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思案の外  13
なんか書きたいことがいっぱいで、終わりにしたいのに終わりにならない。
次の妄想が漏れ出てきて、つい書き殴っている私。集中力がないので、あちこち彷徨いながら書いてます。何処かに集中力売ってませんかね。


では、どうぞ。
















「僕が添い寝していたら気付いただろうに、ごめんね」
「添い寝っ!? そっ、いっ、いえ! そ、それは・・・・ バイトの規約範囲外ですし、無理ですし、もう頭痛も軽くなりましたから大丈夫です。 本当に御心配掛けました!」

心配げな表情して真面目な顔でそんなことを言われたら、動揺するでしょう! 
わたしはバイトですし、嫁入り前ですからね! 第一、李順さんに怒られますからー! 
おまけに抱き締める力を強めて、優しく背を撫でながら、本当に安心したというような溜息を吐かれたら・・・・・。

「夕鈴泣きそうだね。 一度泣いちゃうといいよ。 僕の胸の中で、ね」
「・・・・泣きませんよ。 それよりも賀祥様の見合い相手・・・・ 密輸に関わっていた貴族という人は、賀祥様には本当に関係ないんですよね?」
「ああ、それは調べたが奴には関係ない。 奴が王都に来たのは兄の薬の為だろう? まあ薬が必要ないというのも奴の兄から謝罪と共に聞いて判っている。 (その前に報告が来ていたから直ぐに奴の兄に連絡したんだけど) 賀祥の見合いもなくなったと聞いたしね」

夕鈴はそうだったと頷き、陛下を見上げた。 賀祥さんの兄様は体調に問題なく、身分の違いで表には出せない立場の妻と子供がいるのだ。 

「賀祥様の兄様、頑張って奥様と御子様が認められるようになるといいですね! わたしも何か目に見えて役に立てると良かったのですが、もう、応援しか出来なくて悔しいです」

密輸に関しては何一つ役に立てることは出来ないが、賀祥さんの兄様の子供が、甥御さんが認められるように祈るくらいは出来る。 まあ・・・・ これくらいしか出来ないけど。

「賀祥様のために少しでも役立てたのなら良いのですが、あとは好きな方と添えるように祈るだけです。 あ、今度賀祥様がお好きな方を連れて来てくれるって、約束してくれたんですよ!  賀祥様の兄様も奥様とお子様に会って欲しいって。 賀家の皆様に似ているのでしたらお子様も可愛いでしょうね。 また賀祥様たちに会えるのが本当に楽しみです!」
「・・・・・すっかり元気になったと思ったが、少し熱が出て来たようだ」
「え?」

頭上から聞こえた声は低く怒気を孕んでいる狼陛下のものと判り、夕鈴は目を瞠ったまま身体を強張らせた。 今、自分が行った言葉の何処に陛下を怒らせる部分があったのだろうか。
訳が判らず困惑している夕鈴の額で熱を計っていた陛下の手が前髪を払い、柔らかいものが押し当てられた。 その感触に顔を上げることも出来ずに夕鈴がバキンッと音を立てて固まると、頭上から苦笑が聞こえてくる。 
身体に巻きつく腕に力が入ったと思ったら、あっという間に寝台に横になっている自分に驚く暇も無く、一緒に寝台に横になった陛下が当たり前のように横にいることに夕鈴は悲鳴を上げた。

「こぉっ、こ、こ、ここはわたしの寝台、ですよ!? なぁ、何を!?」
「しぃ・・・。 早朝の鶏みたいな声は出さないでね、侍女が来るから。 具合の悪い妻と同衾しているだけだよ。 誰憚ることなく、君を看病しているだけでしょう?」
「な・・・、にを言ってるんですか! 出て行って下さい。 風邪がうつりますし、バイトの寝所でこんなこと、駄目に決まっているでしょう! 手を離して下さい!」
「夕鈴、侍女に聞かれるから大人しくしてね」

陛下の腕に包まれて、身体から力が抜けそうになる。 でも駄目だ、こんなの有り得ない!
絶対李順さんが来る、鬼の形相でやって来るに決まっている! 怖い、絶対一緒に怒られる!
抗っているところを侍女に見られるのは、陛下と仲良し演技をしているバイト妃としてはもちろん困るけど、陛下の手の動きが何かおかしいんです! 背から腰から、何でそんなに撫で回すのか、手を絡めて束縛するのか、意味が理解出来ません! 耳元で低く話すのも反則です!

「ね、熱が上がります! お願いします、陛下。 まだ少し頭が重い感じがするんです!」
「ええー、大丈夫? 夕鈴」
「で、で、ですから、お願いします」
「うん、ゆっくりお休み。 僕、温めてあげるからね」
「・・・・・・・へぇかぁ・・・・・・」

本当に意味が判らない。 わたし、何か失敗したんだろうか。 これはもしかして怒られているんだろうか。 陛下に苛められる意味が全くもって判らない。  

「おーい、陛下。 お妃ちゃんをちゃんと休ませてやろうよ。 側近さんが来るよ~」
「こぉーだいぃ・・・・・」

浩大の声に思わず涙声で助けを求めると、陛下から舌打ちが聞こえ、同時にわたしの身体が浮き上がった。 上掛けごと、身体の束縛はそのままに膝上に座らされて涙目で陛下を見上げると、眉間に深い皺が寄っている。 いつまでも何でそんなに怒っているのか判らない。

「常用性がない香とはいえ、お妃ちゃんは連日毎晩嗅がされていたんだ。 しばらくは頭痛が時々あるかもってさ。 夢見が悪かったのもそのせいだから、もう安心して眠れるだろう」
「うん・・・・。 浩大、ありがとう」
「ただ風邪ひかせちゃったのはオレのせいだもんな、ごめんな」
「ううん、そんなことない」

幻覚作用のあるといわれた香を、毎晩深く吸い込んでいたら・・・・・ わたし何をしていたんだろう。 風邪くらいで済んで良かったと思わなきゃならない。 
でも、夢見が悪かったのは覚えているけど・・・・・ 一体どんな夢を?

少し俯いた夕鈴が上掛けから出た手で僕の袖を握り締める。 無意識な動きなのだろうが、夕鈴を見下ろすと結んだ唇が震えて見え、僕は君の身体をぎゅっと抱き締めた。

「夢の内容覚えている?」
「殆ど覚えていません。 頭が痛くて、夢の内容を思い出すこともなく・・・・。 ただ、なんとなく覚えているのは真っ白な風景・・・・・。 あ、れ・・・・?」

答えようとしたわたしから、急に堰を切ったように涙が零れ出した。 ボロボロ零れ出した涙に夕鈴自身が驚きながら頬に手をやると、その手も震えていることに気付く。
  
「な、んで泣くんだろう? ど、しよ・・・・。 涙・・・・ とまんない」
「怖い夢だったのか? 夕鈴、もう大丈夫だから。 覚えてなくていいよ、ね?」
「・・・・いつも最後に、手が・・・・。 でも・・・・・」

ボロボロと涙を零しながら夕鈴が顔を上げて僕を見上げる。 眉根を寄せ、まるで何かに耐えているような泣き顔のまま、僕の袖を強く握り締めてくる。
手布で君の涙を拭うが、後から後から止めどなく涙が流れ落ち、そして僕の袖を強く引くように掴むと、夕鈴はしゃっくり上げながら胸に頭を埋めて来た。 
浩大が一体如何したんだろうと顔を顰めるが、僕にも解からない。 
香炉の幻覚作用によって、君はどんな夢を見たのだろう。 
ボロボロと涙を零し続けながら嗚咽を漏らす君の背を撫で、大丈夫だよと繰り返し囁き、落ち着くのを待つしか出来ない。

「夕鈴、大丈夫だから。 もう怖い夢は見ないから・・・・・ 聞いて悪かった」
「お妃ちゃん、香炉も片付けたしさ。 泣いたらまた熱が上がるから、な?」

浩大に李順がここに来るのを阻止するよう、そして夕鈴が落ち着けるような薬湯を急ぎ用意させるよう指示した。 僕の袖を強く握り締めたまま震え続ける夕鈴は小さな声で 「いや・・・・ 厭、です」 を繰り返し、胸の内で震え続けている。
仄かな灯りだけが燈る寝所で背を震わせながら囁くようにその言葉を繰り返して泣き続ける君を、僕は抱き締めるしか出来ずに唇を噛んだ。 ただ、大丈夫だよと声を掛けながら抱き締めるしか出来ないでいた。 
暫らく背を撫でていると、息を詰まらせながら 「今だけは、いや。 ずっと傍がいい・・・・」 と小さく呟き、ゆっくりと身体から力を抜いて唐突に眠りに落ちた。 
寝台に寝かせ、濡らした手布で涙で濡れる頬から目尻をそっと拭う。 いまだ唇が震え、夢に囚われているのが伝わってきて、額やこめかみ、頬に祈りを込めて口づけた。

「僕も今だけは厭だよ、夕鈴。 ずっと傍にいて欲しい・・・・。 傍にいて」

耳元で繰り返し囁いていると夕鈴から強張りが解け、穏やかな寝息へと変わっていった。
夕鈴の穏やかな寝顔にようやく安堵した時、侍女が躊躇いがちに陛下を呼んでいる者がいると伝えに来て、浩大に阻止するよう頼んだはずの李順が妃の部屋入り口で拱手したまま、昏い笑顔を浮かべて立ち竦んでいるのが見えた。

「お妃様の御様子は如何でしょうか。 頼まれました薬湯をお持ちしましたので、お妃様がお休み頂いております間、陛下は御政務に取り組まれては如何で御座いましょうか」
「・・・・今夜は妃に付き添おうと思っているのだが」
「お妃様の風邪は熱も下がり、あとは安静にされておれば大事無いと伺っております。 万が一、陛下まで風邪をお召しになりますと、お妃様の御心痛も増しますでしょう」
「愛しい妃が目覚めた時に一人では、それこそ心痛が増すだろう。 仕事は明日に回す」
「宰相より急ぎと申し付かっておりますので、急ぎ分だけでも此方に運びましょうか」
「・・・・ちっ。 流石我が側近だ。 返答に隙がないな。 では執務室に戻るとしよう」

陛下と側近の行き詰まる会話に、その場にいた侍女は蒼褪めて足を竦ませる。
薬湯を受け取った侍女は手を震わせながら冷たい視線を投げ掛ける陛下に怯え続け、傍らの侍女は側近の醸し出す地獄の笑みに恐怖した。







執務室に戻ると、李順の影から浩大が両手を合わせて謝罪のポーズを見せた。 
奴を止められなかった謝罪と判るが、夕鈴が気になる僕は冷酷な視線で睨み付ける。 
すぐに李順の大仰な咳払いが聞こえ、不機嫌なまま渋々卓に着くことにした。
浩大が捕らえた高官から聞き出した香炉と薬瓶の入手経路、西方国境近くの貴族が関与していた密輸の件を報告し、李順が証拠書類を纏め上げ、捕縛した高官と侍女にどのような処罰を与えるか検討事案を話し出す。 

「既に貴族は国境警備隊を送り捕縛済み。 早々に証拠物品と共に王都へ向かう予定です」
「高官との繋がりは隠密たちが証拠の書面を見つけてるよ。 まあ、お妃ちゃんを襲っているのを直に陛下が目撃してるしね。 侍女も証拠の香炉と共に縛り上げてるし、同じように繋がりも押えている。 ・・・・密輸に関わっていたとされる隣国の商人らを押えることが出来なかったのが痛いけど、それは今後もチョイ難しいよな」

国を跨いでの捕縛は難しく、その件に関しては自国の貴族捕縛で満足するしかないだろう。 
国交があるとはいえ、内部へ入り込んでの干渉までは現状の証拠だけでは難しい。

「妃の部屋に置かれていた香炉は、新たな妃推奨を狙う大臣が一枚噛んでいたそうで、奴によると陛下にまで害が及ぶとは聞いていなかったと申しております。 ・・・・まあ、噛んだ時点で彼の人生は終わってますがね」
「賀祥の動きを勘違いしてくれたお陰で早くに証拠が揃ったし」
「刑吏が本人らの証言を纏めておりますので、目を通して下さい。 その後にその山を早く崩すよう、宰相より伝言を受けておりますので頑張って下さい」

二人の報告を受けながら、僕は別のことを考えていた。
賀祥の父親に余計なことを頼まれたものだと今更ながら頭を押える。 
頑固な女性恐怖症だと思っていた賀祥が、夕鈴の指導によりあんなにも変わるとは想定外。 
思いも寄らぬ指導内容と、結果に僕は面白くない。 甚く同情した夕鈴が教師のようなつもりで奴に近付くたびに、何であんなことを君に頼んだのかと悔やむばかりだった。
奴の激しい拒否で、無駄に終わるだろうと思っていた予定が、君の真摯な繰り返しのお試しで、最後には改善が見られてきたと聞いたときは驚きを隠せなかった。 
さらに完全に解決した訳ではなく、君限定というのが余計に腹立だしい。 
夕鈴が成果が出たと嬉しそうに微笑を浮かべて賀祥を見つめ、賀祥がそれを正面から受け取れるようになったことが、心底面白くない。 

「陛下ぁ、何考えているか丸判りっすよ。 そもそも陛下がお妃ちゃんに頼んだんだろう? お妃ちゃんと仲良くなって面白くないって顔するなら、最初から頼むなよな」
「・・・・・今度彼女を連れてくると、最後の挨拶で夕鈴に言っていたそうだ」
「賀家からの依頼も上々での出来で結構です。 香炉に関しても常用性がないとのことで、夕鈴殿の現状問題も数日で快癒するでしょう。 報告にあった兄の家庭問題も早々に片付けて欲しいものです。 一個人の家庭問題まで王宮に持ち込まれるとは想定外です」
「そう言いながら李順さんってば、貰うものはしっかり貰っているよね」
「・・・・・・それが何か? 未だ財政は逼迫しておりますのでね、来るもの拒まずです」

二人の会話に項垂れながら筆を動かしていた陛下は、手を止めて顔を上げた。

「密輸を行っていた貴族が来たら知らせろ。 それより李順、この山はいつ崩れるんだ」
「・・・・賀祥の件を夕鈴殿に任せたはずの陛下が、事ある毎に姿を消していたものですから、溜まる一方だったようですね。 まあ、自業自得で御座いましょう」

側近からの冷笑を耳にして、陛下は山を崩すことに集中することにした。









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長編 | 00:13:13 | トラックバック(0) | コメント(8)
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2013-04-16 火 01:03:43 | | [編集]
Re: タイトルなし
らぁ様、初めまして。 そしてコメありがとう御座います。風邪は治りましたー!ありがとう御座います。 袖ぎゅーに同意嬉しいです。 更新は時折滞りますが、御付き合い頂けたら嬉しいです。どうぞ、よろしくお願い致します。
2013-04-16 火 01:08:36 | URL | あお [編集]
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2013-04-16 火 09:21:45 | | [編集]
Re: タイトルなし
ますたぬ様、コメありがとう御座います。早朝の鶏・・・・ 遣り過ぎましたかね。(笑)袖きゅうや、手きゅうが多くて、書いていても楽しいです。振り返るとやはり李順さんは優しいキャラにならないです。優しい李順さんを書いてみたいような・・・・ 怖いような・・・・。 うん、やっぱり無理か?
2013-04-16 火 19:10:53 | URL | あお [編集]
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2013-04-16 火 20:24:48 | | [編集]
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2013-04-16 火 22:05:39 | | [編集]
Re: いつもの日常!!
ダブルS様、コメありがとう御座います。そっか、離宮で同衾してますよね。わはははは。一緒の寝台で寝たんですよね。一度やっちまえば、二度三度、どんと来いってね! 翻弄夕鈴を弄るのは楽しいです。本当に。 あ、コメント暴走大歓迎です。またお待ちしております。
2013-04-16 火 22:13:43 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
ビスカス様、コメありがとう御座います。情けなくて格好いいという褒め言葉にぐっと来ました。ありがとう御座います。萌えてニヨニヨして嬉しいです。 そうなんですよ、いろいろ解決はしている筈なのに、まだ細かい取残しがあり、拾いながら必死に纏めています。長くなると、これが困る(笑)
2013-04-16 火 22:20:53 | URL | あお [編集]
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