場合は外に向って声を掛けるように。 食い地を張って何でも口にしないようにな」
「し、しませんよ! あれだって陛下からだって言うから・・・。 薬湯で酷く苦かったし。 あ、今回の口直し菓子は何ですか? 杏の砂糖菓子はすごく美味しかったです!」

口直しに貰った菓子の甘さを思い出し思わず笑顔になると、桐から大仰な嘆息が漏れる。

「ついこの間、毒を飲まされてぐったりしていた人間の台詞とは到底思えないな。 まあ、お前はそのままでいい。 今回は檸檬の蜂蜜漬けを持参したが、その前にお楽しみのドロドロ薬湯だ。 覚悟を決めて飲め」

侍女が呼ばれ口直しの茶の用意が始まり、夕鈴は親の敵を見るような表情で、避けることの出来ないドロドロ薬湯と対峙することとなる。








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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 20:57:12 | トラックバック(0) | コメント(6)
コメント
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2013-03-11 月 23:32:33 | | [編集]
桐さん辛辣w
陛下がこの会話聞いたら、仲良さそうだと機嫌損ねそうですねw

続き楽しみにしてます♪
2013-03-12 火 00:30:41 | URL | rita [編集]
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2013-03-12 火 06:59:45 | | [編集]
Re: タイトルなし
ビスカス様、コメありがとう御座います。イチャイチャ夫婦。まあ、アメリカとかイギリスとかイタリアではふつーなのでしょうが、日本でやるとバカップルに見えてしまうのは何故なのか。親を見て育ったからでしょうかね?? あ、うちの両親はバカップルです。(笑) 私は反面教師かな? 桐さん好きと伺い、出しちゃいました。いっぱい!使いやすいオリキャラさんです。
2013-03-12 火 07:32:33 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
rita様、コメありがとう御座います。桐はそういうキャラ設定ですが、夕鈴の回りそんな人ばかり?陛下も狼だとその性格だけど、本当に機嫌損ねそうですね!同じ性格で、睨み合いそうです。
2013-03-12 火 07:34:11 | URL | あお [編集]
Re: 桐さん三変化!!
ダブルS様、コメありがとう御座います。夕鈴へイチャイチャしている様子を報告するドS桐さんが好評で、妙に嬉しいです! そうそう、夕鈴の周囲は・・・・・「Sの達人」って素晴らしい言葉ですね!朝から吹いてしまいました。ナイスボキャブラ!
2013-03-12 火 07:37:21 | URL | あお [編集]
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