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殷紅彩・・・・ おまけ
悩んだ末にやっぱり書いちゃいましたー。 もう笑って下さい。
それもノリノリで(爆) 宜しければ御付き合い下さいませ。 オリジナルキャラ祭です。


では、どうぞ












「琉鴇皇子は御国にお戻りになることは少ないのですか」

宗広国皇女涼華が、庭園に設えた四阿でじりっと琉鴇ににじり寄った。
琉鴇は垂れた目を細めて、皇女をじっと見つめる。

『彼女が夕鈴様に刺客を大量に送りつけ、毒殺を繰り返した上に刃物で止めを刺そうと試みた首謀者。 少し前なら、うちの妹皇女と陰湿な話が合っていたかも』

そんなことを考えているなど、おくびにも出さず皇子はにっこりと微笑んだ。

「ええ、自国領地の鉱山や他国を回り、国交を円滑に執り行えるよう計らうのが仕事ですので、精一杯努めております。 こちらに伺うのが遅くなり、たいへん申し訳御座いません、涼華様」
「いいえっ! 大変なお仕事を任されているとのこと、涼華、感激致しましたわ!」
「ありがとう御座います」

卓上の茶杯を見つめ、何が仕込まれているのだろうと琉鴇は眺めた。 
周囲に配された兵がいつもより少ないし、侍女がちらちらと茶杯を見ているのも気になる。 
いつもと違って皇女宮に近い場所の四阿であるということも何か意味があるのだろう。
・・・・入っているのは媚薬か? 考えることがえげつないな。 確か皇女の歳は・・・・。

「そう謂えば皇女は御歳十六歳とのこと、最もお美しい盛りですね。 本日の衣装もとても豪華で、大変お似合いで御座います」
「まあ、お気づきですか? 琉鴇皇子が来ると伺いましたので、城下で一番の仕立て屋に急がせましたの。 金糸をふんだんに使い、豪奢に仕立てるよう伝えましたので、わたくしの容姿にとても似合いますでしょう?」

立ち上がった皇女はゆるりと袖をちらつかせ、光沢のある絹地に主に金糸で描かれた睡蓮の花を見せ付ける。 様々な色糸を使った豪奢な衣装だけに眼福でもあるが、着ている人物の醜い裡を知っているだけに白けるばかりだと琉鴇は微笑を浮かべた。 
さりげなく茶杯を皇女のものと取り替えながら。

「睡蓮の花言葉は清純な心、優しさ、純情、純粋などなんですって。 仕立て屋がわたくしのようだと褒めまくって大変でしたの。 花言葉まで出すなんて、全く・・・・もう。 ふふふふ」
「ええ、皇女にとてもお似合いですよ」

睡蓮より水仙、または悪い意味での紫陽花の花言葉の方が御似合いだと琉鴇は思ったが、皇女に向けた笑みには彼女を褒め称える表情を浮かべている。 
皇女はその笑みに満足したようで、ようやく腰を下ろした。 頬を染めて嬉しそうに卓の茶杯を傾け、今度は簪と笄の自慢に移る。 柔和な笑顔のままで話しを聞き続ける琉鴇は心の内で欠伸を噛み殺しながら、静かに嘆息を零した。 目の前の女性がいくら頬を染めても、醜悪にしか見えない。
目を輝かせて己を褒め称えている様は、正直反吐が出そうになる。

しかし夕鈴様のためにここは我慢だと琉鴇は微笑み続けた。 
皇女は白陽国の陛下が怒気を放ち睨ね付けても意に介さず、自分こそが陛下に選ばれるべき立場の人間で、出自不明な妃など捨て置くべきだと、それが出来ないならば消せばいいと考えている。
 
以前、同じような考えを持つ妹が夕鈴様に矢を放った時は、本当に蒼褪めた。 
なんて莫迦なことをしたんだと我が妹ながら苛立ちを覚えた。 
しかし、自分を狙った妹皇女に睨み付けられ、罵倒までされたというのに、夕鈴様は愚かな妹を庇い、両手を広げて命乞いをしてくれた。 自分は国を持ち出し、皇子皇女の身分を盾に命を永らえようとしたというのに、彼女は何の迷いも無く地面に膝をつき、処断をしないで欲しいと声を張り上げたのだ。 冷酷非情な狼陛下へ向かって。
どれだけの寵愛を受けていようとも、あの場で身体が動くなど有り得ない。
または命を狙われたのだと、妹もろとも処断することも考えられた筈だ。
だけど、彼女は。

目の前で自分の自慢話を喋り続ける涼華を見つめながら琉鴇は狼陛下唯一の妃を思い出し、深い笑みを浮かべて想いを馳せていた。

「次に来られる時には、是非、琉鴇皇子からの御心を受け取りたいですわ」
「・・・・。 そうですね、涼華様は何でも御似合いですから、贈り物にもお時間を頂きとう御座います。 南方より届けられる金剛石が良いか、東方の鼈甲で作った簪が良いか悩みますね」
「まあ、素敵ですわ! そういえば峯山国は金も銀も有名ですわね。 そろそろ耳飾の新しいものが欲しいと思っておりましたの、わたくし」

きっと夕鈴様なら何も要らないと即答されるだろう。 
四阿で話していた彼女は驚くほど無欲で、衣装も素朴なものをお召しになっていた。 陛下方針の質素倹約に添いたいと小さく俯き、だがとても嬉しそうな表情を浮かべていたのを思い出す。
後宮に一人だけの花。 その花を白陽国の国王はどのように慈しんでいるのだろうか。
彼女だけを愛し、彼女だけに言葉を向け、彼女だけを抱く。 
そんな愛の形もあるのかと、彼女を見て最初こそ疑ったが、あのような花ならば理解も出来る。 初々しい所作でぎこちないほど幼くも見える妃。
しかし、政務室に足を運び官吏と堂々と話し合いが出来る妃であり、他国の者と二人きりの状況を知った途端に陛下自ら妃を迎えに姿を見せるほど深い寵愛を受けている。 自分の身分を知っても驚いたのは最初だけで、態度が変わることはなかった。 
書庫や回廊で会うと逆に驚いて逃げていく妃を何度追い掛けただろう。
あの驚いた顔も、四阿で私を強く見つめていた瞳も、いくど迫っても落ちない態度も・・・・・。

自国の従者の姿を見て、琉鴇はゆるりと立ち上がり、涼華に笑顔のままで会釈した。

「申し訳御座いません。 自国へと戻る時間となりました。 皇女様としばしのお別れとなり私も大変心苦しいのですが。 またの機会を楽しみにさせて頂きます」

少し顔を近付け、皇女の耳元へ低い声を落とす。 
途端に頬を染め、とろりと瞼を閉じかけた皇女が色を絡めた視線で自分を見上げてくる。 このまま彼女が夕鈴様を忘れるまで翻弄することなど雑作も無い。 昏い笑みを浮かべて場を離れた琉鴇は、近寄って来た腹心へ半月後に金の耳飾を皇女へ送るよう手配させた。
これで自分が皇女の許を訪れるのは短くて一月、長くて三月後で大丈夫だろう。 勿論、峯山国からも宗広国内へ密偵を放している。 その報告如何により自分の動向を変更すればいい。
それも全て愛しい夕鈴様のためだ。

・・・・・そういえば、彼女の手を握り締めた後、気付けば馬車に揺られていた。
彼女に近付いただけで、気が昂ぶってしまうのだろうか。 二度の昏倒に、まるで初恋に胸高まらせる初心な少年のようだと苦笑し、そして琉鴇はそうかと気がついた。 
彼女が自分の本当の初恋なのだと。

「初恋は実らぬというが、私は決して諦めはしない。 お待ち下さいませ、夕鈴様」









「陛下・・・・・ 耳元で話すのは禁止しますからね。 バイトにすることではありません」
「でも夕鈴は僕の声の方が好きって前に言ったから」
「言ってません! (陛下の方が・・・・ で止めました!) 第一演技が必要ない時に、何故狼陛下の声色を使うのですか? 演技の無駄使いです! それに侍女さんがいない時に膝上抱っこなど必要ありませんし!」
「えー。 でも、ゆーりん」
「でもじゃありませんよね? あと、桐さんにも直ぐに救出に来てくれるよう陛下からちゃんと伝えて下さい。 呼んだのに来てくれなくて、皇子に 『まじないですか』 とまで言われたんですよ。 こっちは必死だったのに!」

先日、狼陛下の声で意識を遠くへ放り投げた夕鈴は、改めて真っ赤な顔で睨み付けてきた。
その顔も可愛いなと、へらりと笑うと余計に怒られたが、そういえばそんな可愛らしい顔を奴も・・・・ 峯山国の皇子も見ているのかと思い出すと急に苛立ちを覚える。 

おまけに手まで握り締めていたし、四阿に行くのが遅ければ何処まで触れられていたことか。
宗広国の皇女は奴に夢中になっていると報告が来ており、皇子獲得のために媚薬や怪しげなまじないまで使っているらしい。 そのまま婚姻を結んでしまえと陛下は心の内で密かに祈った。
しかし奴は夕鈴を簡単には諦めない様子がありありと判る。 
全くしつこい蛇のような奴だと嘆息し、今度皇子が来たら猿轡を咬ませてやろか、それか薬師に伝えて声が出ない煎じ薬でも作らせようかと陛下は思案した。

「陛下、聞いて下さってますか?」
「・・・・うん、考えている・・・・・」
「・・・・・・・何を?」
「効率良く馬に蹴らせるか、犬に喰わせる方法・・・・。 それか早々に婚姻を結ばせる方法」
「? ? ? ?」
「うん、これは僕の仕事だから大丈夫。 浩大に話しがあるから、またあとでね」

小犬の笑顔を残して部屋から去っていった陛下に違和感を感じた夕鈴は、国王陛下の仕事も多岐に渡って大変なものなのねと溜息を零した。







水仙花言葉 『うぬぼれ』『自己愛』『エゴイズム』

紫陽花花言葉・・・悪い方
『移り気』『高慢』『浮気』『自慢家』『あなたは冷たい』『あなたは美しいが冷淡だ』
・・・ 良い方 『辛抱強い愛情』『元気な女性』




FIN

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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 13:13:13 | トラックバック(0) | コメント(6)
コメント
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2013-03-30 土 23:43:56 | | [編集]
Re: タイトルなし
慎様、コメありがとう御座います。体調は良くなりましたが花見がこの雨で延期。ただの飲み会になりそうです(爆) 長い話だとおまけがついてしまう今日この頃です。 バイト夕鈴がほんとーの奥さんになるのが楽しみですよね。 その前の焦れ焦れが長く続くのも楽しい。 ニヨニヨしております。
2013-03-31 日 00:03:21 | URL | あお [編集]
いい男なんですが…(^_^;)
オマケありがとうございます\(^o^)/
夕鈴の安全のために動いてくれる琉鴇皇子に好感度が上がっております(笑)

彼には幸せになって欲しいですね(*^^*)
ありがとうございましたm(__)m


2013-03-31 日 00:35:39 | URL | ダブルS [編集]
Re: いい男なんですが…(^_^;)
ダブルS様、コメありがとう御座います。そうですよね、書いている内にいい男だなと思ったのですが、やはり残念と言うか。 おまけ楽しんでいただけで嬉しいです。 彼に幸せは来るのか・・・。 ははははは。 難しい?ですよねぇ。
2013-03-31 日 12:00:21 | URL | あお [編集]
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2016-01-02 土 02:03:19 | | [編集]
Re: タイトルなし
れん様、コメントをありがとう御座います。おまけ書くのはすごっく楽しいです。暗い話もリセットしちゃって、あら、いいのかしらと自分に突っ込みを入れたくなります。最初に登場した時から残念イケメンボイスの琉鴇ですが、好きと言ってくれる方がいらっしゃって嬉しいです。桐の次に人気者? 今年もどうぞよろしくお願い致します。
2016-01-02 土 15:05:50 | URL | あお [編集]
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