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多事多難  7
出掛け先でお腹いっぱい食べて、犬の散歩に行ったけど、夜中になっても腹の苦しさは変わらない。 ダイエットはどこに行った? デザートをお替りしてしまう私は、絶対に痩せることが出来ないでしょう。 だって美味しいんだもの!!


では、どうぞ















にこやかな笑みを浮かべる、すごく久し振りに会った下町の幼馴染。 
朧気に面影が残る、柔らかそうな少し癖のある黒髪に温和な顔、笑顔。 
木から落ちた時に肩口に怪我をさせたと聞かされたばかり。 
子供の頃の話で盛り上がったのはつい先ほど。 
気軽に話しをしていたが、それは仲間同士というか下町の知り合いというか・・・・・。

夕鈴は杜博の顔をまじまじと見て、ぽかんと口を開けたまま呆けてしまった。

「嫁き遅れなんて言われてるけど、夕鈴ちゃんは可愛いよ。 本気で考えてみてよ」
「・・・・・・えっと、杜博。 お酒呑み過ぎてるんじゃ・・・・・」
「俺、底なしなんだ。 仕事で暫くは乾隴にいるから、まずは二人で話しをしようか」
「きっと・・・・・・ お酒呑み過ぎ・・・・・」

几鍔が隣で何か言ったのは耳に届いた。 だけどそれが意味を成す前に、笑みを浮かべながら近付く杜博の顔に思わず注目してしまう。 そして肩から外れた杜博の手が私の手を攫い、きゅっと握り締めるのを見た明玉たち女友達が、広間に響き渡るような甲高い声で叫んだ。

「四人目来たーーーーーーっ!!」
「えええええーっ!?」







  ・・・・・・・ ・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・  ・・・・・・・・ 








正直、夕鈴はどうやって家に無事帰れたのか判らないほどに疲れ果てていた。 
友達の幸せを祝いたかったとはいえ、披露宴後の集まりには出席しなければこんな事にならなかったのではなかろうかと思い詰めるほどだ。 
李恵の幸せな顔が翳み、杜博からの言葉とその後の騒ぎに頭痛がしてくる。 何故か几鍔に 「お前はまた・・・・」 と言われなき嫌疑を掛けられ、それにぶち切れた私は_____。

あれ? 何か言ったような気がする。 思い出そうとするのだが一向に思い出せない。 
私は何かを言った。 勢いで何か言った記憶はある。 その言葉に怒った顔の几鍔が人の頭をぐしゃぐしゃに掻き回したような感触も残っている。 手を伸ばすと確かに髪は乱れていて・・・・。
呑んだお酒はたった一杯だ。 それで記憶が飛ぶなんてあるのだろうか。 
離宮でのことは恥ずかしながら記憶に残っている。 ・・・・・・多少は。
どうしようか。 誰かに直ぐ聞きに行こうか。 でも既にかなり遅い時刻。 
ああ、お酒なんかもう絶対に口にしない! 記憶がない自分が怖い、何を言ったんだろう?

取り合えずお茶を淹れて落ち着こうと台所で深い溜め息を零すと、勝手口の扉を控えめに叩く音が聞こえて来た。 ・・・・・・結構、遅い時間だ。

青慎がいるとはいえ、もう部屋で就寝している。 それに明日も学問所に行く弟を起こす訳にはいかない。 役に立たない父親も、小煩い娘が実家に戻って来たためか姿が見えない。 
何処かで借金を作っていなきゃいいが。 ・・・・・・だから、今はひとり。 
夕鈴はこくりと唾を飲み込み誰何した。 すると小声でも誰と判る明るい返答が返って来る。

「お妃ちゃん、オレっす」
「・・・・浩大っ!?」

いつも下町に来る時はさりげなく警護に就いている筈なのに、顔を出すのは珍しい。 
どうしたんだと、王宮で何かあったのかと急いで扉を開けると、浩大は 「今大丈夫?」 と尋ねて来た。 大丈夫だと家の中に通すと小声で 「何かない?」 と言うからお茶と菓子を出す。 
するとのんびりした態度でお茶を飲み始めるから、夕鈴は浩大を思い切り睨み付けた。

「どうしたの、浩大。 もしかして何か王宮であったの? 新たな怪文書が出たとか、侍女さんが疑っているとか? 急に戻って来いとか?」
「いんや、そうじゃないよ。 ちょいと聞きたいことがあっただけ」

落ち着いた様子の浩大に夕鈴は ほっと息を吐く。 突然の来訪は心臓に悪い。 遅い時間だけに陛下が下町まで来ることはないだろうが、浩大の来訪だけでも充分驚かされる。

「聞きたいことって何? ・・・・・・私、ちゃんと戻るわよ・・・・・」
「お妃ちゃんが仕事を放棄するなんて思ってないよ。 そうじゃなくって、集まりは楽しかった? すんげぇ賑やかだったみたいじゃん。 独身ばかりが集まって大騒ぎ!」
「うん。 普段のストレス解消も兼ねているから、みんな羽目外してた」

自分も知らない内にお酒を口にしていた。 懐かしい顔ぶれが集まった宴に浮かれていたのだろうかと苦笑してしまう。 お茶のお替りを渡しながら夕鈴が笑いを堪えていると、浩大が肩を竦めて自分を見ていることに気付いた。

「何? どうしたのよ、浩大。 何を聞きたいの?」
「杜博って奴から結婚申し込まれてたじゃん。 それで如何すんのかなって聞きに来た」
「・・・・っ! どうしてそれを知ってるの!?」

そこは有能な隠密ですからと、浩大は飄々とした顔で笑みを浮かべる。 その顔を見て夕鈴は思わず目を瞠り、そしてゆっくりと息を吐く。

「どうもこうも、お酒の入った席での戯言よ。 几鍔の嫁き遅れって言葉に助け舟を出してくれただけのこと。 そもそも結婚なんて今は無理! 借金背負ったバイト中の身だし、青慎が科挙に合格するまでお金も掛かるし、面倒だってみたい。 それに父さんには任せて置けない」
「でも、お妃ちゃん。 すぐには断らなかったじゃん。 驚いちゃったよ、それに」

本当は戯言と言えど、その場ですぐに断るつもりだった。 だけど杜博に強く手を引き寄せられ耳元に小声で 「ここで恥を掻かせないでね。 男として立つ瀬ないから」 と囁かれると、それ以上は言えなくなってしまったのだ。 会ったばかりで相手のことも碌に判らない。 恥を掻かせないでと言われると、戯言と思えど口は噤むだろう。

「真面目に返す雰囲気じゃなかったからよ。 几鍔に莫迦にされた後だったし」 

話しがそれだけなら早く帰ってと目で促がすと 「ふぅん・・・」 と胡乱な視線が返ってきた。 
眉を顰めると途端に浩大は笑顔になり、菓子を懐に仕舞い込むと早く寝ろよと勝手口からするりと姿を消した。 見送った後、夕鈴は疲れ果てた頭と身体を休めるため言われた通りに寝台へと重い足を運び、倒れこむように深い眠りに就く。

  







「ふぅん・・・・。 これは飛んで来ることになるかな? 明日の昼には戻る予定だとは知らせているけど、我慢が出来る狼じゃないかぁ」 

夕鈴の自宅屋根上にて浩大は周囲を見回した。 明日夕鈴が無事に王宮に戻れるかは、新たに登場した幼馴染に聞かなきゃ判らない。 戯言で終わるのか、金貸しの幼馴染がどう動くのか、今はただ傍観者としてどう転ぶか想像するだけだ。

「まあ、すぐには動かないようだけど、今ここを離れるのも、な」

困ったことだと空を仰ぐ。 町の明かりが消え始める時刻、闇夜に白い花が瞬くのを口元を歪めながら浩大は見上げた。 その時、浩大の耳に小さな笛の音が聞こえ、屋根から周囲を見回すと一瞬だけ橙の灯りが点ったのが確認出来た。 屋根上から静かにその場所へと移動すると、黒衣の隠密が建物の影から姿を見せる。

「・・・・・・焦れた陛下より、その後の経過報告をして欲しいとのことだ。 お妃の警護を交代する。 至急王宮に戻り、陛下へ報告をするように」
「あちゃ~、やっぱり待てなかったか。 本人が来ると思っていたけど、それだけ仕事が忙しいということかぁ。 焦れているって? そりゃ焦れるだろうな、昨日爆弾投下しておいたからな」

にっこり哂うと、桐が嘆息を漏らす。 「漲る怒気が恐ろしいほどに」 と呟くと、浩大は心底楽しそうに哂いを堪えて肩を震わせる。

「では、交代。 あまり苛めるのも可哀想だし、やっぱりお妃ちゃんには王宮に戻って貰いたいしな~。 ちょいと頑張って貰いますか!」

お兄ちゃんも大変だよと笑うと、桐が嫌そうな顔で 「・・・・あまり掻き回すな」 と呟いた。
浩大が懐から菓子を取り出し放り投げると、桐はそれを受け取りながら王宮に新たに侵入した間諜に関連した報告を始めた。 
某大臣子飼いの間諜らしいが逃げ足が驚くほどに速く、既に二度逃していると。
特に後宮側に多く出没しているらしいが、昨夜から妃は居ない。
その点では命の危険はないだろうが、何かを仕掛けた可能性もあるため、立ち寄りそうな箇所を全て調べることになった。 寝所から居間、湯殿、衣装や化粧品、庭園に至るまで。

「そこでお妃には実家でもう暫く過ごして貰うことになった。 お妃には明日伝える」
「それはそれは・・・・。 なあ、狼の脱走がいつになるか、賭けようか?」
「・・・・・・命を賭けるのか?」

闇に目を遣り、それは・・・・怖いかと苦笑した浩大は、返答を避けて足早に王宮へ向かった。








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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

長編 | 00:47:07 | トラックバック(0) | コメント(8)
コメント
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2013-04-30 火 01:20:52 | | [編集]
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2013-04-30 火 03:55:10 | | [編集]
うわぁ~夕鈴何を言ったんだろう・何を言って几鍔に頭がしがしされたのかしら?気になるぅ~っ

浩大は今回は流石に大変そうですねでも、しっかり楽しむところは楽しんでいる様子・大変なのは陛下だけなのかな?プッ(*≧m≦*)報告後が楽しみだわ・
2013-04-30 火 06:44:03 | URL | ともぞう [編集]
Re: タイトルなし
ますたぬ様、コメントありがとう御座います。夜中の更新にお付き合い下さい、ありがとうです。ぼんやり覚えている酒の席、夕鈴さあ、何をしでかしたのか。几鍔はどう出るか。陛下は?・・・・・って考えるのが楽しいのと大変(笑)でもお付き合い頂けるので嬉しいです。
2013-04-30 火 06:49:14 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
ななすけ様、コメントありがとう御座います。強引な男は、イケメンに限り有効です。(爆)桐さん、ようやく出せました。あの口調を書くのが結構楽しい!浩大の突っ込みに、冷たい切り替えし。陛下以外で書けるのがニヨニヨしちゃいます。次は陛下が書けるので、嬉しいです。
2013-04-30 火 06:51:54 | URL | あお [編集]
Re: タイトルなし
ともぞう様、コメントありがとう御座います。几鍔に頭がしがしされたいです(笑) 浩大の報告で陛下をどう動かそうか考えるのが超楽しい! オリジナルキャラさんも上手く動いてくれることを祈って、楽しみながら書かせて貰います。お付き合い下さいませ。 あ、賭けますか? 命。
2013-04-30 火 06:53:59 | URL | あお [編集]
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2013-04-30 火 20:10:33 | | [編集]
Re: 隠密は聞いていた!?
ダブルS様、コメントありがとう御座います。いやぁ、本来の陛下は直ぐに行動でしょう。どんな場所でも、苦手な叔母がいても足を向けるでしょう。こちらの陛下は我慢を強いられています。我慢させています。その我慢の限界が来た時が、夕鈴の多難になるでしょうけどね。 ダブルS様のコメント、的を得ていて、超嬉しかった!
2013-04-30 火 20:21:42 | URL | あお [編集]
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